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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W43
審判 全部申立て  登録を維持 W43
審判 全部申立て  登録を維持 W43
審判 全部申立て  登録を維持 W43
審判 全部申立て  登録を維持 W43
管理番号 1296283 
異議申立番号 異議2013-900316 
総通号数 182 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2015-02-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2013-09-12 
確定日 2014-12-18 
異議申立件数
事件の表示 登録第5589723号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5589723号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5589723号商標(以下「本件商標」という。)は、「EATALIA」の欧文字を標準文字により表してなり、平成24年11月30日に登録出願、第43類「飲食物の提供」を指定役務として、同25年4月24日に登録査定され、同年6月14日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する登録商標は、国際登録第957648号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、2008年(平成20年)1月16日に国際商標登録出願、第43類「Providing of food and drink; temporary accommodation.」、第35類及び第41類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿記載の役務を指定役務として、平成21年11月13日に設定登録され、現に有効に存続している。

3 登録異議申立ての理由
申立人は、本件商標が商標法第4条第1項第10号、同項第11号及び同項第15号に違反して登録されたものであるから、その登録は取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第41号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号該当性
本件商標「EATALIA」と引用商標「EATALY」とは、「E」、「A」、「T」、「A」、「L」の5文字が共通であって、外観において類似であり、本件商標の称呼「イータリア」と引用商標の称呼「イータリー」とは、称呼の「イータリ」の部分が共通であって、称呼においても類似であり、さらに、両者とも「イタリア(の食・食材・食品)を食べる」といった観念を生じるものであって、観念において同一である。
また、本件商標の指定役務「飲食物の提供」と引用商標の指定役務「Providing of food and drink」とが同一である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第10号該当性
甲第7号証ないし甲第15号証及び甲第17号証ないし甲第41号証において使用されている「EATALY」(以下「引用標章」という。)は、本件商標の登録出願日前より申立人の標章として広く一般に知られるものとなっており、本件商標の指定役務は引用標章が使用されている役務と同一又は類似するものである。
よって、本件商標は、他人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似する商標であって、その役務と同一又は類似する役務について使用をするものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。
ア 申立人の歴史・事業
「EATALY」の歴史は、2007年1月、イタリアトリノで「EAT」と「ITALY」とを組み合わせた店名が、食材や食品を売り、実際に食べることができ、さらに食に関するセミナーも開催する、食のアミューズメントパークさながらの存在であり、コンセプトは、イタリアの「本当の食」であり、よりよい食生活は、より素晴らしい人生への扉です」というコピーを掲げ、食を取り巻く文化を伝えることを目指している(甲7ないし甲9)。
2008年9月27日、東京の代官山に日本で最初の「EATALY」の店舗が誕生し、イタリアのトリノ店、ミラノ店に続く3店舗目として、また、イートインスペースやレストランなども備える本格的な店舗としては2号店となり、海外初の出店であり、「EATALY」は、生産から販売まで、すべてのプロセスにイタリアの食文化への愛と自信が込められている(甲7及び甲10ないし甲15)。
また、2007年12月12日には、事業の成長及び発展に伴い、「飲食店の経営及び飲食店のフランチャイズ事業の運営」等を目的とし、申立人が株主となるEataly japan株式会社を設立した(甲16及び甲17)。
イ 申立人の事業に対する期待度・注目度・認知度の高さ
イタリアトリノに本店を持つフードマーケットとして、日本への出店前から各種メディアで多数取り上げられ、2008年9月5日にイタリア大使館で行われた、日本で最初の店舗となる代官山店オープン前の記者発表には駐日イタリア大使も出席等、期待度・注目度も極めて高かった(甲18ないし甲20)。
