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審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y25 |
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管理番号 | 1295079 |
審判番号 | 取消2013-300983 |
総通号数 | 181 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2015-01-30 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2013-11-12 |
確定日 | 2014-12-01 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第5020489号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5020489号商標(以下「本件商標」という。)は、「ATHLATER」及び「アスレター」の文字を上下二段に書してなり、平成18年8月11日に登録出願、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服」を指定商品として、平成19年1月19日に設定登録されたものである。 なお、本件の審判請求の登録は、平成25年12月2日である。 第2 請求人の主張 請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の登録を取消す、審判費用は、被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、甲第1号証ないし甲第7号証を提出した。 1 請求の理由 本件商標は、請求人の調査によれば、その指定商品につき継続して3年以上日本国内において使用されていないのみならず、本件商標を使用していないことについて何ら正当な理由が存することも認められない。また、本件商標の登録原簿には(甲1)、専用使用権も通常使用権も登録されていないし、他に商標権者の許諾を受けてこれを指定商品について日本国内において使用しているものも見出し得ない。 すなわち、本件商標は、指定商品について、今日に至るまで継続して3年以上にわたり、商標権者、専用使用権者、通常使用権者の何れによっても日本国内において使用されていない。 2 乙各号証について (1)乙第1号証 被請求人提出にかかる乙第1号証は、上部に「ASICS」、「SOCCER」、下部に「ORDERCOMPO」「2010-2012」と記された表紙、第66頁、最後の注文書の3枚からなる。かかる3枚の写しのみをもって、当該乙第1号証の成立を認めることはできない。関連性のない3枚の紙片のみをもって、その成立を首肯させうるものではない。これが存在することを示す補強資料もない。請求人は、当該書面の入手を試みたが発見できなかった。請求人は、乙第1号証の存在、成立について、疑義があるといわざるをえない。 乙第1号証について、その作成年月日、配布先、その作成経緯など一切不明である。その存在を認めることはできない。 (2)乙第1号証の1ないし5 いずれも発行年月日が不明であるし、表紙の記載から伺えるとおり、過去3年以内のものではない。乙第1号証の1は、1985年、同2は、1990年、同3は、不明、同4は、1998年、同5は、2001年である。 これらには、商標的に「アスレター」の標章が記載されていることは認められるが、過去3年以内のものではなく、意味がない。 (3)乙第2号証 乙第2号証についても、発行年月日が不明である。 なお、2010-2012と表紙にある乙第2号証では、乙第1号証の1ないし5とは対象的に、「ストレート」「アスレター」「ハーフ」と形状、用途、タイプなどの商品の内容を説明する記述的な表示であるにすぎない。 (4)乙第3号証 乙第3号証の記載をもって、「アスレター」が、本来の商標ではない、単なる記述的用語としての使用にすぎないことを否定できるものではない。「ストレート」「アスレター」「ハーフ」なる3つのタイプの形状、用途など種類を表わすにすぎず、自他商品役務識別標識としての使用ではない、単なる説明、記述的用語として理解される表現にすぎない。 (5)乙第4号証 乙第4号証で示された事案は、欧文字「PERLEX」と片仮名「パーレックス」を二段に表してなるところ、片仮名のみの使用で登録商標との同一性を認定されたものであるが、「PERLEX」は「パーレックス」と発音するのが構成上当然であり、本件とは、根本的に相違する。 (6)乙第5号証 乙第5号証について、作成者の名前も記載されておらず、何らの事実を証明しうるものではない。 その記載内容、納品日の記載よりして、過去3年以上前のものであって、当時の配布、過去3年以上前の配布が推認されるにすぎない。