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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y09
管理番号 1296199 
審判番号 取消2013-300794 
総通号数 182 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2015-02-27 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2013-09-17 
確定日 2015-01-07 
事件の表示 上記当事者間の登録第5023859号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 登録第5023859号商標の指定商品及び指定役務中,第9類「全指定商品」については,その登録は取り消す。 審判費用は,被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5023859号商標(以下「本件商標」という。)は,「ブロマガ/BlogMag」の片仮名,スラッシュ記号及び欧文字からなり,平成18年4月12日に登録出願,第9類「耳栓,加工ガラス(建築用のものを除く。),アーク溶接機,金属溶断機,電気溶接装置,オゾン発生器,電解槽,検卵器,金銭登録機,硬貨の計数用又は選別用の機械,作業記録機,写真複写機,手動計算機,製図用又は図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコーダー,パンチカードシステム機械,票数計算機,ビリングマシン,郵便切手のはり付けチェック装置,自動販売機,ガソリンステーション用装置,駐車場用硬貨作動式ゲート,救命用具,消火器,消火栓,消火ホース用ノズル,スプリンクラー消火装置,火災報知機,ガス漏れ警報器,盗難警報器,保安用ヘルメット,鉄道用信号機,乗物の故障の警告用の三角標識,発光式又は機械式の道路標識,潜水用機械器具,業務用テレビゲーム機,電動式扉自動開閉装置,乗物運転技能訓練用シミュレーター,運動技能訓練用シミュレーター,理化学機械器具,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,磁心,抵抗線,電極,消防艇,ロケット,消防車,自動車用シガーライター,事故防護用手袋,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク,防火被服,眼鏡,家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,スロットマシン,ウエイトベルト,ウエットスーツ,浮袋,運動用保護ヘルメット,エアタンク,水泳用浮き板,レギュレーター,レコード,メトロノーム,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,計算尺,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,電子出版物」,第35類「広告,トレーディングスタンプの発行,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理,職業のあっせん,競売の運営,輸出入に関する事務の代理又は代行,新聞の予約購読の取次ぎ,速記,筆耕,書類の複製,文書又は磁気テープのファイリング,電子計算機・タイプライター・テレックス又はこれらに準ずる事務用機器の操作,建築物における来訪者の受付及び案内,広告用具の貸与,タイプライター・複写機及びワードプロセッサの貸与,求人情報の提供,自動販売機の貸与」,第38類「電気通信(放送を除く。),放送,報道をする者に対するニュースの供給,電話機・ファクシミリその他の通信機器の貸与」及び第42類「気象情報の提供,建築物の設計,測量,地質の調査,機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらの機械等により構成される設備の設計,デザインの考案,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究,建築又は都市計画に関する研究,公害の防止に関する試験又は研究,電気に関する試験又は研究,土木に関する試験又は研究,農業・畜産又は水産に関する試験・検査又は研究,機械器具に関する試験又は研究,著作権の利用に関する契約の代理又は媒介,社会保険に関する手続の代理,計測器の貸与,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供,理化学機械器具の貸与,製図用具の貸与」を指定商品及び指定役務として,同19年2月9日に設定登録されたものである。
その後,本件商標の指定商品及び指定役務中,第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供」については,平成24年9月13日に商標権の一部取消し審判が請求され,同25年6月4日にその登録を取り消す旨の審決がされ,同年8月8日に審判の確定登録がされているものである。
