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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない X10
管理番号 1303015 
審判番号 取消2014-300117 
総通号数 188 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2015-08-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2014-02-19 
確定日 2015-06-19 
事件の表示 上記当事者間の登録第2203747号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第2203747号商標(以下「本件商標」という。)は、「サーパス」の片仮名をゴシック体で横書きしてなり、昭和62年12月28日に登録出願、第10類「歯科用機械器具、その他本類に属する商品」を指定商品として、平成2年1月30日に設定登録されたものである。
その後、本件商標は、2回にわたる商標権の存続期間の更新登録のほか、平成21年10月28日に指定商品を第10類「歯科用機械器具,医療用機械器具」とする指定商品の書換登録がされたものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、平成26年3月6日である。

2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中、第10類「歯科用機械器具,医療用機械器具(「歩行補助器・松葉づえ」を除く。)」(以下「取消請求に係る商品」という。)についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
本件商標は、取消請求に係る商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用した事実が存しないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきである。

3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求める、と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第11号証を提出した。
(1)本件商標の使用の事実
本件商標は、昭和63年10月に、歯科用機械器具であるチェアマウントユニットに使用することを発表し、生産を開始したものである(乙第1号証,乙第2号証)。チェアマウントユニット「SURPASS/サーパス」は、昭和63年に販売開始後、1031台が販売され、現在も全国の歯科医院において使用され続けており、商標権者は、そのメンテナンスに必要な各種部品を、本件商標を付して製造販売している。
乙第3号証は、2013年度(2014年3月10日まで)におけるチェアマウントユニット「SURPASS/サーパス」の部品の販売実績(写し)であり、「ブレーキ用スイッチ(V-88)TU88」は、2013年4月4日及び同年7月12日に、「切替基板(TU88-04A)TU88」は、2013年12月10日に、株式会社モリタの大阪器械業務2課へ納品されている(乙第4号証-1?3)。各納品書控(写し)には、品名に「ブレーキ用スイッチ(V-88)TU88(SURPASS)」又は「切替基板(TU88-04A)TU88(SURPASS)」と表示されており、該「ブレーキ用スイッチ」及び「切替基板」は、チェアマウントユニット「SURPASS/サーパス」の専用部品である。また、「スプラソンメタコン1組TU88」は、2013年7月12日に、株式会社モリタのカスタマーサービス2課へ納品されている(乙第4号証-4)。納品書控(写し)には、品名に「スプラソンメタコン1組TU88(SURPASS)」と表示されており、該「スプラソンメタコン1組」は、チェアマウントユニット「SURPASS/サーパス」の専用部品である。
納品される部品には、それぞれラベルが付され、当該ラベルには、品名の欄に、「ブレーキ用スイッチ(V-88)TU88(SURPASS)サーパス」「切替基板(TU88-04A)TU88(SURPASS)サーパス」「スプラソンメタコン1組TU88(SURPASS)サーパス」と表示されている(乙第5号証)。
なお、上記販売実績(写し)(乙第3号証)、納品書控(写し)(乙第4号証)、ラベル(写し)(乙第5号証)に記載の「TU88」は、乙第2号証22ページの「サーパス仕様」に記載されているとおり、販売当初から使用されているサーパスの型式番号である。
これにより、商標権者が、歯科用機械器具(チェアマウントユニットの部品)に、本件商標を表示したラベルを付して、当該商品を販売した事実及び取引事実が立証される。
以上のように、本件商標は、商標権者により、指定商品「歯科用機械器具」について、本件審判の予告登録日前3年以内(以下「要証期間内」という。)に登録商標の使用がなされている。
(2)通常使用権者による本件商標の使用について
商標権者は、平成14年1月7日に株式会社ジーシーに、本件商標権について通常使用権を許諾している(乙第6号証)。当該通常使用権は、本件商標権に係る指定商品のうち、「人工歯及びシェードガイド」について本件商標を使用することを定めており、通常使用権の許諾の期間は、当該商標権が消滅するまでであって、現在も本許諾は継続している。
株式会社ジーシーは、歯科材料及び関連機械・器具の製造販売を事業目的とする会社であり(乙第7号証,乙第8号証)、商標権者により通常使用権を許諾された後、本件商標を自社で製造販売している人工歯に使用している。
