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審決分類 |
審判 一部申立て 登録を維持 W09 審判 一部申立て 登録を維持 W09 |
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管理番号 | 1301777 |
異議申立番号 | 異議2015-900006 |
総通号数 | 187 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2015-07-31 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2015-01-09 |
確定日 | 2015-06-12 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5710656号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5710656号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5710656号商標(以下「本件商標」という。)は、「自治体ソリューション」の文字を標準文字で表してなり、平成26年5月13日に登録出願され、第9類「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」のほか、第9類及び第16類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成26年9月8日に登録査定、同年10月17日に設定登録されたものである。 第2 登録異議の申立ての理由 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであって、その指定商品中、第9類「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」については、登録の要件を具備しないものであるから、商標法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。 1 申立理由の要旨 本件商標は、「自治体向けの電子計算機用プログラム及びコンピュータソフトウェア」に使用された場合には、商品の用途、機能を表示するものであり、前記商品以外の商品に使用された場合には、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがある。 2 申立理由 (1)自治体ソリューションの意味 今日、厳しい地方財政、一般行政職員数の削減に悩む地方公共団体において、ICTの活用が、地域活性化を実現するための重要な鍵となっており、地方公共団体にとって地域経営の改善と住民サービスの向上のためにICTの活用が不可欠となっており、その事業及び業務改善に用いられる電子計算機用プログラム及びコンピュータソフトウェアを「自治体ソリューション」と呼んでいる(甲2)。 そして、数多くの業者によって「自治体ソリューション」の名のもとに自治体向けの電子計算機用プログラム及びコンピュータソフトウェアが販売、提供されている(甲3)。 したがって、本件商標は「電子計算機用プログラム及びコンピュータソフトウェア」の用途、機能を表示した自他商品識別力を欠くものである。 (2)本件商標の登録査定時における自他商品識別力の欠如 「自治体ソリューション」の文字は、朝日新聞、毎日新聞、読売新聞及び産経新聞の全国紙並びにビジネス関係の雑誌において、本件商標の登録査定時前から、電子計算機用プログラム及びコンピュータソフトウェアの提供をする取引者、需要者である地方自治体の間で「自治体向けのその事業及び業務改善に用いられる電子計算機用プログラム及びコンピュータソフトウェア」を指す語として広く使用されている(甲4)。 したがって、本件商標は、その登録査定時には、自他商品識別標識として機能していないものであり、商標法第3条第1項第3号に該当していた。 また、本件商標が「自治体向けの電子計算機用プログラム及びコンピュータソフトウェア」以外の「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」に使用された場合には、その商品の品質を誤認させるものであったといえる。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号にも該当していた。 (3)まとめ 以上のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号によって取り消されるべきである。 第3 当審の判断 本件商標は、上記第1のとおり、「自治体ソリューション」の文字からなるところ、その構成は、「自治の権能を与えられた公の団体」の意味を有する「自治体」及び「問題などの解決」の意味を有する「ソリューション」の語からなり、その構成全体として、「自治体の問題解決」ほどの意味合いを認識させるものであり、また、申立人提出に係る証拠によれば、情報技術分野において、「自治体ソリューション」の文字が、自治体の業務に係るシステム全般の構築及びそれらにより提供されるサービス又は法人等の組織名において使用されていることが認められるとしても、本件商標の申立てに係る指定商品について、商品の用途、品質等を具体的に表しているものであるとはいい難い。 また、当審において職権をもって調査するも、「自治体ソリューション」の文字が、本件商標の申立てに係る指定商品を取り扱う業界において、商品の用途、機能等を表すものとして普通に用いられているという事実を発見することはできなかった。 なお、申立人は、甲第2号証ないし甲第4号証を提出し、本件商標は、「自治体向けのその事業及び業務改善に用いられる電子計算機用プログラム及びコンピュータソフトウェア」を指すものとして、その取引者、需要者に商品の機能、用途を表示する語として広く使用されているから、本件商標の登録査定時において自他商品の識別力を有していなかった旨主張しているが、本件商標は、上述したサービス及び法人等の組織名のほかに、ウェブサイト及び雑誌等において、その特集記事のタイトルや記述中に用いられているものであって、これらによっても、直ちに、本件商標の申立てに係る指定商品の品質等を具体的に表す表示として使用されていたものであると認めることはできない。 よって、申立人の提出に係る全証拠をみても、本件商標の指定商品中「電子計算機用プログラム及びコンピュータソフトウェア」を取り扱う業界において、「自治体ソリューション」の文字が、申立人のいう上記意味合いの語として、ないしは商品の用途、品質等を具体的に表示するために普通に使用されている事実は見出せないから、申立人の主張を採用することができない。 してみれば、本件商標をその申立てに係る指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、商品の具体的な用途、品質等を表示するものとして認識していたということはできないから、本件商標は、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものとみるのが相当である。 また、本件商標は、その申立てに係る指定商品について使用しても、商品の品質について誤認を生じさせるおそれもない。 したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当しない。 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2015-06-04 |
出願番号 | 商願2014-37631(T2014-37631) |
審決分類 |
T
1
652・
272-
Y
(W09)
T 1 652・ 13- Y (W09) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 山田 忠司 |
特許庁審判長 |
今田 三男 |
特許庁審判官 |
田中 亨子 堀内 仁子 |
登録日 | 2014-10-17 |
登録番号 | 商標登録第5710656号(T5710656) |
権利者 | 株式会社ぎょうせい |
商標の称呼 | ジチタイソリューション |
代理人 | 青木 篤 |
代理人 | 高橋 三雄 |
代理人 | 高橋 大典 |