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審決分類 審判 査定不服 称呼類似 登録しない W42
審判 査定不服 観念類似 登録しない W42
審判 査定不服 外観類似 登録しない W42
管理番号 1301722 
審判番号 不服2014-650002 
総通号数 187 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2015-07-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-01-09 
確定日 2015-03-04 
事件の表示 国際登録第1140175号に係る国際商標登録出願の拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第42類に属する日本国を指定する国際登録において指定された役務を指定役務として、2012年(平成24年)8月2日にFranceにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、同年10月11日に国際商標登録出願されたものである。
その後、本願の指定役務については、原審における平成25年7月5日付け手続補正書により、「Technological research and development;compute software design;industrial design;services regarding testing of computer hardware and software to issuing certificates of compliance with specified requirements (standards,norms);quality control services for the assessment (audit) and self-assessment (audit) of compliance (audit) with specified requirements (standards,norms,benchmarks) in the field of quality management,competence and social responsibility;control and monitoring of computer systems regarding compliance with standards,norms and benchmarks.」と補正されたものである。
2 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第4854759号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、平成16年4月23日に登録出願、第42類に属する別掲3に記載のとおりの役務を指定役務として、同17年4月8日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
3 当審の判断
(1)本願商標について
本願商標は、別掲1のとおり、薄灰色の「EPD」の欧文字及びその2分の1程度の大きさの黒色の「ERIFIED」の欧文字を2段に表し、また、下段文字の語頭の前にチェックマークと思しき黒色の図形(以下「チェックマーク様図形」という。)を配し、その中央部分から描かれた薄灰色の円輪郭(輪郭は先端に向かって次第に細くなっている。)で上記2段の文字を囲んでなるところ、その構成中の「ERIFIED」の欧文字は辞書等に載録のない語であって、かつ、その構成中の黒色で表されたチェックマーク様図形及び「ERIFIED」の文字部分については、該図形部分と該文字部分とは近接して表されていること、商標の構成に係る単語の語頭の1文字を図案化することはよく行われていること、該図形部分が「V」の欧文字を図案化したものと看取し得る態様であること、「ERIFIED」の文字が辞書等に載録のないものであるのに対して「VERIFIED」の文字は「確認された、検査された」の意味を有する英単語であることから、該図形部分及び「ERIFIED」の文字部分は、「VERIFIED」の文字を表したものと理解、認識されるとみるのが相当である。
そして、本願商標は、その指定役務に「quality control services for the assessment (audit) and self-assessment (audit) of compliance (audit) with specified requirements (standards,norms,benchmarks) in the field of quality management,competence and social responsibility」(参考和訳「品質管理・競争力及び社会的責任の分野での特定要求事項(仕様・規格・ベンチマーク)の遵守(監査)のついての評価(監査)及び自己評価(監査)のための品質管理」)を含むものであるところ、別掲4に示すとおり、該役務に関連する分野において、「EPD」の欧文字は、製品の生産から流通、廃棄に至るまでのライフサイクル全体にわたる環境負荷等(温暖化ガス排気量、エネルギー使用量、廃棄物の量等)を定量化して表示する認証を受けたことを示す「スウェーデン環境管理評議会による環境製品宣言(Environmental Product Declaration)」を表すものとして広く使用されている事実が認められる。