なお,本件審判の請求の登録は,平成25年10月7日にされたものである。

第2 請求人の主張
請求人は,結論同旨の審決を求め,審判請求書,弁駁書及び口頭審理陳述要領書において,その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べた。
1 請求の理由
被請求人は,本件商標を,第9類「全指定商品」について継続して3年以上日本国内において使用していない。また,本件商標について専用使用権者は存在せず,通常使用権者として本件商標を使用している者も存在しない。
したがって,本件商標の登録は,商標法第50条第1項の規定に基づき,その請求に係る指定商品について取り消されるべきである。
2 答弁に対する弁駁
(1)被請求人は,平成25年12月27日付け提出の答弁書(その2)第2頁,「(2)本件商標の使用について」において答弁するが,かかる主張は,審判の請求の登録前3年以内(以下「要証期間」という場合がある。)に日本国内において本件商標の使用をしていることの証明とはなりえず,また,正当な理由によるものでもない。
ア 被請求人は,同人が運営する動画サービス「niconico」(http://www.nicovideo.jp/)の公式動画配信サイト「ニコニコチャンネル」に,2012年8月21日(火)より,ブログやメルマガなどの記事コンテンツを配信する新機能「ブロマガ」を付加したインターネットウェブサイトを立ち上げ,「ブロマガ」なる本件商標を使用している。
しかしながら,まさに,そのような「ブロマガ」商標の使用は,商品区分第9類「電子書籍」に関する使用ではなく,商品区分第42類,類似群42P02,42X11に属する役務(サービス)の使用に他ならない。
そのことは,被請求人自らも認めている。すなわち,前記の答弁書(その2)の中で「本件商標の使用について,被請求人が,自身が運営する動画配信サイト『niconico』(乙1)の中に,『ブロマガ』の名称にて新機能の提供を始めたのは,2012年8月21日であり,・・・」と記載しているとおりである。
イ 動画配信サイト「niconico」での「ブロマガ」なる商標の使用は,第42類,類似群42P02,42X11に属する役務(サービス)である。
すなわち,被請求人は,前記の動画配信サイトの運営に当たって,「ブロマガ」商標を使用した「インターネットウェブサイトの設計・作成」,「インターネットウェブサイトを介してのコンピュータプログラムの提供」,「インターネット上の電子記憶空間(ウェブ空間)の提供」,「インターネット用ウェブページの編集,ホームページの作成」,「ウェブサイトにおける検索エンジンの提供」,「ウェブサイトのホスティング及びこれに関する情報の提供」,「ウェブサイトの開発」,「ウェブサイトの開発用ソフトウェアの設計・作成」,「ウェブサイトの更新」,「ウェブサイトのホスティング」,「ウェブペースのアプリケーションの一時的な使用の提供」,「ウェブポータルサイトのホスティング」,「ウェブポータルサイトの設計」,「ウェブログ(ブログ)のホスティング」,「ウェブログの運用管理のための電子計算機用プログラムの提供」,「クラウドコンピューティングの形態によって行われるコンピュータウェブサイトのホスティング」,「グローバルコンピュータネットワークのウェブサイトを介する電子計算機のプログラムの設計・作成」,「コンピュータネットワーク上で利用可能なウェブサイトの設計・作成」,「デザインをウェブページ上に表示等するための電子計算機のプログラムの作成」,「ホームページ及びウェブサイトのバージョンアップ」,「ユーザが定義した情報・個人プロフィール及び個人情報を特徴とするカスタマイズされたウェブページの設計・作成」,「双方向式のディスカッションの実施のためのオンラインウェブのホスティング」,「他人のウェブサイトへのリンクのための電子計算機用プログラムの提供」,「インターネットサイトにおけるウェブログ(ブログ)のホスティング」,「ウェブログの運用管理のための電子計算機用プログラムの提供」,「オンラインによるブログ作成用コンピュータプログラムの提供又はこれに関する情報の提供」,「インターネット上の情報を閲覧するためのコンピュータプログラムの提供」及び「インターネット等の通信ネットワークを利用するプログラムの設計・作成」を行っているなど,ことごとく第42類,類似群42P02,42X11に属する役務(サービス)を商標「ブロマガ」を使用して行っている。
ブログやメルマガなどの記事コンテンツを配信する新機能「ブロマガ」を付加したインターネットウェブサイトを立ち上げ,「ブロマガ」なる商標を使用することは,前記した商品区分第42類の類似群42P02,42X11に属するサービスについての使用行為であり,決して,商品区分第9類の指定商品についての本件商標の使用ではない。
ウ 被請求人が提出した乙第1号証に示す「ブロマガ」の使用,乙第2号証ないし乙第7号証及び乙第9号証に示す商標「ブロマガ」の使用行為は,いずれも前記した商品区分42類の類似群42P02,42X11に属するサービス行為そのものについての使用行為であり,決して,商品区分第9類,例えば「電子書籍」にかかる「ブロマガ」商標の使用ではない。
(2)以上より,今回の被請求人による審判事件答弁書の提出によっては,本件商標の使用は全く認められない。
