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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Z07
管理番号 1306473 
審判番号 取消2014-301022 
総通号数 191 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2015-11-27 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2014-12-19 
確定日 2015-09-07 
事件の表示 上記当事者間の登録第4314464号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4314464号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成10年2月27日に登録出願、第7類「起動器,交流電動機及び直流電動機(陸上の乗物用の交流電動機及び直流電動機(その部品を除く。)を除く。),交流発電機,直流発電機,電機ブラシ」を指定商品として同11年9月10日に設定登録され、その後、平成21年3月17日に商標権の存続期間の更新登録がされているものである。
なお、本件審判の請求の登録は、平成27年1月16日である。

第2 請求人の主張の要点
請求人は、本件商標の指定商品中、第7類「起動器,交流電動機及び直流電動機(陸上の乗物用の交流電動機及び直流電動機(その部品を除く。)を除く。),交流発電機,直流発電機」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁の理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出している。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品中、第7類「起動器,交流電動機及び直流電動機(陸上の乗物用の交流電動機及び直流電動機(その部品を除く。)を除く。),交流発電機,直流発電機」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消すべきものである。
2 弁駁の理由
被請求人が提出した証拠によっても、以下のとおり、本件商標は、その請求に係る指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実は認められない。
(1)「便利カタログ」における「ESCO」等の文字の使用について
ア 被請求人は、2012年、2013年及び2014年の「ESCO便利カタログ」(乙1ないし乙3)を発行したこと、その表紙、巻頭頁、裏表紙等に「ESCO」等の文字を表示しており、本件商標と同一又は社会通念上同一と認められること、その所定頁に「充電器,エンジンスターター,発電機」の外観写真と商品仕様及び商品定価が掲載されており、取消請求に係る指定商品と同一又は類似の商品であること、を主張している。
これは、被請求人は明示していないが、商標法第2条第3項第8号に規定された「商品に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して頒布する行為」があったことを主張立証しようとするものと思われる。
イ しかし、請求人は、次の理由から、これらの行為があったとは認められないものと思料する。
乙第1号証ないし乙第3号証に掲載された「充電器、エンジンスターター、発電機」は、いずれも、他社が他社の商標を付して販売している商品である。
なお、この掲載商品のうち「充電器」は、取消請求に係る指定商品に類似しているとしてもそのものではないから、考慮は不要と考える。単なる充電器は勿論のこと、セルスタート機能を持つ充電器であっても、充電器の品目で商取引される以上、同様である。
よって、乙第1号証ないし乙第3号証は、他社が他社の商標を付して販売している商品を、それらを顧客に小売りする小売業者である被請求人が、顧客が選択購入しやすいように便益を提供するため一覧紹介した印刷物であることが明らかである。
そうすると、乙第1号証ないし乙第3号証の表紙、巻頭頁、裏表紙等に表示された「ESCO」等の文字は、基本的には、需要者からみて小売業者としての出所を表示するものとして認識されるものである。
もっとも、商品に係る商標が、「業として商品を・・・譲渡する者」にも与えられるものであり(商標法第2条第1項第1号)、小売業者もまた譲渡を行うことに変わりはないことから、小売業者としての出所を表示することが、直ちに商品商標としての使用に当たらないことになるものではない。すなわち、小売業者としての出所を表示するものであっても、その表示態様等によって、同時に商品商標としての使用にも当たるというケース(以下「第1ケース」という。)がありうるし、専ら小売業者としての出所を表示するものであって、商品商標としての使用には当たらないというケース(以下「第2ケース」という。)もありうる。したがって、事案ごとに商標の表示態様等に応じて判断すべきである。
この点に関し、特許庁編「平成19年度小売等役務商標制度説明会の説明会テキスト」において、次のように具体例を挙げて説明している(甲2の20?21頁)。
「5.商品の商標と小売等役務の商標との関係
