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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W02
審判 一部申立て  登録を維持 W02
審判 一部申立て  登録を維持 W02
管理番号 1299580 
異議申立番号 異議2014-900097 
総通号数 185 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2015-05-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2014-04-02 
確定日 2014-12-22 
異議申立件数
事件の表示 登録第5640085号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5640085号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5640085号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1の構成からなり、平成25年2月8日に登録出願、第2類「塗料」のほか、第1類、第6類、第11類、第19類及び第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同年11月14日登録査定、同年12月27日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、以下のとおりの商標であり(以下、これらの商標を総称する場合は「引用商標」という場合がある。)、現に有効に存続しているものである。
1 登録第2724089号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲2の構成からなり、平成4年3月30日登録出願、第3類「塗料」を指定商品として、平成10年5月22日に設定登録され、その後、平成19年12月4日に商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、同20年7月30日に指定商品を第2類「塗料」とする指定商品の書換登録がされたものである。
2 国際登録第1091708号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲3の構成からなり、2011年(平成23年)1月14日に、Austriaにおいてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張し、2011年(平成23年)7月8日に登録出願、第2類「Lacquers; powder lacquers; colors (paints); coatings; distempers; wood coatings (paints); primers.」を指定商品として、平成24年4月27日に設定登録されたものである。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、その指定商品中、第2類「塗料」について、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、その登録は商標法第43条の2第1号により取り消されるべきである旨申立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第24号証を提出した。
1 商品の抵触について
本件商標は、その指定商品に「塗料」を含む。
引用商標は、その指定商品に「塗料」又は「coatings; distempers; wood coatings (paints)(塗料、水性塗料、木材用塗料)」を含む。
したがって、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは、「塗料」において抵触する。
2 商標の抵触について
(1)本件商標の構成
本件商標は、横長矩形の中央に「丸付きの『盛』の文字」(以下、単に「盛」と称する。)、その右に片仮名にて「タイガー」、漢字にて「産業」と書してなる。
本件商標の構成要素中、横長矩形はありふれた図形であり何ら特徴はなく、ここから特定の観念や称呼が生じることはない。
また、「盛」は、丸に囲まれており、残余の要素「タイガー産業」の文字とは外観的に明瞭に分離されている。
そして、「盛」に続く「タイガー産業」も同書同大で書されているとはいえ、片仮名と漢字が結合したものであって、外観的に「タイガー」と「産業」は明瞭に分離し得るものである。
したがって、本件商標は「盛」+「タイガー」+「産業」の3つの構成が結合してなる結合商標である。
(2)本件商標から生じる称呼及び観念
本件商標は、前記のように「盛」+「タイガー」+「産業」の各要素が結合した結合商標であって、このうち、「盛」部分については、外観的に明瞭に分離しており、また、残余の部分との観念的一体性も存在しないので、該部分は独立して識別標識たり得る。
一方、残余の「タイガー産業」部分について検討すれば、「タイガー」と「産業」部分は、文字種の違いに応じて外観的に分離される。
加えて、「タイガー」は、いうまでもなく「虎」の意味であるが、「虎」が指定商品「塗料」との関係において商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、数量、形状を示す言葉でないことは明らかである。
すなわち、「タイガー」部分は、取引者、需要者に対し、商品「塗料」の出所識別標識として強く支配的な印象を与える語といえる。
一方、「産業」は、経済用語として「生産を営む仕事、すなわち自然物に人力を加えて、その使用価値を創造し、また、これを増大するため、その形態を変更し、もしくはこれを移転する経済的行為。農業・牧畜業・林業・水産業・鉱業・工業・商業および貿易など。工業に同じ。」(甲6)とあるように、広く生産を営む仕事を指す言葉である。
したがって、業種を問わず慣用的に「産業」の語を含んだ商号が採択される傾向があり、現に「○○産業」又は「○○産業株式会社」という態様の商標が500件以上登録・出願されている事実が確認できる(甲7)。
さらに、こうした「○○産業」は、取引の迅速を尊ぶ取引の場においては往々にして「産業」部分が省略され、出所識別標識として機能する「○○」部分のみで取引に資されるという実情がある(甲8ないし甲17)。
そして、商標の類否判断は、「取引の実情を踏まえつつ」行なう事が原則であって、「○○産業」中の「産業」部分が省略されることが多いという事実は当に「取引の実情」として十分考慮されて然るべきである。
そうとすれば、本件商標からは、「盛」部分に応じて「マルモリ」「マルセイ」「モリ」「セイ」の称呼と「盛んであるさま」といった観念を生じるほか、残余の「タイガー産業」部分は、「タイガー」部分が商品「塗料」の出所識別標識として強く支配的な印象を与える一方、「産業」部分は、出所識別標識としての称呼、観念が生じない部分であるので、結果として「タイガー」単独の称呼と「虎」の観念をも合わせて生じるものである。
上記申立人主張の妥当性を裏付ける審決例がある(甲18ないし甲24)。
(3)引用商標から生じる称呼及び観念
引用商標1は、欧文字にて横一連に「TIGER」と書してなる。
引用商標2は、中央が略楕円形の両端を直線状とした図形中に欧文字にて「TIGER」と横一連に書してなる。
したがって、引用商標からは、「タイガー」の称呼と「虎」の観念が生じる。
(4)対比
前記のとおり、ひとつの商標から複数の出所表示の標識を捉えることは、取引の場において普通に行なわれることであるから、本件商標からは、「マルモリ」「マルセイ」「モリ」「セイ」の称呼と「盛んであるさま」といった観念を生じるほか、「タイガー」単独の称呼と「虎」の観念をも合わせて生じる。
一方、引用商標からは、「タイガー」の称呼と「虎」の観念を生じる。
本件商標から生じる「タイガー」の称呼及び「虎」の観念は、引用商標から生じる称呼及び観念と共通である。
そうとすれば、本件商標と引用商標とは、称呼及び観念において類似するとするのが相当である。
3 小括
以上のとおり、本件商標と引用商標とは、称呼及び観念において類似し、指定商品においてもそれぞれ相互に同一又は類似の商品を含むものである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものといわざるを得ない。