そうすると、本願商標の構成中の「EPD」の文字は、上記の指定役務との関係において「スウェーデン環境管理評議会による環境製品宣言」を表したものと理解、認識されるというのが相当であるから、該文字部分が、役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与える部分であり、該文字部分をもって、取引に資されることも決して少なくないというべきである。
また、本願商標の構成中の「VERIFIED」の文字は、上記のとおり、「確認された、検査された」の意味を有するものであり、上記の指定役務との関係においては、役務の出所識別標識としての機能を有しないか又は極めて弱いものといえる。
してみれば、本願商標は、その構成中の「EPD」の文字部分が、上記の指定役務との関係において、取引者、需要者に対し役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与える部分と認められるものであるから、その構成文字に相応して「イーピーディー」の称呼を生ずるものであり、また、「スウェーデン環境管理評議会による環境製品宣言」の観念が生ずるものであるというのが相当である。
(2)引用商標について
引用商標は、別掲2のとおり、四隅の角を丸くした3つの長方形と思しき図形を背景として、「EPD」の欧文字を大きく表してなるところ、該文字に相応して「イーピーディー」の称呼が生ずるものであり、また、引用商標の指定役務中「ライフサイクルアセスメント(LCA)による各種製品の原材料採取から製造・流通・使用・廃棄・回収にいたる環境影響の定量的測定及びその製品の仕様・リサイクル方法などと共にする分析・評価,ライフサイクルアセスメント(LCA)による各種製品の原材料採取から製造・流通・使用・廃棄・回収にいたる環境影響の定量的測定及びその製品の仕様・リサイクル方法などと共にする分析・評価に関する情報の提供,製品等のライフサイクルを通じて環境に与える影響を定量的に評価するためのスウェーデン環境管理評議会が開発したタイプIII環境宣言の適合性についての審査登録,ガス及び石油関連機器・自動車・化学製品・建築構造物・その他の製品並びに機器の保守及び改修・建築工事・計装工事・電気工事・配管工事・その他のサービスの性能・安全性・環境性能に関する試験又は研究,国際標準化機構の国際規格の適合性についての審査登録」との関係においては、「スウェーデン環境管理評議会による環境製品宣言」の観念を生ずるものである。
(3)本願商標と引用商標との類否について
本願商標と引用商標は、全体の外観において差異を有するものの、その構成中、上記に示した指定役務との関係において強く支配的な印象を与えるといい得る「EPD」の文字部分と引用商標の「EPD」の文字とは、その構成文字を共通にするものであるから、両者は外観において近似した印象を与えるものである。また、本願商標と引用商標は、共に「イーピーディー」の称呼を生ずるものであり、かつ、「スウェーデン環境管理評議会による環境製品宣言」の観念を共通にするものである。
そうすると、本願商標と引用商標とは、外観において近似した印象を与えるものであり、かつ、称呼及び観念を同一にするものであるから、両商標について、上記の外観、称呼、観念によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察してみれば、本願商標と引用商標とを類似する役務に使用したときは、取引者、需要者をして、役務の出所について混同を生ずるおそれがある類似の商標というのが相当である。
そして、本願の指定役務中の「quality control services for the assessment (audit) and self-assessment (audit) of compliance (audit) with specified requirements (standards,norms,benchmarks) in the field of quality management,competence and social responsibility」は、引用商標の指定役務中「ライフサイクルアセスメント(LCA)による各種製品の原材料採取から製造・流通・使用・廃棄・回収にいたる環境影響の定量的測定及びその製品の仕様・リサイクル方法などと共にする分析・評価,ライフサイクルアセスメント(LCA)による各種製品の原材料採取から製造・流通・使用・廃棄・回収にいたる環境影響の定量的測定及びその製品の仕様・リサイクル方法などと共にする分析・評価に関する情報の提供,製品等のライフサイクルを通じて環境に与える影響を定量的に評価するためのスウェーデン環境管理評議会が開発したタイプIII環境宣言の適合性についての審査登録」と類似するものである。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(4)請求人の主張について