小売業者等の商標であっても、プライベートブランドの商品(スーパーのような大手小売業者が自社の顧客に合わせて独自に開発し、メーカーに発注して商品化したもの等)に、製造段階で行われるような方法により表示された商標は、メーカーの商標と同様に、商品と密接な関連性を認識させ、商品の出所を表す商品に係る商標と考えられます。
一方、接客に当たる店員の制服や陳列棚、さらに、売場のショッピングカードや買い物かごなどに表示される商標は、特定の商品との密接な関連性ではなく、店員による商品説明サービスや陳列棚に並べられる各種商品の取り揃えサービス、店舗内を顧客が移動する際に商品を持ち運びやすくするためのサービスなどの小売業者の顧客向けサービスを認識させることから、商品の出所ではなく、小売等役務の出所を表示するものと考えられます。
しかし、商標法上の「使用」の定義を踏まえると、商品や商品の包装、広告等には、商品に係る商標と小売等役務に係る商標のいずれの商標も表示され得ます。これらの物に表示された商標が商品に係る商標と小売等役務に係る商標のいずれであるかについては、例えば、次のとおり、商標の表示態様に応じ判断することになります。
(1)取扱商品、商品の包装に表示された商標
商品そのもの(例えば、石けん)に商標を直接刻印したり、商品の専用容器(例えば、缶コーヒーの缶)に直接印刷するような商標の表示態様は、商品が流通に置かれてから事後的に小売業者等が表示したものとして認識されるとは考え難く、商品に係る商標としてのみ認識されるといえるものです。
一方、例えば、デパートやコンビニエンスストアなどにおける商品の値札のシール、包装紙などに付された商標については、商品が流通に置かれてからも事後的に容易に表示し得るものであり、その商標の表示態様及び使用の実情等を勘案すれば、小売等役務の出所をも表示するものと考えられますから、小売等役務についての商標の使用といえます(ただし、これらが小売等役務についての使用であることをもって、商品についての使用であることが否定されるわけではありません。小売等役務についての使用に該当すると同時に、そこで取り扱われる商品の出所を表示するための商品についての使用といえる場合もあります。)。
(2)商品の広告等に表示された商標
商品の広告等については、例えば、食料品スーパーの広告チラシに掲載される目玉商品の写真と価格の表示箇所付近に表示された商標は、需要者からみて、商品の出所を表す製造者の商標と認識されます。
一方、その広告チラシの隅に(枠外に)、小売業者等の商標を表示することは、需要者からみて広告チラシに掲載される商品を取り扱う小売等役務の出所を表すものとして認識されますから、それは小売等役務の商標の使用と認められるものです。」
ウ これを参照して、以下、乙第1号証ないし乙第3号証について検討する。
乙第1号証ないし乙第3号証における、各表紙の上部に表示れた「ESCO便利カタログNo.43」、「ESCO便利カタログNo.44」又は「ESCO便利カタログNo.45」の文字と「ESCO CO.,LTD.」の文字、各カタログの1頁以降に表示された「ESCO物流倉庫」の文字と写真に写った倉庫外面の「ESCO」の文字、「エスコWebカタログのご紹介」の文字と画面コピー内の「ESCO CO.,LTD.」の文字、「ESCO商品詳細仕様」の文字、並びに裏表紙に表示された「ESCO 株式会社エスコ」の文字とシール見本内の「ESCO CO.,LTD.」の文字は、いずれも、「充電器、エンジンスターター、発電機」の写真と価格の表示箇所付近ではなく、それらの掲載のない表紙や巻頭に表示されている。
このような表示態様によれば、いずれの文字も、需要者からみてカタログに掲載される商品を取り扱う小売等役務の出所を表すものとして認識されるから、小売等役務の商標の使用と認められるものであって、その一方、需要者からみて商品の出所を表すものとして認識されるとはいい難いから、同時に商品商標の使用でもあるというには無理がある。すなわち、乙第1号証ないし乙第3号証におけるこれらの文字は、上述した第2ケース、すなわち、専ら小売業者としての出所を表示するものであって、商品商標としての使用には当たらないというケースというべきである。
エ よって、乙第1号証ないし乙第3号証によっても、商標法第2条第3項第8号に規定された「商品に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して頒布する行為」があったとは認められない。
(2)ホームページ中の「ESCO」等の文字の使用について
ア 被請求人は、答弁書において、本件審判の要証期間内に「Webカタログサイト」が利用可能であったこと、その「フロントページ」(乙4)で「ESCO/便利カタログ」の所定部分をクリックすれば「商品便利カタログ」(乙4の2)が開くこと、その画面中段の「探す 検索エンジンを利用」で「充電器、エンジンスターター、発電機」を入力すれば、商品の外観画像と商品仕様及び商品価格(乙4の3ないし8)を確認できること、を主張している。
この主張は、被請求人は明示していないが、商標法第2条第3項第8号に規定された「商品に関する広告、価格表若しくは取引書類を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」があったことを主張立証しようとするものと思われる。
イ しかし、請求人は、次の理由から、これらの行為があったとは認められないものと思料する。
