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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W16
審判 全部申立て  登録を維持 W16
審判 全部申立て  登録を維持 W16
管理番号 1301759 
異議申立番号 異議2014-900227 
総通号数 187 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2015-07-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2014-08-12 
確定日 2015-06-12 
異議申立件数
事件の表示 登録第5670757号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5670757号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5670757号商標(以下「本件商標」という。)は、「総合診療ノート」の文字を標準文字で表してなり、平成25年7月10日に登録出願、第16類「印刷物,定期刊行物,雑誌,書籍,新聞」を指定商品として、同26年4月24日に登録査定、同年5月16日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、以下の(1)ないし(3)のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第5503569号商標(以下「引用商標1」という。)は、「総合医療ブックス」の文字を標準文字で表してなり、平成23年7月1日に登録出願、第9類「電子定期刊行物」及び第16類「定期刊行物,雑誌」を指定商品として、平成24年6月29日に設定登録されたものである。
(2)登録第5595777号商標(以下「引用商標2」という。)は、「総合診療」の文字を標準文字で表してなり、平成25年2月13日に登録出願、第16類「雑誌」を指定商品として、同年7月5日に設定登録されたものである。
(3)登録第5595778号商標(以下「引用商標3」という。)は、「総合診療ジャーナル」の文字を標準文字で表してなり、平成25年2月13日に登録出願、第16類「雑誌」を指定商品として、同年7月5日に設定登録されたものである。
なお、引用商標1ないし引用商標3について、以下、これらを併せて「引用商標」という。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、その登録は取り消されるものである旨申立て、その理由を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第11号証を提出している。
本件商標は、「総合診療」の語と「ノート」の語からなるものと容易に認識されるものであるところ、その構成中「ノート」の語は、その指定商品の普通名称であって、出所識別標識としての機能が極めて弱く、又は、その機能を果たさないといえるものであり、出所識別標識としての称呼、観念が生じないから、本件商標は、その構成中「総合診療」の文字部分を抽出し、他人の商標と比較することが許されるというべきである。
他方、引用商標2は、「総合診療」の文字を標準文字で表してなるものであり、引用商標1及び引用商標3は、その構成中「ブックス」及び「ジャーナル」の語が、その指定商品の普通名称であって、出所識別標識としての機能が極めて弱く、又は、その機能を果たさないといえるものであり、出所識別標識としての称呼、観念が生じないから、引用商標1及び引用商標3は、その構成中「総合診療」の文字部分を抽出し、他人の商標と比較することが許されるというべきである。
そうすると、本件商標と引用商標とは、いずれも標準文字で表されているものであって、外観において「総合診療」の文字、観念において「(外科・内科などの専門的な診療分野にとらわれない)総合的・全人的な診療」の観念を共通にし、さらに、「ソウゴウシンリョウ」の称呼を共通にするものであるから、両者は、外観、観念及び称呼のいずれの点からみても同一又は類似の商標である。
さらに、本件商標権者、申立人及びその他の医学書系出版社において、「○○ノート」と題する書籍は複数刊行されていることから(甲6?8)、「○○ノート」の文字に本件商標権者を想起させる自他識別力は存しない。
また、申立人は、「総合診療」という概念の重要性に他の医学系出版社に先駆けて着目し、平成2年に総合診療誌「JIM」を刊行し、本年で24巻に至っている(甲9)ものであり、総合診療の浸透に寄与してきた(甲10)。そして、該診療誌は、その誌名を平成27年1月から「総合診療」に変更して刊行することが決定している。
以上のとおり、申立人のこれまでの実績や取引の実情等を考慮すれば、本件商標と引用商標の両者に接した需要者において、出所の混同を生じるおそれがあるといえる。
