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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W36
審判 一部申立て  登録を維持 W36
審判 一部申立て  登録を維持 W36
審判 一部申立て  登録を維持 W36
審判 一部申立て  登録を維持 W36
管理番号 1295104 
異議申立番号 異議2014-900116 
総通号数 181 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2015-01-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2014-04-18 
確定日 2014-12-11 
異議申立件数
事件の表示 登録第5643461号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5643461号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5643461号商標(以下「本件商標」という。)は、「Dmet」の文字を標準文字で表してなり、平成25年5月14日に登録出願、第36類「インターネットを介して行う事業プロジェクトの資金調達を目的とする出資・融資の募集・仲介・取次ぎ(クラウドファンディングサービス),事業プロジェクトの資金調達を目的とする出資・融資の募集・仲介・取次ぎ,事業プロジェクト資金調達の企画・指導・助言,投資事業組合の設立による投資事業組合財産の募集・運用及び管理,有価証券の売買,有価証券の売買・有価証券指数等先物取引・有価証券オプション取引及び外国市場証券先物取引の媒介・取次ぎ又は代理」のほか、第35類、第41類及び第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同年12月19日に登録査定、同26年1月17日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第5515135号商標(以下「引用商標」という。)は、「METLIFE」の文字を横書きしてなり、平成24年3月12日に登録出願、第36類「保険に関する助言,保険に関する情報の提供,金融・財務分析,金融又は財務に関する助言,金融に関する情報の提供,財務管理,保険の引受け,再保険の引受け,保険数理,資金の貸付け,生命保険契約の締結の仲介,損害保険契約に代わる生命保険の引受け,生命保険に係る損害の査定,生命保険の引受け,保険料率の算出,預金の受入れ,手形の割引,内国為替取引,債務の保証及び手形の引受け,金銭債権の取得及び譲渡,有価証券・貴金属その他の物品の保護預かり,両替,金融先物取引の受託,債券の募集の受託,外国為替取引,信用状に関する業務,信用購入あっせん,有価証券の売買,有価証券指数等先物取引,有価証券オプション取引,外国市場証券先物取引,外国市場証券先物取引・有価証券オプション取引・有価証券の売買取引・有価証券指数等先物取引の媒介・取次ぎ又は代理,有価証券市場における有価証券の先物取引・有価証券オプション取引・有価証券指数等先物取引の委託の媒介・取次ぎ又は代理,外国有価証券市場における有価証券の売買取引及び外国市場証券先物取引の委託の媒介・取次ぎ又は代理,有価証券店頭指数等スワップ取引・有価証券店頭オプション取引若しくは有価証券店頭指数等先渡取引・有価証券先渡取引又はこれらの取引の媒介・取次ぎ若しくは代理,有価証券等清算取次ぎ,有価証券の引受け,有価証券の売出し,有価証券の売出しの取扱い,株式市況に関する情報の提供,商品市場における先物取引の受託,生命保険契約の締結の媒介,生命保険契約の締結の代理,有価証券の貸付け,有価証券の募集の取扱い,建築資金の貸付け,生命保険に関する情報の提供」を指定役務として、同年8月17日に設定登録されたものである。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、登録異議の申立ての理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第5号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 称呼における類似性
本件商標は、前記1のとおり、「Dmet」の欧文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字は、「D」の文字部分が大文字で表されている一方、「met」の文字部分は小文字で表されていること、また、「Dmet」という単語は英単語として存在しないものであるのに対し、「met」という単語は英単語としても存在するものであることから、本件商標に接する者は、その構成中の大文字部分「D」と小文字部分「met」とを別々に看取するものといえる。
他方、引用商標は、前記2のとおり、「METLIFE」の文字からなるところ、その構成中の「LIFE」の文字は、我が国において生命保険を取り扱う会社が「ライフ」の文字を含む社名を採用する例があることからも明らかなように、引用商標の指定役務との関係において、容易に生命保険を示すものと看取されるものであるから、引用商標に接する者は、その構成中の「MET」の文字部分に着目する。
そうすると、本件商標の要部である「met」の文字部分と引用商標の構成中の「MET」の文字部分とは、大文字と小文字という相違はあるものの、いずれも同じ欧文字からなるものであり、「メット」と発音されるものである。
したがって、本件商標と引用商標とは、称呼において相紛れるおそれのある類似の商標というべきである。
イ 外観における類似性
上記アにおいて述べたとおり、本件商標は、これに接する者に対し、その構成中の「met」の文字部分が独立した役務の出所識別標識として強く印象を与えるものであるのに対し、引用商標は、これに接する者をして、その構成中の「MET」の文字部分が着目されるものである。