(ア)乙第4号証の6ないし8に掲載された「充電器、エンジンスターター、発電機」は、いずれも、他社が他社の商標を付して販売している商品である。
よって、乙第4号証及び乙第4号証の2ないし8は、他社が他社の商標を付して販売している商品を、それらを顧客に小売りする小売業者である被請求人が、顧客が選択購入しやすいように便益を提供するため検索できるようにしたウェブページであることが明らかである。そうすると、乙第4号証及び乙第4号証の2ないし8に表示された「ESCO」等の文字は、基本的には、需要者からみて小売業者としての出所を表示するものとして認識されるものである。
(イ)もっとも、商品に係る商標が、「業として商品を・・・譲渡する者」にも与えられるものであり(商標法第2条第1項第1号)、小売業者もまた譲渡を行うことに変わりはないことから、小売業者としての出所を表示することが、直ちに商品商標としての使用に当たらないことになるものではない。すなわち、上述した第1ケースがあり得るし、第2ケースもあり得るから、事案ごとに商標の表示態様等に応じて判断すべきである。
(ウ)そこで、上記の説明会テキストを参照して、以下、乙第4号証及び乙第4号証の2ないし8について検討する。
乙第4号証及び同号証の2ないし8の上部に配された各「ESCO CO., LTD.」の文字、乙第4号証の上部囲み中の「ESCO/MRO」の文字及びその下に配された「ESCO/便利カタログ」の文字、乙第4号証の2の中央上部に配された「ESCO便利サイトのご紹介」の文字、その左に配された「ESCO便利カタログ」の文字、さらにその下に配された「ESCO強力検索サイト」と「ESCO WEB便利カタログ」の文字は、いずれも「充電器、エンジンスターター、発電機」の写真と価格が掲載されていないページに表示されているか、又は「充電器、エンジンスターター、発電機」の写真と価格の表示箇所付近ではなく、複数他社の商品を列挙したページの上隅の罫線上に(枠外に)表示されている。
このような表示態様によれば、いずれの文字も、需要者からみてウェブページに掲載される商品を取り扱う小売等役務の出所を表すものとして認識されるから、小売等役務の商標の使用と認められるものであって、その一方、需要者からみて商品の出所を表すものとして認識されるとはいい難いから、同時に商品商標の使用でもあるというには無理がある。すなわち、乙第4号証及び乙第4号証の2ないし8におけるこれらの文字は、上述した第2ケース、すなわち、専ら小売業者としての出所を表示するものであって、商品商標としての使用には当たらないというケースというべきである。
ウ よって、乙第4号証及び乙第4号証の2ないし8によっても、商標法第2条第3項第8号に規定された「商品に関する広告、価格表若しくは取引書類を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」があったとは認められない。
(3)具体的な取引における「ESCO」等の文字の使用について
ア 被請求人は、答弁書において、美浜株式会社(以下「美浜」という。)から「発電機(インバータ式)」(品番:EA860L)の発注を「Webカタログサイト」を通じて受け(乙5)、当該商品を美浜の依頼先であるT株式会社に納品したこと(乙6)、その商品包装箱に貼付したシールの下部には「ESCO CO.,LTD.」を表しており、この構成中「ESCO」は本件商標と社会通念上同一と認められること、納品を納品書(乙7)で伝え、請求書(乙8)で請求したこと、を主張している。
これは、被請求人は明示していないが、商標法第2条第3項第1号に規定された「商品又は商品の包装に標章を付する行為」、第2号に規定された「商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡する行為」及び第8号に規定された「商品に関する取引書類に標章を付して頒布する行為」があったことを主張立証しようとするものと思われる。
イ しかし、請求人は、次の理由から、これらの行為があったとは認められないものと思料する。
(ア)なるほど、乙第5号証ないし乙第8号証によれば、「発電機(インバータ式)」(品番:EA860L)を譲渡する行為があったようにみられる。
しかしながら、乙第6号証並びに乙第6号証の2及び3によれば、「発電機(インバータ式)」(品番:EA860L)は、ヤマハ発動機株式会社(以下「ヤマハ」という。)の商標「YAMAHA」が大きく表示された段ボール箱に包装されており、その段ボール箱の一側面の左上隅にバーコード付の小シールが貼付され、その小シールの下隅にさらにまた小さい文字で「ESCO CO.,LTD.」が表されているにすぎない。この文字は、商標「YAMAHA」の文字と比べて格段に小さく、乙第6号証の2及び3のように接近しなければ視認できない。
よって、この「ESCO CO.,LTD.」の文字は、その表示態様及び使用の実情等を勘案すれば、「発電機(インバータ式)」がヤマハから出荷されてから、事後的に小売業者である被請求人が表示したものと認識されると考えられるから(上記の説明会テキスト参照)、小売等役務についての商標の使用というべきであり、その一方、「需要者からみて、商品の出所を表す製造者の商標と認識される」とはいい難いから、同時に商品商標の使用でもあるというには無理がある。すなわち、この文字は、上述した第2ケース、すなわち、専ら小売業者としての出所を表示するものであって、商品商標としての使用には当たらないというケースというべきである。
