• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 外観類似 登録しない X12
審判 査定不服 称呼類似 登録しない X12
審判 査定不服 観念類似 登録しない X12
管理番号 1300749 
審判番号 不服2013-650076 
総通号数 186 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2015-06-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-10-02 
確定日 2015-02-05 
事件の表示 国際登録第1051337号に係る国際商標登録出願の拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「918 Spyder」の文字を横書きしてなり、第12類に属する日本国を指定する国際登録において指定された商品を指定商品として、2010年2月10日にドイツにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、2010年(平成22年)8月6日に国際商標登録出願されたものである。その後、指定商品については、原審における平成23年6月3日付けの手続補正書により、第12類「Sports car and their parts.」に補正された。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第5236346号商標(以下「引用商標」という。)は、「SPYDER」の文字を標準文字で表してなり、平成18年10月19日に登録出願、第12類「三輪自動車」を指定商品として、同21年6月5日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。
3 当審の判断
(1)本願商標
本願商標は、前記1のとおり「918 Spyder」の文字を書してなるところ、その構成中の数字の「918」は、それのみでは、「極めて簡単で、かつ、ありふれた標章」といわざるを得ないものであり、自他商品の識別標識としての機能を有するということはできないものである。
そうとすれば、本願商標の構成にあっては、自他商品の識別標識として機能する部分は、「Spyder」の文字部分にあるというべきであるから、本願商標に接する取引者、需要者は、当該「Spyder」の文字部分に着目し、その構成文字に相応して生じる「スパイダー」の称呼をもって取引に資する場合も決して少なくないものというのが相当である。
してみれば、本願商標は、構成文字全体から生ずる「キューイチハチスパイダー」の称呼のほかに、構成中の「Spyder」の文字部分に相応して「スパイダー」の称呼をも生じるものである。
また、請求人提出の甲第24号証ないし甲第33号証によれば、「Spyder」の文字は、自動車業界において、「屋根のない自動車や屋根が折りたたみ式の幌になった自動車」等の意味合いで用いられる場合があることはうかがえるとしても、我が国においては、直ちに該意味合いを認識させるほどに知られているとはいい難いものであることからすれば、「Spyder」の文字からは、特定の観念は生じないものといえる。
(2)引用商標
引用商標は、前記2のとおり、「SPYDER」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字に相応して「スパイダー」の称呼を生じ、上記(1)のとおり、我が国において「SPYDER」の文字からは、直ちに特定の意味合いを認識されるとはいい難いから、特定の観念は生じないものといえる。
(3)本願商標と引用商標の類否判断について
本願商標と引用商標を比較すると、両者は、その全体の外観は相違するが、本願商標の要部と認められる「Spyder」の文字部分と引用商標の構成文字「SPYDER」は、大文字と小文字の差異を有するものの「Spyder(SPYDER)」の綴りを同一にするものであるから、その外観において一定程度の類似性を有するものといえる。
そして、本願商標と引用商標は、上記(1)及び(2)のとおり、「スパイダー」の称呼を共通にし、観念においては、ともに特定の観念を生じないものであるから、比較することができないものである。
そうとすれば、本願商標と引用商標は、観念において比較できないとしても、「スパイダー」の称呼を共通にし、外観において、その構成中の「Spyder(SPYDER)」の綴りを同一にするものであるから、商標がその外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すると、称呼を共通にする、相紛れるおそれのある類似する商標と判断するのが相当である。
また、本願商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似するものであるから、本願商標と引用商標は、商品の出所について誤認混同を生じるおそれがあるものと認められる。
(4)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標構成中の「Spyder」の文字部分は、取引上しばしば「オープンカー」を表すために使用されるものであって、必ずしも「出所識別標識として強く支配的な印象を与える」程に強い識別力を有するものではない旨主張している。
しかしながら、本願商標構成中の「Spyder」の文字部分は、「屋根のない自動車や屋根が折りたたみ式の幌になった自動車」等の意味合いで用いられる場合があることはうかがえるとしても、辞書等に掲載されていない語であるばかりでなく、上記意味合いの自動車を表す場合には、例えば、別掲1のとおり、「Spider」の綴りで使用されるのが、一般的といえる。また、我が国においては、該自動車等を意味する語は、例えば「オープンカー」「コンバーチブル」「ロードスター」等の語が、いずれも広辞苑に掲載されており、一般的といえる。
したがって、「Spyder」の文字は、我が国においては、直ちに「屋根のない自動車や屋根が折りたたみ式の幌になった自動車」等を意味するものと認識されるとはいい難いものである。
