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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W1425 審判 全部申立て 登録を維持 W1425 審判 全部申立て 登録を維持 W1425 |
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管理番号 | 1295090 |
異議申立番号 | 異議2014-900139 |
総通号数 | 181 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2015-01-30 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2014-05-12 |
確定日 | 2014-11-28 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5648493号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5648493号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5648493号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成25年8月30日に登録出願、第14類「キーホルダー,身飾品,時計」及び第25類「被服」を指定商品として、同26年1月10日に登録査定、同年2月7日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第4109925号商標(以下「引用商標」という。)は、「AKTEO」の欧文字を横書きしてなり、1994年11月18日にモナコ公国においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、平成7年3月10日に登録出願、第14類「身飾品,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,時計」を指定商品として、同10年2月6日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 第3 登録異議申立ての理由の要点 本件商標は、その構成中の「ARTEO」(審決注:「E」の文字の上に細線が配されている。以下、同じ。)の文字部分が需要者の注意を強く惹く要部である。該文字部分と引用商標「AKTEO」とを対比すると、両者は外観及び称呼において類似するものであり、引用商標が時計について使用する申立人の商標として本件商標の登録出願前から周知であることと相俟って、本件商標を商品「時計」に使用するときは商品の出所について誤認混同を生ずるおそれがあるから、本件商標と引用商標とは類似するものである。また、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは類似するものである。 よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 第4 当審の判断 1 本件商標と引用商標との類否について (1)本件商標は、別掲のとおり、上部両端を尖らせた「V」字状の図形と「ARTEO」の文字との組合せからなるところ、上記図形部分と文字部分とが常に不可分一体のものとしてのみ認識し把握されるべき格別の理由は見出し難く、それぞれが独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものというべきであり、そして、読み易い文字部分を捉え、これより生ずる称呼をもって取引に資される場合が少なくないものといえる。 しかして、「ARTEO」の文字部分は、「E」の上に細線が配されているものの、ほとんど目立たず、その細線があることにより特別の称呼及び観念を生ずるものとも認められないことに加え、「ARTEO」の文字は、辞書等に見られない綴り字であって、親しまれた既成の観念を有する成語とはいえないものであり、かかる場合は我が国で最も普及している外国語である英語の発音に倣い、「アーテオ」又は「アルテオ」の称呼を生ずるものとみるのが自然である。 (2)他方、引用商標「AKTEO」も、本件商標の文字部分と同様、親しまれた既成の観念を有する成語とはいえないものであり、「アクテオ」の称呼を生ずるものというべきである。 (3)そこで、本件商標から生ずる「アーテオ」又は「アルテオ」の称呼と引用商標から生ずる「アクテオ」の称呼とを対比すると、両者は共に4音からなり、第2音目の音が相違するものである。しかしながら、「アーテオ」と「アクテオ」とでは、相違する第2音が、前者は前音「ア」を長く引きのばして発する長音であり、後者は後舌面を軟口蓋に接し破裂させて発する無声子音(k)と母音(u)との結合した音節(岩波書店発行「広辞苑第6版」)「ク」であって、母音が異なるばかりでなく、前者は長音を有することから全体として間延びした印象を与えるのに対し、後者は1音毎に区切られるような印象を与えるものであるから、それぞれを一連に称呼するときは全体の音感、音調が異なり明瞭に区別することができるものである。また、「アルテオ」と「アクテオ」とでは、相違する第2音が、前者は舌面を硬口蓋に近づけ、舌の先で上歯茎を弾くようにして発する有声子音(r)と、母音(u)との結合した音節(同「広辞苑第6版」)である「ル」であるのに対し、後者は上記「ク」であって、調音方法及び音質を異にするものであり、かかる差異が共に4音という比較的短い音構成全体に及ぼす影響が大きいうえに、両者はいずれも1音毎に区切られるような印象を与えるものであるから、それぞれを一連に称呼するときは、全体の音感、音調が異なったものとなり明瞭に区別することができるものである。 そして、本件商標は文字と図形の結合からなるのに対し、引用商標は文字のみから構成されるものであるから、外観上、判然と区別することができるものである。また、本件商標の文字部分のみを抽出して引用商標と対比してみても、それぞれの構成が比較的短く、綴りが相違すること、相違する文字の字形が異なること、文字は判読されるものであることなどからすると、看者は両者を別異のものとして認識し把握するとみるのが自然であるから、外観において紛れるおそれはないものというべきである。 さらに、本件商標と引用商標は、いずれも親しまれた既成の観念を有しないものであるから、観念上、両者を比較することはできない。 してみれば、本件商標と引用商標とは、称呼、外観及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれない非類似の商標といわなければならない。 (4)なお、申立人は、引用商標は申立人の業務に係る商品「時計」を表示する商標として需要者間に広く認識されている旨主張し、証拠を提出しているので、該証拠についてみるに、引用商標が商品「時計」について使用され、一部時計マニアの間にはある程度知られていることがうかがえるとしても、その使用の期間、地域、規模、方法などをはじめ、引用商標を使用した商品の販売の期間・地域・数量、売上高、市場占有率、宣伝広告の方法・媒体・期間・範囲・規模等の具体的事実が明らかではなく、引用商標が本件商標の登録出願時及び登録査定時において我が国の需要者の間に広く認識されていたものとまでは認めることはできない。 そうすると、引用商標の我が国における使用事実を考慮したとしても、本件商標に接する取引者、需要者が引用商標を連想、想起するようなことはないというべきであり、本件商標と引用商標との類似性については上記のとおり判断するのが相当である。 2 むすび 以上のとおり、本件商標と引用商標とは、相紛れるおそれない非類似の商標であるから、たとえ、本件商標の指定商品中、第14類「身飾品,時計」が引用商標の指定商品と共通のものであるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものとはいえない。 したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲(本件商標) ![]() |
異議決定日 | 2014-11-17 |
出願番号 | 商願2013-67905(T2013-67905) |
審決分類 |
T
1
651・
263-
Y
(W1425)
T 1 651・ 262- Y (W1425) T 1 651・ 261- Y (W1425) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 岩崎 安子 |
特許庁審判長 |
土井 敬子 |
特許庁審判官 |
原田 信彦 野口 美代子 |
登録日 | 2014-02-07 |
登録番号 | 商標登録第5648493号(T5648493) |
権利者 | ガニック インベストメント リミテッド |
商標の称呼 | アルテオ、アーテオ |
代理人 | 佐藤 雅巳 |
代理人 | 古木 睦美 |
代理人 | 若林 擴 |