上述のように、引用標章は、申立人の事業に対する期待度・注目度・認知度の高さや、ハイセンスなエリアとして認識されている代官山及び多数の集客がある日本橋三越本店・アトレ亀戸・横浜駅東口地下街ポルタ等にレストランを構えていること(甲13及び甲14)、日本橋三越本店・JR東日本東京駅構内地下1Fグランスタ内・吉祥寺アトレ・新宿京王百貨店・アトレ亀戸・東京スカイツリータウン東京ソラマチ・横浜駅東口地下街ポルタ・阪急うめだ・アトレ品川といった非常に人通りの多い場所に直営店やイータリー商品取り扱い店舗を構えていること(甲14-4及び甲17)、イタリア・アメリカにも多数の店舗を構えていること(甲14-5及び甲41)等から、本件商標の登録出願日前から需要者の間で周知であったことが明白である。
ウ 本件商標と引用標章とは、前記(1)のとおり、称呼、観念、外観のいずれにおいても明らかに同一又は類似の商標である。
エ 引用標章は、申立人が運営する「イタリアンレストラン」について広く使用されており、これらは「飲食物の提供」と同一である。
オ 役務の出所についての混同のおそれについて
本件商標と引用標章との間には、多数のブログにおいて混同が生じている(甲21ないし甲40)。
該ブログ等は、食・流行に対する関心の高い、通常の需要者より注意力の高い需要者によって書かれたものといえ、さらに、不特定多数の者に閲覧されることを想定して書かれるものであるから、誤記等がないことを一定程度の注意力をもって確認した後に公開されたといえる。しかしながら、通常の需要者より注意力の高い該ブログの書き手である需要者が一定程度の注意力をもって確認したにも拘わらず、本件商標と引用標章との混同は回避できなかったのである。
この事実をかんがみれば、これらのブログの書き手より注意力が低い者も多分に含まれる通常の需要者の間では、本件商標と引用標章とについて、さらに混同を生じているであろうことが明らかである。
以上より、申立人の使用する引用標章は、少なくとも本件商標の登録出願時点で、「飲食物の提供」に関し、周知著名性を獲得しており、本件商標と引用標章と実際に混同が生じるほど類似する商標であることが明らかである。
カ 「EATALY」に係る申立人の事業の拡大
「EATALY」は、2007年1月の創業から順調に事業を拡大し、2013年秋にオープン予定の店舗を含めると、イタリアに11店舗、日本に12店舗、米国に2店舗の計17店舗を有し(甲17及び甲41)、また、イギリスなどへの出店も予定されている(甲20)ことから、「EATALY」と本件商標との間にさらに混同が生じることが予想され、混同防止の必要性は極めて高い。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性
本件商標は、その指定役務である第43類「飲食物の提供」に使用された場合、その役務の需要者が申立人の業務に係る役務と出所について混同する。したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
前記(2)のとおり、引用標章は、本件商標の登録出願日前から需要者の間で周知であり、前記(1)のとおり、本件商標と引用標章は、同一又は類似の商標である。
そして、引用標章は、「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,商業又は広告のための展示会の運営及び実施,食に関するセミナー・シンポジウム及び研修会の手配及ぶ運営,ぶどう酒醸造学及び食品化学の分野における文化及び教育のための展示会及びショー(実演)の運営等」について広く使用されており、これらは「飲食物の提供」と密接に関連し、需要者・取引者・目的等も共通することから、引用標章と類似する本件商標がその指定役務に使用された場合、本件商標と引用標章との間に出所の混同を生じるおそれがあることは明らかである(甲7ないし甲15及び甲17ないし甲41)。特に、イタリア料理の提供に関して出所の混同を生じる。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は、前記1のとおり、「EATALIA」の欧文字を標準文字により表してなるところ、該欧文字は、辞書等に載録が認められない一種の造語というべきであるから、特定の観念を生じないものである。
そして、特定の意味を有しない欧文字にあっては、ローマ字又は英語風の読みに倣って発音されるというのが一般的であるから、該構成文字に相応して「イータリア」の称呼を生じるものである。
イ 引用商標
引用商標は、前記2のとおり、ゴシック体の「EATALY」の欧文字を表してなるところ、該欧文字は、辞書等に載録が認められない一種の造語というべきであるから、特定の観念を生じないものである。
そして、特定の意味を有しない欧文字にあっては、ローマ字又は英語風の読みに倣って発音されるというのが一般的であるから、該構成文字に相応して「イータリー」の称呼を生じるものである。
ウ 本件商標と引用商標との対比
(ア)外観
本件商標は、前記1のとおりの構成からなるものであって、また、引用商標は、前記2のとおりの構成からなるものであるから、両者は、「EATAL」までを共通にするとしても、語尾における「IA」と「Y」の欧文字を異にするものであるから、外観上区別し得るものである。
(イ)称呼
本件商標から生じる「イータリア」の称呼と、引用商標から生じる「イータリー」の称呼とは、後尾音において「ア」の音と「リ」及び「リ」の音に伴う長音の差異を有するものである。そして、「ア」の音と「リ」及び「リ」の音に伴う長音は、「ア」が口を解放してのどの奥から発するのに対し、「リ」及び「リ」の音に伴う長音は、舌面を硬口蓋に近づけ、舌の先で上歯茎を弾くようにして発する有声子音(r)と母音(i)との結合した音節「リ」を伸ばして発音されるものである。
そうすると、「ア」の音は、はっきり発音され明瞭に聴取されるものであり、「リ」の音に伴う長音は、「リ」の音に吸収されやすい音となり、全体の語調を異にするものであるから、その差異が称呼全体に及ぼす影響は、決して小さいものということができず、両称呼を一連に称呼した場合に、十分に聴別し得るものである。
(ウ)観念
本件商標と引用商標は、ともに特定の観念を有しないものであるから、観念上類似するとはいえない。
