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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W05
審判 一部申立て  登録を維持 W05
審判 一部申立て  登録を維持 W05
審判 一部申立て  登録を維持 W05
管理番号 1299585 
異議申立番号 異議2014-900290 
総通号数 185 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2015-05-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2014-10-03 
確定日 2015-04-16 
異議申立件数
事件の表示 登録第5683468号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5683468号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5683468号商標(以下「本件商標」という。)は、「ファビピラ」の片仮名及び「FAVIPIRA」の欧文字を二段に横書きしてなり、平成26年2月5日に登録出願、第5類「薬剤,歯科用材料,乳幼児用粉乳,サプリメント,食餌療法用飲料,食餌療法用食品,乳幼児用飲料,乳幼児用食品,栄養補助用飼料添加物(薬剤に属するものを除く。)」を指定商品として、同年6月6日に登録査定、同年7月4日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第5369967号商標(以下「引用商標」という。)は、「FAMPYRA」の欧文字を標準文字で表してなり、2010年(平成22年)2月4日にアメリカ合衆国においてした商標の登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成22年7月9日に登録出願、第5類「脊髄損傷・多発性硬化症・その他神経疾患の治療のために使用される薬剤及び生物学的製剤薬」を指定商品として平成22年11月19に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

第3 登録異議申立ての理由の要点
申立人は、本件商標について、その指定商品中、「薬剤」について、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、その登録は商標法第43条の2第1号により取り消されるべきである旨申し立て、その理由を要旨以下のとおり述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第11号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、「ファビピラ」の片仮名を上段に、「FAVIPIRA」の欧文字を下段に表してなるところ、上下各段の構成のいずれからも「ファビピラ」の称呼を生じるものである。これに対し、引用商標は、「FAMPYRA」の欧文字を横書きしてなるものであるから、その構成文字に相応して「ファンピラ」の称呼が生じるものである。
本件商標から生じる「ファビピラ」の称呼と、引用商標から生じる「ファンピラ」の称呼とは、語頭の音「ファ」及び語尾の音「ピラ」が同一であり、相違する「ビ」及び「ン」の音が、中間に位置し、これらを称呼するときは、両商標とも語頭の「ファ」に強めのアクセントをおいて称呼されるため、全体の音感が近似して聴覚されるから、本件商標と引用商標とは、称呼が類似するものである。
また、本件商標の「FAVIPIRA」の欧文字部分と引用商標の「FAMPYRA」の欧文字の外観を比較すると、相違する文字は、「VI」と「M」、及び「I」と「Y」であるが、いずれも語中に位置し、語頭の「FA」、中間に位置する「P」及び語尾の「RA」が共通することにより、欧文字全体から受ける印象は類似する。
さらに、本件商標と引用商標は、ともに「薬剤」に使用されるため、その指定商品も同一又は類似のものである。そして、両商標の指定商品は、医師により処方される「薬剤」であり、両商標の取引者、需要者は、薬剤を取り扱う全国の医療機関・病院、薬剤を処方する医師、その薬剤を調合する薬剤師及び薬剤を最終的に購入・服用する患者であるから、両者は、需要者を共通にするものである。
したがって、本件商標と引用商標とは、称呼及び外観が類似する商標であり、本件商標の登録は、その指定商品中の「薬剤」について、商標法第4条第1項第11号に違反してなされたものであるから、取り消されるべきである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
引用商標は、世界各国に商標登録されており、その数は54か国にのぼる。また、引用商標を使用した薬剤は、使用権者である「バイオジェン アイデック インク(以下「使用権者」という。)」を販売会社として、全世界に販売されている。
したがって、医薬品を取り扱う業界の取引者、需要者の間に馴染みがある使用権者の引用商標と類似する本件商標が、その指定商品中の「薬剤」に使用された場合、これに接する取引者、需要者において、その商品が申立人の使用権者の業務に係る商品であるかのごとく誤認し、商品の出所につ混同を生じさせるおそれがある。
したがって、本件商標の登録は、その指定商品中、「薬剤」について、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、取り消されるべきである。