(イ)取引書類である乙第7号証及び乙第8号証には、「ESCO」の文字は表示されておらず、「株式会社エスコ」の文字が、商品表示枠外の右上隅に表示されている。この「株式会社エスコ」からは『株式会社エスコという会社』という観念(或いは『株式会社エスコという会社』という観念と『特定観念のない造語』との2通り)が把握されるのに対し、「ESCO」からは特定観念のない造語のみが把握される。つまり、観念が異なる(或いは一対一対応ではない)ことから、「株式会社エスコ」の文字は、「ESCO」と社会通念上同一とは認められない。
(ウ)そもそも乙第7号証及び乙第8号証は、乙第6号証並びに乙第6号証の2及び3のように専ら小売等役務についての商標の使用をすることを前提としたものであり、商品商標の使用とは認められない。
ウ よって、乙第5号証ないし乙第8号証によっては、商標法第2条第3項第1号に規定された「商品又は商品の包装に標章を付する行為」、第2号に規定された「商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡する行為」及び第8号に規定された「商品に関する取引書類に標章を付して頒布する行為」並びに同条第3項第8号に規定された「商品に関する広告、価格表若しくは取引書類を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」があったとは認められない。
(4)結び
以上のとおり、被請求人が提出した証拠によっても、本件商標は、その請求に係る指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
なお、小売等役務商標制度を導入する改正法が施行された平成19年4月1日以降においては、被請求人は小売等役務について「ESCO」の商標登録を受け得る。

第3 被請求人の答弁の要点
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第8号証(枝番を含む。)を提出している。
1 本件商標の使用について
(1)商品カタログ中の商標の使用
ア 被請求人(本件商標権者)は、自己の商品カタログ(以下単に「ESCO便利カタログ」という。)において継続して3年以上日本国内で本件商標を商品区分第7類の指定商品「充電器,エンジンスターター,発電機」について使用ている(乙1ないし乙3)。
被請求人は、1973年から今日に至るまで自己が取り扱う商品の外観写真と商品仕様及び商品定価を示した「ESCO便利カタログ」を毎年発行している。この「ESCO便利カタログ」は、被請求人の顧客(代理店、小売店等)に対して有料で販売している。
被請求人の顧客は、上記「ESCO便利カタログ」と被請求人が開設する「Webカタログサイト」(http://www.esco-net.com)を利用して、所望の商品を発注し、発注を受けた被請求人は、発注に係る商品を自己の物流倉庫から顧客又は顧客の指定先に届ける。
被請求人は、本件取消請求に係る指定商品に使用した事実を証するものとして、2012年、2013年及び2014年の「ESCO便利カタログ」を乙第1号証ないし乙第3号証として提出する。
これらのカタログは、発行年の前年末に発行するので、例えば、乙第3号証の2014年版「ESCO便利カタログ」は、2013年11月に発行された。被請求人は、上記「ESCO便利カタログ」を毎年約20万部以上発行して、全国の顧客に発送している。被請求人が、「2014年 ESCO便利カタログ」を前年末に顧客に送付した事実を証するものとして、被請求人の顧客の一つである「美浜株式会社」(以下「美浜」という。)及びこの関連会社に785冊を送付した当該カタログ代金の請求書を提示する(乙3の2)。
各カタログ中には、本件商標と同一フォントの「ESCO」の文字を「表紙」、「見返し」、「巻頭1頁」、「巻頭2頁」、「巻頭4頁」、「巻頭5頁」、「巻頭7頁」及び「裏表紙」のいずれかに表示している。
イ 以下、「ESCO便利カタログ」中における本件商標の使用状況について2014年版(乙3)に基づいて更に詳説する。
(ア)「表紙」の上部には、当該カタログの発行年「2014」を上段に配し、「ESCO便利カタログ」の文字を下段に配している。該「ESCO」の文字は、特徴的な本件商標と同一の文字フォントである。下段構成のうち「便利カタログ」の文字は、自他商品の識別力を発揮することがないことから捨象されるので、需要者及び取引者は、「ESCO」の文字に注目する。この「表紙」に表された「ESCO」の文字は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用である。
(イ)「ESCO便利カタログ」中の「見返し」の上部には、「ESCO 5つのサービス」の文字が表示され、被請求人が取り扱う商品の在庫、発注、発送及び修理についての説明が要約されている。該「ESCO」の文字は、「5つのサービス」の文字より小さく、かつ、特徴的な本件商標と同一の文字フォントである。そうすると、需要者及び取引者は、該「ESCO」の文字に注目するので、この「見返し」に表された「ESCO」の文字は、独立して看取されることから本件商標と同一と認められる商標の使用である。