3 口頭審理陳述要領書
(1)本件商標の構成について
本件商標は,「ブロマガ/BlogMag」と構成されており,「ブロマガ」との片仮名と「/」という記号と「BlogMag」との欧文字とを,等間隔をもって横書きに一連一体に書されてなる一段書きからなる商標である。
そして,本件商標を構成する「ブロマガ」との片仮名と「/」という記号と「BlogMag」との欧文字が,分離されることなく密接に結びついて,その全体が要部となる造語商標である。
よって,本件商標の外観について考察する場合,本件商標をいずれの箇所においても切り離すことなく,「ブロマガ/BlogMag」として本件商標の外観を考察しなければならない。
また,本件商標の称呼につき考察する場合においても,本件商標は,等間隔で一連一体に書され,かつ,いずれの箇所においても切り離して考察できないので,「ブロマガスラッシュブログマグ」と称呼すべきものである。
なお,本件商標は,造語商標であり,本件商標からは,観念は発生しない。
(2)本件商標は,その全てが切り離されることなく一連一体となって等間隔に横書きに書されているので,本件商標の使用に際しては,「ブロマガ/BlogMag」と一段書きで,あくまで「ブロマガ/BlogMag」との状態で使用しなければならず,そのことを前提にして,本件商標における社会通念上同一の範囲での使用を考察しなければならない。
よって,本件商標から,例えば,「/」の構成要素も削除して使用の態様を考えることも,また,「/」の構成要素を無視して使用の態様を考えることも,本件商標の社会通念上同一範囲の使用の概念からは,完全に外れてしまうことになる。
(3)被請求人は,乙第4号証などにおいて「ブロマガ」なる片仮名を使用しているから本件商標の使用を行っていると主張している。
しかしながら,「ブロマガ」という使用態様は,その外観,称呼のいずれをとってみても,本件商標と「社会通念上同一」の使用とはいえない。
前述したように,本件商標は,「ブロマガ/BlogMag」と一段の横書きで等間隔をもって密接に結びつき,一連一体に書されてなる商標であり,決して,「ブロマガ」と「/BlogMag」とに分離して判断することはできない。
(4)被請求人は,乙第4号証及び乙第9号証などを提出して「/BlogMag」の使用も行っていると主張する。
しかしながら,乙第4号証,乙第9号証などに示されたものは,サイトのアドレス名,「http://ch.nicovideo.jp/portal/blomaga」あるいは「ch.nicovideo.jp/magosaki/blomaga/ar356201」であり,その記載は,決して本件商標を使用したものではない。百歩譲ってサイトのアドレス名の使用が商標の使用だとしても,当該サイトのアドレス名が,本件商標の社会通念上同一と認められる商標の使用とは到底考えられない。
(5)被請求人は,片仮名「ブロマガ」が1ヶ月足らずで,周知,著名になり,よって,本件商標の欧文字の部分は注意を引かず,かつ欧文字の部分も同じく「ブロマガ」と称呼するので,称呼が同一となり,「ブロマガ」の使用は本件商標の社会通念上同一と認められる商標の使用であると主張している。
しかしながら,被請求人が使用したという商標「ブロマガ」の称呼は,「ブロマガ」である。
これに対し,本件商標の称呼は,「ブロマガスラッシュブログマグ」である。「/」の部分の称呼を「アルイハ」,「マタハ」としてみても「ブロマガアルイハブログマグ」,「ブロマガマタハブログマグ」である。さらに「/」の部分に称呼はないとしてみても「ブロマガブログマグ」である。
「ブロマガ/BlogMag」との一段書きの一連一体の商標構成から,「ブロマガ」のみの称呼が生ずるとは到底あり得ない。
被請求人は,本件商標が「ブロマガ」と称呼するのは正当と主張するが,いずれも二段書きに書された商標の例であり,本件商標のように「ブロマガ/BlogMag」と一段書きで密接に結びつき一連一体に書された商標に適用されるものではない。
(6)被請求人の「ブロマガ」などの使用は,被請求人から提出された証拠書類を参照してみても,第9類,電子書籍(電子出版物)に使用されたものではない。
被請求人が提出した証拠書類における商標の使用は,いずれも,第42類,42X11の範囲における商標の使用に他ならない。

第3 被請求人の主張
被請求人は,本件審判の請求は成り立たない,審判費用は請求人の負担とする,との審決を求める,と答弁し,その理由を答弁書,答弁書(2)及び口頭審理陳述要領書において要旨次のように述べ,証拠方法として,乙第1号証ないし乙第20号証を提出した。
1 答弁の理由
(1)本件商標の使用について
ア 被請求人が,自身が運営する動画配信サイト「niconico」(乙1)の中に,「ブロマガ」の名称にて新機能の提供を始めたのは,2012年8月21日であり(乙5),それ以降現在に至るまで継続的に,「ブロマガ」商標の下で,ダウンロード可能な電子書籍の販売(譲渡)を行っている。
イ 「ブロマガ」のページでは,「niconico」で,コンテンツ等を配信する個人や企業が,ブログを開設しており,ブログの読者は当該ブログをテキスト記事として「ブロマガ」のサイト上で閲覧できるだけでなく,例えば,ブログの記事を電子書籍として購入し,自身のパソコンやスマートホンにダウンロードして閲覧することも可能である(乙2,乙5及び乙6)。
