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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服201421668 審決 商標
不服20146311 審決 商標
不服201513171 審決 商標
不服201423642 審決 商標
不服201412302 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない W0305
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W0305
管理番号 1301656 
審判番号 不服2014-11133 
総通号数 187 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2015-07-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-06-12 
確定日 2015-05-11 
事件の表示 商願2013-34237拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「こころ安らぐキンモクセイの香り」の文字を標準文字で表してなり、第3類「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,口臭用消臭剤,動物用防臭剤,つや出し剤,せっけん類,身体用消臭剤,身体用防臭剤,その他の化粧品,香料,芳香剤(身体用のものを除く。),消臭芳香剤(身体用のものを除く。),その他の薫料」及び第5類「芳香消臭剤(身体用・動物用及び工業用の芳香消臭剤並びに口臭用消臭剤を除く。),その他の消臭剤(身体用・動物用及び工業用の消臭剤並びに口臭用消臭剤を除く。),防臭剤(身体用・動物用及び工業用のものを除く。),脱臭剤(工業用のものを除く。),その他の薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,おりものシート,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,歯科用材料,おむつ,おむつカバー,はえ取り紙,医療用試験紙,防虫紙,サプリメント」を指定商品として、平成25年5月8日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『こころ安らぐキンモクセイの香り』の文字を標準文字で表してなるものであるところ、その構成中の『こころ』の文字が、『気持。心持』等の意味を、『やすらぐ』の文字が『安らかな気持になる。おだやかな気持になる』を意味する語として普通に使用されているから、本願商標は全体として『心を安らかにするキンモクセイの香り』の意味合いを容易に理解・認識させる。そして、本願の指定商品を取り扱う業界においては、近年、香りにこだわった商品が注目され、また、香りと気分が密接な関係を有することから、気分に合わせて様々な香りを選べるような商品も製造・販売されている実情のもとに、『こころ安らぐ』等の文字が、『香り』を説明する語として使用されている事実がある。そうすると、本願商標をその指定商品中の『心を安らかにするキンモクセイの香りを有する洗濯柔軟剤』等に使用するときは、これに接する需要者・取引者は、該商品が前記した『心を安らかにするキンモクセイの香りを有する商品』であることを理解・認識するにとどまり、自他商品の識別標識としての機能を有しないものであって、単に商品の品質(内容)を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものといわざるを得ない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、また、これを、その指定商品中『キンモクセイの香りを有する商品』以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあり、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)本願商標について
本願商標は、前記1のとおり、「こころ安らぐキンモクセイの香り」の文字を標準文字で表したものであるところ、その構成中の「こころ安らぐ」の文字部分は、「心安らぐ」の文字を容易に想起し、「心が安らかになる」程の意味を理解させるものであり、また、その構成中の「キンモクセイの香り」の文字部分は、「『モクセイ科の常緑小高木。秋、橙黄色で芳香の強い小花多数を開く。』(広辞苑第六版)植物である『金木犀』の香り」の意味を容易に理解させるものであるから、その構成全体から「心が安らかになる金木犀の香り」の意味を認識させるものである。
