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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W0305
審判 全部申立て  登録を維持 W0305
審判 全部申立て  登録を維持 W0305
審判 全部申立て  登録を維持 W0305
管理番号 1298475 
異議申立番号 異議2014-900245 
総通号数 184 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2015-04-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2014-09-01 
確定日 2015-02-28 
異議申立件数
事件の表示 登録第5674343号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5674343号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5674343号商標(以下「本件商標」という。)は、「ラフェリア」の片仮名と「LAFERIA」の欧文字を二段に書してなり、平成25年8月23日に登録出願、第3類「せっけん類,化粧品」及び第5類「サプリメント,食餌療法用飲料,食餌療法用食品」を指定商品として、同26年4月3日に登録査定され、同年5月30日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当し、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第83号証を提出した。
(1)申立人が引用する商標
申立人が引用する商標は次のとおり(以下、これらをまとめて「引用商標」という。)である。
ア 登録第4435204号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の態様 別掲1のとおり
指定商品 第3類に属する商標登録原簿に記載の商品
出願日 平成11年8月11日
設定登録日 平成12年11月24日
イ 国際登録第1046299号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の態様 別掲2のとおり
指定商品 第3類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載の商品
国際商標登録出願日 2010年(平成22年)6月30日
優先権主張 European Union 2010年4月7日
設定登録日 平成23年9月9日
ウ 国際登録第1195682号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の態様 別掲3のとおり
指定商品及び指定役務 第3類、第5類及び第44類に属する願書に記載の商品及び役務
国際商標登録出願日 2013年(平成25年)8月12日
優先権主張 European Union 2013年3月11日
なお、引用商標1及び2の商標権は現に有効に存続しており、引用商標3は登録出願中のものである。
(2)商標法第4条第1項第11号について
ア 指定商品の類似
本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似することは明らかである。
イ 商標の類否
本件商標と引用商標との類否判断にあたっては、過去の判例(甲5、甲6)にそって、引用商標の周知、著名性を含む、具体的な取引の実情を勘案して判断すべきである。
ウ 引用商標の周知性
過去の審決(甲7)のとおり、引用商標が申立人の商品を表示するものとして、本件商標の登録出願前には少なくとも「オーガニック化粧品」を取り扱う取引者及び需要者の間には、相当程度知られていたことは明らかであると確信するが、以下具体的に詳述する。
(ア)世界における取り組み
申立人は、ドイツに本社を持つオーガニック化粧品の製造・販売メーカーであり、1987年の設立以降、一貫してオーガニック化粧品の研究開発、製造、販売に従事し、現在では、その高い品質が評価され、日本をはじめ世界35か国以上の国・地域で事業を展開している(甲8?甲10)。
オーガニック化粧品とは、一般に、自然由来の成分を中心に配合し、「人間の肌が本来持つ自然治癒力を助長、回復させることに着目したスキンケア用品」を指すものである。オーガニック化粧品には、国際的な統一規格はないものの、ドイツなど欧米各国を中心に各種の認証機関が原料の選定や製造方法に厳しい基準を設け、製品の評価・認証を行っている。こうしたなか、申立人はオーガニックコスメ認証団体を2008年に発足させている(甲11)。
そして、申立人の扱うフェイスケア用品、リップクリーム、メイクアップ用品、ボディケア用品、ヘアケア用品、メンズケア用品、歯磨き、デオドラントスプレーなど多種多様な商品(甲9、甲12)は、いずれも厳しい管理のもと、常に優れた品質を維持してきた。長年にわたるこれらの取り組みは世界的に高く評価され、認証機関から何度も高い評価を受けている(甲13、甲14)。
2008年ないし2013年の申立人の世界各国での売上高は、716万ユーロ(10.1億円)ないし1,469万ユーロ(20.4億円)であり、なかでも、2012年は2,362万ユーロ(33.4億円)であった。
(イ)日本における事業展開
我が国においても、自然派志向・健康志向の高まりから、有機栽培(オーガニック)の原料を使用した製品が、食材及び化粧品を中心に注目されている。そのような状況の下、申立人が販売するオーガニック化粧品も人気を博している。
申立人は、少なくとも2004年には、日本でもオーガニック化粧品の販売を行っており(甲15)、現在では、全国の百貨店、雑貨店、化粧品ショップなど合計171の店舗、及びオンラインショッピングサイトにおいて引用商標を付した商品が販売されている(甲16、甲17)。さらに申立人は、各種展示会への出展や、地下鉄駅構内の広告等を通じて、幅広く引用商標の訴求を図ってきた(甲18?甲20)。
そして、引用商標を付した商品は、少なくとも2008年以降、多種多用な雑誌、新聞及びウェブサイトにおいて頻繁に取り上げられている(甲21?甲77)。
