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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
不服201320736 審決 商標
不服201412723 審決 商標
不服20147821 審決 商標
不服201413821 審決 商標
不服20139242 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W05
管理番号 1297348 
審判番号 不服2014-15539 
総通号数 183 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2015-03-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-08-07 
確定日 2015-02-05 
事件の表示 商願2013-93221拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成からなり、第5類「薬剤(農薬に当たるものを除く。)」を指定商品とし、平成25年11月28日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、別掲のとおりの構成からなり、その指定商品を取り扱う分野において、円・破線・直線等を組み合わせた構成からなる錠剤用の包装シートが使用されていることからすれば、その構成自体にさほど特徴があるものとはいえず、10錠詰めの錠剤の包装シートを表示したものと認識させるにとどまり、これをその指定商品に使用しても、商品の包装の形状を普通に用いられる方法の範囲内で表示するにすぎず、自他商品の識別標識として機能し得ないものと認められる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審の判断
1 本願商標について
本願商標は、別掲のとおり、角部を丸くした縦長の長方形であり、最上部を黒色に着色し、その下方部分を5分割する横線、各段の中央に線及び各枠内に円を配した構成からなるものである。
2 本願の指定商品との関係について
本願の指定商品は、上記第1のとおり、「薬剤(農薬に当たるものを除く。)」であるところ、その形状には、錠剤、粉薬、カプセル等の剤形があり、薬剤の安全性、安定性のために剤形に合わせた包装形態がとられているものであり、錠剤については、角部が丸みを帯びたシートに、その剤形に合わせた収納部を設けて複数個をまとめて包装することが普通に行われている。
また、商品の包装材は、一般に、内容物を安全に収納、保護し包装するという役割に加えて、視覚性、機能性のための文字や図形が表示され得るものであり、薬剤の包装シートにおいても、単に視覚的美観を呈するだけではなく、販売名、内容量等、薬の情報の伝達、管理上及び宣伝のために、彩色が施された文字や簡単な線や図形が普通に表示され利用されている。
これらについては、原審において挙げた例以外にも、以下のインターネット情報においても明らかである。
(1)エーザイ株式会社のウェブサイト
ア 商品「アリセプト錠3mg・5mg・10mg」について、角部に丸みがある14錠用包装シートの最上部が着色され販売名及び内容量が表示されて、円形錠剤の周辺に菱形が表示されるとともに、包装シートの中央に縦線及び内容量を表す数字を表示した正方形が縦に配されている。
http://www.eisai.jp/medical/news/products/pdf/KK1114AKI.pdf

(2)日本化薬株式会社のウェブサイト
ア 商品「フェアストン錠40・60」について、角部に丸みがある10錠用及び14錠用包装シートの円形錠剤の周辺に細長の長方形が表示されて、包装シートの中央に「40mg」の表示がされた円が縦に配されている。
https://mink.nipponkayaku.co.jp/product/di/ho_file/n550.pdf
イ 商品「サリグレンカプセル30mg」について、角部に丸みがある10錠用及び21錠用包装シートの中央又はカプセルの間に正方形が縦に配されている。
https://mink.nipponkayaku.co.jp/product/di/ho_file/n544.pdf

(3)高田製薬株式会社のウェブサイト
ア 商品「ロキシスロマイシン錠150mg「RM」」について、角部に丸みがある10錠用包装シートの中央に正方形が縦に配されている。
http://www.takata-seiyaku.co.jp/medical/product/t_785/?product=product785

(4)キョーリンリメディオ株式会社のウェブサイト
ア 商品「ラベプラゾールNa錠20mg「杏林」」について、角部に丸みがある10錠用包装シートの最上部が着色され販売名及び内容量が表示されて、円形錠剤の周辺に「20」の表示がされた三角形とともに、包装シートの中央に販売名を表す文字が縦に配されている。
http://www.kyorin-rmd.co.jp/cmsdata/medical_contents/news_pdf/140825rabeprazole20.pdf

(5)塩野義製薬株式会社のウェブサイト
ア 商品「イルベタン錠50mg」「イルベタン錠100mg」について、角部に丸みがある10錠用及び14錠用包装シートの最上部が着色され販売名及び内容量が表示されて、包装シートの中央に太線が縦に配されている。
https://www.shionogi.co.jp/med/download.php?h=11f2acff1269c39d538a877f5b58d854
イ 商品「クレストール錠2.5mg」「クレストール錠5mg」について、角部に丸みがある10錠用及び14錠用包装シートの中央に商品名及び破線が縦に配されている。
https://www.shionogi.co.jp/med/download.php?h=0edc395e34e847bca76fababf31a90ce

(6)武田薬品工業株式会社のウェブサイト
ア 商品「ユーロジン2mg錠」について、14錠用包装シートの中央にミシン目が縦に配されている。
http://www.takedamed.com/content/medicine/newsdoc/131001-euro.pdf
イ 商品「ランサップ400・800」について、包装シートの中央にミシン目が縦に配されていて、色彩により左右の分離がされている。
http://www.takedamed.com/content/medicine/newsdoc/131001lan.pdf