(ウ)「ESCO便利カタログ」中の「巻頭4」の上部には、「ESCO Webカタログのご紹介」の文字が表示され、被請求人が開設する「Webカタログサイト」(http://www.esco-net.com)における商品検索の方法を広告している。当該「ESCO」の文字は、特徴的な本件商標と同一の文字フォントであり、「Webカタログ」の文字は、自他商品の識別力を発揮することがないことから捨象されるので、需要者及び取引者は、「ESCO」の文字に注目する。よって、この「巻頭4」に表された「ESCO」の文字は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用である。
(エ)「ESCO便利カタログ」中の「巻頭5」の上部には、「ESCO商品詳細仕様」の文字が表示され、該カタログに掲載の商品の外観写真、商品仕様、商品価格が、前記の「Webカタログサイト」で確認できることを説明している。該「ESCO」の文字は、特徴的な本件商標と同一の文字フォントであり、「商品詳細仕様」の文字は、自他商品の識別力を発揮することがないことから捨象されるので、需要者及び取引者は、「ESCO」の文字に注目する。よって、この「巻頭5」に表された「ESCO」の文字は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用である。
(オ)「ESCO便利カタログ」中の「裏表紙」の下段には、「ESCO 株式会社エスコ」の文字が表示されている。該「ESCO」の文字は、特徴的な本件商標と同一の文字フォントであり、かつ、「ESCO」の文字と「株式会社エスコ」の文字とは明らかに離隔分断されている。このため、需要者及び取引者は、「ESCO」の文字のみを独立して看取することは明らかである。よって、この「裏表紙」に表された「ESCO」の文字は、本件商標と同一と認められる商標の使用である。
(カ)「裏表紙」の上部には、シール見本が表示されており、該シールについて、被請求人が販売する全商品には、独自にナンバリングする品番とバーコードからなるシールを貼付する旨が説明されている。上記シールの下部には「ESCO CO.,LTD.」の文字が付されており、その構成中の「ESCO」の文字は、特徴的な本件商標と同一の文字フォントであり、同じく「CO.,LTD.」の文字は、会社を略称する語にすぎず自他商品の識別力を発揮しないことから捨象されるため、需要者及び取引者は、「ESCO」の文字に注目する。よって、このシール見本中における「ESCO」の文字は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用である。
(2)商品カタログ中の取消請求に係る指定商品の掲載商品
「2014年ESCO便利カタログ」(乙3)には、「工具セット」、「冷凍空調・換気用品」、「溶接・ロウ付関連商品」、「水道・ガス配管・電設工具」等の約109000点の商品が掲載されている。
そして、このカタログの第960頁ないし第962頁には、商品「充電器,エンジンスターター,発電機」の外観写真と商品仕様及び商品定価が掲載されており、これらの商品は、取消請求に係る指定商品と同一又は類似の商品である。
(3)ホームページ中の商標の使用
ア 被請求人は、自己が開設するホームページ中において継続して3年以上日本国内で本件商標を「充電器,エンジンスターター,発電機」について使用している(乙4)。
被請求人のホームページからアクセスできる「Webカタログサイト」は、平成13年から開設して、取り扱う商品の外観写真、商品仕様、商品定価を示し、需要者及び取引者に対する商品購入の利便性を促進するものとして今日に至る。以下、このホームページ中における本件商標の使用状況について詳説する。
(ア)上記ホームページの「フロントページ」(乙4)の写真画像の左側には正方形内に白抜き文字の「ESCO」及び「MRO」の文字を上下二段に併書した表示があり、該「ESCO」の文字は、特徴的な本件商標と同一の文字フォントであるから、需要者及び取引者は、「ESCO」の文字に注目する。この表示中における「ESCO」の文字は、独立して看取されることから本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用である。
(イ)ホームページ中の「フロントページ」(乙4)の中段左に配した「10万アイテム以上の品揃え!ESCO/便利カタログ」の文字が表示されている。そのうちの「ESCO」の文字は、他文字よりも大きく、かつ、特徴的な本件商標と同一の文字フォントであるから、需要者及び取引者は、該「ESCO」の文字に注目する。よって、この表示中における「ESCO」の文字は、独立して看取されることから本件商標と同一の商標の使用である。
(ウ)ホームページ中の「フロントページ」(乙4)の中段右に配した「豊富な品揃えの/ESCO商品サイト」の表示では、そのうちの「ESCO」の文字は、他の文字よりも大きく、かつ、緑色で特徴的な本件商標と同一の文字フォントであるから、需要者及び取引者は、該「ESCO」の文字に注目する。よって、この表示中における「ESCO」の文字は、独立して看取されることから本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用である。