ウ 乙第7号証は,一読者が,あるブログの記事を,電子書籍として購入し,ダウンロードするまでの一連の作業及び当該作業に伴うウェブサイトの流れを説明したものである。読者は,興味のある個人又は企業が開設しているチャンネル(ブログだけでなく,動画の配信等も可能な「niconico」における総合的なプラットフォーム)から,「ニコニコチャンネル」への入会の手続きを行う(乙7の1ないし4)。入会の手続には課金方法の指定などが含まれる。その後,電子書籍として購入したいブログのページに設けられている「電子書籍」のボタンをクリックして,ダウンロードを行う(乙7の5)。有料の電子書籍の場合には,入会時に指定した課金方法により,電子書籍の対価を支払うことになる。
エ 乙第8号証は,2013年9月及び10月に,「ブロマガ」において公開され,読者に購入された一部の電子書籍のリストであり,各記事の公開日時,ダウンロード数,有料/無料等を記した表である。表上部の「ユーザー課金」欄における「クレジットカード」,「キャリア決裁」,「ユーザー課金」は,支払い方法である。このリストに掲載された電子書籍の販売額は,9月が238,895円,10月が242,150円である。これらの金額の一部は,被請求人の事務手数料となり,残りはブログ開設者に支払われる。
オ 乙第8号証中の「記事No.26」の記事,「最大の懸念は地震の脅威。これへの対応ほとんどなく,原発再稼働の動きが急ピッチ」のトップページの写しを添付する(乙9)。当該記事を印刷したのは,2013年12月26日であるが,左上部分にこの記事が公開された日時「2013-09-30 07:42」が記載されていることから,2013年9月30日にこの記事が公開されていたことがわかる。また,この公開日時は,乙第8号証の記事No.26の公開日時と一致するので,乙第9号証が,当該記事No.26の記事であることがわかる。乙第9号証中,右側中央付近に「電子書籍」のボタンがあり,ここをクリックすると「EPUBでダウンロード」という項目が表れ,ここをクリックすると電子書籍のダウンロードの画面が出てきてダウンロードが可能になる。
カ 以上のとおり,被請求人は,「ブロマガ」商標が付されたページにおいて,ブログの記事を,ダウンロード可能な電子書籍として電気通信回線を通じて提供(譲渡)しているのであるから,商標法第2条第3項2号により,「ブロマガ」商標を,「電子書籍(電子出版物)」に使用しているといえる。
(3)使用商標と登録商標の同一性について
ア 本件商標は,片仮名「ブロマガ」と欧文字「BlogMag」がスラッシュ「/」を挟んで横一連に書された態様である。
一方,被請求人は,乙第3号証に表れるような態様の「ブロマガ」(ロの部分が,メモ書きとペン図形になっている)を使用する一方,例えば,「ブロマガ」のサイトのトップページでは,通常の片仮名「ブロマガ」を使用し,かつ,当該ページのURLでは,「http://ch.nicovideo.ip/portal/blomaga」のように「/blomaga」の欧文字を使用している(乙4)。また,平成25年9月30日に公開されたブログ(乙9)のURLにおいても,「/blomaga」の文字が使用されていることから,当該欧文字は,平成25年9月30日の時点で使用されていたことがわかる。
イ なお,ドメイン名については,「ドメイン名がその登録者を識別する機能を有する場合があることからすれば,ドメイン名の登録者がその開設するホームページにおいて商品の販売や役務の提供をするときには,ドメイン名が,当該ホームページにおいて表れる商品や役務の出所を識別する機能をも具備する場合があると解するのが相当である」旨判断している判決が存在する。このような判決を考慮すれば,ドメイン名と同様に使用者を識別する機能を有する場合があるURLが,当該サイトにおいて表される役務の出所を識別する機能をも具備する場合があると解することが相当である。
したがって,被請求人は,「ブロマガ」の片仮名と,「/blomaga」の欧文字(以下「使用商標」という場合がある。)を,サイト上で商標として使用していると考えることが可能である。
ウ 本件商標の欧文字「BlogMag」は,4文字目に「g」を含んでいるが,被請求人の使用商標の欧文字「blomaga」では,4文字目「g」がなく,語尾に「a」がある。
また,本件商標では「B」と「M」が大文字であるが,使用商標は,全て小文字である。よって,両者には外観上若干の差異がある。
しかしながら,被請求人による使用商標は,登録商標と「社会通念上同一と認められる商標」に該当するものである。
(ア)大文字と小文字の差異については,特許庁審判便覧53-01において,「ローマ字の大文字と小文字の相互間の使用」は,登録商標の使用と認められる事例として列挙されている(乙10)。
したがって,本件商標と使用商標の欧文字部分において,「B」と「b」,「M」と「m」について大文字・小文字の差異があったとしても,使用商標は,本件商標の使用と認められる。
(イ)欧文字の「g」,「a」の有無について
