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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W29
管理番号 1297294 
審判番号 不服2013-15303 
総通号数 183 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2015-03-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-08-07 
確定日 2015-02-12 
事件の表示 商願2012-43423拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「湘南二宮オリーブ」の文字を標準文字で表してなり、第3類、第25類、第29類及び第30類に属する願書に記載のとおりの商品を指定商品として平成24年5月30日に登録出願され、その後、指定商品については、同年11月14日受付、同年同月15日受付及び同25年2月25日受付の手続補正書により、最終的に第29類「湘南地方二宮町産のオリーブを原材料とするオリーブオイル」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、神奈川県二宮町を認識させる『湘南二宮』の文字に、モクセイ科の植物の1つである『オリーブ』の文字を書してなるが、構成中の『湘南』の文字は、神奈川県南部の三浦半島から伊豆半島に至る相模湾岸の地域を表す語であり、その湘南地方には、『二宮町』があるから、『湘南二宮』からは、『湘南地方の二宮町』を認識させるものである。そして、構成中の『オリーブ』の文字は、食用油の1つである『オリーブオイル』の元となる商品であるから、これをその指定商品に使用しても、単に商品の産地・品質を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、前記1のとおり「湘南二宮オリーブ」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「湘南二宮」の文字が「湘南地方の二宮町」を表す地名として一般に使用されていることは、例えば別掲1のとおりである。
そうとすれば、本願商標は、その補正後の指定商品との関係において、「湘南地方の二宮町で栽培されたオリーブを原材料とするオリーブオイル」を表示したものと容易に認識させると判断するのが相当である。
してみれば、本願商標は、これをその補正後の指定商品に使用しても、商品の品質、原材料を表示したものと認識するにすぎず、自他商品の識別機能を有するものとは認められない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、請求人がオリーブを小豆島以外の土地で初めて本格栽培を行ったパイオニアであり、湘南の地にある二宮町でのオリーブ栽培は全く斬新な発想からなるもので、二宮町におけるオリーブ栽培技術の確立は日本農業界の成功の証であり、商標法第3条第1項第3号とは無関係なもので該当するものではない旨、及び、本願商標は、二宮町の農家が栽培するオリーブの実を請求人が全て買い受け、二宮町の特産品として地域産業の象徴となることを目指して、使用することを目的とするから、商標法第3条第1項第3号には該当しない旨主張している。
しかしながら、本願商標は、その補正後の指定商品との関係において、商品の品質、原材料を表示したものと認識すること上記(1)認定のとおりである。
そして、請求人から提出された証拠(資料1ないし4)及び二宮町のホームページ(以下「証拠等」という。)には、別掲2のような記載があることから、二宮町がオリーブ事業を推進していること、及び、収穫したオリーブのブランド化を図ろうとしていることが認められる。
そうとすれば、「湘南二宮オリーブ」の文字は、取引に際し必要適切な表示として何人(例えば、請求人以外の二宮町のオリーブやオリーブを使用した加工商品の生産者)もその使用を欲するものであって、特定人による独占使用を認めるのは妥当なものとはいえないというべきであるから、商標法第3条第1項第3号に該当するというのが相当である。
また、証拠等から、二宮町が推進するオリーブ事業に請求人が一定程度関与していることは認められるものの、商標法第3条第1項第3号の適否において、請求人が主張するような事情を考慮することは相当とはいえない。
イ 請求人は、地名と商品名を組み合わせた構成からなる過去の登録例を挙げて、本願商標も登録されるべきである旨主張している。
しかしながら、商標が自他商品識別標識としての機能を有するか否かの判断は、査定時又は審決時における取引の実情を勘案して、その指定商品の取引者、需要者の認識を基準に個別具体的に判断されるべきものであるから、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当すること上記のとおりであって、他の登録例の存在によって、その判断は何ら左右されるものではない。
ウ 請求人は、本願商標を付したオリーブオイルが、JR二宮駅前にある二宮町観光協会の物産店「にの屋」で実際に販売されている事実は、本願商標が充分に識別標識としての機能を果たし得るものであることを裏付けている旨主張している。
しかしながら、提出された証拠からは、本願商標と同一または類似する商標を請求人が使用していることは認められるものの、その使用期間、使用地域、生産量、販売量、売上高等が不明であるから、本願商標は、使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至ったものとは認められない。
したがって、請求人の主張は何れも採用することができない。
(3)むすび
してみれば、本願商標は、これをその補正後の指定商品について使用するときは、商品の品質、原材料を表示するにすぎないものであって、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものといわなければならない。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって取消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1 「湘南二宮」の文字が地名として使用されている事例
1 1999年9月28日付毎日新聞(地方版/神奈川)には、「[出発シンコー]JR東海道線二宮駅(二宮町) 駅長・山本治雄さん /神奈川」の見出しの下、「一度お越しください。長寿の里、湘南二宮へ。」と記載されている。
2 2002年9月11日付日本工業新聞には、「総務省がバリアフリー型IT利用施設建設補助金 神奈川・二宮町に交付」の見出しの下、「総務省関東総合通信局は、地域におけるバリアフリー型IT(情報技術)利用施設として高齢者や障害者が容易に利用できる『湘南二宮ITふれあい館』(仮称)の建設構想を推進している神奈川県二宮町に対し、補助金三千四百八十一万円の交付を決定した。関東通信局管内では初めての実施となる。」と記載されている。
3 2011年9月25日付読売新聞(東京朝刊)には、「[談論風発]音楽のまちづくり=神奈川」の見出しの下、「第1回湘南二宮音楽祭が、10月15、16の両日、同町の生涯学習施設『ラディアン』で開かれる。」と記載されている。
4 二宮町のホームページには、「海と山とやさしさとみんな大好き湘南にのみや」と記載されている。(http://www.town.ninomiya.kanagawa.jp/index.html)
5 「神奈川グルメサイト かながわ グルメガイド」と題するウェブサイトには、「二宮町のご当地グルメ」の見出しの下、「二宮ブランド認定商品 湘南二宮みかんロール」が掲載されている。(http://www.kanagawa-kankou.or.jp/gourmet/search/detail.php?gid=g00282)

