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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
不服20143215 審決 商標
不服20139242 審決 商標
不服201413821 審決 商標
不服201323737 審決 商標
不服201321228 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W2930
管理番号 1294863 
審判番号 不服2013-9304 
総通号数 181 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2015-01-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-05-21 
確定日 2014-11-17 
事件の表示 商願2012-47721拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第29類及び第30類に属する願書に記載のとおりの商品を指定商品として、平成24年6月13日に立体商標として登録出願され、その後、本願の指定商品については、原審における同25年1月17日付け手続補正書により、第29類「春雨とワンタン入り即席スープ」及び第30類「スープ付きワンタン入り即席春雨」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、指定商品との関係から、桃色を基調とした蓋部と、木目調のデザインを施した容器本体からなる包装容器の一形態を立体的形状により表してなるものである。そして、容器本体の桃色で縁取りされた円窓の中は、容器中の内容物を認識させる『ワンタンを使用した即席春雨』を表したものと認識されるものであるが、商標全体として特異なデザインというよりは、一般に採用し得る装飾的なデザインが施された商品の包装容器の形状を普通に用いられる方法で表示したにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審においてした審尋
当審において、請求人に対し、平成26年3月31日付けでした審尋は、要旨以下のとおりである。
本願の指定商品ないしそれと同様の商品を取り扱う業界においては、別掲2ないし7に示すとおり、商品の容器の蓋部を着色し、かつ、当該容器の側面部にカップ状の器に入った調理例の絵図等を配することが一般に広く行われているのが実情である。
そこで、上記実情を踏まえて、本願商標をみると、本願商標は、別掲1のとおり、商品の容器の蓋部を赤で着色し、かつ、当該容器の側面部に赤色のカップ状の器に入った調理例の絵図等を配してなるものであり、また、当該カップ状の器の絵図の周辺には、木板様の絵図が描かれているが、両絵図の位置関係に照らせば、これらは、木板様の物の上に器を置いたものとして看取されるとみるのが相当であるから、本願商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、当該指定商品を取り扱う業界において一般に広く行われているものと同様の装飾を施してなる容器と理解、認識するにとどまるというべきである。
してみれば、本願商標は、取引者、需要者をして、商品の形状を普通に用いられる方法で表示するものとして認識されるにとどまり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものといわなければならない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。

4 審尋に対する請求人の回答(要旨)
(1)審尋における別掲2ないし7のインターネット情報について
ア 別掲2ないし7のインターネット情報(以下「インターネット情報」)は、そのいずれにも、容器の側面部を複数の「縦長木片」を接合して組み立てられた「木組みの容器」であるかのように構成しているものはなく、むしろ、本願商標の独自性が高いことを裏付ける証左といえる。
イ インターネット情報には、確かに、商品の容器の蓋部を着色すること及び当該容器の側面部にカップ状の器に入った調理例の絵図等を配することは示されているが、その絵図は、カップ状の器を斜め上方から見た様子を表したものであり、カップ状の器を真上から見た様子を表してなる絵図を商品の容器の側面部に配してなる本願商標と相違する。また、商品の容器の蓋部とその容器の側面部に表されたカップ状の容器とが同一の色彩によるものも見当たらない。
したがって、インターネット情報において、一体のものとして評価すべき本願商標の構成上の特徴である「容器本体の側面部の正面に、木目調とは異なる色彩で縁取りされた円窓を配置した点」及び「蓋部の外周部を上記円窓と対応するようにそれと同一の色彩でリング状に縁取りを施した点」を兼備したものはなく、これをもって、当該特徴を備えることが広く行われているということはできない。
ウ 本願商標は、その構成上の特徴である「容器本体の側面部を木目調のデザインとした点」、「容器本体の側面部の正面に、木目調とは異なる色彩で縁取りされた円窓を配置した点」及び「蓋部の外周部を上記円窓と対応するようにそれと同一の色彩でリング状に縁取りを施した点」の結合として構成されるものであって、インターネット情報との対比から明らかなとおり、十分に個性的といえ、看者に強い印象を与えるものであり、また、本願の指定商品の容器について、第三者の選択の余地を不当に狭めるものでもないから、自他商品識別力を有するとともに、独占適応性を有するものである。
(2)「一般的に使用されているか否か」の判断基準について
登録出願に係る商標が一般的に使用される標章であるか否かは、その表現手法自体が一般的であるか否かではなく、具体的な形体として表された標章それ自体について見るべきであり、単に概括的ないし抽象的に判断することは妥当ではない(平成20年6月30日知財高裁判決 平成19年(行ケ)第10293号審決取消請求事件)。
これを本件についてみると、上記(1)のとおり、インターネット情報のいずれにも、本願商標の構成上の3点の特徴が示されていないから、本願商標が一般的に使用される標章であるといえないことは明らかである。
(3)「装飾」という点について
審尋においては、あたかも「装飾」であれば、当然に自他商品識別力を有しないかのように結論づけているが、前掲判決が「商品の形状は、取引者・需要者の視覚に直接訴えるものであり、需要者は、多くの場合、まず当該商品の形状を見て商品の選択・選別を開始することは経験則上明らかであるところ、商品の製造・販売業者においては、当該商品の機能等から生ずる制約の中で、美感等の向上を図ると同時に、その採用した形状を手掛かりとして当該商品の次回以降の購入等に結び付ける自他商品識別力を有するものとするべく商品形体に創意工夫を凝らしていることもまた周知のところであるから、一概に商品の形体であるがゆえに自他商品識別力がないと断ずることは相当とはいえない」と判示するとおり、美感の向上と自他商品識別力の有無とは二者択一の関係にあるものではなく、美感の向上を図ると同時に、自他商品識別力を有することもまた「周知の事実」であるから、かかる理由付けは、妥当ではない。