不使用商標の存在によって商標採択の機会を不当に奪うことを防ぐという,不使用取消審判制度の目的よりすれば,商標法第50条第1項の括弧書きは,あくまで登録商標と社会通念上同一と認められる商標の例示的列挙にすぎず,例示列挙されたもの以外にも「その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標」が含まれることは明らかである。そして,「社会通念上同一」の判断は,「登録商標の構成において基本をなす部分を変更するものでなく,当該登録商標が有する独自の識別性に影響を与えない」か否かを基準に行われる。また,ローマ文字と,その発音を日本語で表記した仮名文字との2段併記からなる登録商標に関して,登録商標と使用商標とで,仮名文字部分である「リトルワールド」は同一であるものの,ローマ文字部分(「LITTLEWORLD」及び「LITTLWORLD」)に「E」の有無という「一見したのみでは気付きがたい」(判示より引用)相違があった場合において,「外観において若干の相違があるとはいえ,称呼及び観念を共通にするものと認められる」ことを理由として,社会通念上の同一性を認めた事例がある(昭和63年(行ケ)第269号/東京高判平成2年2月20日判時1350号134頁「リトルワールド事件」)。
(ウ)被請求人による使用商標は,本件商標の欧文字部分の4文字目「g」をなくし,語尾に「a」を付加したにすぎない。このような綴りの差異は,一見したのみでは気付きがたいことから,本件商標の構成において基本をなす部分を変更しているとはいえず,本件商標の有する独自の識別性にも影響を与えていないと考える。
さらに,両者は,称呼を共通にするものである。
観念については,「ブロマガ」は,「ブログ」と「メルマガ(メールマガジン)」を結合させた造語であると考えられ,ここから生じる漠然とした観念は,本件商標と使用商標において共通していると考えることが自然である。
(エ)不使用取消審判の制度目的,商標法第50条第1項括弧書きの規定の趣旨,及び「社会通念上同一」の判断基準等を総合的に考慮すれば,被請求人による使用商標は,本件商標と社会通念上同一の商標と認定されるべきである。
(3)以上より,被請求人は,本件商標と社会通念上同一の商標を,本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において,「電子書籍(電子出版物)」に使用していたものである。
2 口頭審理陳述要領書
(1)社会通念上同一の商標であるかについて
被請求人の使用商標は,本件商標と社会通念上同一の商標である。仮に,「blomaga」の使用が,本件商標と社会通念上同一の商標の使用とは認められないとしても,少なくとも片仮名「ブロマガ」のみの使用は,本件商標と社会通念上同一の商標の使用と認められるべきと考える。
ア 乙第9号証において,画像中央よりやや左上部分,「孫崎享チャンネル」の文字の右下に「ブロマガ」の片仮名が表示されている。このことから明らかなように,被請求人は,片仮名「ブロマガ」のみを,第9類「電子書籍(電子出版物)」に使用している。
イ 被請求人は,同社の運営するインターネット動画閲覧サイト「ニコニコチャンネル」の動画提供者が投稿した文字や写真等で構成されたブログ記事を,メールマガジン又は電子書籍として,ユーザーに配信することを可能とするブログ記事配信サービスを企画し,その名称に「ブログ&(メール)マガジン」の文字の一部を使用した「ブロマガ」を使用している。
そして,同ブログ記事配信サービス「ブロマガ」は,インターネットユーザーの間で人気を博し,遅くとも平成24年9月の時点において,片仮名「ブロマガ」商標は,被請求人に係る第9類「電子書籍(電子出版物)」について,周知・著名なものとなっていた。
ウ 具体的には,2012年(平成24年)8月21日からサービスを開始した被請求人提供の記事配信サービス「ブロマガ」(乙5)は,わずか1か月足らずの同年9月18日付けで,「ブロマガ」を配信しているチャンネルの有料登録者数が1万人を突破し(乙11),3か月足らずの同年12月12日には同有料登録者数は3万人を突破する(乙12)など,サービス開始当初から,多くのユーザーの支持を得ていたものである。
また,上記平成24年8月21日のサービス開始は,各種新聞でも取り上げられており(乙13ないし乙16),当初から高い注目を集めていたことをうかがい知ることができる。
その後も,「ブロマガ」を配信しているチャンネルの有料登録者数は順調に増え,本件審判の請求の登録日直後の2013年(平成25年)10月27日には,合計10万人を突破し(乙17),その後1年足らずで,2014年(平成26年)8月14日には,合計20万人を突破した(乙18)。
また,本件審判の請求の登録日後ではあるが,遅くとも2014年(平成26年)3月25日の時点で,「ブロマガ」の語は,「IT用語辞典」にて「niconicoがニコニコチャンネルの追加機能として提供している記事配信サービスの名称である」と記載されており,このことからも「ブロマガ」商標が,被請求人に係る商標として広く一般的に知れ渡っていたことがわかる(乙19)。
エ このように,被請求人の片仮名「ブロマガ」商標は,本件審判の請求の登録日(平成25年10月7日)以前の平成24年9月の時点で,既に被請求人の第9類「電子書籍(電子出版物)」に係る商標として,取引者・需要者間で周知著名になっていたものである。