また、申立人の商品は、育児雑誌や健康雑誌、男性向け雑誌、園芸やバイク、ヨガ、サーフィン、フルート等の専門雑誌にも掲載されており(甲35、甲43、甲56、甲59、甲64、甲67)、幅広い需要者層に注目されていたことが分かる。加えて、申立人の商品は、その品質の高さから、歯科医などの専門家や著名人からも高く評価されてきた(甲78、甲79)。
以上より、引用商標は2008年頃には既にオーガニック化粧品のブランドとして我が国においても広く知られるようになっており、その高い品質と安全性から、女性のみならず幅広い層において支持され、全国各地で周知となっていたということができる。
(ウ)まとめ
以上述べたとおり、引用商標を付した商品はドイツを代表するオーガニック化粧品ブランドとして世界35か国以上で販売され、我が国においても2004年頃から全国的に販売活動を展開した結果、多数のメディアで継続的に紹介されるほど、オーガニック化粧品の代表的なブランドとして認知されるに至っている。したがって、少なくとも本件商標の出願時には、引用商標は既に周知性を獲得していたことは明らかである。
エ 本件商標と引用商標との類似性
(ア)外観上の類似性
本件商標は、「ラフェリア」の片仮名と「LAFERIA」の欧文字を二段に書してなるものである。一方、引用商標は、いずれも、「Lavera」の欧文字部分が顕著に表されており、かつ、該文字部分は本件商標の構成中、語頭部分「L」「A」、語尾部分「A」に加え、中間部分「E」「R」の5文字までもが共通していることから、両者は外観において、きわめて近似した印象を与えるものである。
(イ)称呼上の類似性
本件商標は「ラフェリア」、引用商標は「ラヴェーラ」の称呼を生ずる。そこで両称呼「ラフェリア」と「ラヴェーラ」とを比較すると、第2音の子音「f」「v」が、両唇音であるばかりでなく、母音「e」を共通にする。しかも、該「e」は、いずれも「f」「v」に比べて強く響くところから、該差異音は近似した音として聴取されることになる。加えて、これらに続く「リア」は、「リ」音の母音「i」が、次に発音する母音「ア」音に吸収されがちに「リ」と「ア」の音とが合体し、「リヤ」又は「ラ」の音に近似した音に聞きとられる場合も少なくない。そのため、両者を一連に称呼したときには、全体の音調、音感が極めて近似しているといえる。
ところで、簡易迅速が尊ばれる商取引の場においては、ぱっと見ただけの印象や記憶を頼りにして取引が行われることが多い。そして、需要者・消費者は、時と処を異にして商標に接するのが一般的であるから、それぞれの商標に接したときに受けた外観上の記憶や印象を頼りにして、商品及び役務を区別することになる。
また、化粧品や医薬品の分野においては、文字の綴りや外観、想定し得る称呼の全体的な音感など、商標全体が与える印象が大きな役割を果たすといえる。
したがって、時と処を異にして両商標に接した場合、本件商標の外観が看者に与える印象や記憶と、引用商標の外観が与える印象や記憶とは相共通する部分が大きく、また、両者の音感も極めて近似しているから、商品・役務の出所について混同を生じる可能性が高い。
そして、前記ウのとおり、引用商標が既に我が国においてオーガニック化粧品のトップブランドとして認知され周知性を獲得していることに鑑みれば、両商標は、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあると考えるべきである。よって、本件商標は引用商標に類似すると判断されるべきである。
オ 小括
以上述べたとおり、本件商標と引用商標とは類似し、本件商標にかかる指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似することは明らかであるから、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第15号について
仮に、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとは認められないとしても、本件商標は次のとおり請求人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある。
ア 出所混同の判断基準
本号の判断は、最高裁判決 平成10年(行ヒ)85号(甲80)の判示事項を基準として判断されるべきである。
イ 本件商標と引用商標との類似性
本件商標と引用商標とは、前述のとおり、外観や称呼において共通する部分が大きく、取引者・需要者は両者から共通した印象やイメージを感受するものである。加えて、引用商標を構成する「Lavera(lavera)」、「ラヴェーラ」はいずれも特定の観念を生じさせない造語であり、独創性の高い商標である。このように、造語より構成される創造商標については、一般に強い識別性が認められ、他人がその商標と類似するような商標を使用した場合には、既成語から構成される商標よりも、需要者に対する印象、記憶、連想作用等から出所の混同が生ずる幅は広いというべきである。
ウ 商品間の関連性、需要者の共通性
申立人が販売している前述の商品と本件商標の指定商品は共に、ドラッグストア等で幅広く販売されているものであり、両者は販売場所が共通する。 また、化粧品とサプリメントは、その両方を製造・販売する会社は多数存在しており(甲81?甲83)、互いに密接に関連する商品であり、販売部門・生産部門において共通する。
さらに、引用商標は、オーガニック化粧品の世界的ブランドとして広く知られている。このような化粧品の需要者は、主として、美容に関心のある女性であることから、引用商標と本件商標は需要者層も共通する。
したがって、本件商標の需要者は、本件商標と引用商標の構成上の相違にもかかわらず、本件商標と引用商標から受ける印象やイメージが共通し、なおかつ本件商標にかかる指定商品は引用商標の使用にかかる商品と密接な関連性を有することから、申立人と経済的若しくは組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品ではないかと、その出所について誤認混同するおそれがあるものといえる。
エ 小括
以上より、本件商標をその指定商品について使用すると、あたかも申立人の「ラヴェーラ\Lavera」商標に係る商品であるか、または、これと何らかの関連性を有する商品であるかのごとく誤認され、あるいは、その商品の出所について、組織的又は経済的に申立人と何らかの関係がある者の商品であるかのごとく誤認され、出所について混同を生ずるおそれがあるというべきである。よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