5 当審の判断
(1)本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、別掲1のとおりの構成態様からなるものであって、その指定商品を第29類「春雨とワンタン入り即席スープ」及び第30類「スープ付きワンタン入り即席春雨」とするものであるところ、前記3の審尋において示したとおり、本願の指定商品を取り扱う業界においては、逆円錐台の形状からなる容器本体と該容器本体の上縁に覆い被せる形状からなる蓋部との組み合わせは、一般に広く採択、使用されている形状といえるものであり、また、上記「春雨とワンタン入り即席スープ」及び「スープ付きワンタン入り即席春雨」という商品の実際にあっては、商品の容器本体の側面部や蓋部に、自他商品識別のための商標(文字又は図形等)のほか、取引者、需要者の嗜好に訴え、購買意欲を高めるべく、商品の品質(風味やカロリー量等)を容易に看取できるような語句や調理例の絵図を大きく表したり、容器本体の側面部や蓋部に模様や色彩による装飾を施すといったことが一般に広く行われている。
そこで、本願商標をみるに、立体形状からなる本願商標は、別掲1のとおり、その外形を逆円錐台の形状からなる容器本体と該容器本体の上縁に覆い被せる形状からなる蓋部との組み合わせとするものであって、該容器本体の側面部には、木板様の物の上に置かれた赤色のカップ状の器に入った料理例の絵図が大きく表されており、さらに、該蓋部が赤色で着色されているものである。
そうすると、本願商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、その構成全体をもって、本願の指定商品を取り扱う業界において一般に広く用いられているものと同様の形状からなり、かつ、同様の絵図を表したり、装飾を施してなる容器と理解、認識するにとどまるとみるのが相当である。
してみれば、本願商標は、取引者、需要者をして、商品の形状を普通に用いられる方法で表示するものとして認識されるにとどまり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものというべきである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものである。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標について、「容器本体の側面部を木目調のデザインとした点」、「容器本体の側面部の正面に、木目調とは異なる色彩で縁取りされた円窓を配置した点」及び「蓋部の外周部を上記円窓と対応するようにそれと同一の色彩でリング状に縁取りを施した点」の3点を兼備することが特徴であるところ、このような特徴を備えることが広く行われているとはいえず、十分に個性的であり、看者に強い印象を与えるものであるから、自他商品識別力を有し、かつ、独占適応性を有するものである旨主張する。
しかしながら、本願商標が、その指定商品に係る取引の実情を鑑みたときに、取引者、需要者をして、その構成全体をもって、商品の形状を普通に用いられる方法で表示するものとして認識されるにとどまるものであること、上記(1)において、認定、判断したとおりであるから、上記請求人による主張を採用することはできない。
イ 請求人は、商品の形状について、美感の向上と自他商品識別力の有無とは二者択一の関係にあるものではなく、美感の向上を図ると同時に、自他商品識別力を有することもあることからすれば、「装飾」であることをもって、自他商品識別力を否定することは妥当でない旨主張する。
しかしながら、本願商標については、単にそこに施された装飾のみを捉えるのではなく、その外形とその表面に表されている絵図や色彩等との組み合わせからなる構成態様の全体をもってみたときに、取引者、需要者が、本願の指定商品を取り扱う業界において、一般に広く用いられているものと同様の形状からなり、かつ、同様の絵図を表したり、装飾を施してなる容器として理解、認識するにとどまり、自他商品の識別標識としては認識し得ないこと、上記(1)において、認定、判断したとおりであるから、上記請求人による主張を採用することはできない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することができない。
したがって、本願商標が同号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
1 本願商標(色彩については原本参照)




