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審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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無効2013890028 | 審決 | 商標 |
平成24ワ8346商標権侵害差止等請求事件 | 判例 | 商標 |
不服202013251 | 審決 | 商標 |
不服201116950 | 審決 | 商標 |
不服20171293 | 審決 | 商標 |
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審決分類 |
審判 全部無効 観念類似 無効としない X30 審判 全部無効 称呼類似 無効としない X30 審判 全部無効 外観類似 無効としない X30 |
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管理番号 | 1298283 |
審判番号 | 無効2014-890035 |
総通号数 | 184 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2015-04-24 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2014-05-21 |
確定日 | 2015-02-09 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第5580635号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5580635号商標(以下「本件商標」という。)は、「あずきバー」の文字を標準文字で表してなり、第30類「あずきを加味してなる菓子」を指定商品として、平成22年7月5日に登録出願、同25年3月18日に商標法第3条第2項の要件を具備するものとして、登録すべき旨の審決がなされ、同年5月10日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 請求人が引用する登録第4907782号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲のとおり、「白州山風」の文字と「十勝あずきバー」の文字とを上下二段に表してなり、平成17年2月10日登録出願、第30類「小豆を使用してなるバー状の氷菓」を指定商品として、同年11月11日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 第3 請求人の主張 1 請求の趣旨 請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。 2 請求の理由 本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、同法第46条第1項第1号の規定により、無効にすべきものである。 (1)利害関係 請求人は、「十勝あずきバー」等の商標を付した小豆を使用してなるバー状の氷菓その他のアイス菓子を含む菓子の製造及び販売会社である株式会社シャトレーゼの株式を所有することによって、当該会社の事業活動を支配、管理することを業とする法人であり、本件商標の無効を請求する法律上の利害関係を有する。 (2)本件商標と引用商標との類否 本件商標は、「あずきバー」の文字からなり、「アズキバー」の称呼を生ずる。 一方、引用商標は、「白州山風\十勝あずきバー」の文字を上下二段に表してなり、上下を一体的に観察する特段の要素も存在しない。そのため、上段の「白州山風」と下段の「十勝あずきバー」の各部分が分離観察され、それぞれ別個の称呼である「ハクシュウサンプウ」及び「トカチアズキバー」の称呼が生じ得る。 ところで、「十勝あずきバー」の「十勝」の部分は、数少ない国産小豆の生産地として有名な「十勝産」の「小豆」を原材料の表示(品質表示)するものであるため、何らの識別力を有するものではない。 したがって、両商標は「アズキバー」の称呼を共通にする類似の商標である。 (3)指定商品について 本件商標の指定商品第30類「あずきを加味してなる菓子」と、引用商標の指定商品第30類「小豆を使用してなるバー状の氷菓」とは、類似の商品である。 (4)結論 本件商標と引用商標とは、「アズキバー」の称呼を共通にする類似の商標であり、その指定商品も類似する商品である。 3 答弁に対する弁駁 被請求人は、「第1 請求人の主張に対する認否」において、「いずれにせよ、これらの取消審判のいずれかによって引用商標の登録が取り消された場合には、本件無効審判請求は成り立たないものとなることはいうまでもない。」と主張している。 しかしながら、下記の理由により、被請求人の当該主張は失当である。 商標登録無効審判の趣旨は、過誤による商標登録の存続による弊害を防止することにあり、審査官による商標登録の要件の審査に瑕疵があったのか否かを、事後的に審判官の合議体が判断するものである。そのため、原則として登録査定時を判断基準時とするものである(甲第4号証)。 一方、商標法第50条の不使用取消審判の場合には、審判請求の登録日から、商標法第51条の不正使用取消審判及び同法第53条の不正使用取消審判の場合には、商標登録を取り消すべき旨の審決確定後、それぞれ、対象の商標権が消滅することになる(商標法第54条)。 したがって、万一、引用商標の登録が取り消された場合であっても、本件商標の登録査定時には引用商標は有効に存続しており、無効理由は存在し得ることになるため、本件無効審判請求は適法に成立し得るものである。 第4 被請求人の答弁 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証を提出した。 1 本件商標と引用商標との非類似性 本件商標は、標準文字で表す「あずきバー」の文字からなり、「あずきを加味してなる菓子」を指定商品とするものであって、当該指定商品に使用された結果、需要者が被請求人(井村屋グループ(株))の業務に係る商品であることを認識することができるものとして、商標法第3条第2項の規定を適用して登録されたものである。 これに対して、引用商標は、次に掲げるように、上段に「白州山風」、下段に「十勝あずきバー」の文字をそれぞれ明朝体からなる同一の書体でかつ同一大きさにて二段に中心位置を合わせて全体にバランスよく、かつ、一体にまとまりよく横書きに表してなるものである。 