株式会社ジーシーが2012年6月に発行した2012-2013年度版ジーシー総合カタログ「GC DENTAL PRODUCTS CATALOG 2012-2013」(乙第9号証)の50音順索引には、「サ」の欄に「サーパス」の項目が表記され、商標「サーパス」を付して販売している人工歯である「臼歯」「臼歯 Gシリーズ」「Gシリーズセレクターパレット」「前臼歯全形態パレット」「前歯」「前歯 Gシリーズ」が列記されている。そして、各商品の掲載ページには、それぞれ、該当商品である人工歯の写真と「サーパス前歯 Gシリーズ」「SURPASS ANTERIORS G-SERIES」(46頁)、「サーパス 前歯」「SURPASS ANTERIORS」(46頁)、「サーパス 臼歯 Gシリーズ」「SURPASS POSTERIOR G-SERIES」(47頁)、「サーパス 臼歯」「SURPASS POSTERIOR TEETH」(47頁)と記載されており、要証期間内に、本件商標を付して「人工歯」を販売している。
また、株式会社ジーシーのホームページでは、本件商標「サーパス/SURPASS」を歯冠材料の一つである人工歯(硬質レジン歯)に付した商品が、製品カタログ及びパンフレットに多数掲載され(乙第10号証-1?3)、人工歯に本件商標を使用している。
以上のように、本件商標は、通常使用権者である株式会社ジーシーにより、指定商品「医療用機械器具」に含まれる「人工歯」について、要証期間内に登録商標の使用がなされている。
(3)結論
上記証拠から明白なとおり、本件商標は、被請求人である商標権者及び通常使用権者により、指定商品「歯科用機械器具」及び「医療用機械器具」について、要証期間内に日本国内において本件商標の使用がなされているから、商標法第50条第1項に該当しないものである。

4 当審の判断
(1)被請求人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
ア 商標権者による使用関係
(ア)被請求人である商標権者は、昭和44(1969)年10月に設立され、本社を埼玉県北足立郡伊奈町に置き、歯科用医療機器の製造等を事業内容とする法人であることが認められる(乙第1号証)。そして、商標権者のホームページのウェブサイト(乙第1号証)において、「企業概要」の項に「モリタグループは1916年創業以来、90年におよぶ歯科専門の総合会社グループであり、・・・。その製造部門としてモリタ東京製作所は歯科用医療機器(歯科用ユニット、歯科用治療台、歯科用技工機器、歯科用ハンドピースなど)の開発・製造をしています。」、「沿革」の項に「昭和63年10月 チェアマウントユニット『サーパス』を発表、生産を開始する。グッドデザイン選定。」との記載がある。
(イ)乙第2号証は、商品「チェアーマウントユニット」のカタログ(写し)とするものであり、表紙には「SURPASS」の文字が大きく表されており、カタログ内には該商品及びその部品の写真画像が掲載され、また、その1葉目裏、2葉目表、3葉目裏(頁番号6)以降の各頁番号の横、7頁ないし11頁、13頁、16頁、17頁及び21頁に「SURPASS」又は「サーパス」の文字が記載されている。そして、11葉目裏には、「サーパス 仕様」として、「名称:サーパス」、「型式:TU-88」の記載がある。また、カタログの裏表紙には、「株式会社モリタ」、「株式会社モリタ製作所」及び「株式会社モリタ東京製作所」の記載がある。
(ウ)乙第3号証は、「SURPASS/サーパス」部品の販売実績(写し)とするものであり、「TU-88/サーパス表記 販売実績(2013年度)2014年3月10日まで」の表題の下、「品目CD」、「品目名」及び「合計」の各欄が設けられた表において、「品目名」が「ブレーキ用スイッチ(V-88)TU88」と記載された欄には、「品目名CD」として「4020630」、「合計」として「2」の記載があり、同じく「切替基板(TU88-04A)TU88」と記載された欄には、「品目名CD」として「4101190」、「合計」として「1」の記載があり、また、「スプラソンメタコン1組TU88」と記載された欄には、「品目名CD」として「4143800」、「合計」として「3」の記載がある。
(エ)乙第4号証-1は、商標権者が発行した、株式会社モリタの大阪器械業務2課(器部)に納品した商品についての2013年(平成25年)4月4日付けの納品書控(写し)であり、また、乙第4号証-2は、同じく同年7月12日付けの納品書控(写し)であると認められ、いずれの納品書控にも、「品名」として「ブレーキ用スイッチ(V-88)TU88(SURPASS)」、「商品コード」として「4020630」、数量として「1」の記載がある。
乙第4号証-3は、商標権者が発行した、株式会社モリタの大阪器械業務2課(器部)に納品した商品についての2013年(平成25年)12月10日付けの納品書控(写し)であると認められ、「品名」として「切替基板(TU88-04A)TU88(SURPASS)」、「商品コード」として「4101190」、数量として「1」の記載がある。
乙第4号証-4は、商標権者が発行した、株式会社モリタのカスタマーサービス2課(器部)に納品した商品についての2013年(平成25年)7月12日付けの納品書控(写し)であると認められ、「品名」として「スプラソンメタコン1組TU88(SURPASS)」、「商品コード」として「4143800」、数量として「1」の記載がある。