(エ)以上によれば、本件商標と引用商標は、称呼、外観及び観念のいずれの点についても互いに紛れるおそれのない非類似の商標というべきものである。
(2)商標法第4条第1項第10号及び同項第15号該当性について
ア 引用標章の著名性について
(ア)申立人の提出した証拠及び申立ての理由によれば、以下の事実が認められる。
「代官山にイタリアン・フードマーケット\日本初上陸!EATALY」のすべて」(甲7:企画・制作/(株)扶桑社amarena編集部)には、「2007年1月、イタリアトリノで『EAT』と『ITALY』とを組み合わせた店名が、食材や食品を売り、実際に食べることができ、さらに食に関するセミナーも開催する、食のアミューズメントパークさながらの存在であり、コンセプトは、イタリアの『本当の食』、『よりよい食生活は、より素晴らしい人生への扉です』というコピーを掲げ、食を取り巻く文化を伝えることを目指しています。」旨の記載、「トリノ、ミラノに続く3店舗目で、イートインスペースやレストランなども備える本格的な店舗は2号店となり、もちろん海外初出店。」との記載がある。
また、「Eataly Japan\日本最大イタリア食材専門店」のウェブサイト(甲17)には、申立人が株主となる「Eataly japan株式会社を2007年12月12日に設立し、業務内容には、「イタリアの食材輸入販売、イタリア食材販売、飲食店経営」、店舗一覧には、「代官山店(本店):平成20年9月開店」、「日本橋三越店」及び「東京グランスタ店」が平成21年に開店、「アトレ吉祥寺店;平成21年10月開店」、「自由ケ丘店」、「池袋東武店」及び「アトレ亀戸店」が平成23年に開店、「京王新宿店」、「アトレ恵比寿店」、「東京スカイツリータウンソラマチ店」、「横浜ポルタ店」及び「阪急うめだ店」が平成24年開店である旨記載されている。そして、該ウェブサイトには、レストランティーニのご案内やレストラン&イートイン情報として「代官山店」、「日本橋三越店・レストランティーニ」や「バール(カフェ)」、「横浜ポルタ店・レストラン(イル・マリン)」、「イータリー アトレ亀戸店」が掲載(甲13及び甲14)、直営店一覧の中に「東武池袋店」及び「アトレ恵比寿店」が2013年8月20日及び同年7月3日で閉店となった旨が掲載されている(甲14-4)。世界のEATALY紹介として「EATALY TORINO」、「MILANO」、「BOLOGNA」、「BARI」、「ROMA」、「GENOVA」、「MONTIGELLO」、「EATALY NEWYORK」の各店が掲載されている(甲14-5及び甲41)。
さらに、イタリアトリノに本店を持つフードマーケット「EATALY(イータリー)」が2008年9月27日に東京の代官山にオープンするのに伴い、同月5日にイタリア大使館において記者発表がされた旨のウェブサイトがある(甲18ないし甲20)。
以上からすると、申立人は、イタリアトリノに本店を持つフードマーケットをミラノに次いで日本の代官山に平成20年に開店し、イタリア食材を扱う海外初出店としてイタリア関係者においては話題になり、申立人が株主となる「Eataly japan株式会社」のウェブサイトのレストランティーニのご案内やレストラン&イートイン情報に引用標章が付されていることが認められる。
しかしながら、レストラン名やカフェの店名等には、「レストランティーニ」、「バール」、「イル・マリン」等を使用していること及び閉店となっている店舗もあって、日本においては、10店舗となっており、多数ある飲食物の提供に係る店舗としては、多い店舗数ともいい難いことから、提出された証拠をもって、本件商標の登録出願日(平成24年11月30日)前より、我が国の取引者、需要者の間に飲食物の提供やイタリアの食材を取り扱う店舗として広く認識されていたものと認めることができない。
イ 本件商標と引用標章の類似性について
本件商標と引用標章は、前記(1)認定のとおり、称呼、外観及び観念のいずれの点についても、互いに紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
ウ 出所の混同
本件商標と引用標章とは、商標それ自体非類似の商標であるから、本件商標に接する取引者、需要者が、引用標章を想起又は連想することはないというのが相当である。してみれば、本件商標は、これを指定商品について使用しても、その取引者、需要者をして、該商品が申立人又はこれと何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生じさせるおそれがある商標ということはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同項第15号に該当しない。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第10号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲(引用商標)



異議決定日 2014-12-10 
出願番号 商願2012-101305(T2012-101305) 
審決分類 T 1 651・ 262- Y (W43)
T 1 651・ 271- Y (W43)
T 1 651・ 263- Y (W43)
T 1 651・ 261- Y (W43)
T 1 651・ 25- Y (W43)
最終処分 維持  
前審関与審査官 藤平 良二 
特許庁審判長 関根 文昭
特許庁審判官 手塚 義明
寺光 幸子
登録日 2013-06-14 
登録番号 商標登録第5589723号(T5589723) 
権利者 株式会社パワーアップ
商標の称呼 イータリア 
代理人 恩田 博宣 
代理人 恩田 誠 
代理人 恩田 博宣 
代理人 恩田 誠 

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