いかなるパンフレットに関するものであるかも不明である。そもそも、2012年に使用されるリーフレットが2010年2月26日に納品されるというのも不自然である。 (7)乙第6号証 商標の使用を示すものではない。乙第6号証の2には、「アスレター」の記載があるが、素材、スタイル、価格、本体価格欄中の「スタイル」として記載されているのであって、上記タイプの表示としての記述的使用を示すものであるにすぎず、自他商品役務識別標識たる本来の商標としての使用態様ではない。 3 乙各号証は自他商品識別標識たる本来の商標の使用を示すものではない 乙各号証には、「アスレター」の表示があることは認められるが、ここにおける「アスレター」の表示は、単なる説明、記述的使用であるに止まり、自他商品役務識別標識としての本来の商標の使用ではない。 乙第1号証及び乙第2号証中に、○(マル)に「R」(以下「○R記号」という。)を付した「アスレター」(以下「使用商標」という。)の表示があることは認められるが、3種類(ストレート・アスレター・ハーフ)よりお選び下さい、とあり、「ストレート」は長いタイプ、直線的な形状、「ハーフ」は短い、ハーフタイプ、「アスレター」は競技者向けの裾に絞りを加えた形状が示されているように、形状、タイプの種類を示す記述的表示であるにすぎない。 すなわち、乙第1号証及び乙第2号証中の用例は、3つのパンツの形状、タイプ(ストレート・アスレター・ハーフ)を区別する単なる説明的、記述的な表示であるにすぎない。自他商品・役務識別標識としての「商標」の使用ではない。「アスレター印」の商品を示す出所表示としての機能を有しうる用例ではない。 商標法は、第2条第1項柱書で商標を文字、図形、・・・。と定義し、同各号で使用について形式的な商標を定義するが、商標権侵害問題、不使用取消審判における商標の使用については、自他商品役務識別標識としての商標であることが本来の商標と解することは定説として確立されている。自他商品・役務識別標識としての「商標」の使用ではない。「アスレター印」の商品を示す出所表示としての記載ではない。 被請求人は、「アスレター」なる用語はないとして、乙第3号証を提出されるが、たまたま「ホッピングパンツ」「ホッピンクタイプ」成る言い方があるというに止まるものであって、これ以外の用語はすべて一般的な用語ではないといいうるものではない。 以上のとおり、「3種類(ストレート・アスレター・ハーフ)よりお選び下さい」なる説明、左側に直線的で長い形状の「ストレート」、右側に短い、半ズボンタイプの「ハーフ」と並列して、スポーツタイプの「アスレター」なる表記があるとしても、これが、自他商品識別標識としての本件商標「ATHLATER/アスレター」の使用と解することはできない。 4 使用商標は、本件商標と社会通念上同一性ある商標ということはできない 本件商標は、上段を欧文字「ATHLATER」、下段を片仮名「アスレター」としてなる。被請求人が乙各号証で主張するのは片仮名「アスレター」のみであって、本件商標と同一性を有するものではない。 上段の欧文字「ATHLATER」は、これを英語読みすると「アスレイター」と発音するのが自然である。「ATHLATER」自体は、英語ではないが、「・・・LATER」は、「その後、後ほど」を意味する平易な英語「later」の発音「レイター[leiter]」と同じであり、全体を「アスレイター」と発音するのが英語風の自然な発音である。他の発音法としては、「アスラター」と読むのも自然である。あるいは、ローマ字読みとして、「アスラテル」「アズラテル」とも発音できるものであって、その次に、「アスレター」とも発音できるという程度である。 上段の欧文字「ATHLATER」が当然に「アスレター」となるものではなく、「アスレター」が、唯一の発音、当然の発音、自然な片仮名表記というものではない。商標法第50条かっこ書きの規定で、社会通念上の商標の同一性が広く認められうるとしても、「ATHLATER」と「アスレター」が同一の称呼ではなく、「アスレター」と「ATHLATER/アスレター」について、同一性はない。 標章「アスレター」について、この片仮名「アスレター」から想定される欧文字は、体育、陸上競技を意味するアスレチック(athletic)、運動選手を意味するアスリート(athlete)なる用語から「ATHLETER」であって、本件商標中の「ATHLATER」ではない。 よって、標章「アスレター」の使用をもって、本件商標と社会通念上同一性ある商標ということはできない。 5 本件商標の不使用 以上のとおり、継続して3年以上本件商標権者等が、審判請求の予告登録前において、本件商標を請求にかかる指定商品のいずれかについて使用をしていることは立証されていない。ある種標章の使用があったとされるとしても、自他商品・商品識別標識たる商標として使用されているものではないし、本件商標と同一性がある商標の使用ではない。 