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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W293043
審判 一部申立て  登録を維持 W293043
審判 一部申立て  登録を維持 W293043
管理番号 1304217 
異議申立番号 異議2015-900080 
総通号数 189 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2015-09-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-03-12 
確定日 2015-08-03 
異議申立件数
事件の表示 登録第5723131号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5723131号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5723131号商標(以下「本件商標」という。)は、「大河ドラマ真田丸」の文字を標準文字により表してなり、平成26年5月11日に登録出願され、第29類「食用油脂,乳製品,肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ」、第30類「茶,コーヒー,ココア,菓子,パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,調味料,穀物の加工品,ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,弁当,ラビオリ,米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦」及び第43類「宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,飲食物の提供,会議室の貸与,展示施設の貸与,布団の貸与,まくらの貸与,毛布の貸与,おしぼりの貸与,タオルの貸与」を指定商品及び指定役務として、同年11月10日に登録査定、同年12月5日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議の申立ての理由として引用する登録第5065920号商標は、「真田丸」の文字を標準文字により表してなり、平成18年10月26日に登録出願され、第30類「コーヒー及びココア,コーヒー豆,茶,調味料,香辛料,食品香料(精油のものを除く。),米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン,穀物の加工品,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,肉入りおやき,野菜入りおやき,魚入りおやき,果物入りおやき,あん入りおやき,菓子及びパン,即席菓子のもと,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,アーモンドペースト,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,氷,アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,酒かす,ホイップクリーム用安定剤」を指定商品として、同19年7月27日に設定登録されたものである。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するから、同法第43条の2第1号により、その指定商品及び指定役務中、第29類「乳製品,加工野菜及び加工果実」及び第30類「全指定商品」を取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第12号証を提出した。
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)商標の類否について
ア 本件商標は、漢字書き「大河」、片仮名書き「ドラマ」、及び漢字書き「真田丸」の標準文字を横書きしてなるところ、「大河ドラマ」をウェブサイト「コトバンク」で検索すると、「NHKが放映している歴史長編ドラマシリーズ」の意味(知恵蔵2015)として検出される(甲第3号証)。
この点、本件商標の商標権者である株式会社NHKエンタープライズはNHKとは別法人ではあるが、NHKグループネットのウェブサイトによればNHKの関連団体、グループ会社である(甲第4号証)。
そして、NHKのウェブサイトによれば、大河ドラマは1963年の第1作から、今年2015年の第54作まで半世紀以上放送され続けているものであり(甲第5号証)、株式会社ビデオリサーチによれば関東地区で一作品の平均視聴率は最高39.7%、最低でも12.0%に達する(甲第6号証)ドラマシリーズであることから、需要者は本件商標の「大河ドラマ」部分からNHK及びNHKグループを容易に想起するものである。
そのため、本件商標「大河ドラマ真田丸」の「大河ドラマ」部分はNHKグループの代表的出所標識(通常代表的出所標識とはいわゆるハウスマークの意であるが、「大河ドラマ」といえば誰しもNHK及びNHKグループを容易に想起させるドラマシリーズの商標であるため、代表的出所標識と言っても過言ではないものである。)であり、「真田丸」の部分はいわゆるペットマーク、すなわち商品毎の出所標識である。
このように代表的出所標識と商品毎の出所標識が結合された商標は必ずしも一連に称呼されるものでないことは不服2005-65049(甲第7号証)等の審決や判例からも明白である。