別掲2 請求人から提出された証拠(資料1ないし4)及び二宮町のホームページにおけるオリーブ事業に関する記載
1 資料1(全国農業新聞 2012年7月6日)には、「オリーブで農業再生 神奈川・二宮町」の見出しの下、「首都圏のベッドタウンとして知られる神奈川県二宮町(にのみやまち)がオリーブによる農業の再生に乗り出した。・・・加工・流通にも取り組み、『湘南オリーブ』として売り出す意向もある。」と記載されている。
2 資料2(読売新聞 2012年5月31日)には、「オリーブを特産品に…神奈川・二宮町が休耕地で試験栽培」の見出しの下、「オリーブを新たな特産品にしようと、神奈川県二宮町は30日、同町一色地区の休耕地で試験栽培を始めた。・・・将来は『湘南オリーブ』としてブランド化し、売り出したい考えだ。」と記載されている。
3 資料3(タウンニュース 2012年3月23日号)には、「オリーブでまちおこし」の見出しの下、「将来を見据えた第6の特産物としてオリーブ栽培に取り組む方針を打ち出している二宮町。・・・町は、二宮ブランドとしての付加価値と農業再生という観点からもオリーブ栽培に期待を寄せている。」と記載されている。
4 資料4(NHKのウェブサイト 2012年5月30日)には、「オリーブを新たな特産物に」の見出しの下、「二宮町の農家が町とともに新たな試みを始めます 神奈川県西部の二宮町は温暖な気候を活かし、今年度からオリーブの試験栽培を始めることにしました。・・・5年後の商品化をめざすことにしています。」と記載されている。
5 二宮町のホームページには、「二宮町のオリーブ事業の推進」の見出しの下、「二宮町では、気候温暖な立地条件を生かし、耕作放棄地の解消や有害鳥獣対策などにも繋がり、高付加価値化が実現可能な作物として、新たな特産品『湘南オリーブ』の栽培に取り組んでいます。」と記載されている。また、「平成26年度以降の取り組み」の見出しの下、「オリーブを使用した加工商品は、オリーブオイル、塩漬けなどがありますが、その他の食品、化粧品、お茶への活用を検討し、町として何を目指していくかを協議会の場において決めていく予定です。」と記載されている。(http://www.town.ninomiya.kanagawa.jp/kankou/meisan/olive.html)

審理終結日 2014-04-25 
結審通知日 2014-04-30 
審決日 2014-05-13 
出願番号 商願2012-43423(T2012-43423) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W29)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 津金 純子 
特許庁審判長 土井 敬子
特許庁審判官 梶原 良子
高野 和行
商標の称呼 ショーナンニノミヤオリーブ、ショーナンオリーブ、ニノミヤオリーブ、オリーブ 
代理人 赤津 悌二 
代理人 田辺 稜 
代理人 浜田 治雄 
代理人 西口 克 

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