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審決分類 審判 査定不服 商3条1項6号 1号から5号以外のもの 登録しない W44
管理番号 1294865 
審判番号 不服2013-22326 
総通号数 181 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2015-01-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-11-14 
確定日 2014-11-19 
事件の表示 商願2012-13029拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は,「髪の病院」の文字を標準文字で表してなり,第44類「美容,理容」を指定役務として,平成24年2月23日に登録出願されたものである。

2 原査定の理由
原査定は,「本願商標は,『髪の病院』の文字を表してなるものところ,その指定役務を取り扱う業界においては,理髪やパーマネントのみならず,傷んだ髪を修復したり,健康な髪に回復させるためのアドバイス等の,積極的に健康な髪にするためのサービスを提供していることが認められ,その際に『髪の病院』の文字が多数使用されているものである。そうとすると,本願商標は,これをその指定役務に使用しても,これに接する需要者は,髪の修復や回復のアドバイス等を提供する美容院又は理容院であることを認識するにとどまり,何人かの業務に係る役務であることを認識することができないものというのが相当である。したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。

3 当審における証拠調べ通知
当審において,本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するか否かについて,職権による証拠調べをした結果,本願の指定役務について,「髪の病院」の文字が使用されている別掲のとおりの事実を発見したので,商標法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき,請求人に対し,平成26年6月12日付けで証拠調べ通知書を送付した。

4 請求人の意見
前記3の証拠調べ通知に対し,請求人は,平成26年6月27日受付の意見書において,要旨以下のように主張した。
(1)本願商標の構成中の「病院」の文字は,「患者を収容し,医師または歯科医師が診察・治療を行う施設。医療法では入院用ベッド数が20以上あるものをいい,19以下のものを診療所とする。」(デジタル大辞泉)の非常に明確な概念を表す語である。
(2)「髪の病院」の語が,「髪を治療する施設」程の意味合いを暗示させる場合が例えあったとしても,「病院」の語は,非常に明確な概念を有し,上記において暗示する「髪を治療する施設」の「施設」を「病院」で置き換えるのは無理があるというべきである。
「髪を治療する施設」には,入院用ベッドもないし,医師または歯科医師もいないので,現実的には有り得ない欺瞞的表現であるので,「髪の病院」を用いた理由を敢えて探れば,「自分の美容院は髪を治療する病院のような施設」であり,自分は医者のようにお客様に接していきたいという思いを込めたものと思われる。
したがって,「髪の病院」を屋号のように使用することは許されるとしても,「髪の病院」の意味合いは,説明すれば説明する程,辻褄が合わなくなる。
(3)インターネット情報において,内容の裏付ける個所は「髪の病院●●●」であるものの,「髪の病院●●●」全体が美容室店名(屋号)を表したもので,「髪の病院」の語の意味合いは,ほのめかすとか暗示させるとかの記載はあり得ても,具体的に,かつ,特定できるようには,何処にも記載がない。
「髪の病院」からは,「髪の治療や手入れをコンセプトとする美容院や理容院」の意味合いを暗示させたとしても,ただちに想起するものとはいい難い。
(4)本願商標は,その指定役務との関係において,役務の説明,宣伝,広告等を直接的,具体的に表したものとはいい難く,役務の提供促進を図る一種の宣伝文句として需要者に認識されるということはできない。
そして,請求人側において調査するも,その指定役務を取り扱う業界において,「髪の病院」の文字が,説示の意味合いを表すものとして,又は,役務の宣伝文句を表すものとして,取引上普通に使用されている事実を発見できなかった。
そうとすれば,本願商標は,その指定役務について使用しても,役務の質(内容)を表示することはなく,また,役務の質(内容)について誤認を生ずるおそれもないものであるから,商標法第3条第1項第6号に該当しない。

5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第6号該当性について
本願商標は,「髪の病院」の文字を標準文字で表してなるところ,その構成中,「病院」の文字は,「病人を診察・治療する施設。」(広辞苑第六版)の意味を有する語であることから,「髪の病院」の文字からは,「髪を治療する施設」程の意味合いを理解させるものである。
そして,「髪の病院」の文字は,別掲のとおりのインターネット情報によれば,例えば,「一人ひとりの髪質と状態に合わせてトリートメントを調合し,髪そのものを治療。髪のパサつきなど,何でも気軽に相談することができる。」,「髪の病院をコンセプトにトリートメントなどヘアケアに力を入れ」,「髪の美しさを徹底的に追及するトリートメント重視サロンです。1人1人の髪質やダメージに合せた数種類のトリートメントメニュー」などのように,「髪の手入れ(ヘアケア)」に重きを置いた美容や理容の役務の提供を行う店であることを謳ったり紹介したりする文言と一緒に使用されており,また,同時に,店名と共に表示される等,複数の事業者により使用されている実情を窺い知ることができるものである。
かかる実情からすれば,「髪の病院」の文字からは,その指定役務である美容や理容との関係において,「髪の手入れ(ヘアケア)に重きを置いて傷んだ髪を治療する施設(美容院や理容院)」という程の意味合いを理解,認識させるものであって,美容や理容の役務の提供の特徴やコンセプトを表したものと理解,認識させるにすぎず,該文字からなる本願商標は,これをその指定役務に使用しても,需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができないものと認められる。
したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第6号に該当する。
(2)請求人の主張について
請求人は,「『髪の病院』の語の意味合いは,ほのめかすとか暗示させるとかの記載はあり得ても,具体的に,かつ,特定できるようには,何処にも記載がない。『髪の病院』からは,『髪の治療や手入れをコンセプトとする美容院や理容院』の意味合いを暗示させたとしても,ただちに想起するものとはいい難い」旨,及び「本願商標は,その指定役務との関係において,役務の説明,宣伝,広告等を直接的,具体的に表したものとはいい難く,役務の提供促進を図る一種の宣伝文句として需要者に認識されるということはできない」旨の主張をしている。
しかしながら,別掲のとおり,本願指定役務の提供者である美容院が,「髪の病院」との表示を一般に採択し,使用しているものであり,これらの情報の記載内容を勘案すれば,「髪の手入れ(ヘアケア)に重きを置いて傷んだ髪を治療する施設(美容院や理容院)」という程の意味合いを表すものと理解,認識させるといい得るものである。
そして,「髪の病院」の文字は,複数の事業者により,その「店名」と共に表示されることからすれば,役務の出所を表示する部分は,「店名」であって,該文字部分は,その役務の特徴やコンセプトを表すものと理解,認識させるものということができる。
よって,請求人の主張は,採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第6号に該当するものであるから,これを登録することはできない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲

(1)「ヘアーコスメサロン Walk(ウォーク)」のウェブサイトにおいて,「髪の痛みやパサつきなど髪を治療する『髪の病院』。髪のダメージを気にしている人は多いはず。そんな悩み本気で応えてくれるヘアサロンが誕生した。一人ひとりの髪質と状態に合わせてトリートメントを調合し,髪そのものを治療。髪のパサつきなど,何でも気軽に相談することができる。きっと最善の状態に戻してくれるはずだ。」の記載がある。
(http://kanazawabiyori.com/shop/shop_8952.html)
(2)「美容室 OASIS DOF 髪の匠」のウェブサイトにおいて,「オアシス ディーオーエフ カミノタクミ 伊丹の『髪の病院』 髪と頭皮のお悩みはおまかせください」の記載があり,「●匠のこだわり・・・」の項には,「ちゃんと貴方の髪の現状を見て,様々なテクニックを選択,使用します。貴方のお悩み解決のためのメニュー12種類と,髪と頭皮に優しい薬剤と処理剤が20種類ございます。」及び「1・お客さまの情報(お悩みと希望)をカウンセリングとヒアリングで深く知ってから施術に入ります。」,「2・マイクロスコープで頭皮のダメージを診断」などの記載がある。
(http://home.rasysa.com/oasis-dof/)
(3)「eNu 烏丸店」のウェブサイトにおいて,「京都・烏丸通りの美容院・美容室『eNu烏丸店』。髪の病院をコンセプトにトリートメントなどヘアケアに力を入れ,『お客様に髪を通じて夢と感動を!』をテーマに取り組んでおります。」の記載がある。
(http://www.navel.ne.jp/shop/karasuma.html)
(4)「GRAN AZZURRI」のウェブサイトにおいて,「お店のこだわり・・・」の項に「美容室&髪の病院として2006年に本格的トリートメントプロショップ『グランアズーリ』を立ち上げる。お店のメニューは『はちみつカラー』や『リマイン』といったように,すべて髪を傷めないオリジナルメニュー。お店で使っているシャンプーなども自社開発したもの。『通えば通うほど髪がキレイになる』・・・そんなお店です。」の記載がある。
(http://www.granazzurri.com/menu/about.html)
(5)「MEETS(ミーツ)」のウェブサイトにおいて,「箕面駅より3分,隠れ家的サロン.髪のお悩みは『髪の病院』MEETS(ミーツ.)へ」及び「髪に対するお悩みは様々だと思います。パサツく,ハリコシや艶がない,薄毛や細毛など…。。そんなお悩みをお持ちの方に,一人でも多くの方に『宝石髪』を叶えて頂きたく思い,『髪の病院 MEETS(ミーツ.)』を設立いたしました。厳選された価値ある薬剤だけを使用し,髪の美しさを徹底的に追及するトリートメント重視サロンです。1人1人の髪質やダメージに合せた数種類のトリートメントメニューをご用意させて頂き,艶めく宝石髪をプロデュースさせていただきます。」の記載がある。
(http://www.meets-hh.com/consept/concept.html)
(6)「髪の病院 picoro」のウェブサイトにおいて,「美容の道に進み14年・・・東京・海外・静岡で12000人以上の髪に触れてきた経験から,沼津市・三島市地域の美容院&美容室としてpicoroはオープンし,今も常に変進化し続けています。髪質や年齢で諦めないでください!!そして,あなたの大切な髪を誰よりもやさしくしてあげてください!どのような髪でもキレイになれます。どのような髪の悩みでもpicoroがお応え致します。あなたの心に,やさしさと安らぎを・・・。そして,キレイになれる幸せと健康を・・・。」の記載がある。
(http://www.picoro.net/)
(7)「髪の病院Ricetta」
(http://www.tochinavi.net/spot/home/?id=13965)
(8)「髪の病院 ヘアープロデュース K」
(https://ja-jp.facebook.com/Hairproducek)
(9)「髪の病院 美容室かみじゅく」
(http://m807.gnk.cc/zugai/kamijyuku/index.htm)


審理終結日 2014-09-05 
結審通知日 2014-09-08 
審決日 2014-10-08 
出願番号 商願2012-13029(T2012-13029) 
審決分類 T 1 8・ 16- Z (W44)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 橋本 浩子 
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 田中 亨子
内藤 順子
商標の称呼 カミノビョーイン、カミノ、カミ 
代理人 佐藤 富徳 

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