そうとすれば、該文字が、自他商品の識別標識としての機能を有しないとはいい難く、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものと判断するのが相当である。
イ 請求人は、本願商標構成中の「918」の数字部分は、請求人が指定商品の分野において伝統的に900番台の3桁を採用してきたことを考慮すれば、単なる記号、符号の一類型とは異なり、ここから「出所識別標識としての称呼、観念が生じない」と断ずることは適切でない旨主張している。
しかしながら、請求人が、本願指定商品の分野において、900番台の3桁の数字をいくつか使用していることは認められるとしても、その事実をもって、900番台の全ての数字が請求人の業務に係る商品であることを認識させるとは認め難く、例えば、別掲2のとおり、請求人以外の者が「自動車」に900番台の数字を使用していることが認められる。
そうとすれば、「918」の数字部分は、それのみでは単なる数字と認識され、「極めて簡単で、かつ、ありふれた標章」といわざるを得ないものであり、自他商品の識別標識としての機能を有するということはできないと判断するのが相当である。
ウ 請求人は、取引の実情として、本願商標が一連一体としてのみ使用されている事実と、指定商品「Sports car」の取引では商標について細心の注意が払われるという事実があり、こうした点を考慮すれば、本願商標について、その構成部分の一部分を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは、許されないというべきである旨主張している。
しかしながら、前記イのとおり、本願商標構成中の「918」の数字部分が、それのみでは、「極めて簡単で、かつ、ありふれた標章」といわざるを得ないものであり、自他商品の識別標識としての機能を有するということはできないものであるから、本願商標は、その構成中、前記アのとおり、自他商品の識別標識としての機能を有する「Spyder」の文字部分が取引者、需要者に対し、出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものということができるものであって、該文字部分を抽出し、他人の商標と比較して商標の類否を判断することが許されるというべきである。
エ 請求人は、本願の指定商品は第12類「Sports car and their parts」であり、引用商標の指定商品である「三輪自動車」とは市場が明確に相違するものであって、出所の混同が生じるおそれはない旨主張している。
しかしながら、別掲3のとおり、三輪のスポーツカーが販売されている実情があることからすれば、出所の混同が生じるおそれがないとはいい得ないものであり、請求人の主張は失当である。
したがって、請求人の主張は、いずれも採用することができない。
(5)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。
したがって、本願商標が同号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(下線は、合議体で付記。)
1 「Spider」の語が使用されている事例
「自動車情報事典 大車林」(株式会社三栄書房発行)853頁には、「ロードスター[Roadster]」の項に、「・・・イタリアやフランスでは、スパイダー(Spider)で通じる。」と記載されている。
2 請求人以外の者が900番台の数字を使用している事例
2003年5月10日付け毎日新聞には、「輸入2車種でリコール--日本ゼネラルモーターズ社」の見出しの下、「日本ゼネラルモーターズ社は8日、輸入2車種に不具合があったとしてリコールを国土交通省に届け出た。米国製シボレー・トレイルブレイザー717台(02年1月11日?同5月7日輸入)とスウェーデン製サーブ・900の1160台(94年11月12日?96年11月5日輸入)。」と記載されている。
3 三輪のスポーツカーが販売されている事実
(1)1998年1月23日付け静岡新聞には、「『静岡輸入ショウ』に来てネ JAIAレディが本社を訪れPR」の見出しの下、「『私らしさを、世界から見つける』をテーマにドイツ、イギリス、フランス、イタリア、スウェーデン、米国の六カ国から百八台が出品される。百万円台の低価格車から二千五百万円以上の高級車などバリエーション豊富な外国車が並び、ハーレーダビッドソンや三輪スポーツカーなども特別展示される。」と記載されている。
(2)「カンパーニャモータースジャパン」のホームページにおいて、「About Campagna Motors」の見出しの下、「カナダ・モントリオールに本拠地を置く、3輪自動車(リバーストライク)専門メーカーです。創業者のダニエル・カンパーニャ氏は、かつてのF1ドライバー『ジル・ビルヌーブ』を支えたトップエンジニアであり、常識でとらわれない自由な発想とフォーミュラで培った経験から、現在のT-REX・V13Rに至る3輪スポーツヴィークル構想を生み出しました。」と記載されている。
(http://www.campagnamotors.jp/about.html)
審理終結日 2014-07-31 
結審通知日 2014-08-08 
審決日 2014-09-26 
国際登録番号 1051337 
審決分類 T 1 8・ 263- Z (X12)
T 1 8・ 261- Z (X12)
T 1 8・ 262- Z (X12)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大橋 洋子薩摩 純一 
特許庁審判長 野口 美代子
特許庁審判官 梶原 良子
高野 和行
商標の称呼 キューヒャクジューハチスパイダー、キューイチハチスパイダー、スパイダー 
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト 
代理人 山崎 和香子 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