簡易迅速を尊ぶ取引の実際にあっては、本件商標に接する取引者、需要者は、代表的出所標識部分を省略して個別商標部分である「真田丸」の文字部分のみを持って取引に資する場合も決して少なくないものである。
その結果、第29類、第30類の商品に「大河ドラマ真田丸」を使用した場合、一般の取引者や需要者はNHKグループによって製造・販売される「真田丸」との印象を受ける。
また、商標が、特定の語にこれを形容する語を冠したにすぎないものと認められる場合には、当該形容する語と当該特定の語の間には、自ずから、主従、軽重の差が存し、自他商品の識別標識として、特に看者の注意を惹く部分は、当該特定の語とみるのが相当であることは、不服2006-19636(甲第8号証)及び不服2006-19637(甲第9号証)等の審決からも明白である。
本件商標を見るに、前記のとおり「大河ドラマ」部分はNHK及びNHKグループを容易に想起させるドラマシリーズの商標であることから、当該「大河ドラマ」は主たる「真田丸」の語を形容する従たる語であり、軽重の差が存し、自他商品の識別標識として、特に看者の注意を惹く部分は「真田丸」というべきである。
さらに、本件商標は11音で構成されているが、決して短い称呼とはいえず、「大河ドラマ」と「真田丸」は分離される。
以上のとおりであるから、本件商標は「真田丸」部分から「サナダマル」との称呼が生じ、また「コトバンク」で「真田丸」を検索すると「1614年、徳川家康が大阪城を攻めた「大坂冬の陣」の際、豊臣方の武将・真田信繁(幸村)が大阪城の平野口に築いた出城の名称。」(知恵蔵mini)の意と検出され(甲第10号証)、当該観念を生ずるものである。
一方、引用商標「真田丸」からも、「サナダマル」との称呼が生じ、また、「1614年、徳川家康が大阪城を攻めた『大坂冬の陣』の際、豊臣方の武将・真田信繁(幸村)が大阪城の平野口に築いた出城の名称。」との観念が生じるものである。
したがって、本件商標の「真田丸」部分と引用商標とは、称呼及び観念が共通するため、商標全体として類似するものである。
イ 審決例、判例について
「大河ドラマ○○」と「○○」を、「外観上相違するとしても・・・称呼及び・・・観念を共通にする場合のある、全体として相紛れるおそれのある類似する商標」とする審決例としては、「大河ドラマ新選組!」と「新撰組」を類似と判断した不服2004-24519(甲第11号証)が挙げられる。
また、「外観、称呼において、その全体を一連に把握すると類似しない点があるものの、歴史上の人物・・・、及び時代劇などで演じられる・・・との観念を生じる点において類似することから、商品の出所につき誤認混同のおそれを生じさせるというべきである」として、商標が互いに類似すると判断した例として知的財産高等裁判所平成22年(行ケ)第10152号判決(甲第12号証)が挙げられる。
本件をみるに、本件商標と引用商標とは、商標全体を一連に把握すると外観・称呼が異なるが、それぞれテレビドラマの主題となる「真田信繁(幸村)が大阪城の平野口に築いた出城」、及び歴史上の史跡である「真田信繁(幸村)が大阪城の平野口に築いた出城」の観念が生じる点において類似することから、商品の出所につき誤認混同のおそれがあるため、全体として類似する商標である。
(2)商品の類否について
本件商標の第29類の指定商品「乳製品,加工野菜及び加工果実」及び第30類の全指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似のものである。
2 結び
上記したとおり、本件商標は、引用商標と類似のものであり、また、その第29類の指定商品「乳製品,加工野菜及び加工果実」及び第30類の全指定商品も同一又は類似のものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号により第29類の指定商品「乳製品,加工野菜及び加工果実」と第30類の「全指定商品」を取り消されるべきものである。

第4 当審の判断
1 本件商標について
本件商標は、上記第1のように、「大河ドラマ真田丸」の文字を標準文字により一連に表してなるものである。
そこでまず、その構成中の「大河ドラマ」の語についてみると、「大河ドラマ」は、1963年の第1作から第54作まで、NHK(日本放送協会 以下同じ。)が毎年異なるテーマで制作・放映しているテレビドラマシリーズであり(甲第5号証)、関東地区で一作品の平均視聴率は最高39.7%、最低でも1.0%に達するものである(甲第6号証)。
また、職権調査によれば、「大河ドラマ」の関東地区と関西地区の2004年から2014年の初回視聴率は、2004年26.3%(関東地区 以下同じ。)、29.0%(関西地区 以下同じ。)、2005年24.2%、21.5%、2006年19.8%、18.7%、2007年21.0%、16.2%、2008年20.3%、19.8%、2009年24.7%、21.8%、2010年23.2%、21.0%、2011年21.7%、20.9%、2012年17.3%、18.8%、2013年21.4%、19.2%、2014年18.9%、23.0%である(http://www.oricon.co.jp/news/2032698/full/)。
そうすると、「大河ドラマ」の語は、国民一般の間において、上記のNHKのテレビドラマシリーズを表す語として、広く知られているといえるものである。
そして、「大河ドラマ真田丸」の語について職権調査したところ、「『真田丸』(さなだまる)は、2016年1月より放送される予定の、NHKの大河ドラマ第55作」のタイトルであり、該ドラマについては、本件商標の登録出願の翌日である平成26年(2014年)5月12日に制作発表が行われた(http://www.nhk.or.jp/dramatopics-blog/2000/187554.html)。