6 むすび 以上のとおり、被請求人の答弁は理由がなく、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消されるべきものである。 第3 被請求人の主張 被請求人は、結論同旨の審決を求める、と答弁し、答弁書及び口頭審理陳述要領書において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第6号証(枝番号を含む。)を提出した。 1 本件商標の指定商品中の「被服」について使用している事実を証明する。2010年3月株式会社アシックス発行にかかる「2010-2012 ORDERCOMPO SOCCER」カタログ66頁所載のパンツのスタイル名「アスレター」として、本件商標が明確に表示されている(乙1)。 また、当該カタログ最終頁に「このカタログの有効期間は2010年3月1日から2013年2月28日までです。」と表示されている。 2 請求人は、被請求人提出にかかる証拠資料に対し、その存在等について疑義の主張をしているが、事後的に作成したものではなく確かに存在しているものであること、また作成年月日、配布先その作成経緯等について、下記5(1)にて補足説明する。 被請求人がすでに答弁書で提出した証拠資料について、本件商標がパンツのスタイル名として使用される仕組みを説明しているページ及び本件商標が使用されている全てのページを乙第2号証として追加提出し、これにより本件商標が突然記載され唐突な感がない、自然な表記であることを証明する。 3 請求人は、本件商標が形状、タイプの種類を示す記述的表示にすぎない、と主張しているが、追加証拠の乙第3号証の1ないし2に示すとおり、スポーツ業界において「競技者向けの裾に絞りを加えた形状」であるパンツのことを一般的に「ホッピングパンツ」「ホッピングタイプ」ということはあっても、本件商標がその形状、タイプの種類を表す商標として一般的に使用されている事実は存在しておらず、請求人からも何らそれを証明する証拠は提出されていない。 4 請求人は、被請求人提出にかかる使用証拠に関し、本件商標と同一性がない、との主張をしているが、本件商標が「ATHLATER」の欧文字と「アスレター」の片仮名を二段に書してなるのに対し、使用商標は「アスレター」のみからなるもので、欧文字が併記されていない点で本件商標と相違するものの、「ATHLATER」「アスレター」の各語ともわが国において特定の意味合いをもって知られた語ではないこと、いずれもが「アスレター」と自然に称呼できるものであることをあわせて考慮すると、本件商標と使用商標は社会通念上同一といって差し支えないものといえる。 また、不使用取消審判請求事件における同一性は、外観、称呼、観念、さらには需要者や取引業界の特殊性等を総合的に考慮して判断されるものであると思料するが、本件商標と使用商標の関係と同様の事例において、同一性が認められた審決例もあるので乙第4号証を提出し証明する。 5 請求人は、被請求人提出にかかる証拠資料が「使用」を構成していない、と主張しているが、被請求人は本件商標が実際の取引に使用された事実として補足説明する。 (1)本件商標の使用に関し、被請求人が答弁書において証拠資料として提出したカタログは、新和印刷株式会社で印刷・製本され、13,000冊が2010年2月26日に被請求人に納品されたことを乙第5号証の1及び2の提出をもって証明する。 また、当該カタログは、乙第5号証の3のとおり、被請求人の支社、事業所、配送センター等に納品、そこからさらに全国の小売店に配布されている。一般消費者(発注者)がオリジナルのウェアデザインを製作できる被請求人独自のシステム「オーダーコンポ」を利用する際に小売店で使用されているカタログである。 なお、当該カタログが加除式バインダー形式ではなく製本されたカタログである。 (2)さらに、被請求人は本件商標が実際の取引に使用された事実として、発注者からの注文内容を示す「受注入力原票」を乙第6号証の1として、これとデザインIDを共通にする「デザイン完成図」を乙第6号証の2として追加提出する。「受注入力原票」にウォームアップパンツのデザインコードとして示される「PE20」は乙第2号証の75頁に記載されているとおり、「アスレター」スタイルを特定するものであり、「デザイン完成図」にパンツのスタイル名として表示されている。 上記のとおり、被請求人による本件商標の使用は、商標法第2条第3項第8号に該当する使用行為である。 第4 当審の判断 1 被請求人が提出した証拠について (1)乙第2号証について 乙第2号証は、その裏表紙に「株式会社アシックス」と表示された2010年3月を発行日とする製本された商品カタログであり、有効期間として2010年3月1日?2013年2月28日との記載がある。なお、乙第1号証は、乙第2号証の商品カタログの表紙、66頁及び裏表紙の3枚のみからなるものである。 