第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標
本件商標は、前記第1のとおり、「ファビピラ」の片仮名及び「FAVIPIRA」の欧文字からなるところ、欧文字と片仮名が併記された構成からなる商標においては、その片仮名部分が欧文字部分の称呼を特定すべき役割を果たすものとして無理なく認識できる場合には、片仮名部分から生じる称呼が当該商標から生じる自然の称呼とみるのが相当であるから、本件商標も同様に、「ファビピラ」の称呼のみを生じるものといえる。
また、本件商標は、外国語辞典等には見られない綴りの欧文字とその表音からなるものであるから、親しまれた既成の観念を有しない一種の造語として認識し把握されるものである。
(2)引用商標
引用商標は、前記第2のとおり、「FAMPYRA」の欧文字からなるところ、その綴りが、外国語辞典等には見られない綴りであるから、親しまれた既成の観念を有しない一種の造語として認識し把握されるものである。
そして、引用商標は、我が国においても親しまれた外国語である英語の読みに倣って称呼するに、前半の「FAM」を「ファム」又は「ファン」と発音し、後半の「PYRA」については、例えば「pyramid」が「ピラミッド」と発音される例に倣い、「ピラ」と発音するのが相当といえるから、全体として「ファムピラ」又は「ファンピラ」の称呼を生じるものといえる。
(3)本件商標と引用商標の類否
本件商標と引用商標とを対比するに、まず、称呼については、本件商標から生じる「ファビピラ」の称呼と引用商標から生じる「ファムピラ」又は「ファンピラ」の称呼とは、同音数からなり、第3音が「ビ」の音と「ム」又は「ン」の音とで相違するのみであるが、相違する「ビ」の音は、両唇を合わせて破裂させる有声子音(b)と母音(i)とが結合した音節であり(岩波書店発行「広辞苑第6版」参照)、比較的強く発音されるものである。これに対し、「ム」の音は、両唇を密閉し、有声の気息を鼻腔に通じて発する鼻子音(m)と母音(u)とが結合した音節であり、また、「ン」の音は、前舌面を軟口蓋前部に押しあて、又は後舌面を軟口蓋後部に押しあてて、有声の気息を鼻から洩らして発する鼻音であって(前掲書参照)、いずれの音も弱音で前後の音に吸収され易く明瞭に聴取し難い音である。
そして、「ファビピラ」の称呼は、4音が1音ずつ区切るように発音され聴取されるのに対し、「ファムピラ」及び「ファンピラ」の称呼は、一気によどみなくあたかも3音のように発音され聴取されるものといえる。
そうすると、本件商標の称呼と引用商標の称呼のかかる差異は、音構成が簡潔である両商標においては、全体に及ぼす影響は少なくなく、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは、全体の音感、音調が異なったものとして聴取されるものであるから、紛れることなく明瞭に区別することができるものといえる。
次に、外観において、本件商標と引用商標は、前記第1及び第2のとおりの構成からなるところ、それぞれの構成に照らすならば、両商標は、外観上、判然と区別し得る差異を有するものである。また、本件商標の欧文字部分と引用商標とを対比しても、その文字数及び綴り字を異にするものであるから、明らかに区別し得るものであって、外観上、相紛れるおそれはないものである。
さらに、本件商標と引用商標とは、いずれも親しまれた既成の観念を有しないものであるから、観念上、両者が相紛れるおそれがあるということはできないものである。
してみれば、本件商標と引用商標とは、称呼、外観及び観念のいずれの点においても、相紛れるおそれのない非類似の商標ということができるものである。
(4)小活
以上のとおり、本件商標と引用商標とは非類似の商標であるから、たとえ、その指定商品が同一又は類似のものであるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものということはできない。
2 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)引用商標の周知・著名性について
申立人の提出に係る証拠は、以下のアないしウのとおりであって、該証拠をもって、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標が申立人の使用権者の業務に係る商品を表示する商標として、我が国において、取引者、需要者の間に広く認識されていたものとは認めることができない。
また、他に引用商標が我が国において周知であるとしなければならない証拠も見い出すことはできない。
したがって、引用商標が、我が国において周知著名であるということはできない。
ア 申立人は、引用商標に係る商品が全世界的規模で販売されていることを立証する証拠として甲第6号証及び甲第7号証を提出している。
しかしながら、甲第6号証は、「FAMPYRA」の商標が申立人によって出願又は登録された国の一覧表であり、甲第7号証は、該商標が登録された国から発行された商標登録証の写しであるところ、商標登録によって商標が周知著名といえるわけではなく、しかも、これらによっては、引用商標に係る商品が販売されていることさえ明らかでないばかりでなく、仮に、販売されていたとしても、引用商標の具体的な使用態様、使用方法、使用期間、宣伝広告等の使用事実は一切不明である。
イ 申立人は、引用商標に係る商品の世界的規模での販売実績を示すためとして甲第8号証及び甲第9号証を提出しており、これらによれば、引用商標に係る商品の販売額が2014年1月から9月までの9ヶ月間に6170万ドル、2013年1月から9月までの9ヶ月間に5670万ドルであること、2013年1年間の引用商標に係る商品と他の商品とを合わせた販売合計額が1億3400万ドルであることが認められるものの、我が国における販売額や市場におけるシェア、宣伝広告の規模等は一切不明である。
ウ 申立人は、申立人が使用許諾をした使用権者の子会社であるバイオジェン・アイデック・エムエイ・インコーポレイテッドが我が国において有している登録商標の一覧表を甲第10号証として提出しているが、この一覧表には、引用商標が含まれていないばかりでなく、種々の登録商標が掲げられているのみであるところ、商標登録によって商標が周知著名といえるわけではなく、これらによっては、我が国における引用商標の使用事実等は一切不明である。
(2)本件商標と引用商標の対比
本件商標と引用商標とは、上記1のとおり、称呼、外観及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異のものというべきである。
(3)小活
上記(1)及び(2)のとおりであるから、本件商標は、その指定商品中の「薬剤」について使用しても、これに接する取引者、需要者が、引用商標ないしは使用権者を連想、想起することはないというべきであり、該商品が使用権者又は申立人もしくは申立人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生じるおそれはないものと判断するのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。
3 むすび
以上のとおり、本件商標は、本件申立てに係る指定商品「薬剤」について、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2015-04-06 
出願番号 商願2014-8300(T2014-8300) 
審決分類 T 1 652・ 271- Y (W05)
T 1 652・ 263- Y (W05)
T 1 652・ 261- Y (W05)
T 1 652・ 262- Y (W05)
最終処分 維持  
前審関与審査官 津金 純子 
特許庁審判長 林 栄二
特許庁審判官 中束 としえ
梶原 良子
登録日 2014-07-04 
登録番号 商標登録第5683468号(T5683468) 
権利者 富山化学工業株式会社
商標の称呼 ファビピラ 
代理人 矢口 太郎 
代理人 小野 友彰 
代理人 仲村 圭代 
代理人 羽切 正治 

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