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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y30 |
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管理番号 | 1294867 |
審判番号 | 取消2013-300325 |
総通号数 | 181 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2015-01-30 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2013-04-23 |
確定日 | 2014-11-19 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4849608号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第4849608号商標の指定商品中、第30類「調味料,香辛料,穀物の加工品,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第4849608号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成15年10月31日に登録出願、第30類「菓子及びパン,茶,コーヒー及びココア,氷,調味料,香辛料,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,コーヒー豆,穀物の加工品,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,即席菓子のもと,酒かす」を指定商品として、同17年3月25日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 なお、本件審判の請求の登録は、平成25年5月15日にされている。 2 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由、答弁に対する弁駁において、要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第3号証(以下「甲1ないし甲3」のように略記する。)を提出した。 (1) 請求の理由 請求人の調査によると、本件商標の指定商品中「調味料、香辛料、穀物の加工品、ぎょうざ、サンドイッチ、しゅうまい、すし、たこ焼き、肉まんじゅう、ハンバーガー、ピザ、べんとう、ホットドッグ、ミートパイ、ラビオリ」(以下「請求に係る商品」という。)について、本件商標の商標権者により継続して3年以上日本国内において使用されておらず、現在も使用されている事実は見いだせない。 また、本件商標の登録原簿上において、通常使用権及び専用使用権の設定登録がなされておらず、使用権者が使用していることも確認できない。 したがって、請求人は、商標法第50条第1項の規定に基づき、本件商標の登録を取り消すとの審決を求める。 (2) 答弁に対する弁駁 ア 被請求人が提出した証拠において、本件商標と同一又は社会通念上同一と認められる可能性のある商標が表示されているのは、乙第3号証の1頁の中央右端と左下写真中の「フィリックス顔出しパネル」だけである。 しかし、これらを仔細にみると、フィリックス猫の右肩と左肩の上にそれぞれ「マルカワ」、「ガム」の表示があり、これは、丸川製菓株式会社のフィリックスガムについて使用される商標である。(甲3) よって、これらのガム包装用紙ないしそれを模した表示は、被請求人が使用権者であると主張する者のプロモーションの一環として利用されたものにすぎないと推測されるから、当該表示が本件商標と社会通念上同一であるとしても、それが使用されているのは、「ガム」についてであって、「ハンバーガー」との関連において商標の本質的機能が発揮されているとは到底いえない。 イ 乙第1号証は「株式会社東北新社(以下「東北新社」という。)の地位についての証明書」であるが、当該証明書を発行したのは、被請求人ではなく、Felix The Cat Creations,inc.(フィリックス ザ キャット クリエーションズ インコーポレーテッド)である。両者の関係については何らの証明も疎明もないから、両者が同一人であると認めることはできない。すなわち、東北新社がFelix The Cat Creations,inc.の何らかのライセンシング・エージェントであることまでは認められるとしても、同社が被請求人から許諾を受けた使用権者であるとは認められない。 被請求人は、乙第1号証の訳文として「知的財産について」なる語句を挿入しているが、原文の英語には該当箇所は見あたらない。さらに、当該証明書には、その期限日(2014年1月1日)のみが記載され、署名日ないし発行日の記載は一切なく、その有効性についても疑義がある。 ウ 乙第2号証は、東北新社と株式会社ベイクルーズ(以下「ベイクルーズ社」という。)との「商標使用権及び商品化権使用許可証」であり、該書類において「被請求人同意の上、東北新社はベイクルーズ社に対し商標使用を許諾しています」と述べている。しかしながら、当該書類に署名しているのは、被請求人ではなく、FELIX THE CAT CREATIONS,INCであるから、ベイクルーズ社を被請求人の使用権者(ライセンシー)又は再使用権者(サブライセンシー)であると認めることはできない。 また、許諾の対象たる商品として記載されるのは「マグカップ、ステッカー、スズ製バッジ、ポストカード」であり、そこに本件商標の請求に係る商品は含まれていない。なお、被請求人は、「Comments」欄において、「collaboration items」を「食品、商品」と訳し、それが当該契約に「含まれる」かのように訳することは、本件商標の使用を認めさせるための意図的な誤訳ではないかとの疑念を生じさせる。 エ 乙第3号証は、ベイクルーズ社の傘下の店舗であるとするj.s. BURGERS CAFE等の店舗において行われた「HAPPY FLAVOR with FELIX」と称する企画の宣伝広告であるが、これについては、すでに上記アで述べたとおりであり、「ハンバーガー」についての使用ではない。 