乙第2号証における表紙には、「asics」、「SOCCER」、「ORDERCOMPO」及び「2010-2012」の文字が表示されており、商品紹介のページ(66頁他)には、「パンツ」の項目下に「デザインは3種類(ストレート・アスレター・ハーフ)よりお選びください。」(「アスレター」の文字の右下に○R記号が付されている。)と記載され、それぞれ「ストレート」、○R記号が付された使用商標及び「ハーフ」の文字と共に3種類のトレーニングパンツが表示されている。また、商品カタログにおいてウォームアップパンツにデザインコードとして「PE20」が表示されている(乙2の72頁)。 (2)乙第5号証の1ないし3について 乙第5号証の1は、「新和印刷株式会社」が証明者である、「発行証明書」であり、証明内容として、「納品日:2010年2月26日」、「注番:353-3267-00」、「品名:2010-12オーダーコンポ サッカーカタログ」及び「発行部数:13,000冊(内訳 有償分:3760冊/無償分:9240冊)」の記載がある。 乙第5号証の2は、「請求合計書」及び「納品書控」の写しであり、共に「株式会社アシックス」を宛先として「新和印刷株式会社」が発行したものである。また、この「納品書」中には、発行日として「2010年2月26日」、商品名の項目に「オーダーコンポサッカーカタログ」、数量「9240」(単位T)、金額「203690」の記載がある。また、乙第5号証の3は、「2010-12オーダーコンポサッカーカタログ」の納品書に関する一覧表であり、「新和印刷 発注No.353-3267-00」及び「2010年2月26日納品 部数13,000」の記載がある。 (3)乙第6号証の1及び2について 乙第6号証の1は、商品の受注に関する「オーダーコンポ 受注入力原票」であって、受注日「2013.9.11(水)」、デザインID「531766」、受注者「加茂商事神戸外商部」、「ウォームアップジャケット」及び「ウォームアップパンツ」の記載があり、「ウォームアップパンツ」のデザインコードとして「PE20」の記載がある。 また、乙第6号証の2は、「ORDERCOMPO」「SOCCER」の表示と、「ジャケット」及び「パンツ」の図が表示され、デザインID「531766」、また、「パンツ」として、素材「TD」、スタイル「アスレター」(文字の右上に小さく「○R記号」がある)、価格「9,030」及び本体価格「8,600」の記載がある。 2 前記1で認定した事実によれば、以下のとおり、判断できる。 (1)使用商標の使用及び使用時期について 商標権者は、その取扱いに関する商品カタログを、平成22年(2010年)2月26日に、印刷会社の新和印刷から全国の支社や事業所に納品したものである。 そして、該商品カタログは、同年3月1日から同25年(2013年)2月28日を有効期限とするものであり、該カタログには、「ウォームアップ用パンツ」及びその価格等が掲載されているから、「ウォームアップ用パンツ」についての商品カタログと認められるものであり、「ウォームアップ用パンツ」は、本件取消請求に係る指定商品中「被服」に含まれる商品と認められる。 また、該商品カタログに掲載された「ウォームアップ用パンツ」には、「アスレター」と表示されているのであるから、かかる使用は、「ウォームアップ用パンツ」についての使用ということができる。 そうすると、商標権者は、日本国内において、本件審判の請求に係る指定商品中、「被服」に含まれる「ウォームアップ用パンツ」に関する、本件審判の請求の登録前3年以内(以下「要証期間」という。)を含む期間を有効期間とする商品カタログに、使用商標を表示して、これを頒布したものと認められる。 さらに、商標権者の商品を取り扱う小売店である加茂商事株式会社の2013年9月11日付けの「オーダーコンポ 受注入力原票」によれば、「デザインコード」を「PE20」で特定され、「スタイル」を「アスレター」とする「ウォームアップパンツ」が19枚、取引された事実が認められる。 (2)使用商標について 商標法第50条に規定する商標登録の取消審判における「登録商標」には、いわゆる「社会通念上同一の商標」を含むものであり、その「社会通念上同一の商標」と認められるものは、例えば、「書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の文字を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標」などである(商標法第50条第1項参照) 前記商品カタログによれば、「アスレター」の片仮名が、「ウォームアップ用パンツ」に表示されていることが認められる。 本件商標は、「ATHLATER」の欧文字と「アスレター」の片仮名とを上下二段に書してなるのに対して、使用商標は、「アスレター」の片仮名からなるものであるから、「アスレター」の片仮名において同一の文字からなるものということができる。 