そして、香りは様々な商品に利用されているところ、「心(が)安らぐ(やすらぐ)」の文字は、安らかな、穏やかな気持ちになる等のストレス軽減効果が期待されている香りについて、その効果等を表現する際に、普通に使用されているものである(別掲1)。
また、本願の指定商品を取り扱う業界においても、香りを付けた商品が各種取引されている中、別掲2のとおり、「浴剤、消臭剤、洗浄剤、香水、せっけん、化粧品」等において、「キンモクセイ(金木犀)の香り」の文字が、商品の香りの一つを表すものとして、広く使用されている実情が認められる。
そうすると、香りの効果を表す一般的な表現といえる「こころ安らぐ」の文字と、本願の指定商品との関係において商品の香りを表したものとして認識される「キンモクセイの香り」の文字を結合した本願商標は、「心が安らかになるキンモクセイの香り」の意味を容易に認識させるものであるといえるから、これを、その指定商品中の、キンモクセイの香りを有する、第3類「洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,口臭用消臭剤,動物用防臭剤,せっけん類,身体用消臭剤,身体用防臭剤,その他の化粧品,香料,芳香剤(身体用のものを除く。),消臭芳香剤(身体用のものを除く。),その他の薫料」、第5類「芳香消臭剤(身体用・動物用及び工業用の芳香消臭剤並びに口臭用消臭剤を除く。),その他の消臭剤(身体用・動物用及び工業用の消臭剤並びに口臭用消臭剤を除く。),防臭剤(身体用・動物用及び工業用のものを除く。),脱臭剤(工業用のものを除く。),入浴剤」等の香りに係る商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者が「心が安らかになるキンモクセイの香りを有する商品」であることを表したものとして理解するものであり、当該商品の品質(香り)を表示したものと認識するに止まるものである。そして、本願商標は、標準文字で表したものであるから、その構成文字の態様に特徴があるということもできない。
したがって、本願商標は、その指定商品中、上述のキンモクセイの香りに係る商品に使用するときは、その商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものといえるから、商標法第3条第1項第3号に該当し、キンモクセイの香り以外の香りに係る商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。
(2)請求人の主張について
請求人は、「本願商標を構成する文字『こころ安らぐキンモクセイの香り』が商品の品質を直接的に表示するものとして使用されている事例は皆無であり、指定商品との関係において、商品の品質を間接的あるいは暗示的に表示することがあるにすぎないから、本願商標は商標法第3条第1項第3号には該当しない。」旨述べている。
しかしながら、上記(1)のとおりの、香りの効果を現す表現として「心が安らぐ」「心安らぐ」の文字が普通に使用されていること、本願の指定商品を取り扱う業界における「キンモクセイ(金木犀)の香り」が付けられた商品及びその他の香りが付けられた商品の取引の実情を踏まえると、本願商標は、その構成文字全体が使用されていないとしても、その指定商品の主な需要者である一般の消費者においては、その構成文字全体が、商品の香りを記述したものであって、商品の出所識別標識として認識されるものではないと判断するのが相当である。
よって、請求人の主張は採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1 香りの効果及び「心安らぐ」の表示が香りの効果を表すこと
(1)一般的に使用されている「広辞苑(第六版)」において、香りを利用した「アロマセラピー」の語について、「花・香草などの香りをかいでストレスを軽減し、心身の健康をはかる療法。芳香療法。アロマテラピー」の記載がある。
(2)「日本香料工業会」のウェブサイトにおいて、「香りの生理心理的作用」の見出しの下「今日、ストレスのたまりやすい複雑な社会の中で、フレグランスのなかに含まれる香りによって、次のような効用が期待されます。」として「1.気持ちや神経を休ませる鎮静効果 2.心を和やかに明るくしてくれる高揚効果 3.心身を温め情緒を安定させるリフレッシュ、リラックス効果」の記載がある(http://www.jffma-jp.org/learning/base/bionomy.html)。
(3)「株式会社孔官堂」のウェブサイトにおいて、「お香のお求めは『孔官堂 オンラインショップ』」の見出しのもとに、「『珈琲』は、珈琲の芳しい心安らぐ香りに仕上げました。」、「ゆりの気品ある香りをやさいい甘さで包み込んだ心安らぐ香りに仕上げました。」の記載がある(http://www.koukando.com/)。
(4)「松栄堂」のウェブサイトにおいて、「微妙でしかも奥深く、心安らぐ香りは最高の心遣い・・・『松栄堂』の名でお香を専門に扱うようになった老舗です。」の記載がある(http://www.trip.kyoto.jp/spot/db/syoueidou/)。