イ ここに提出のホームページに関する証拠方法(乙4及び乙4の2ないし10)は、2015年3月15日に出力したものであるが、この「Webカタログサイト」について、2012年、2013年及び2014年の「ESCO便利カタログ」(乙1ないし乙3)の巻頭頁に当該「Webカタログサイト」による商品購入ができる旨を案内していることから、本件審判の要証期間内に既に当該「Webカタログサイト」が利用可能であったことは明らかである。
ウ ホームページ中の「フロントページ」(乙4)の中段で、「10万アイテム以上の品揃え!ESCO/便利カタログ」表示中の「商品詳細はこちら」部分をクリックすれば、「商品便利カタログ」(乙4の2)が開く。この画面中段で「探す 検索エンジンを利用」では、商品名から被請求人が備える商品を簡単に探すことができる。例えば、上記「探す 検索エンジンを利用」で「発電機,充電器,エンジンスターター」を入力すれば、これらの商品の外観画像と商品仕様及び商品価格を確認することができる(乙4の3ないし8)。
これに対して、「見る カタログ写真閲覧」では、品番から商品を確認することができる。例えば、品番「EA860L」を入力すれば、「発電機」の商品の外観写真と商品仕様及び商品価格を確認することができる(乙4の9及び10)。
(4)ホームページ中の「Webカタログサイト」を利用した具体的な取引
被請求人が、美浜から商品「発電機(インバータ式)」(品番:EA860L)の商品発注を「Webカタログサイト」を通じて受け、当該商品を美浜の依頼先である「T株式会社」に納品した事実を以下に詳説する。
ア 美浜は、被請求人の顧客の一つで電気工具関係の商品を取り扱う代理店であり、その依頼者である「T株式会社」から商品「発電機(インバータ式)」(品番:EA860L)の受注を受けている。被請求人は、美浜から商品「発電機(インバータ式)」(品番:EA860L)の発注を2014年10月14日に受けた。この発注は、被請求人のホームページ中の「発注・在庫/ご契約者様はこちら」から行うことができる。この発注履歴を見れば、確かに2014年10月14日に美浜が商品「発電機(インバータ式)」(品番:EA860L)を発注している事実が確認できる(乙5)。
イ この商品は、乙第6号証に示す荷姿で「T株式会社」に直接納品した。この商品包装箱には、被請求人が独自にナンバリングする品番とバーコードからなるシールが貼付されている。上記「発電機(インバータ式)」(品番:EA860L)を「T株式会社」に納品した荷姿の写真を提示する(乙6)。この商品包装箱に貼付した当該シールの下部には、「ESCO CO., LTD.」の文字が表示されているが、この構成中の「ESCO」の文字は、特徴的な本件商標と同一の文字フォントであり、同じく「CO.,LTD.の文字」は、会社を略称する語にすぎず自他商品の識別力を発揮しないことから捨象されるので、上記「ESCO」の文字は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用である。
ウ 2014年10月14日に美浜から発注を受けた被請求人は、発注当日に「T株式会社」に出荷して、この事実を美浜に納品書の形で伝えている(乙7)。被請求人は、美浜に対して当該商品代金の請求を同年10月31日に行った(乙8)。
エ 以上のように、被請求人は、具体的取引において本件商標を付した「発電機(インバータ式)」(品番:EA860L)を販売したことは明らかである。
2 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件商標を取消に係る指定商品中の商品「充電器,エンジンスターター,発電機」について、本件審判請求の登録前3年以内に使用していることは明らかである。
よって、本件審判の請求は、成り立たない。

第4 当審の判断
1 本件商標の使用について
(1)被請求人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
ア 乙第1号証ないし乙第3号証は、商標権者の発行に係る「ESCO便利カタログ」と称する商品カタログの2012年版、2013年版及び2014年版の抜粋写しと認められるところ、それぞれの表紙には、その上方に大きな「ESCO便利カタログ」の文字が、乙第1号証には「2012」及び「No.43」、乙第2号証には「2013」及び「No.44」並びに乙第3号証には「2014」及び「No.45」の各文字とともに表示されているほか、これらの文字の右側には、円輪郭中に表された人物の図形と「ESCO CO.,LTD.」の文字とから構成される標章が表示されている。
上記商品カタログの裏表紙には、いずれにも、上方にバーコード入りのラベル(該ラベル中にはバーコードの下に「ESCO CO.,LTD.」の文字が表示されている。)が表示され、「弊社の管理の都合上、(全ての)商品に左の様なバーコード入りのラベルを貼っております。」との説明がされており、その下方には、「カタログ掲載商品は、弊社特別価格です。」、「表示価格、掲載内容の有効期限は2012年12月末日とさせて頂きます。」(有効期限については2013年版では「2013年12月末日」、2014年版では「2014年12月末日」とされている。)、「商品の詳細はこちらでご覧になれます。http://www.esco-net.com」等の説明文が掲載されている。
また、いずれの裏表紙にも下端に「ESCO 株式会社エスコ」の文字が大きく表示され、その下に住所、電話番号等が表示されている。