そして、本件商標の構成中の「ATHLATER」の欧文字部分は、例えば、「lady」が「レディ」と発音されるように「LA」の文字部分が「レ」と発音される場合もあることからすれば、「アスレター」の称呼をも生ずるものであり、使用商標からは、「アスレター」の称呼を生ずるものであるから、同一の称呼を生ずるものと認められる。 また、本件商標の「ATHLATER」の欧文字と「アスレター」の片仮名からは、いずれも特定の観念を生じないが、本件商標の「アスレター」と、使用商標は、同一の構成文字からなるものであるから、観念において相違はないものである。 そうとすれば、前記商品カタログにおける「アスレター」の表示は、本件商標と社会通念上同一のものと認められる。 (3)請求人の主張について ア 自他商品の識別標識としての使用について 請求人は、「乙第2号証では、・・・『ストレート』『アスレター』『ハーフ』と形状、用途、タイプなどの商品の内容を説明する記述的な表示であるにすぎない。」、「乙第6号証の2には、『アスレター』の記載があるが、素材、スタイル、価格、本体価格欄中の『スタイル』として記載されているのであって、上記タイプの表示としての記述的使用を示すものであるにすぎず、自他商品役務識別標識たる本来の商標としての使用態様ではない。」旨を主張する。 しかしながら、使用商標である「アスレター」の文字が、商品の品質等を表示するものとして一般に使用されているとの証拠は、一切なく、請求人においてもそのような実情を示すものは、提出されていない。また、例え、請求人のいうように、「ストレート」「ハーフ」などの品質表示と並列して使用されていたとしても、そのことによって、自他商品の識別標識としての機能が損なわれるものでもない。 さらに、請求人のいう乙第2号証及び乙第6号証の2においては、「アスレター」の表示に、多くの国や地域においてそれが登録商標であることを表示するために使用されている「○R記号」を付して使用しているものであって、「アスレター」なる表示が、商品の品質を表示するものとして普通に使用されているという証拠も見出せないから、これを商品の品質を表す記述的な表示とも認められず、むしろ、○R記号を付すことによって、登録商標を表示したものと理解されるものであるから、請求人の主張は採用できない。 イ 社会通念上同一の商標であることについて 請求人は、本件商標中の「欧文字『ATHLATER』は、『アスレイター』、『アスラター』、『アスラテル』、『アズラテル』なる発音が順に自然な発音であって、その次に、『アスレター』とも発音できるという程度である。」、「標章『アスレター』の使用をもって、本件商標と社会通念上同一性ある商標ということはできない。」旨主張する。 しかしながら、本件商標中、上段の「ATHLATER」の欧文字は、特定の意味を有しない造語であって、「アスレター」の称呼をも生ずるが、その称呼として認められることは前記(2)のとおりであり、本件商標における片仮名「アスレター」が使用商標と同一構成文字であって、上段の「ATHLATER」から生ずる称呼も同一のものということができる以上、片仮名「アスレター」からなる使用商標とは、社会通念上同一の商標とみて差し支えないというべきである。 よって、請求人の主張はいずれも採用することができない。 3 むすび 本件については、被請求人が提出した証拠から、 商標権者が、商品カタログを使用して、販売する本件商標の指定商品中「被服」に含まれる「ウォームアップ用パンツ」の商品カタログ及び取引書類に、本件商標と社会通念上同一と認められる「アスレター」の文字を表示していた事実が確認できるものであり、商標権者の上記行為は、「商品又は役務に関する広告,定価表若しくは取引書類に標章を付して・・頒布・・する行為」(商標法第2条第3項第8号)に該当するものと認められる。 以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が、その請求に係る指定商品中「被服」に含まれる「ウォームアップ用パンツ」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したものと認められる。 したがって、本件商標の登録は、その請求に係る指定商品について、商標法第50条の規定により、取り消すことができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2014-10-22 |
出願番号 | 商願2006-75531(T2006-75531) |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Y
(Y25)
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最終処分 | 不成立 |
特許庁審判長 |
井出 英一郎 |
特許庁審判官 |
今田 三男 田中 亨子 |
登録日 | 2007-01-19 |
登録番号 | 商標登録第5020489号(T5020489) |
商標の称呼 | アスレター |
代理人 | 高橋 康夫 |
代理人 | 市原 俊一 |