3 当審の判断
(1) 引用商標の周知性について
ア 申立人提出の甲各号証、同人の主張及び職権調査によれば、次の事実を認めることができる。
(ア)申立人は、1987年に設立され、ドイツに本社を置くいわゆる「オーガニック化粧品」の製造・販売メーカーであり、現在では、日本をはじめ世界で約30の国又は地域で事業を展開し、フェイスケア用品、リップクリーム、メイクアップ用品、ボディケア用品、ヘアケア用品、メンズケア用品など多種多様なオーガニック化粧品を扱っている(甲8?甲10、甲12)。
(イ)引用商標3が付された申立人のオーガニック化粧品(以下「申立人商品」という。)は、我が国において、遅くとも2005年(平成17年)には販売され(甲22、甲23)、現在では、全国の百貨店、雑貨店、化粧品ショップなど合計171の店舗、及びオンラインショッピングサイトにおいて販売されている(甲16、甲17)。
(ウ)また、申立人商品は、2008年(平成20年)ないし2012年(平成24年)に、多くの雑誌、新聞及びウェブサイトにおいて紹介等されている(甲24?甲77)。
(エ)しかしながら、申立人商品の我が国における売上げ、シェアなど販売実績を示す証左、及び引用商標1及び2が使用されている証左はいずれも見いだせない。
イ 上記アのとおり、申立人は我が国において、オーガニック化粧品について遅くとも2005年(平成17年)から現在まで継続して引用商標3を使用し、申立人商品は2008年(平成20年)から各種雑誌等で多数紹介されている事実からすれば、引用商標3は、オーガニック化粧品に関心を有する需要者の間で、申立人の業務に係るオーガニック化粧品を表示するものとして相当程度知られていると認めることができる。
しかしながら、我が国における申立人商品の販売実績を示す証左はなく、また、それを裏付ける証左はないが、仮に、申立人が主張する2008年(平成20年)ないし2013年(平成25年)の世界各国での売上高が事実だとしても、最高額でも2012年(平成24年)の33.4億円と、世界の市場規模からみれば決して大きな額とはいえないことから、引用商標3が、本件商標の登録出願の日前ないし登録査定時において、他人(申立人)の業務に係る商品であることを表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
また、引用商標1及び2は、いずれもその使用の事実も確認できないから、これらは、他人(申立人)の業務に係る商品であることを表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標は、上記1のとおり「ラフェリア」と「LAFERIA」の文字からなり、その構成文字に相応して「ラフェリア」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
イ 他方、引用商標は、別掲1ないし3のとおりの構成からなり、それらの構成中「ラヴェーラ」「Lavera」及び「lavera」の文字に相応し「ラヴェーラ」及び「ラヴェラ」の称呼を生じるものであって、いずれも特定の観念を生じないものである。
ウ そこで、本件商標と引用商標を比較すると、外観においては、構成全体では上記の構成から相紛れるおそれのないことが明らかであり、また、欧文字部分の比較においても両者の構成文字及び文字数の差異により容易に区別し得るものとみるのが相当である。
次に称呼においては、本件商標の称呼「ラフェリア」と引用商標の称呼「ラヴェーラ」及び「ラヴェラ」とは、語頭音「ラ」を共通にするとしても、第2音以下に「フェリア」と「ヴェーラ」「ヴェラ」の明らかな差異を有するから、両者は相紛れるおそれはない。
さらに、観念においては、両商標は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、相紛れるおそれのないものである。
してみれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものといえない。
その他、本件商標と引用商標とが類似するとすべき理由は見いだせない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではない。
(3)商標法第4条第1項第15号について
上記(1)のとおり、引用商標は他人(申立人)の業務に係る商品であることを表示するものとして需要者の間に広く認識されているものとは認められず、上記(2)のとおり、本件商標は引用商標と外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
そうすると、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく、その商品が申立人あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのごとく、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものとはいえない。
(4)まとめ
以上のとおりであるから、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲

1 引用商標1


2 引用商標2

3 引用商標3





異議決定日 2015-02-19 
出願番号 商願2013-65763(T2013-65763) 
審決分類 T 1 651・ 263- Y (W0305)
T 1 651・ 261- Y (W0305)
T 1 651・ 271- Y (W0305)
T 1 651・ 262- Y (W0305)
最終処分 維持  
前審関与審査官 平松 和雄 
特許庁審判長 土井 敬子
特許庁審判官 原田 信彦
大森 健司
登録日 2014-05-30 
登録番号 商標登録第5674343号(T5674343) 
権利者 株式会社ジーエルコーポレーション
商標の称呼 ラフェリア 
代理人 小暮 君平 
代理人 工藤 莞司 
代理人 長谷川 芳樹 
代理人 森川 邦子 

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