そうすると、本件商標の要部である「met」と引用商標の要部である「MET」との外観上の差異は大文字であるか小文字であるかという点しかないから、両商標は、外観上、極めて相紛らわしく、取引者、需要者に近似した印象を与えるものである。
加えて、後述する引用商標の周知著名性に鑑みれば、本件商標は、これに接する取引者、需要者をして、引用商標を容易に連想、想起する場合も少なくないものといえる。
したがって、本件商標と引用商標とは、外観においても相互に類似する商標である。
ウ 役務の類似性
本件商標の指定役務中、第36類「インターネットを介して行う事業プロジェクトの資金調達を目的とする出資・融資の募集・仲介・取次ぎ(クラウドファンディングサービス),事業プロジェクトの資金調達を目的とする出資・融資の募集・仲介・取次ぎ,事業プロジェクト資金調達の企画・指導・助言,投資事業組合の設立による投資事業組合財産の募集・運用及び管理,有価証券の売買,有価証券の売買・有価証券指数等先物取引・有価証券オプション取引及び外国市場証券先物取引の媒介・取次ぎ又は代理」が引用商標の指定役務と類似するものであることは、類似商品・役務審査基準に照らし、明らかである。
エ 小括
上記アないしウのとおり、本件商標と引用商標とは、称呼及び外観において相紛らわしい類似する商標であり、また、本件商標の指定役務は、引用商標の指定役務と同一又は類似するものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
(2)商標法第4条第1項第10号及び同項第15号について
ア 申立人及び申立人の商標の周知著名性
申立人は、米国最大の生命保険会社である「メットライフ(MetLife Inc.)」の子会社であり、生命保険の保有契約高が米国第1位の生命保険会社である。ちなみに、申立人の親会社である「メットライフ(MetLife Inc.)」のニューヨーク証券市場における略称は、「MET」である。
また、「メットライフ(MetLife Inc.)」は、我が国においても、2011年から日本法人である「メットライフアリコ生命保険株式会社」を通じて、その後、2014年2月からは名称を「メットライフ生命保険株式会社」として、生命保険事業を展開しており(甲第4号証)、「メットライフ」の名称は、我が国においても広く知られている。
上記のとおり、「METLIFE」の名称は、一般消費者にとってなじみ深い商品である生命保険において使用されており、男女を問わず、多種多様な取引者、需要者に幅広く知られている。特に、我が国においては、著名人を起用したテレビコマーシャル等(甲第5号証)により、「メットライフ」の名称は、広く一般の消費者にも知られるに至っている。
したがって、申立人の商標が、本件商標の登録出願時より以前から生命保険及びその関連業務の分野において周知、著名となっており、その状態が本件商標の登録査定時においても継続していたことは明らかである。
イ 本件商標と申立人の商標との類似性
本件商標と申立人の商標とは、上記(1)のア及びイにおいて詳述したとおり、称呼及び外観において相紛らわしい類似する商標である。
混同を生ずるおそれ
申立人の商標「METLIFE」は、米国において長きにわたって使用され、また、我が国においても、日本法人を通じて一貫して使用されてきたものであるから、申立人を指標するものとして、強い出所表示力を発揮するものである。
また、一般に、生命保険会社であっても、そのグループ会社又は関連会社を通じて類似の業務を行うことは認識されていることから、本件商標に係る資金調達や有価証券取引分野の役務と申立人の保険商品の需要者層とは、少なからず共通するものと考えられる。
そうすると、本件商標の指定役務の取引者、需要者が申立人の商標及び申立人がその商標を付して提供している役務を知っている可能性は、極めて高い。
そして、本件商標は、上記(1)イのとおり、取引者、需要者をして、世界的に著名な申立人の商標を容易に連想、想起し得るものであり、また、その際に、生命保険を意味する「LIFE」の文字について、一般需要者は、ほかの業務においてはそれを使用しないであろうと容易に認識するものといえる。
してみれば、近時における著名商標に係る各種商品化の一般的傾向や企業の多角経営化の一般的傾向とあいまって、本件商標がその指定役務に使用された場合、その指定役務の種類を問わず、本件商標に接する取引者、需要者は、本件商標と類似する著名な商標である申立人の商標を容易に想起、認識し、当該役務があたかも申立人又は同人に関連する者の業務に係る役務であるかのように、その役務の出所について混同して認識するおそれは高い。
エ 申立人の商標に化体した信用を害するおそれ
生命保険業務は契約者の信用が最も重要な要素となるところ、申立人は、自己のブランドイメージを維持し、より一層の発展をさせるため、世界中での業務について厳重な管理を行っている。申立人の商標は、申立人の業務に係る役務を表示するものとして、我が国はもとより、世界中で一般の取引者、需要者の間に広く認識されている著名商標であり、申立人の提供する役務に係る絶大な信用が化体した重要な財産である。
そうすると、本件商標の登録が維持された場合、申立人と何ら関係のない者により、申立人の意図とは無関係に、申立人が現に自己の商標を付して使用している商品及び提供している役務とその取引者層、需要者層を同一にする役務について、その使用に係る申立人の商標と類似する本件商標が自由に使用されてしまうこととなり、その結果、申立人による品質のコントロールの及ばない役務が申立人の商標と類似する商標によって提供されるという事態が生じ得ることも否定できず、そのような事態が生じたときは、申立人が長年にわたり多大な努力を費やして培ってきたブランドイメージが著しく毀損され、申立人が多大な損害を被ることは明らかである。
オ 小括
上記アないしエのとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、本件商標をその指定役務に使用した場合、取引者、需要者が、当該役務を申立人の業務に係る役務であるかのように認識し、あるいは申立人と経済的又は人的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように認識して、その役務の出所について混同を生じるおそれがあったことは明らかである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同項第15号に該当する。