そうすると,本件商標に接する需要者・取引者にとっては,「ブロマガ/BlogMag」のように構成されている本件商標のうち,「ブロマガ」の片仮名こそが,その周知・著名性故に,圧倒的に注意を惹く部分,即ち高い識別性を発揮する部分として認識されるといえる。
オ そして,本件商標に接する需要者・取引者にとっては,本件商標のうち,「ブロマガ」の片仮名が特に注意を惹く部分であって,「BlogMag」は,中間部の「g」や語尾の「a」の文字の有無という差異点があるにしても,殊更これらの差異点が着目されることなく捨象され,片仮名「ブロマガ」を,単に英語風に表記したものと理解するのが自然なものであるから,「ブロマガ」と称呼される。
カ また,欧文字「BlogMag」部分については,そもそも「ブロマガ」の語が,「ブログ/Blog」と「(メール)マガジン/Magazine」を結合させた造語「ブログマガジン/BlogMagazine」の略と考えられるところ,例えば,「メールマガジン」が「メルマガ」と略されること等に基づくと,「ブログマガジン」が「ブロマガ」と略されることは容易に想像できる。
そして,本件商標の欧文字「BlogMag」との関係でも,片仮名「ブロマガ」は,自然的称呼といい得る。なぜなら,英単語において「g」が発音されないケースは散見されるため(例えば,「HongKong」,「assign」及び「design」等),本件商標の欧文字部分中の「Blog」を,「ブロ」と称呼することについて,取引者・需要者はさほど違和感はなく自然な称呼として認識するものと考えられる。
また,「Mag」は,「Magazine」の略語として広く一般的に知られているから(乙20),本件商標の欧文字部分中の「Mag」を「マガジン」の略として「マガ」と称呼することについても,何ら違和感はない。
よって,上述の片仮名「ブロマガ」の周知・著名性をも考慮すると,取引者・需要者にとっては,本件商標中の欧文字部分は,単に片仮名「ブロマガ」を英語風に表記したものと理解するのが自然であり,「ブロマガ」と称呼される。
キ 「ブロマガ」と「BlogMag」は,いずれも特定の観念の生じない造語というべきものであるが,被請求人の提供する「ブログ&(メール)マガジン」(ブログ記事配信サービス)を指称する語,という意味での共通の観念が生じるといえる。
ク 以上のとおり,被請求人は,実際の使用において,片仮名「ブロマガ」のみを使用しており(乙9),欧文字「BlogMag」が併記されていない点で本件商標とは異なる。
しかしながら,「BlogMag」の語は,「ブロマガ」と自然に称呼し得るものであるから,片仮名「ブロマガ」と欧文字「BlogMag」が称呼において共通する。
また,「BlogMag」と「ブロマガ」の各語は,我が国においては造語の一種であって確立した観念が存在しないものの,被請求人の提供する「ブログ&(メール)マガジン」(ブログ記事配信サービス)を指称する語という意味での観念は共通する。
さらに,片仮名「ブロマガ」は,被請求人に係る第9類「電子書籍(電子出版物)」について,平成24年9月の時点で既に周知著名になっており,欧文字「BlogMag」に比べて圧倒的に強い識別性を発揮している一方,欧文字「BlogMag」は,単に片仮名「ブロマガ」を英語表記風に記載したと認識される程度である。
このような片仮名「ブロマガ」の周知・著名性を考慮すると,本件商標と,「ブロマガ」は,被請求人の提供する商品の出所を表示するという識別性の観点において全く異なる点が見当たらない。
以上から,本件商標と使用商標は,同一の称呼及び観念が生じる商標であり,欧文字の有無は両者の識別性には何らの影響も及ぼさないから,両者は,社会通念上同一といって差し支えない。
ケ なお,過去の複数の不使用取消審判でも,「造語である欧文字」と,「その称呼である片仮名」を二段に書した構成の登録商標について,片仮名部分のみを使用した場合でも,使用商標と登録商標とは称呼が同一であることから(造語なので観念は比較できない),社会通念上同一の商標の使用と認められている。これらの審決例では,造語ゆえに観念の同一性が認定できないにもかかわらず,称呼の同一性を以って社会通念上同一と認めている。 本件では,称呼の同一性が認められ,かつ,造語であっても観念の同一性も認められるのであるから,上記のような審決例に基づけば,社会通念上の同一性が認められるべき事案と考える。
コ 以上のとおり,被請求人は,第9類「電子書籍(電子出版物)」に,片仮名「ブロマガ」を使用しており,当該使用は,本件商標の社会通念上同一の商標の使用に該当する。
(2)請求人が提出した弁駁書に対する意見
請求人は,弁駁書において,「被請求人は,運営する動画サービス『niconico』の公式動画配信サイト『ニコニコチャンネル』に,ブログやメルマガなどの記事コンテンツを配信する新機能『ブロマガ』を付加したインターネットウェブサイトを立ち上げ,『ブロマガ』なる本件商標を使用しているが,かかる使用は,商品区分第42類,類似群42P02,42X11に属する役務(サービス)の使用に他ならない。」旨の主張をしているが,被請求人が主張した「第9類 電子書籍(電子出版物)」への本件商標の使用に関し,これがなぜ第9類の指定商品についての使用には該当しないのかという点については,何ら具体的な理由を述べていない。