そして、引用商標の上段の「白州山風」の構成部分は、山梨県の(旧)地名である「白州」の山地方(地域)にみられる生活様式やならわしをならった、というほどの意味を認識させる、それ自体、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものである。 引用商標は、上記のとおり、同一の書体でかつ同一大きさにて上下二段に中心位置を合わせて、全体にバランスよく、かつ、一体にまとまりよく表してなるものであるから、識別標識としての機能を有する「白州山風」の構成部分を含む、上下二段の「白州山風/十勝あずきバー」の文字全体をもって取引に資されるのが自然である。 請求人は、当該引用商標の使用状況について何ら言及しておらず(それどころか、引用商標については不使用取消審判及び不正使用取消審判が請求され、その不使用を含む適正な使用が争われている。)、引用商標について考慮されるべき取引の実情は存在しない。 そうであるとすると、本件商標についての取引の実情(被請求人の周知商標であること)に鑑みれば、本件商標が引用商標と相紛れるおそれはなく、商標法第4条第1項第11号に該当するとの請求人の主張は、明らかに失当である。 第5 当審の判断 1 利害関係の有無について 本件審判の請求につき利害関係を有するか否かについては、当事者間に争いはないので、本案に入って判断する。 2 商標法第4条第1項第11号該当性について (1)本件商標について 本件商標は、「あずきバー」の文字を標準文字で表してなり、第30類「あずきを加味してなる菓子」を指定商品として登録出願されたものであるところ、査定不服審判(不服2011-16950)において、本件商標は商標法第3条第1項第3号に該当するものの、被請求人が「あずきを加味してなる菓子」について本件商標を永年使用した結果、本件商標の登録審決時に、取引者、需要者が被請求人の業務に係る商品を表すものとして認識し得るに至ったと認定され、商標法第3条第2項の適用により登録されたものである。 したがって、本件商標は、「アズキバー」の称呼を生じ、「井村屋の業務に係るあずきを加味してなる菓子」の観念を生ずるものというのが相当である。 (2)引用商標について 引用商標は、前記第2のとおり、「白州山風」の文字と「十勝あずきバー」の文字とを上下二段に表してなるところ、下段に表された 「十勝」の文字は、「北海道東南部の支庁」を意味し、小豆や小麦などの畑作と酪農を主要産業とする地域である。また、「あずき」の文字は、「小豆」の平仮名表記したものであり、特に十勝産の小豆は、品質がよいといわれ、餡や菓子などの材料として使用される実情がある。さらに、「バー」の文字は、「棒」の意味を有する「bar」の英語を片仮名表記したものであり、菓子との関係においては「棒状の菓子」を理解させるものであることからすれば、それらを一連に「十勝あずきバー」と結合した文字を、その指定商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者をして、該文字部分を「北海道十勝産の小豆を使用してなる棒状の菓子」程の意味合いを容易に認識し、単に、商品の品質を表示したものと認識するにすぎず、引用商標の登録査定時において、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ない。 そうすると、「十勝あずきバー」の文字部分は、特定の称呼及び観念を生じないものであるから、これを引用商標から分離、抽出して、他の商標と比較して商標そのものの類否を判断すべきではない。 してみれば、引用商標は、その構成中、上段の「白州山風」の文字部分が、辞書等に載録が認められないものであるから、該文字は、特定の観念を生じさせない造語として看取される。そうとすれば、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るといえるものであり、該文字から「ハクシュウサンフウ」の称呼を生ずるものである。 したがって、引用商標は、その構成全体の文字から生ずる「ハクシュウサンフウトカチアズキバー」の称呼を生ずるほか、単に「ハクシュウサンフウ」の称呼をも生じ、特定の観念を生じないというのが相当である。 (3)本件商標と引用商標との類否について 本件商標と引用商標とを比較するに、両商標は、それぞれ上記のとおりの構成からなるものであって、外観において明らかに区別し得るものであるから、外観上相紛れるおそれはない。 また、本件商標から生じる「アズキバー」の称呼と引用商標から生ずる「「ハクシュウサンフウトカチアズキバー」又は「ハクシュウサンフウ」の称呼とは、その音構成及び構成音数に明らかな差異を有するものであるから、称呼上相紛れるおそれはないものである。 さらに、本件商標は、「井村屋の業務に係るあずきを加味してなる菓子」の観念が生ずるのに対し、引用商標からは、特定の観念を生じないものであるから、観念上類似するとはいえないものである。 してみれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標である。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 3 むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではないから、同法第46条第1項の規定により、無効にすることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲(引用商標) |
審理終結日 | 2014-11-26 |
結審通知日 | 2014-11-28 |
審決日 | 2014-12-25 |
出願番号 | 商願2010-52888(T2010-52888) |
審決分類 |
T
1
11・
262-
Y
(X30)
T 1 11・ 263- Y (X30) T 1 11・ 261- Y (X30) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 薩摩 純一 |
特許庁審判長 |
関根 文昭 |
特許庁審判官 |
前山 るり子 寺光 幸子 |
登録日 | 2013-05-10 |
登録番号 | 商標登録第5580635号(T5580635) |
商標の称呼 | アズキバー、バー |
代理人 | 伊藤 將夫 |
代理人 | 小林 弓子 |
代理人 | 三木 浩太郎 |
代理人 | 後藤 憲秋 |