上記商品カタログの表紙に表示された「ESCO便利カタログ」及び裏表紙に表示された「ESCO 株式会社エスコ」の各文字中の「ESCO」の文字は、他の文字と明らかに書体・態様を異にし、それ自体が独立して看者の注意を惹くものである。
イ 上記商品カタログの各巻頭1ないし巻頭5には、「エスコ4つのサービス」、「商品入荷から出荷までの流れ」、「エスコ物流倉庫」、「エスコWebカタログのご紹介」、「ESCO商品詳細仕様」等の各表題の下に、写真や図形等とともにそれぞれの説明がされている。なお、「ESCO物流倉庫」のページに掲載された倉庫の写真によれば、倉庫の壁面に「ESCO」の文字が大きく鮮明に表示されていることが判る。
ウ 上記商品カタログ中には、いずれも「電動工具及び関連商品」について掲載されたページに、「急速充電器」、「自動充電器」、「バッテリー充電器」、「エンジンスターター」、「発電機」、「発電機(インバーター式)」等の商品が写真とともに掲載され、それぞれ、品番、価格、商品仕様等について記載されている。そして、「発電機(インバーター式)」の一つとして「YAMAHA」の標章が付された品番「EA860L」に係る商品が掲載されている。
エ 乙第3号証の2は、商標権者から美浜宛てに発行された2013年11月30日付けの「請求書」の写しと認められるところ、該請求書には発送先名称の欄に「美浜株式会社大阪支店」及び「NO45ESCO便利カタログ一部ご負担金」と記載され、それに対応した数量、単価、金額が各欄に記載されている。
オ 乙第4号証は、被請求人のホームページのフロントページの写しと認められ、乙第4号証の2ないし10は、上記ホームページ中の項目をクリックすることにより得られるページの各写しと認められるところ、上記フロントページには、上部に「ESCO CO.,LTD.」の文字が表示されているほか、「ESCO/MRO」「EXCELLENT/豊富な商品」、「10万アイテム以上の品揃え!/ESCO/便利カタログ」、「豊富な品揃え/ESCO商品サイト/benri-catalog.com」等の項目が掲載されている。
また、「エスコ便利カタログ(国内企業ユーザー対象)」又は「エスコカタログ」のページには、いずれも上方に「ESCO CO.,LTD.」の文字が明示されている。
さらに、「ESCO便利カタログ」により検索した結果を示すページには、「品番:EA860L 品名:AC100V/2.5kw(50Hz/60Hz)発電機(インバーター式)」の表題下に、「YAMAHA」の標章が付された商品の写真が掲載され、商品の価格とともに商品の内容が説明されている。
上記各ページは、それぞれの右下隅に表示された「2015/03/13」又は「2015/03/16」の数字に照らし、2015年3月13日又は同月16日にプリントアウトされたものといえる。
カ 乙第5号証は、被請求人が発注を受けたことを示す「発注一覧(発注履歴)」の写しと認められるところ、発注日欄に「14/10/14」、商品コード欄に「EA860L」、商品名欄に「AC100V/2.5kw(50Hz/60Hz)発電」の各記載等が見られる。
キ 乙第6号証、同号証の2及び3は、商品の包装状態(段ボール箱)を示す写真の写しと認められるところ、段ボールの側面及び上面に「YAMAHA」の標章が大きく表示されているほか、側面に表示された「YAMAHA」の標章の左上にラベルが貼付されており、該ラベルには、「EA860L」、「AC100V/2.5kw(50Hz/60Hz)発電機(インバーター式)」、「1WG024」及び「ESCO CO.,LTD.」の各文字がバーコードとともに表示されている。
ク 乙第7号証は、被請求人から美浜宛に発行された「2014/10/14」付の「納品書」の写しと認められるところ、品番欄に「EA860L」、品名欄に「AC100V/2.5kw(50Hz/60Hz)発電機(インバーター式)」の各記載がされ、それに対応した数量、単価、金額等が記載されている。
ケ 乙第8号証は、商標権者から美浜宛てに発行された「平成14年10月31日」付けの「10月度請求書」の写しと認められるところ、月日欄に「10/14」、品番欄に「EA860L」、品名欄に「AC100V/2.5kw(50Hz/60Hz)発電機(インバーター式)14A38922」の各記載がされ、それに対応した数量等が記載されている。
(2)上記(1)の事実によれば、乙第1号証ないし乙第3号証の商品カタログは、表紙の表題及び裏表紙の説明に照らし、本件審判の請求の登録(平成27年1月16日)前3年以内(以下「要証期間内」という。)に商標権者によって発行されたものと認められ、商標権者は、上記商品カタログを要証期間内の2013年11月30日に顧客である美浜に有料で販売したことが認められるほか、自己の開設に係るウェブサイトに2015年版の「ESCO便利カタログ」が掲載されていることからすれば、該ウェブサイトには上記商品カタログも掲載されていたものと推認することができる。
上記商品カタログの表紙に表示された「ESCO便利カタログ」の文字、裏表紙に表示された「ESCO 株式会社エスコ」の文字、巻頭5に表示された「ESCO商品詳細仕様」の文字等は、該カタログに掲載された商品を商標権者が販売(譲渡)することを示すものであり、該商品に係るいわゆる販売標というべきものである。
もとより、商標には、商品を生産する者が使用するいわゆる製造標のみならず、商品を譲渡する者が使用するいわゆる販売標が含まれることは商標法第2条第1項の規定から明らかである。