なお、本件商標について、その構成中「総合診療」の文字部分を抽出せず、一体不可分に結合したものとして判断すべきとする場合であっても、本件商標は、観念において、引用商標1及び3に類似するといえる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、同法43条の2第1項第1号により取り消されるべきものである。

4 当審の判断
本件商標は、前記1のとおり、「総合医療ノート」の文字を標準文字で表してなるものであるから、その構成は、外観上、まとまり良く一連に表されているものであり、また、これより生ずる「ソウゴウイリョウノート」の称呼も無理なく一気に称呼し得るものである。
そして、本件商標は、その構成中の「総合診療」の文字が、日常使用されている「総合」及び「診療」の語からなるものであって、全体として「(外科・内科などの専門的な診療分野にとらわれない)総合的・全人的な診療」の意味を有するものとして使用されている語であり、また、構成中の「ノート」の文字が「書きとめるもの、書きとめたもの、手記」などを意味する語として広く知られている語であるから、その構成文字全体として、「総合的・全人的な診療について書きとめるもの」程の意味合いを理解させる。
さらに、本件商標の構成中「ノート」の文字が医療関係者向けの印刷物において用いられているとしても、本件商標の指定商品の一般的な名称を表示するものとして認識されているというような事情はない。同じく「総合診療」の文字は、本件申立てに係る指定商品中の医療関係者向けの印刷物との関係においては、その需要者が専門的知識を有するがゆえに「(外科・内科などの専門的な診療分野にとらわれない)総合的・全人的な診療」を表す語であることを容易に理解するというべきであり、当審における職権調査によれば、該文字は、本件商標の登録査定時において、医療関係者向けの印刷物において、広く使用されていたものと認められる。
そうとすれば、本件商標は、殊更に、「ノート」の文字を捨象して、単に「総合診療」の文字部分のみにより取引に資されるものとみるよりは、むしろ、その構成文字全体をもって、一体不可分の商標として把握され、認識されるとみるのが相当である。
してみれば、本件商標は、その構成文字全体に相応して、「ソウゴウイリョウノート」の称呼のみを生じるものであり、全体として「総合的・全人的な診療について書きとめるもの」程の観念を生じるものというべきである。その他、本件商標について、その構成中「総合診療」の文字部分が、取引者、需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものとみるべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標から「総合診療」の文字部分のみを分離、抽出し、その上で、本願商標と引用商標とが類似するものであるということはできない。
なお、申立人は、本件商標は、これを一体不可分のものとしてみた場合には、引用商標1及び引用商標3とは、外観及び称呼において類似するものとはいえないが、観念において類似すると主張する。
しかしながら、本件商標は、「書きとめるもの、書きとめたもの、手記」の意味を有する「ノート」の文字、引用商標1は、親しまれた成語を直ちに認識し得ないものの「本(book)」を暗示させる「ブックス」の文字、引用商標3は、「日刊新聞」の意味を有する「ジャーナル」の文字を、それぞれ「総合診療」の文字の後に結合して一体に表したものであり、前記各商標の構成後半部分の文字(語)から生じる観念は明らかに相違するものであるから、本件商標と引用商標1及び引用商標3は、その構成全体としてそれぞれ異なる観念を生じると認められるものであって、両者は、観念において、相紛れるおそれはない。
したがって、上記申立人の主張は採用することができない。
その他、本件商標と引用商標とが類似するとすべき理由は見いだせない。
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2015-06-04 
出願番号 商願2013-53592(T2013-53592) 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (W16)
T 1 651・ 262- Y (W16)
T 1 651・ 263- Y (W16)
最終処分 維持  
前審関与審査官 岩崎 安子齋藤 貴博 
特許庁審判長 酒井 福造
特許庁審判官 手塚 義明
堀内 仁子
登録日 2014-05-16 
登録番号 商標登録第5670757号(T5670757) 
権利者 株式会社羊土社
商標の称呼 ソーゴーシンリョーノート、ソーゴーシンリョー 
代理人 中嶋 伸介 
代理人 本橋 光一郎 
代理人 下田 俊夫 

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