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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W25
審判 一部申立て  登録を維持 W25
審判 一部申立て  登録を維持 W25
管理番号 1303154 
異議申立番号 異議2013-900426 
総通号数 188 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2015-08-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2013-12-18 
確定日 2015-07-09 
異議申立件数
事件の表示 登録第5617944号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5617944号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5617944号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成25年6月3日に登録出願、第25類「オートバイ用手袋」のほか、第9類、第21類、第25類及び第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成25年9月10日に登録査定、同月27日に設定登録されたものである。

2 本件登録異議申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は、その指定商品中「オートバイ用手袋」について、取り消されるべきである旨申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第22号証を提出した。
(1)引用商標
ア 登録第579338号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、昭和33年11月19日に登録出願、昭和36年8月19日に設定登録されたものであり、その商標権は、第9類「電池」のほか、第9類及び第17類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品とするものである。

イ 登録第2699186号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲3のとおりの構成からなり、平成3年12月25日に登録出願、平成6年11月30日に設定登録されたものであり、その商標権は、第9類「電池」のほか、第7類、第9類及び第11類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品とするものである。
ウ 登録第4863228号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲4のとおりの構成からなり、平成16年3月8日に登録出願、平成17年5月13日に設定登録されたものであり、その商標権は、第9類「電池」のほか、第1類、第4類、第6類、第7類、第9類ないし第12類、第16類、第17類、第21類、第24類及び第35類ないし第45類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務とするものである。
なお、引用商標1ないし引用商標3について、以下、これらを併せて「引用商標」という。
(2)具体的理由
ア 商標法第4条第1項第11号について
本件商標と引用商標は、「YUASA」の文字を共通にするから、両者は、実際の取引において「ユアサ」と称呼される点で類似する。
そして、本件申立てに係る指定商品「オートバイ用手袋」は、オートバイの関連商品である。一方、引用商標の指定商品中「電池」は、オートバイ用の電池を含み、同じくオートバイの関連商品であるから、両者はオートバイ用品店や関連商品を取扱うホームセンター等では、同じ範疇の商品として同列に又は近くの棚に並べられている可能性は高く、需要者も一致する(甲5)。したがって、本件申立てに係る指定商品「オートバイ用手袋」と引用商標の指定商品中「電池」は類似する。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
イ 商標法第4条第1項第15号について
申立人は、電池事業で長い歴史を持ち、特にオートバイ用鉛蓄電池市場では、高いシェアを獲得しているものであり、引用商標は、本件商標の登録出願時において著名性を獲得していた(甲6?20)。
そして、本件申立てに係る指定商品「オートバイ用手袋」と引用商標の指定商品中「電池」はオートバイ関連商品であり、取引場所及び需要者が一致し、引用商標は、その著名性から、電池及びオートバイ関連商品における需要者に強く印象づけられている。このため、需要者は、本件商標がオートバイ関連商品に付されていれば、その「YUASA」の表示をもって、本件商標を引用商標に関係するものであると直感的に誤認するおそれ、あるいは、本件商標の使用者と申立人との間に、親子会社や系列会社等の密接な営業上の関係があると誤認するおそれがある。
したがって、本件商標が、その指定商品中「オートバイ用手袋」に使用された場合、需要者が申立人との出所の混同を生ずるおそれがあるといわざるを得ない。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
ウ 商標法第4条第1項第8号について
「YUASA」の文字は、上記イのとおり、申立人の商品の出所を表示する商標として著名である。また、大手検索サイトにおいて「YUASA」及び「ユアサ」を検索すると、申立人の名称である「株式会社ジーエス・ユアサコーポレーション」が多数ヒットする(甲21)。さらに、「ジーエスユアサ」を検索すると、申立人が保有する商標「YUASA」を表示した商品も多数ヒットする(甲22)。このことからも、申立人は、その名称及びその著名な略称「YUASA」として広く認識されている。
したがって、本件商標は、申立人の著名な略称を含み、かつ、その登録出願について、申立人のなんらの承諾も得ていないものである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当する。
(3)まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第8号に違反して登録されたものであり、その登録は、同法43条の2第1号により取り消されるべきものである。

