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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W25 |
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管理番号 | 1299582 |
異議申立番号 | 異議2014-900219 |
総通号数 | 185 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2015-05-29 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2014-08-07 |
確定日 | 2015-04-09 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5667095号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5667095号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5667095号商標(以下「本件商標」という。)は、「ETONIC」の欧文字を標準文字により表してなり、商願2012-35211を原出願とする商標法第10条第1項による分割出願として平成24年12月26日に登録出願され、第25類「アイマスク,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ナイトキャップ,帽子」を指定商品として、同25年8月30日に登録査定、同26年5月9日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議の申立ての理由として引用する登録商標は、以下のとおりである。 1 登録第1764046号商標(以下「引用商標1」という。) 商標の構成 「ETONIC」 出願日 昭和57年11月15日 登録日 昭和60年4月23日 指定商品(指定商品の書換登録後) 第25類「運動用特殊衣服,運動用特殊靴」及び第28類に属する商標登録原簿に記載の商品 2 登録第1788895号商標(以下「引用商標2」という。) 商標の構成 「ETONIC」「エトニック」上下二段 出願日 昭和58年5月9日 登録日 昭和60年7月29日 指定商品(指定商品の書換登録後) 第18類「かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ」 3 登録第3163123号商標(以下「引用商標3」という。) 商標の構成 「Etonic」 出願日 平成5年2月15日 登録日 平成8年6月28日 指定商品 第25類「運動用特殊衣服,運動用特殊靴(乗馬靴を除く。)」 4 登録第4337771号商標(以下「引用商標4」という。) 商標の構成 「ETONIC」(標準文字) 出願日 平成10年12月7日 登録日 平成11年11月26日 指定商品 第3類「靴クリーム,靴墨」 5 「ETONIC」又は「Etonic」を付した米国等で登録になった申立人の商標登録(甲12及び甲13、以下「引用商標5」という。) 以下、引用商標1ないし引用商標5を、まとめていうときは「引用商標」という。 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第19号に該当するから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第16号証(枝番を含む。)を提出した。 1 引用商標の周知性について 引用商標は、申立人の商標として、日本以外にも世界の主要63か国において商標登録されており、特にランニングシューズ、ゴルフシューズ、バスケットボールシューズ、テニスシューズ、ボウリングシューズ及びスニーカーなどが、1976年以来、全米の需要者の間に極めて広く認識され、愛用されていることが明らかである(甲2ないし甲13)。 2 不正の目的について (1)造語について 甲第2号証に示すように、「ETONIC」及び「Etonic」は、申立人により創出された造語である。 (2)本件商標及び関連商標の出願経過について 前記第1のとおり、本件商標登録出願は、商願2012-35211号を原出願とする分割出願である(甲14)。 申立人は、この分割出願と同日付けで、商標「Etonic」(以下「関連商標」という)について、第25類の商品を指定商品として、商標登録出願をしている(甲15)。 以上のような本件商標権者の一連の商標登録出願の経緯から明らかなように、本件商標権者は、この出願の原出願の指定商品について権利化することを意図していた。 一方、申立人の保有する引用商標1及び3の指定商品には、それぞれ「運動用特殊靴」及び「運動用特殊靴(乗馬靴を除く。)」が含まれており、甲第11号証に示されるように、申立人の「ETONIC」及び「Etonic」シリーズのランニングシューズが全米で大ヒットし、日本においても人気があったことが、日本の雑誌にも紹介されている。 また、上記の関連商標の指定商品には、第25類「スニーカー、運動靴」が含まれている。これらの事実は、上記の出願経過を考慮すると、引用商標1及び3に基づく拒絶理由を回避し、「運動用特殊靴」と実質的に同等の機能及び用途を有する商品についても権利化を図り、申立人の商標の周知性に只乗りしようとする、本件商標権者の意図が明白である。 以上に述べた諸々の事実を勘案すれば、本件商標権者が本件商標をその指定商品について使用した場合、これに接する者をして、申立人又は申立人と何らかの関連を有する者の業務に係るものであると誤認して、その商品の出所について混同を生じさせるおそれが多分にあり、申立人の商標のいわゆる顧客吸引力を不正に利用しようとするものであって、かかる行為は不正な利益を得る目的、あるいは申立人の商標の顧客吸引力を希釈化させるなど、不正の目的で使用するものであることが明らかである。 3 むすび 以上に述べたとおり、本件商標は、他人の業務に係る商品を表示するものとして、日本国及び外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一であって、不正の目的をもって使用するものであるため、商標法第4条第1項第19号に規定する商標に該当し、同法第43条の2第1号の規定により、その登録を取り消されるべきである。 