さらに、被請求人が本件商標を使用していると主張する「ハンバーガー」は、乙各号証から推察するに、j.s. BURGERS CAFE等の店舗においては、「飲食・・・の提供・・・行われ」たのであり、「ハンバーガー」について当該店舗が行ったのは商品の販売ではなく、「飲食物の提供(第43類)」という役務である可能性がある。 オ 以上のとおり、被請求人提出に係る証拠によっては、被請求人又はその使用権者が、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、本件審判の請求に係る商品について、本件商標を使用していたことを証明しているとはいえない。 (3)まとめ したがって、本件商標の登録は、その指定商品中、本件審判の請求に係る商品について、商標法第50条第1項の規定に基づき、取り消すべきものである。 3 被請求人の答弁 被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする。との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第3号証を提出した。 (1)被請求人は、東北新社(所在地:東京都港区赤坂4丁目8番10号)を日本国内における事業代理店としている。(乙1) (2)東北新社は、さらに、東京都渋谷区神南1-5-6所在のベイクルーズ社とライセンス契約を締結、被請求人の同意の上、東北新社はベイクルーズ社に対し商標使用を許諾している(乙2)。この契約に基づき、ベイクルーズ社は、被請求人会社の外食関連部門の運営に携わっている。 (3)ベイクルーズ社の傘下の店舗である渋谷区のJ.B.BURGERS CAFE、j.s. pancake cafe、 JOURNAL STANDARD Cafe等において、本件商標に関連した「HAPPY FLAVOR with FELIX」と称する企画により、飲食やトートバッグやTシャツの提供が2011年9月1日から同年11月6日まで行われた。ここで、「Felix」の文字と黒猫キャラクターの商標の下でハンバーガーやパンケーキ等の商品が販売されている。 本件商標が明白に示された前記企画の行われた期間中の店舗において、本件商標が付されたメニューとともに少なくともハンバーガーが提供されていることが明らかであることから、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、本件商標が第30類に属する「ハンバーガー」について使用された事実が明らかである。 (4)したがって、本件商標権は、取り消されるものではない。 4 審理事項通知について 合議体は、商標権者が「ハンバーガー」に本件商標を使用しているとは認められないとする審理事項通知をしたところ、被請求人は、上申書において、暫定的見解における不明の点を解決するに足る証拠を得ることは不可能である旨の上申があった。 5 当審の判断 乙各号証から、以下のとおり判断する。 (1)乙第1号証は、「株式会社東北新社の地位についての証明書」であるところ、その署名者であるFelix the Cat Creations, inc.は、商標権者と相違するものであるから、該書面をもって商標権者が本件商標の使用に係るライセンスを株式会社東北新社(以下「東北新社」という。)に認めたということはできない。 (2)乙第2号証は、「商標使用権及び商品化権使用許可証」であるところ、Felix the Cat Creations,inc.が許諾署名している点については前記(1)と同様の疑義が存在する。また、その許諾の内容において、「Property」の項に記載された「Felix the Cat(Felix 100)」が本件商標を含んでいるのか不明である。さらに、「Products/description」の項に記載された「Mug cup,Sticker,Tin Badge,Postcard」には、請求に係る商品が含まれていない。 (3)乙第3号証は、J.S.BURGERS CAFEがJ.S.BURGERS CAFE SHIBUYA店などにおいて2011年9月1日から同年11月6日に行った「HAPPY FLAVOR with FELIX」と題する企画に関する広告付きメニューのところ、該広告には「Felix」の欧文字と黒猫のキャラクターがここかしこに散見されるとしても、かかる構成態様をもって、本件商標と同一又は社会通念上同一の商標を認めることはできない。 なお、本企画としてプレゼントされるフィリックス フーセンガムに、本件商標と社会通念上同一の商標が見受けられるが、該商標は、商品「フーセンガム」に使用する商標であるから、商品「ハンバーガー」に係る商標の使用とは認められない。 (4)以上のことから、商標権者が、東北新社及びベイクルーズ社に本件商標の使用を許諾したことを認めることができず、さらに、ベイクルーズ社が本件商標を商品「ハンバーガー」に使用したということもできない。 したがって、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る商品のいずれかについて、本件商標の使用をしたものということはできない。 また、被請求人は、本件商標を使用しないことについて正当な理由があることを明らかにしていない。 以上のとおり、本件商標の登録は、その指定商品中、請求に係る商品について、商標法第50条第1項の規定により、取り消すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲(本件商標) |
審理終結日 | 2014-06-25 |
結審通知日 | 2014-06-27 |
審決日 | 2014-07-10 |
出願番号 | 商願2003-96414(T2003-96414) |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Z
(Y30)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 鈴木 幸一、藤村 浩二 |
特許庁審判長 |
関根 文昭 |
特許庁審判官 |
寺光 幸子 手塚 義明 |
登録日 | 2005-03-25 |
登録番号 | 商標登録第4849608号(T4849608) |
商標の称呼 | フィリックス、フェリックス |
代理人 | 特許業務法人三枝国際特許事務所 |
代理人 | 小沢 慶之輔 |