請求人は、本願商標は、「EPD」の文字及び「VERIFIED」の文字を丸の輪郭内に一体として配した構成からなるものであるから、「EPD」の部分を分離しなければならない外観上の特段の理由はなく、また、「VERIFIED」の語は、指定役務との関係において役務の内容表示には該当せず、商標としての自他商品識別力を有するものであって、略されるべき特段の事情はないものであるから、本願商標からは「イーピーディーベリファイド」の称呼のみが生ずる旨主張する。
しかしながら、上記(1)において示した本願商標の指定役務との関係においては、「EPD」の文字は「スウェーデン環境管理評議会による環境製品宣言」を認識させるものというのが相当であり、また、「VERIFIED」の文字は該役務との関係において役務の出所識別標識としての機能を有しないか又は極めて弱いものといわざるをえないものであるから、本願商標において、役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるのは、「EPD」の文字部分というべきであり、該文字部分をもって取引に資されることも決して少なくないといえること、上記(1)のとおりである。
したがって、請求人の主張を採用することはできない。
(5)まとめ
以上のとおり、本願商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 【別記】


3 引用商標に係る指定役務
第42類「ライフサイクルアセスメント(LCA)による各種製品の原材料採取から製造・流通・使用・廃棄・回収にいたる環境影響の定量的測定及びその製品の仕様・リサイクル方法などと共にする分析・評価,ライフサイクルアセスメント(LCA)による各種製品の原材料採取から製造・流通・使用・廃棄・回収にいたる環境影響の定量的測定及びその製品の仕様・リサイクル方法などと共にする分析・評価に関する情報の提供,製品等のライフサイクルを通じて環境に与える影響を定量的に評価するためのスウェーデン環境管理評議会が開発したタイプIII環境宣言の適合性についての審査登録,ガス及び石油関連機器・自動車・化学製品・建築構造物・その他の製品並びに機器の保守及び改修・建築工事・計装工事・電気工事・配管工事・その他のサービスの性能・安全性・環境性能に関する試験又は研究,国際標準化機構の国際規格の適合性についての審査登録,ガス機器の試験・検査,燃焼機器の試験・検査,機械器具に関する試験又は研究,ガス燃焼機器・ガスエンジンを用いて冷暖房等を行う機器・ガス燃焼機器に組み込み使用される部品・ガス燃焼機器の付属として使用される部品・ガス供給に係る機器・ガス災害防止に係る機器の試験・検査又は研究,気象情報の提供,建築物の設計,測量,地質の調査,機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらの機械等により構成される設備の設計,デザインの考案,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究,建築又は都市計画に関する研究,公害の防止に関する試験又は研究,電気に関する試験又は研究,土木に関する試験又は研究,農業・畜産又は水産に関する試験・検査又は研究,著作権の利用に関する契約の代理又は媒介,社会保険に関する手続の代理,計測器の貸与,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供,理化学機械器具の貸与,製図用具の貸与」
4 「EPD」が「スウェーデン環境評議会による環境製品宣言」として使用されている事実(下線は当合議体で付加。)
(1)2002年3月14日付け「日刊工業新聞」15頁に、「日本ガス機器協会、EPDによる審査登録を開始」の見出しの下、「日本ガス機器協会(JIA)はスウェーデン環境評議会がタイプIII環境宣言に基づき作成した環境データ『EPD』(製品の環境影響定量評価表示)の審査登録システムを構築し、4月から審査登録業務を開始する。タイプIII環境宣言は、製品のライフサイクルアセスメント(LCA)に関するデータを定量化して表示するもので、EPDはその認証プログラムとして、先駆的な存在として知られている。JIAでは、スウェーデンの認証機関SWEDACから認定を受ける準備を進めており、認定後は、JIAが登録した製品に『EPDマーク』が使えるようになる。認証業務は、審査の要望を受けた製品やサービスについて、JIAの登録審査員が、使用物質や環境負荷などLCAについて審査する。EPDに認定された製品は、スウェーデン環境評議会(www.environdec.com/eng)とJIA(www.jia-page.or.jp)のそれぞれのホームページで日本語で公開される予定。また、認定製品にEPDマークの使用を許可する。」との記載がある。
(2)2002年8月16日付け「日刊工業新聞」10頁に、「ズームアップ/産業環境管理協会、環境ラベルタイプ3に4社9製品を初認定」の見出しの下、「製品の生産から流通、廃棄に至るまでの各段階での環境負荷を定量化して表示する環境ラベルタイプ3が動き出す。・・・産環協の『エコリーフ』のほか、02年度中には、日本ガス機器協会(JIA)がスウェーデン環境評議会が策定したタイプ3環境ラベル『EPD』の認証機関として認定を受ける見込み。今後、タイプ3の環境ラベルが張られた製品が市場にお目見えすることになる。・・・タイプ3では製品が生産、販売、使用、廃棄のライフサイクル全般に渡り、どれだけ環境に対して負荷をかけているかのデータをホームページを通して表示する。・・・タイプ3の最大の売りは、製品同士の比較がしやすいこと。認定製品はすべて同一の様式でデータベース化されているので、グリーン購入の際には格好の選定基準となる。」との記載がある。