第4 当審の判断 1 申立人の提出に係る甲各号証及び申立人の主張によれば、以下の事実が認められる。 (1)甲第2号証は、Etonic社の公式サイトの写しであるところ、該サイトには、申立人の創業から現在に到るまでの主要な事業の経過が述べられており、申立人は、1876年に創業された米国のシューズメーカーであること、1976年に社名を「Etonic Worldwide LLC」に変更したこと、「Etonic」は、1970年代に、米国最高のスポーツブランドの一つとして認識されるようになった旨の説明がされている。 (2)甲第3号証は、「ETONIC」及び「Etonic」の広告等の写しであり、申立人が1976年10月にランニングシューズを取り扱うようになったこと、1979年、運動靴に「Etonic」の商標を使用していることが示され、1994年までの申立人の商品である「靴」が紹介されている。 (3)甲第4号証は、米国のニュースサイト「Sole Collector」の、本件商標登録出願の直前である2012年2月29日の記事の写しであり、そこには、「Etonic」の商標が使用された申立人の商品である「靴」が紹介されている。 (4)甲第5号証は、米国の雑誌「Complex」の、本件商標登録出願後である2012年12月12日付のウェブサイトの記事の写しであり、2013年に復活して欲しい10のスニーカーブランドの一つにEtonicが選ばれた旨の記載がされている。 (5)甲第6号証は、2014年の「Etonic Lifestyle Collection」のパンフレットの写しであり、往年のランニングシューズが紹介されている。 (6)甲第7号証は、米国のニュースサイト「NiceKicks.com」の2014年4月30日の記事の写しであり、申立人が2014年6月にOlajuwonのサイン入りスニーカー、「Etonic Akeem the Dream」を再発売することが紹介されている。 (7)甲第8号証は、2014年4月30日の米国「AskMen.com」の記事の写しであり、その4頁に、1970年代から1980年代に発売されたクラシックスニーカー「Etonic Lifestyle Collection」が、Atmos Japanなどの販売店で購入できることが記載されている。 (8)甲第9号証は、米国のウェブサイト「BowlersDream.com」の2014年10月の記事の写しであり、この時点での「Etonic」の商標が使用されたボーリングシューズの広告がされている。 (9)甲第10号証(枝番を含む。)は、「Etonic」シューズの広告の写しであるところ、同号証の10は2004年のものであることが確認できるが、その他の枝番のものはその発行日付が確認できない。 (10)甲第11号証(枝番を含む。)は、日本国内における「Etonic」の商標が使用されたスニーカーの宣伝資料等と認められ、「’70年代、’80年代と駆け抜けた名品スニーカが勢揃い。」とのタイトルにより、「Etonic」の商標が使用されたスニーカーが過去に取り扱われていたことが推測できる記載があることが認められる(同号証の1ほか)ものの、これらの号証のものが発行等された日付を確認することができない。なお、同号証の枝番6のものは、消費税額が8%といえることから(例えば販売価格が15,434円とされている商品は税1,143円とあるから、この価格は、本体価格14,291円とその8%の消費税1,143円の合計価格といえる。)、この号証は平成26年(2014年)4月1日以降のものであり、本件商標登録出願後のものである。 (11)甲第12号証は、商標「ETONIC」及び「Etonic」の世界各国での登録状況を示す資料であり、甲第13号証は、日本国内での商標「ETONIC」の登録状況を示す資料である。 2 引用商標の周知性について 以上によれば、引用商標は、1976年以降、今日まで米国内において使用されていることは推認ないし確認することはできるものの、これらは、引用商標が本件商標登録出願前に米国において使用されていた事実を間接的に示すものにすぎず、その実際の使用の実情を示しているものではない。 また、我が国において引用商標の使用がなされたものは、上記1(9)及び(10)のとおり、発行された日付が確認できないものであるから、本件商標の出願時と登録査定時との双方における引用商標の周知の事実を立証するものとはなっていない。 そして、引用商標が使用された商品について、米国及び我が国におけるシェア、売上高や売上数などは明らかではなく、また、上記以外の引用商標が使用された商品の宣伝広告の内容も明らかではない。 そうとすれば、提出された甲各号証をもってしては、引用商標が、本件商標の登録出願時及び査定時に、我が国又は外国(米国)において、申立人の業務に係る商品を表すものとして、需要者の間に広く認識されているものと認めることができない。 また、申立人提出の証拠によっては、商標権者が不正の利益を得る目的等の下に本件商標を出願をし、登録を受けたと認めるに足る具体的事実を見いだすことはできないから、本件商標は、不正の目的をもって使用をするものということができない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。 3 まとめ 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項に基づき、その登録を維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2015-03-30 |
出願番号 | 商願2012-104703(T2012-104703) |
審決分類 |
T
1
651・
222-
Y
(W25)
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最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 佐藤 淳、浜岸 愛、藤村 浩二、小出 浩子 |
特許庁審判長 |
早川 文宏 |
特許庁審判官 |
前山 るり子 渡邉 健司 |
登録日 | 2014-05-09 |
登録番号 | 商標登録第5667095号(T5667095) |
権利者 | 株式会社ファルコン |
商標の称呼 | エトニック、イイトニック |
代理人 | 保田 英樹 |
代理人 | 稲本 潔 |
代理人 | 野河 信太郎 |
代理人 | 神保 欣正 |