(オ)乙第5号証は、「SURPASS/サーパス」部品に使用されたラベル(写し)とするものであるところ、上段のラベルには「Code No.」として「4020630」、「品名」として「ブレーキ用スイッチ(V-88)TU88(SURPASS)サーパス」、中段のラベルには「Code No.」として「4101190」、「品名」として「切替基板(TU88-04A)TU88(SURPASS)サーパス」、下段のラベルには「Code No.」として「4143800」、「品名」として「スプラソンメタコン1組TU88(SURPASS)サーパス」の記載がそれぞれあり、各ラベルには、その他商標権者の名称等が記載されている。
(カ)上記(イ)ないし(オ)によれば、「ブレーキ用スイッチ(V-88)TU88(SURPASS)」、「切替基板(TU88-04A)TU88(SURPASS)」及び「スプラソンメタコン1組TU88(SURPASS)」は、それぞれ、商品コード(品目CD,Code No)を「4020630」、「4101190」、「4143800」として符合するものであり、また、上記商品の品名中に表された「TU88」は、「サーパス」の型式として乙第2号証に記載されている「TU-88」と符合している。
通常使用権者による使用関係
(ア)乙第6号証は、商標権者を甲とし、株式会社ジーシーを乙とする、平成14年1月7日付けの覚書であり、「株式会社モリタ東京製作所(以下、「甲」と言う)は、株式会社ジージー(以下、「乙」と言う)に下記の条項により通常使用権を許諾する。」の記載があり、「第1条(対象)」に「乙に通常使用権を許諾する商標権は甲の所有する以下の商標権とする。」として、「商標登録第2203747号」及び「商標登録第2232179号」の記載があり、「第2条(期間及び商品)」に「本覚書における通常使用権を許諾する範囲は次に掲げる通りとする。」として、「1.期間 前記商標権が消滅するまで」「2.商品 人工歯及びシェードガイド」の記載がある。
(イ)乙第9号証は、2012年(平成24年)年6月に発行された、株式会社ジーシーの「2012-2013年度版ジーシー総合カタログ」(「GC DENTAL PRODUCTS CATALOG 2012-2013」)(写し)であると認められ、その5葉目(46頁)には、商品「硬質レジン前歯」として「サーパス 前歯」、「SURPASS ANTERIORS」の文字が表示されるとともに、人工歯の写真が掲載されている。また、同6葉目(47頁)には、商品「硬質レジン臼歯」として、「サーパス 臼歯」、「SURPASS POSTERIOR TEETH」の文字が表示されるとともに、人工歯の写真が掲載されている。
(2)前記(1)アで認定した事実によれば、商標権者は、要証期間内に日本国内において、「ブレーキ用スイッチ」、「切替基板」及び「スプラソンメタコン1組」に、「サーパス」又は「SURPASS」の文字を付して商取引したことが推認されるものである。
そして、「サーパス」の片仮名は、本件商標と構成文字が同一であるから、本件商標と社会通念上同一と認められる商標である。また、「SURPASS」の欧文字は、「サーパス」の称呼を生じ、「…にまさる、…をしのぐ」の意味を有する成語であるものの、広く一般に親しまれた語とはいい難いものであって、特定の語義を有することのない語として認識されるものであるから、本件商標とは、「サーパス」の称呼を同じくし、観念も異なるところのないものであり、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる商標といえる。
また、上記の使用に係る商品「ブレーキ用スイッチ」、「切替基板」及び「スプラソンメタコン1組」は、「チェアマウントユニット」の専用部品であるというのが相当であるから、いずれも、取消請求に係る商品中の「歯科用機械器具」に属する商品である。
さらに、前記(1)イで認定した事実によれば、株式会社ジーシーは、商標権者から、本件商標を商品「人工歯」について使用する許諾を受けている通常使用権者であると認められるところ、通常使用権者である株式会社ジーシーは、要証期間内に日本国内において、商品「人工歯」が記載された商品カタログに、「サーパス」又は「SURPASS」の文字を記載して頒布したことが認められる。
そして、「サーパス」又は「SURPASS」の文字は、上述のとおり、本件商標と社会通念上同一の商標と認められるものであり、上記の使用に係る商品「人工歯」は、取消請求に係る商品中の「歯科用機械器具」に属する商品である。
一方、請求人は、被請求人の答弁に対し何ら弁駁するところがない。
(3)むすび
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者及び通常使用権者が、取消請求に係る商品中の「歯科用機械器具」について、本件商標と社会通念上同一の商標を使用していたことを証明したものというべきである。
したがって、本件商標の登録は、取消請求に係る商品について、商標法第50条の規定により、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2014-12-08 
結審通知日 2014-12-11 
審決日 2015-02-10 
出願番号 商願昭62-145366 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (X10)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 酒井 福造
特許庁審判官 浦辺 淑絵
手塚 義明
登録日 1990-01-30 
登録番号 商標登録第2203747号(T2203747) 
商標の称呼 サーパス 
代理人 鈴木 喜三郎 
代理人 恩田 博宣 
代理人 恩田 博宣 
代理人 村田 幸雄 
代理人 恩田 誠 
代理人 恩田 誠 

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