なお,被請求人は,第9類の指定商品に関する使用については,既に提出した答弁書において主張立証を尽くしていると考える。

第4 当審の判断
1 本件商標の使用について,被請求人の主張及び提出に係る証拠によれば,以下のとおりである。
(1)乙第2号証は, 「ブロマガ」の機能について記載されたウェブサイト(写し)であり,「ロ」の部分がメモ書きとペン図形にデザインされた「ブロマガ」の表示の下,「記事は自動で電子書籍に」及び「閲覧はPC・スマートフォン・電子書籍に対応。電子書籍は月ごとにまとめてDLできます。」の記載がある。
(2)乙第5号証は,2012年8月21日付けの株式会社ドワンゴと商標権者の連名による「PRESS RELEASE」であり,「ニコニコチャンネルにて記事コンテンツ配信機能『ブロマガ』を開始」及び「両社が運営する日本最大級の動画サービス『niconico』(・・・)の公式動画配信サイト『ニコニコチャンネル』に,8月21日(火),ブログやメルマガなどの記事コンテンツを配信する新機能『ブロマガ』を投入しました。」の記載,及び「『ブロマガ』の特徴」には,「ePUB形式のダウンロードにより電子書籍として閲覧可能 読者は投稿されている記事をePUB形式でダウンロードすることができます。」の記載がある。
(3)乙第9号証の1葉目は,2013年9月30日7時42分に,商標権者が運営する「ニコニコチャンネル」の中にある「ブロマガ」において公開された「孫崎享のつぶやき 最大の懸念は地震の脅威。これへの対応ほとんどなく,原発再稼働の動きが急ピッチ」とのタイトルの投稿された記事であり,該タイトル右側には,乙第2号証と同様の,「ロ」の部分がメモ書きとペン図形にデザインされた「ブロマガ」が表示されている。
そして,その下部分には,「電子書籍▼」及び「EPUBでダウンロード」の文字が表示されていることから,この記事を,2葉目のように「EPUBファイル(.epub)」によりダウンロードして保存することができるものである。
また,乙第8号証は,被請求人が作成した,2013年9月及び10月に公開され,電子書籍としてダウンロードされたブログの記事並びに売上等のリストであり,「■DL数」の「公開開始日時」の欄に「2013/9/30 7:42」及びその「ダウンロード数」の欄に「7」の記載がある。
(4)被請求人が提出した他の証拠について
ア 乙第1号証は,動画サイト「niconico」のトップページ,及び乙第4号証は,「ブロマガ」のトップページであり,これらには,「ブロマガ」の表示があるが,使用に係る商品を確認することができず,また要証期間のものということができない。
イ 乙第3号証は,「ブロマガ」の機能についてのウェブページであり,「メルマガが勝手に本になる!?」の記載の下,「利用方法」には「電子書籍リーダーで開く」との記載があるが,要証期間のものではなく,使用に係る商標の確認ができない。
ウ 乙第6号証は,「ニコニコチャンネル」のチャンネル開設のご案内,乙第7号証は,読者が電子書籍をダウンロードするまでの一連の画面(写し)であり,乙第11号証ないし乙第19号証は,プレスリリース,新聞記事情報及びIT用語辞典の記載事項であるが,これらは,いずれも本件商標の使用を証するものではない。
2 以上によれば,次のとおり判断できる。
(1)本件商標の使用について
本件商標権者は,要証期間である2013年(平成25)9月30日に,自身が運営する「ニコニコチャンネル」の中にある「ブロマガ」のウェブサイトにおいて,「ブロマガ」の文字を表示したものと認められる(乙9)。
そして,当該ウェブサイトにおいては,「ブロマガ」の文字が表示され,投稿された「孫崎享のつぶやき 最大の懸念は地震の脅威。これへの対応ほとんどなく,原発再稼働の動きが急ピッチ」とのタイトルの記事を公開し,該記事を「電子書籍」としてダウンロードし,保存することができる機能を提供していることが認められる(乙2及び乙5)。
かかる本件商標権者の商標の使用行為は,「商品若しくは役務に関する広告に標章を付して電磁的方法により提供する行為」(商標法第2条第3項第8号)に該当するものである。
(2)本件商標の使用に係る商品について
本件商標権者のウェブサイトにおいて,ブログ記事等をダウンロードし,保存することができる「電子書籍」は,本件請求に係る指定商品中「電子出版物」に相当する商品と認められる。
(3)使用に係る「ブロマガ」の片仮名が,本件商標と社会通念上同一であるかについて
ア 商標法第50条に規定する商標登録の取消審判における「登録商標」には,いわゆる「社会通念上同一の商標」を含むものであり,「その社会通念上同一の商標」と認められるものは,例えば,「書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標,平仮名,片仮名及びローマ字の文字を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標,外観において同視される図形からなる商標」などである(商標法第50条第1項参照)。
イ 本件商標は,「ブロマガ/BlogMag」の片仮名,スラッシュ記号及び欧文字を書してなるものである。