そして、上記各文字列中の「ESCO」の文字は、他の文字とは明らかに書体・態様を異にするものであるばかりでなく、「便利カタログ」の文字又は「株式会社エスコ」の文字と分離して観察することが取引上不自然といえる程に不可分的に結合しているものとも認められないから、それ自体が独立して商品の出所識別標識としての機能を果たすものというべきであり、かつ、本件商標と同一の綴りからなるものであって社会通念上同一といえるものである。
また、上記商品カタログには、充電器、バッテリーチャージャー、エンジンスターター、発電機等の商品が掲載されており、少なくとも「発電機」は本件請求に係る指定商品の範疇に属する商品と認められる。
ところで、上記商品カタログに掲載された「品番:EA860L 品名:AC100V/2.5kw(50Hz/60Hz)」に係る「発電機(インバーター式)」については、「YAMAHA」の標章が付されており、これは該商品の製造者を示すいわゆる製造標といえるものであるとしても、商標権者は、上記「発電機(インバーター式)」について要証期間内である平成14年10月14日に美浜から発注を受け、乙第6号証に示す段ボール箱に包装して、同日付で美浜に納品したことが認められる。
なお、上記段ボール箱には製造標たる「YAMAHA」の標章とは別にラベルが貼付されており、該ラベルは、乙第1号証ないし乙第3号証の商品カタログの記載に徴し、商標権者の取扱いに係る商品であることを示すために商標権者によって貼付されたものと認められ、いわゆる販売標といえるものであり、品番、商品名、バーコードと共に表示された「ESCO CO.,LTD.」の文字部分は、商品の出所識別標識としての機能をも果たすものである。
さらに、「CO.,LTD.」の文字が会社の種類を示すものとしてしばしば用いられるものであって、それ自体は自他識別力がないか極めて弱いものであることからすると、「ESCO」の文字部分が自他識別力を有する要部として認識し把握される場合も決して少なくなく、かつ、本件商標と社会通念上同一といえるものである。
以上を総合すると、商標権者は、商標法第2条第3項第8号にいう「商品に関する広告、価格表もしくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」又は同項第2号にいう「商品の包装に標章を付したものを譲渡する行為」を行ったものというべきである。つまり、商標権者は、本件審判の請求の登録前3年以内に、請求に係る指定商品の範疇に含まれる商品「発電機(インバーター式)」について本件商標と社会通念上同一の商標を使用したものというべきである。
2 請求人の主張について
(1)請求人は、乙第1号証ないし乙第3号証並びに乙第4号証及び乙第4号証の2ないし8における「ESCO便利カタログ」、「ESCO物流倉庫」、「エスコWebカタログのご紹介」、「ESCO CO.,LTD.」、「ESCO 株式会社エスコ」等の文字は、いずれもカタログに掲載された商品(他社が他社の商標を付して販売している商品)を取り扱う小売等役務の出所を表すものとして認識され、小売等役務についての商標の使用というべきであり、商品の出所を表すものとはいい難いから、商品商標としての使用には当たらない旨主張する。
(2)しかしながら、いわゆる小売等役務は、小売事業者又は卸売事業者がその業務において顧客のために、商品の品揃えや商品選択の手助けになるような便益を提供することであり、商品を譲渡する行為そのものは、小売等役務には含まれないものである。
なお、小売等役務が商品を販売する小売業務とともに提供されるものであることから、そこで表示される商標が、その双方への使用と認められる場合があることは請求人も認めるところであり、小売等役務への使用と認められることのみをもって商品への使用であることが否定されるものではない。この点、上記1(2)で述べたように、被請求人が商品「発電機(インバーター式)」の包装用ダンボール箱に本件商標と社会通念上同一と認められる商標を貼付し譲渡していることが認められるものであり、そのための広告に使用されているものであるから、商品の出所を表示するための使用といい得るものであって、請求人の主張は採用することはできない。
3 むすび
以上のとおり、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、請求に係る指定商品の範疇に属する商品「発電機」について商標権者により使用されていたものというべきであるから、商標法第50条第1項の規定によりその登録を取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(本件商標)




審理終結日 2015-07-09 
結審通知日 2015-07-14 
審決日 2015-07-27 
出願番号 商願平10-16416 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (Z07)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山田 和彦 
特許庁審判長 酒井 福造
特許庁審判官 手塚 義明
今田 三男
登録日 1999-09-10 
登録番号 商標登録第4314464号(T4314464) 
商標の称呼 エスコ 
代理人 岡田 全啓 
代理人 松原 等 

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