3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
申立人は、本件申立てに係る指定商品「オートバイ用手袋」と引用商標の指定商品中の「電池」に含まれるオートバイ用電池は、いづれもオートバイに関係する商品であるから、オートバイ用品店やホームセンター等において、同じ範疇の商品として同列に又は近くの棚に並べられている可能性は高く、需要者も一致する(甲5)から、「オートバイ用手袋」と引用商標の指定商品中「電池」は類似する旨主張する。
そこで、両商品について検討するに、本件申立てに係る「オートバイ用手袋」は、搭乗者(需要者)の防寒、防雨等の保護を目的として身につけるものであり、主に皮革製、化学繊維製であり、皮革製品又は繊維製品に係る製造業者により製造される。
そして、「オートバイ用電池」は、オートバイの構造の一部として搭載するバッテリーであり、電池及び蓄電池製造業者により製造されるものであり、申立人の提出に係る甲第5号証により、バイク用品についての同じカタログやウェブサイトに両商品が掲載されている事実が認められるとしても、それらが一般のオートバイ搭乗者に直接販売されるのは「オートバイ用電池」の取引全体において決して多いものとはいえず、むしろ、主な取引先はオートバイの製造メーカー、二輪車販売店や整備工場であるとみるのが相当である。
してみると、「オートバイ用手袋」と「オートバイ用電池」とは、その用途、原材料、生産部門、流通経路、需要者が、いずれも明らかに異なるものである。また、「電池」の限定的な一部の商品である「オートバイ用電池」のみの取引の実情により、本件申立てに係る指定商品「オートバイ用手袋」と引用商標の指定商品中の「電池」を類似する商品であるということはできないものであるところ、「電池」全般についてみても、「オートバイ用手袋」と「化学的な反応によって起電力を発生させる装置」である「電池」とは、その用途、原材料、生産部門、販売経路及び需要者が相違するというべきである。
以上によれば、本件申立てに係る指定商品「オートバイ用手袋」と引用商標の指定商品中の「電池」は、これらについて、同一又は類似の商標が使用された場合、その取引者、需要者が、商品の出所について誤認混同を生ずるおそれのない非類似の商品である。
その他、本件商標と引用商標が類似であるとすべき特段の事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものとはいえない。
(2)商標法第4条第1項第15号について
ア 「YUASA」の周知性について
申立人の提出した証拠によれば以下の事実が認められる。
(ア)甲第6号証、甲第7号証、乙第14号証及び乙第15号証によれば、申立人は、大正4年7月に「湯浅蓄電池製造所」として設立されたものであり、大正7年4月「湯浅蓄電池製造株式会社」に、昭和29年9月「湯浅電池株式会社」に改め、平成4年10月「株式会社ユアサコーポレーション」に変更されたものであり、その後、平成16年4月「株式会社ジーエス・ユアサコーポレーション」となる。そして、申立人は、蓄電池製造会社として、昭和30年代には、我が国の殆どの自動車メーカーとの取引を行い、海外への進出も積極的に展開し、申立人の蓄電池の小型化とともにメンテナンスフリーの二輪車用蓄電池の開発に成功し、その後、申立人二輪車用蓄電池は各機種の二輪車に搭載されたことが認められるものである。また、申立人は、その他に自動車及び通信信号用等、各種の蓄電池を製造・販売している。
(イ)甲第18号証によれば、平成15年における申立人の二輪車用蓄電池についての国内市場シェアは、新車用が約65%(第1位)、補修用が約50%(第1位)となっている。そして、二輪車用蓄電池の分野において、その需要者は、新車用の場合、直接取引する大手二輪車メーカーであり、補修用の場合、主に二輪車販売店、自動車部品量販店、整備工場であることが認められる。また、甲第17号証によれば、平成24年3月期において、申立人の二輪車用蓄電池についてはアジアで27%(第1位)、世界全体で27%(第1位)、同じく自動車用蓄電池についてはアジアで19%(第1位)、世界全体で8%(第3位)になっているものであり、アジア及び世界においても上位のシェアを占めている。
(ウ)甲第5号証、甲第7号証、甲第14号証ないし甲第16号証等によれば、申立人の業務に係る蓄電池等について、継続して引用商標1及び2が使用されており(引用商標2は平成4年10月から採択・使用されている。)、現在は引用商標3が使用されている。
(エ)そして、申立人は、蓄電池以外には、電池電源技術に係る整流器、充電器、電源システム等を製造していることが認められるが(甲14、15)、前記商品以外の商品について引用商標が使用されていることは認められず、申立人が種々の分野に属する多岐に亘る商品を扱う多角経営を行っているものとも認められない。
(オ)以上によれば、申立人は、蓄電池の分野において、引用商標が使用されて極めて高いシェアを占めていることが認められるから、「YUASA」の文字を含む引用商標は、蓄電池について使用する商標として、本件商標の登録出願時には既にその取引者、需要者の間に広く認識されていたものということができる。
イ 判断
以上のとおり、引用商標は、蓄電池の業界の範囲においては、その需要者の間で広く認識されるに至っているものと認めることができる。
しかし、引用商標は、その構成中の「YUASA」の文字が我が国において多数存在する「姓」の「湯浅」を容易に想起させるものであり、その独創性の程度が造語による商標に比して低いものである。また、本件取消しに係る指定商品「オートバイ用手袋」と引用商標の指定商品中「電池」とは、上記(1)のとおり、用途及び原材料が著しく異なり、製造業者、流通経路、需要者においても相違する。
これらを総合して判断すると、本件商標が引用商標と構成中の欧文字の綴りを共通にするところはあるが、本件商標をその申立てに係る指定商品に使用しても、その需要者が、引用商標を想起し連想して、当該商品を申立人あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く誤信するとは認め難く、商品の出所について混同するおそれはないと判断するのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。
(3)商標法第4条第1項第8号について
引用商標は、上記(1)のとおり、申立人が蓄電池に使用している事実により、周知な商標と認められるものであるが、その周知性は、申立人の提出した全証拠によってみても、「YUASA」の文字を含む引用商標が、本件商標の登録出願時において、申立人を指称する略称として、蓄電池の業界を超えて、一般に受け入れられる程に広く認識されるに至っていたものとまでは認めることはできない。
したがって、本件商標は、その構成中に「YUASA」の文字を含むものであるが、他人の著名な略称を含む商標と認めることはできないから、商標法第4条第1項第8号に該当しない。
(4)結論
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第8号、同項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものでないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲1 本件商標



別掲2 引用商標1



別掲3 引用商標2



別掲4 引用商標3





異議決定日 2015-07-01 
出願番号 商願2013-42208(T2013-42208) 
審決分類 T 1 652・ 271- Y (W25)
T 1 652・ 264- Y (W25)
T 1 652・ 23- Y (W25)
最終処分 維持  
前審関与審査官 山田 忠司 
特許庁審判長 今田 三男
特許庁審判官 堀内 仁子
酒井 福造
登録日 2013-09-27 
登録番号 商標登録第5617944号(T5617944) 
権利者 ユアサグローブ株式会社
商標の称呼 ユアサ、エンジョイユアワーク、ユアサエンジョイユアワーク 

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