この制作発表がされた後、一般の新聞においても、例えば、「2016年大河は『真田丸』」との見出しの下、「NHKは12日、2016年に放送する第55作目の大河ドラマとして、『真田丸』を制作すると発表した。」(2014年5月12日付け 東京読売新聞 夕刊)、「NHK大河ドラマ:16年は三谷さん脚本の真田幸村」との見出しの下、「NHKは12日、2016年放送の大河ドラマが、戦国時代の武将、真田幸村の生涯を描く『真田丸』に決まったと発表した。」(2014年5月12日付け 毎日新聞 夕刊)、「2016年大河ドラマは『真田丸』」との見出しの下、「2016年のNHK大河ドラマは、戦国武将・真田幸村の生涯を描く『真田丸』に決まった。NHKが12日発表した。」(2014年5月12日付け 朝日新聞 夕刊)、「16年大河は真田幸村 堺雅人主演濃厚」との見出しの下、「NHKは12日、16年大河ドラマが、戦国時代の武将真田幸村を主人公にした『真田丸』に決まり、脚本を三谷幸喜氏が手掛けると発表した。」(2014年5月13日付け 日刊スポーツ)、「再来年の大河は『真田丸』」との見出しの下、「NHKは12日、平成28年放送の大河ドラマが戦国時代の武将、真田幸村の生涯を描く『真田丸』に決まったと発表した。」(2014年5月13日付け 産経新聞 東京朝刊)などの報道が直ちにされている。
そして、その後も、「大河『真田丸』は堺幸村」との見出しのもと「NHKは18日、16年の大河ドラマ『真田丸』の主人公、真田信繁(幸村)役に堺雅人を起用すると発表した。」(2014年6月19日付け 日刊スポーツ)、「NHK大河ドラマ:再来年『真田丸』に堺雅人さん」との見出しの下、「NHKは18日、2016年1月から放送する大河ドラマ『真田丸』の主人公・真田信繁(幸村)役に俳優の堺雅人さんを起用すると発表した。」(2014年6月19日付け 毎日新聞 朝刊)などの報道がされ、このほか同ドラマに関連する地域では、「NHK大河ドラマ『真田丸』で活性化 対応検討チーム、みなかみに発足/群馬県」の見出しの下、「みなかみ町の『歴史を活かした町づくり事業実行委員会』は31日、再来年放送のNHK大河ドラマ『真田丸』を基幹産業の観光に役立てようと、対応を検討するプロジェクトチームを発足させた。」(2014年8月1日付け 朝日新聞 朝刊)、「大河に向け、駐車場大幅増へ 上田市/長野県」の見出しの下、「上田市は8日開催の市議会全員協議会で、2016年NHK大河ドラマ『真田丸』の放送で期待される観光客の受け入れ態勢について説明し、慢性的な駐車場不足が指摘されてきた上田城跡公園周辺に新たな駐車場を整備するなどの方針を示した。」(2014年8月9日付け 朝日新聞 朝刊)、「『幸村の娘』で活性化狙う ゆかりの由利本荘市 大河ドラマ16年に控え=秋田」の見出しの下、「2016年の放送が決まったNHKの大河ドラマ『真田丸』を観光客誘致の起爆剤にと、由利本荘市の第3セクターで旧亀田藩のテーマパーク・天鷺村が、にわかに活気づいている。」(2014年8月18日付け 東京読売新聞 朝刊)などのように、2016年の大河ドラマ「真田丸」と地域の活性化を結びつけた取り組みが各地でなされていることが認められるところである。
これらの事実によれば、本件商標を構成する「大河ドラマ真田丸」の語は、本件商標の登録査定時において、2016年1月から放送されるNHKのテレビドラマシリーズのタイトルを表すものであると国民一般の間に広く知られている状態に至っており、これが、現在も継続しているというのが相当である。
そうとすれば、本件商標は、「大河ドラマの真田丸」との観念が生じ、これが一体的に把握され、「タイガドラマサナダマル」との一連の称呼が生じるというべきものである。
2 引用商標について
引用商標は、上記第2のように「真田丸」の文字を標準文字により表してなるものであり、これより「サナダマル」の称呼が生じるものである。
そして、引用商標は、「真田信繁(幸村)が大阪城の平野口に築いた出城」の観念が生じるものである。
3 本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標とは、双方が一体的に把握されることから、両者は外観上類似するとはいえないものである。
次に、称呼についてみると、本件商標から生じる「タイガドラマサナダマル」の称呼と、引用商標から生じる「サナダマル」の称呼とは、明らかに区別できるものである。
さらに、観念については、本件商標からは、上記1のように「大河ドラマの真田丸」の観念が生じ、引用商標からは、上記2のように「真田信繁(幸村)が大阪城の平野口に築いた出城」の観念が生じるものであるから、観念において類似するとはいえないものである。
してみれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれからみても、類似する商標ということはできないものである。
4 まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項に基づき、その登録を
維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2015-07-24 
出願番号 商願2014-37038(T2014-37038) 
審決分類 T 1 652・ 261- Y (W293043)
T 1 652・ 262- Y (W293043)
T 1 652・ 263- Y (W293043)
最終処分 維持  
前審関与審査官 大澤 恒介清川 恵子 
特許庁審判長 大森 健司
特許庁審判官 原田 信彦
土井 敬子
登録日 2014-12-05 
登録番号 商標登録第5723131号(T5723131) 
権利者 株式会社NHKエンタープライズ
商標の称呼 タイガドラマサナダマル、タイガドラマ、サナダマル 
代理人 保田 元希 
代理人 佐野 弘 

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