(7)東和薬品株式会社のウェブサイト
ア 商品「ロキシマイン錠150mg」について、角部に丸みがある10錠用包装シートの最上部が着色され販売名及び内容量が表示されて、円形錠剤の周辺に「150」の表示がされた長方形が配されている。
http://di.towayakuhin.co.jp/towa5/files/ohh/ROX_TAB_150_ohh_040028.pdf
イ 商品「ピオグリタゾンOD錠30mg「トーワ」」について、角部に丸みがある10錠用包装シートの最上部が着色され販売名及び内容量等が表示されて、円形錠剤の周辺に商品名が表示された長方形が配されている。
http://di.towayakuhin.co.jp/towa5/files/ohh/PGT_TAB_30_ohh_041683.pdf
ウ 商品「トシラートカプセル50mg」について、角部に丸みがある包装シートのカプセルの周辺に断続的な太い横線が配されている。
http://di.towayakuhin.co.jp/towa5/files/ohh/TSL_CAP_50_ohh_040099.pdf
エ 商品「ドスペロピン錠10」について、角部に丸みがある10錠用包装シートの最上部が着色され販売名が表示されて、円形錠剤の周辺に「10mg」の表示された長方形とともに、包装シートの中央に小さな長方形が縦に配されている。
http://di.towayakuhin.co.jp/towa5/files/ohh/DSP_TAB_10_ohh_039832.pdf
オ 商品「ランソプラゾールカプセル15mg「トーワ」」について、角部に丸みがある14錠用包装シートのカプセルの周辺に「15mg」の表示がされた半円状の図形とともに、包装シートの中央に縦線が配されている。
http://di.towayakuhin.co.jp/towa5/files/ohh/LAN_CAP_15_ohh_041565.pdf

なお、上記の包装シートは、多くが縦長の長方形であり、10錠用包装シートは、1列に2錠を5段に並べて1シートに包装されている。

以上の取引の実情からすると、錠剤の包装シートは、多くの場合、角部に丸みをつけた縦長の長方形が使用されているものであって、最上部が着色されていること、錠剤収納部周辺に、各種の線、四角形、円などの簡単な図形が表示されている場合が少なくないこと、円形の錠剤が1列に2錠を並べた1シートに10錠をまとめて包装した形状で広く取引されていることが認められる。また、それらの図形等を利用して販売名等が表示されている。
そこで、これらの事実を総合的に勘案すると、薬剤の包装シートの形状や表示される簡単な図形は、包装シートの美観や情報表示等の機能を際立たせるために選択されたものと認識し、出所表示識別のために選択されたものとは認識しない場合が多いといえる。そして、本願商標が構成中の「最上部の彩色枠と下方に断続的に伸びる5つの縦線」に特徴を有しているとしても、その程度の特徴は、指定商品の包装の形態及び表示における選択と予測し得る範囲のものというのが相当である。
したがって、本願商標は、一般的な円形錠剤の10錠用包装シートの特徴を備えているものであるから、本願商標をその指定商品に使用しても、取引者、需要者は、単に商品の包装の形状を表示するにすぎないものとして理解するに止まり、自他商品を識別するための標識とは認識し得ないものと判断するのが相当であり、本願商標は、商品の包装の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるというべきである。
よって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
3 請求人の主張について
請求人は、本願商標は最上部の彩色枠と下方に断続的に伸びる5つの縦線が特徴的な表示態様となっていて識別力を有するものであり、このような特徴的な表示がその指定商品に使用されている事例を見いだせないから、識別力を有する旨主張する。
しかしながら、薬剤の包装シートには、一般的に、上記2のとおり、最上部の着色や錠剤収納部周辺における破線、簡単な図形等が表示されているものであり、それらの図形内には文字による薬の情報等が表示される場合が多く、また、破線、色彩等による縦方向(左右)の視覚的な分離も行われていることからすると、看者は、該文字による薬の情報の表示から商品の出所や内容を理解しているとみるのが相当であり、かかる情報の表示の視認性や表示の機能性を高めるために施された彩色枠及び一般的に使用され得る簡単な図形により、商品の出所を認識することは困難であるというべきである。
したがって、本願商標は、これと同様な表示がその指定商品に使用されている事例がないとしても、本願商標における最上部の彩色及び断続的に伸びる5つの縦線は、それぞれ商品の出所識別標識として看者の目を惹く特徴のあるものということはできないものであり、また、全体としても、本願商標は自他商品の識別標識としての機能を果たす部分を見いだせない。
よって、請求人の主張を採用することはできない。
4 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲




審理終結日 2014-11-28 
結審通知日 2014-12-02 
審決日 2014-12-18 
出願番号 商願2013-93221(T2013-93221) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W05)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大井手 正雄小松 里美 
特許庁審判長 野口 美代子
特許庁審判官 堀内 仁子
真鍋 伸行

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