(3)結語
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号及び同項第15号に違反してされたものであるから、同法第43条の2第1号により、取り消されるべきである。

4 当審の判断
(1)本件商標と引用商標との類否
ア 本件商標
本件商標は、前記1のとおり、「Dmet」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字は、同じ書体及び大きさをもって等間隔に、視覚上、まとまりよく一体的に表されており、また、その構成全体から生ずると認められる「ディーメット」の称呼も、よどみなく一連に称呼し得るものである。
また、本件商標を構成する「Dmet」の文字は、頭文字「D」を大文字で表し、その他の文字を小文字で表してなるものであるところ、例えば、英単語のような欧文字からなる語は、それを表記する際に、その頭文字のみを大文字で表すことが一般に広く行われているものであることからすれば、該「Dmet」の文字の頭文字が大文字で表されているとしても、そのことをもって、これに接する者が「D」の文字部分と「met」の文字部分とを別々に看取するとはいい難い。
そして、「Dmet」の文字は、辞書類に載録されている既成の語とは認められないものであるから、これに接する者をして、特定の意味を有することのない一種の造語として看取、理解されるとみるのが相当である。
してみれば、本件商標は、その構成文字に相応する「ディーメット」の称呼を生ずるものであり、特定の観念を生ずることのないものである。
イ 引用商標
引用商標は、前記2のとおり、「METLIFE」の文字を横書きしてなるところ、その構成文字は、同じ書体及び大きさをもって等間隔に、視覚上、まとまりよく一体的に表されており、また、その構成全体から生ずると認められる「メットライフ」の称呼も、よどみなく一連に称呼し得るものである。
また、引用商標は、その構成中に「LIFE」の文字を有してなるものの、上記のとおり、該文字を含むその構成全体が視覚的にまとまりある一体のものとして看取され得るものである上、該文字は、「生命、生活、人生」等、多くの意味を有する平易な英語として、一般に広く慣れ親しまれているものであることを併せ考慮すれば、引用商標をその指定役務に使用した場合、これに接する者が、引用商標の構成中の「LIFE」の文字部分を「生命保険」の意味を表示したものとして看取するとはいい難い。
そして、「METLIFE」の文字は、辞書類に載録されている既成の語とは認められないものであるから、これに接する者をして、特定の意味を有することのない一種の造語として看取、理解されるとみるのが相当である。
してみれば、引用商標は、その構成文字に相応する「メットライフ」の称呼を生ずるものであり、特定の観念を生ずることのないものである。
ウ 本件商標と引用商標との類否
本件商標と引用商標とは、それぞれ上記ア及びイにおいて述べたとおりの構成態様からなるものであり、その文字構成において明確な差異が存するものであるから、外観上、容易に区別し得るものである。
また、本件商標から生ずる「ディーメット」の称呼と引用商標から生ずる「メットライフ」の称呼とは、その音の構成及び数において明確な差異が存するものであるから、両称呼は、それぞれを一連に称呼するときは、語調、語感が相違し、互いに聴き誤るおそれのないものである。
さらに、本件商標と引用商標とは、いずれも特定の観念を生ずることのないものであるから、観念上、互いに紛れるおそれはない。
エ 小括
上記のとおり、本件商標と引用商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
本件商標と引用商標とは、上記(1)のとおり、相紛れるおそれのない非類似の商標であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。
(3)商標法第4条第1項第10号及び同項第15号該当性について
本件商標と引用商標とは、たとえ、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る役務(生命保険に関するもの)を表示する商標として、需要者の間に広く認識されていたとしても、上記(1)のとおり、非類似の商標であって、十分に区別し得る別異の商標というべきものであり、ほかに役務の出所について混同を生ずるおそれがあるとすべき特段の事情も見いだし得ない。
しれみれば、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当するものではなく、また、本件商標をその指定役務について使用しても、これに接する需要者が、該役務について、申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように連想、想起することはなく、その役務の出所について混同を生ずるおそれはないというべきであるから、本件商標は、同法第4条第1項第15号に該当するものではない。
(4)まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2014-12-02 
出願番号 商願2013-35914(T2013-35914) 
審決分類 T 1 652・ 271- Y (W36)
T 1 652・ 261- Y (W36)
T 1 652・ 25- Y (W36)
T 1 652・ 263- Y (W36)
T 1 652・ 262- Y (W36)
最終処分 維持  
前審関与審査官 石井 亮山本 敦子 
特許庁審判長 今田 三男
特許庁審判官 大井手 正雄
田中 敬規
登録日 2014-01-17 
登録番号 商標登録第5643461号(T5643461) 
権利者 株式会社阪神メタリックス
商標の称呼 デイメット、デイエムイイテイ 
代理人 達野 大輔 
代理人 特許業務法人 有古特許事務所 

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