(5)「快眠推進倶楽部」のウェブサイトにおいて、「甘く、どこか心がやすらぐ香りは神経の緊張、不安を和らげて安眠を誘う効果があります。」の記載がある(http://www.kaimin.info/part/suffer/dev05.html)。

別掲2 「キンモクセイ(金木犀)の香り」の文字が、商品の香りを表すものとして使用されていること
(1)「株式会社バスクリン」のウェブサイトにおいて、「薬用入浴剤バスクリン」の「商品ラインナップ」において、「静岡から 金木犀の香り」の商品が、その他の花の香りの商品とともに紹介されている(https://www.bathclin.co.jp/products/ofuro/bathclin/)。
(2)「MAX Co.,LTd.」のウェブサイトにおいて、「湯の香こまち 金木犀入浴剤 [ YNK-K ]」の見出しのもとに、「香り:金木犀の香り」の記載がある(http://www.soapmax.co.jp/catalog/personal/YunokaKomachi/ynk-k.html)。
(3)「EC-JOY!」のウェブサイトにおいて、「アース製薬 お部屋の消臭たまご ほんのり甘いキンモクセイの香り 430ml」の見出しのもとに、当該商品の写真が掲載されていて、商品正面に「ほんのり甘いキンモクセイの香り」の表示がある(http://www.ecj.jp/U1301.doit?goods=1176414)。
(4)「ドラッグストア クリエイト」のウェブサイトにおいて、「トイレ芳香洗浄剤つめかえ用キンモクセイの香り」の見出しのもとに、当該商品の写真が掲載されていて、商品正面下方に「キンモクセイの香り」の表示がある(http://netshop.create-sd.co.jp/shop/g/g4960433101414/)。
(5)「有限会社武蔵野ワークス」のウェブサイトにおいて、「『金木犀』(Kinmokusei)フルボトル(30mL)」の見出しのもとに、「キンモクセイのフルーティでフローラルな香り。・・・フローラル・フォーシーズンズ30mLシリーズの香水瓶です。」の記載がある(http://www.azaban.com/f4/a202.html)。
(6)「Vi&Da」のウェブサイトにおいて、「商品名:Vida Puro (ヴィダプーロ)FragrantOlive(キンモクセイ)80g」の見出しのもとに、「キンモクセイの謙虚な香り」、「商品説明」において「日中もほのかにキンモクセイの香りが香るようになります。お肌を優しく洗い上げながら、キンモクセイの香りで癒し効果もある洗顔せっけんです。」の記載がある(http://www.shop-vida.com/item/puro-0001.html)。
(7)「AUX PARADIS」のウェブサイトにおいて、「Hand Cream(ハンドクリーム) ♯07 Osmanthus」の見出しのもとに、「ノスタルジックな金木犀の上品な香りは、季節の到来を教えてくれます。」の記載がある(http://www.auxparadis.com/products/detail.php?product_id=47)。
(8)「ROGER & Gallet」のウェブサイトにおいて、「Fleur d‘Osmanthus」の見出しのもとに、「心がアップリフトするような大人のキンモクセイの香り」の記載があり、各種化粧品、せっけんが紹介されている(http://www.roger-gallet.jp/collection/fleur-d-osmanthus.html)。
(9)「楽天市場」のウェブサイトにおいて、「エッセンシャルオイル」の見出しのもとに、「キンモクセイ 甘さの中にスパイシーさを持つキンモクセイの香り。気持ちをリラックスさせたい時におすすめです。」の記載がある(http://item.rakuten.co.jp/richtloyal/ft-047-1/)。



審理終結日 2015-03-12 
結審通知日 2015-03-13 
審決日 2015-03-30 
出願番号 商願2013-34237(T2013-34237) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W0305)
T 1 8・ 272- Z (W0305)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 箕輪 秀人 
特許庁審判長 林 栄二
特許庁審判官 堀内 仁子
内藤 順子
商標の称呼 ココロヤスラグキンモクセイノカオリ、ココロヤスラグキンモクセーノカオリ、ココロヤスラグキンモクセー、ココロヤスラグ 
代理人 小林 久夫 
代理人 安島 清 
代理人 高梨 範夫 

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