第4 当審の判断
1 本件商標の商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標
本件商標は、別掲1のとおり、横長矩形状内に丸で囲まれた「盛」(以下、これを「マル盛」と表す。)とその右横に「タイガー産業」の文字を横書きしてなるところ、その構成中、「マル盛」の部分は、一種の暖簾記号又は屋号を表したものと、また、「タイガー産業」の文字部分は、同書、同大にまとまりよく一体に書されていることから、「マル盛」の部分と「タイガー産業」の文字部分とは、視覚的に分離して看取されるものである。
そして、「タイガー産業」の文字部分における「産業」についてみると、同書、同大にまとまりよく一体に書され、「産業」の語を含んだ商号が採択される傾向にあり、その前に位置する暖簾記号又は屋号と相まっていることからすると、「タイガー産業」という商号の略称として理解されることも少なくないものである。
そうとすれば、本件商標からは、「マル盛」部分に応じて「マルモリ」及び「マルセイ」の称呼と暖簾記号又は屋号としての「マル盛」の観念を生じるほか、残余の「タイガー産業」の文字部分から、「タイガーサンギョウ」の称呼のみを生じるというべきであって、「タイガー産業という商号の略称」ほどの観念を生じ得る。
(2)引用商標
引用商標1は、別掲2のとおり、「TIGER」の欧文字を書してなり、引用商標2は、別掲3のとおり、中央がほぼ楕円形の両端を直線状とした黄色地内に同様の形状の赤色輪郭線を配し、その中に「TIGER」の欧文字を赤色で書してなるものであるところ、該欧文字は、「虎」の意味を有する英語として広く一般的に知られている語といえるから「タイガー」の称呼及び「虎」の観念が生じるものである。
そうすると、引用商標1及び2は、「タイガー」の称呼を生じ、「虎」の観念を生じるものである。
(3)本件商標と引用商標との類否について
ア 外観
本件商標は、前記(1)のとおり、横長矩形内に「マル盛」と「タイガー産業」の文字を書してなるのに対し、引用商標1及び2は、「TIGER」の欧文字を書したものであるから、外観上、これらが互いに紛れるおそれはない。
イ 称呼
本件商標から生じる「タイガーサンギョウ」の称呼と引用商標1及び2から生じる「タイガー」の称呼を比較すると、「サンギョウ」の音の差異を有するものであって、該差異音が全体に与える影響が大きいものであるから、それぞれを一連に称呼するときは、全体の音感、音調が相違し、明瞭に聴別できるものである。
また、「マルモリ」及び「マルセイ」の称呼と「タイガー」とは、すべての音に差異を有するから、明瞭に聴別できるものである。
ウ 観念
本件商標からは、「タイガー産業という商号の略称」ほどの観念を生じ、引用商標1及び2からは、「虎」の観念を生じるから、両商標は、観念上類似するとはいえない。
エ 以上によれば、本件商標と引用商標1及び2とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても、相紛れるおそれのないものであるから、両商標は、非類似の商標というべきである。
オ 本件商標の指定商品は、「塗料」を含むものであって、引用商標1及び2の指定商品は、「塗料」又は「coatings; distempers; wood coatings (paints)(塗料、水性塗料、木材用塗料)」を含むものであるから、両商標の指定商品は、同一又は類似の商品といえる。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標と引用商標とは、その指定商品において同一又は類似するものとしても、本件商標と引用商標とは、非類似の商標である。
しがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではなく、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
1 本件商標


2 引用商標1


3 引用商標2


(色彩については、原本参照。)

異議決定日 2014-12-12 
出願番号 商願2013-8289(T2013-8289) 
審決分類 T 1 652・ 262- Y (W02)
T 1 652・ 263- Y (W02)
T 1 652・ 261- Y (W02)
最終処分 維持  
前審関与審査官 佐藤 松江 
特許庁審判長 関根 文昭
特許庁審判官 寺光 幸子
前山 るり子
登録日 2013-12-27 
登録番号 商標登録第5640085号(T5640085) 
権利者 タイガー産業株式会社
商標の称呼 マルモリ、マルセー、モリ、セー、タイガーサンギョー、タイガー 
代理人 齋藤 宗也 
代理人 山崎 和香子 
代理人 藤本 英夫 
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト 

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