(3)2002年12月17日付け「日刊工業新聞」17頁に、「検証02/環境ラベル・タイプIII-進むLCAデータ公開」の見出しの下、「今年は環境ラベルのタイプIIIが本格的に始動した。産業環境管理協会が環境ラベルタイプIII『エコリーフ』の審査登録を6月から開始。また、日本ガス機器協会(JIA)もスウェーデンのタイプIII『EPD』の本格始動に入る。・・・一方、JIAが採用したのは、スウェーデン環境評議会が作成した『EPD』。近いうちに、同評議会から認定機関として承認を受ける見込みだ。EPDはタイプIIIの認証プログラムとして、世界的にも先駆的な存在。認定された製品は日本語と英語で世界にそのデータが公開される。国際的な認知度の高さが売りだ。」との記載がある。
(4)2003年7月18日付け「日経産業新聞」(13頁)に、「グリーン消費欧州最新事情(下)広がる情報開示??環境性能、積極アピール。」の見出しの下、「欧州メーカーはこれまで、消費者に突き動かされる形で環境配慮型製品の開発に取り組んできた。だが、ここにきて自社製品の環境負荷の詳細なデータを公開し、環境性能を積極的に訴える動きが出てきた。その手段として注目を集めるのがスウェーデンの環境ラベル『EPD』だ。・・・EPDはスウェーデン環境管理評議会が提唱するタイプIIIのラベル。製品の製造から廃棄まで各段階での電力消費量、二酸化炭素(CO2)排出量、使用資源量、廃棄物量などのデータをインターネットで開示する。・・・リコー、大日本印刷など日本企業もEPD取得に乗り出した。」との記載がある。
(5)2005年8月24日付け「日経産業新聞」(10頁)に、「エーワン製品201点、国際環境ラベル『EPD』を取得。」の見出しの下、「フィルムラベル販売のエーワン(・・・)はラベル製品で、スウェーデンの環境管理評議会が開発した国際的な環境ラベル『EPD』を取得した。ラベルの取得で、環境配慮製品の購入を進める企業への販売力を高める。環境ラベルを取得したのは同社が販売するレーザープリンター印刷対応のラベルなど二百一点。製品の製造から廃棄までの環境負荷を評価するライフアセスメント(LCA)のデータ公開が義務づけられる。」との記載がある。
(6)「一般財団法人日本ガス機器検査協会」のウェブサイトにおいて、「タイプIII環境ラベル」の見出しの下、「概要」として、「EPDは、LCAに基づく環境情報をリーフレット形式で公開するものです。消費者や使用者に製品のライフサイクルを通じた環境影響の情報を提供することで、消費者や使用者が自ら選択的に環境に配慮した製品を購買することができるようになります。「EPD」は、タイプIII環境ラベルの認証プログラムとして世界的にも先駆的な存在で、1998年から現在に至るまで、電気・電子機器、化学、食品、建材等、幅広い産業で第三者認証機関による審査登録がなされています。登録されたEPDはスウェーデン環境管理評議会のウェブサイトから自由にダウンロードできます。」との記載があり、また、「EPDの4つの特徴」として、「特徴1<高い客観性> EPDはあらゆる製造およびサービス業に適用し、スウェーデンの認定機関SWEDACから認定をうけた第三者認証機関が客観的に審査をして、規格要求事項への適合性を判断します。認証のプログラム開発元であるスウェーデン環境管理評議会、認証機関、認証機関の認定機関がすべて独立しており、客観性の高い審査が可能であることが特徴の一つです。」との記載がある。
(http://www.jia-page.or.jp/environment/epd/)
(7)「日本工業標準調査会」のウェブサイトにおいて、「日本工業標準調査会 年次報告 2008」の13頁に、「環境ラベルの具体例」として「2002年に社団法人産業環境管理協会がスタートさせた『エコリーフ環境ラベル』は、ISO14025に則った表示制度です。この表示制度は、エコリーフ環境ラベルに記載されている番号を、同協会のホームページで検索すると、その製品のライフサイクル全体にわたる環境負荷等(温暖化ガス排出量、エネルギー使用量、廃棄物の量等)に関するデータが得られます。・・・また、スウェーデン環境管理評議会が運用している『環境製品宣言(EPD)』制度も、ISO14025に則った表示制度です。」との記載があり、緑色で彩色された引用商標の画像が掲載されている。
(http://www.jisc.go.jp/policy/nenji/houkoku2008.pdf)
審理終結日 2014-09-24 
結審通知日 2014-10-03 
審決日 2014-10-21 
国際登録番号 1140175 
審決分類 T 1 8・ 261- Z (W42)
T 1 8・ 263- Z (W42)
T 1 8・ 262- Z (W42)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田口 玲子 
特許庁審判長 酒井 福造
特許庁審判官 手塚 義明
浦辺 淑絵
商標の称呼 イイピイデイベリファイド、イイピイデイ、ベリファイド、エリファイド 
代理人 川崎 仁 
代理人 中里 浩一 

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