2 「アサヒフードアンドヘルスケア株式会社」のウェブサイトにおいて、「野菜たっぷりでヘルシーな麺入りカップスープ『おどろき野菜』シリーズから/『おどろき野菜 和風鶏おろし』/『おどろき野菜 ぴり辛肉味噌』新発売」の見出しの下、当該各商品について、上部に被せる蓋が着色されており、かつ、側面にカップ状の器に入った調理例の絵図等を配してなる容器の画像が掲載されている。
(http://www.asahi-fh.com/common/press/2011/110126.html)
3 「TOPVALU/トップバリュ」のウェブサイトにおいて、「スープ春雨 かきたま入り中華風」の見出しの下、当該商品について、上部に被せる蓋が着色されており、かつ、側面にカップ状の器に入った調理例の絵図等を配してなる容器の画像が掲載されている。
(http://www.topvalu.net/items/detail.php?id=11929sid=2cid=51mid=118)
4 「あなたと、コンビに、FamilyMart」のウェブサイトに、「ファミリーマートコレクション」の見出しの下、「ホテル日航東京監修 海苔と卵入りとろみ中華春雨」及び「ホテル日航東京監修 黒胡麻担担春雨」として、当該各商品について、上部に被せる蓋が着色されており、かつ、側面に台上に置かれたカップ状の器に入った調理例の絵図等を配してなる容器の画像が掲載されている。
(http://www.family.co.jp/goods/famicolle/platinum/o_soup.html)
5 「日清食品株式会社」のウェブサイトにおいて、「ニュースリリース/2007年10月15日 <新発売のご案内>」として、「-シャキシャキ野菜とおいしいスープでホッと小腹も満足!-/たて型カップスープ/1.『日清 野菜はるさめスープ とろみ中華』/2.『日清 野菜はるさめスープ 五目かきたま』/3.『日清 野菜はるさめスープ キムチチゲ』/4.『日清 野菜フォースープ 鶏湯スープ』/新発売のご案内」の見出しの下、当該各商品について、上部に被せる蓋が着色されており、かつ、側面にカップ状の器に入った調理例の絵図等を配してなる容器の画像が掲載されている。
(http://www.nissinfoods.co.jp/com/news/news_release.html?nid=1222)
6 「旭松食品株式会社」のウェブサイトにおいて、「カップ スープ春雨 中華風」の見出しの下、当該商品について、上部に被せる蓋が着色されており、かつ、側面にカップ状の器に入った調理例の絵図等を配してなる容器の画像が掲載されている。
(http://www.asahimatsu.co.jp/product/cup/ps36.html)
7 「江崎グリコ株式会社」のウェブサイトにおいて、「ラーメン風はるさめ」の見出しの下、当該各商品について、上部に被せる蓋が着色されており、かつ、側面にカップ状の器に入った調理例の絵図等を配してなる容器の画像が掲載されている。
(http://www.ezaki-glico.net/soup/)


審理終結日 2014-09-08 
結審通知日 2014-09-12 
審決日 2014-09-30 
出願番号 商願2012-47721(T2012-47721) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W2930)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 藤平 良二 
特許庁審判長 野口 美代子
特許庁審判官 高野 和行
田中 敬規
代理人 木村 俊之 
代理人 鈴江 正二 

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