これに対し,乙第2号証,乙第5号証及び乙第9号証には,「ブロマガ」の片仮名が表示されているものであり,該文字は,本件商標中の「ブロマガ」の片仮名部分と同一の文字からなるが,本件商標中にある「/BlogMag」部分が存在しないものであるから,「ブロマガ」の片仮名は,本件商標の「書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標」ということができない。
そして,本件商標の構成中,「ブロマガ」の片仮名は,特定の意味を有しない造語であって,これを欧文字で表す場合は,「blomaga」と表示するのが一般的といえるものである。
また,「BlogMag」の欧文字部分は,特定の意味を有しない造語であって,これを片仮名で表す場合は,「ブログマグ」と表示するのが一般的といえるものである。
そうとすれば,本件商標の「ブロマガ」の片仮名と,「BlogMag」の欧文字部分とは,同一の称呼及び観念を生ずるものということができず,本件商標からは,その構成各文字に相応して「ブロマガブログマグ」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。
これに対し,使用に係る「ブロマガ」の片仮名からは,「ブロマガ」の称呼を生じ,特定の観念が生じないものであるから,「ブロマガ」の片仮名は,本件商標の「平仮名,片仮名及びローマ字の文字を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標」ということができない。
したがって,使用に係る「ブロマガ」の片仮名は,本件商標と社会通念上同一の商標ということができない。
3 被請求人の主張について
被請求人は,使用商標である「ブロマガ」は,被請求人に係る,第9類「電子書籍(電子出版物)」に係る商標として広く一般に知れ渡っている。そうすると,本件商標に接する需要者,取引者にとっては本件商標のうち,「ブロマガ」の片仮名こそが,その周知・著名性故に,圧倒的に注意を惹く部分,即ち高い識別性を発揮する部分として認識される。実際の使用において,欧文字が併記されていない点で本件商標とは異なるが,「BlogMag」の欧文字は,「ブロマガ」と自然に称呼し得るものであるから,片仮名「ブロマガ」と称呼において共通する。また,片仮名及び欧文字は,被請求人の提供する「ブログ&(メール)マガジン」(ブログ記事配信サービス)を指称する語という意味での観念は共通する。さらに,使用商標の片仮名「ブロマガ」の周知・著名性を考慮すると,本件商標「ブロマガ/BlogMag」と片仮名「ブロマガ」は,被請求人の提供する役務の出所を表示するという識別性の観点において全く異なる点が見当たらないから,本件商標と使用商標の片仮名「ブロマガ」は,同一の称呼及び観念が生じる商標であり,欧文字の有無は両者の識別性には何らの影響も及ぼさないから,両者は社会通念上同一といって差し支えない旨主張をしている。
しかしながら,本件商標権者が,「ブロマガ」の片仮名を第9類「電子書籍(電子出版物)」について使用しているとしても,「ブロマガ」及び「BlogMag」の語が,本件商標権者が提供する「ブログ&(メール)マガジン」(ブログ記事配信サービス)を指称するものとして理解され,観念されるとすべき証拠は何ら示されていないものである。
そして,提出に係る証拠からは,「ブロマガ」の片仮名が,本件商標権者の業務に係る「電子書籍(電子出版物)」を表すものとして,周知,著名であるとまではいうことができない。
そうとすれば,本件商標と,片仮名「ブロマガ」が,本件商標権者の商品の出所を表示するという識別性の観点において全く異なる点が見当たらない旨の主張は妥当ではない。
よって,被請求人の主張は,採用することができない。
4 まとめ
以上のとおり,被請求人は,要証期間に日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品のいずれかについての本件商標(社会通念上同一のものを含む。)の使用をしていることを証明したものということができない。
また,被請求人は,本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしていない。
したがって,本件商標の登録は,商標法第50条の規定により指定商品及び指定役務中,第9類「全指定商品」についての登録を取り消すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
審決日 2014-11-28 
出願番号 商願2006-38345(T2006-38345) 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (Y09)
最終処分 成立  
特許庁審判長 今田 三男
特許庁審判官 田中 亨子
井出 英一郎
登録日 2007-02-09 
登録番号 商標登録第5023859号(T5023859) 
商標の称呼 ブロマガ、ブログマグ 
代理人 伊藤 儀一郎 
代理人 中田 和博 
代理人 青木 博通 
代理人 柳生 征男 
代理人 富所 英子 
代理人 伊藤 博昭 

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