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審決分類 |
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X05 |
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管理番号 | 1294831 |
審判番号 | 不服2013-12247 |
総通号数 | 181 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2015-01-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2013-06-27 |
確定日 | 2014-11-13 |
事件の表示 | 商願2012-57550拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第5類「消毒剤及び防臭剤(身体用のものを除く。),空気清浄剤,空気脱臭剤」を指定商品として、平成23年11月14日に登録出願された商願2011-81715に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として、平成24年7月17日に登録出願され、その後、指定商品については、当審における平成25年8月14日付けの手続補正書により、第5類「トイレ用消毒剤,トイレ用防臭剤,トイレ用空気清浄剤,トイレ用空気脱臭剤」に補正されたものである。 2 原査定の拒絶の理由の要点 原査定は、「本願商標は、その指定商品との関係において、商品及びその包装の形状を立体的に表したと認識されるものであって、同種の商品の形状として採用し得る立体的形状の範囲を超えているものとは認められない。そうとすると、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者は、該商品及びその包装の形状を表示したもの、つまり、単に商品の品質、形状(包装の形状)を、普通に用いられる方法で表示したものと理解するにとどまるというのが相当であって、本願商標は自他商品の識別標識としての機能を果たさないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨判断し、本願を拒絶したものである。 3 当審の判断 (1)立体商標における商品の形状に係る判示 ア 商品等の形状は、多くの場合、商品等に期待される機能をより効果的に発揮させたり、商品等の美観をより優れたものとするなどの目的で選択されるものであって、商品の出所を表示し、自他商品を識別する標識として用いられるものは少ないといえる。このように、商品等の製造者、供給者の観点からすれば、商品等の形状は、多くの場合、それ自体において出所表示機能ないし自他商品識別機能を有するもの、すなわち、商標としての機能を有するものとして採用するものではないといえる。また、商品等の形状を見る需要者の観点からしても、商品等の形状は、文字、図形、記号等により平面的に表示される標章とは異なり、商品の機能や美観を際立たせるために選択されたものと認識し、出所表示識別のために選択されたものとは認識しない場合が多いといえる。 そうすると、商品等の形状は、多くの場合に、商品等の機能又は美観に資することを目的として採用されるものであり、客観的に見て、そのような目的のために採用されたと認められる形状は、特段の事情のない限り、商品等の形状を普通に用いられる方法で使用する標章のみからなる商標として、商標法第3条第1項第3号に該当すると解するのが相当である。 イ また、商品等の具体的形状は、商品等の機能又は美観に資することを目的として採用されるが、一方で、当該商品の用途、性質等に基づく制約の下で、通常は、ある程度の選択の幅があるといえる。しかし、同種の商品等について、機能又は美観上の理由による形状の選択と予測し得る範囲のものであれば、当該形状が特徴を有していたとしても、商品等の機能又は美観に資することを目的とする形状として、商標法第3条第1項第3号に該当するものというべきである。その理由は、商品等の機能又は美観に資することを目的とする形状は、同種の商品等に関与する者が当該形状を使用することを欲するものであるから、先に商標出願したことのみを理由として当該形状を特定の者に独占させることは、公益上の観点から必ずしも適切でないことにある。 ウ さらに、商品等に、需要者において予測し得ないような斬新な形状が用いられた場合であっても、当該形状が専ら商品等の機能向上の観点から選択されたものであるときには、商標法第4条第1項第18号の趣旨を勘案すれば、商標法第3条第1項第3号に該当するというべきである。その理由として、商品等が同種の商品等に見られない独特の形状を有する場合に、商品等の機能の観点からは発明ないし考案として、商品等の美観の観点からは意匠として、それぞれ特許法・実用新案法ないし意匠法の定める要件を備えれば、その限りにおいて独占権が付与されることがあり得るが、これらの法の保護の対象になり得る形状について、商標権によって保護を与えることは、商標権は存続期間の更新を繰り返すことにより半永久的に保有することができる点を踏まえると、特許法、意匠法等による権利の存続期間を超えて半永久的に特定の者に独占権を認める結果を生じさせることになり、自由競争の不当な制限に当たり公益に反することが挙げられる(知的財産高等裁判所 平成22年(行ケ)第10253号判決)。 (2)本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性について 上記観点から本願商標の商標法第3条第1項第3号の該当性について検討するに、本願商標は、別掲1のとおり、白い半透明の穴の空いた球体が横一列に4個連なり、その球体の穴からは青色又は黄色の物体が覗いて見え、列の中央部から白い半透明のテープ様の棒が垂直上方向に伸び上部で楕円状に巻かれた立体的な形状からなるものである。 ところで、トイレ用の防臭、抗菌、防汚等の効果を有する商品(以下、「トイレ用防臭剤等」という。)においては、いろいろな形のものがあり、容器内に格納された物質が水に触れ溶解されることにより効果を発揮するために、穴の開いた容器の形状が一般に採用されている実情がある(別掲2)。 また、置き型、スプレー式、吊り下げ型、タンク用等、様々なタイプの商品が販売され、吊り下げ型の商品においては、商品を吊り下げるためのフックやストラップが付属されている(別掲2(1)及び(2))。 そして、穴の開いた容器に便器の洗浄・抗菌・脱臭等の効果を有する物質を格納しフックで便器の内側に懸垂する商品が取引されている実情がある(別掲3)。 そうとすれば、本願商標は、トイレ用防臭剤等において、一般に採用されている容器に入った商品の形状(物質を格納するための穴の開いた容器に、吊り下げるためのフックやストラップを付属した形状)の一形態を表したものと認められる。 そして、本願商標の形状は、容器に物質を入れ、水洗式便器等にフックで懸垂し、用便後に水を流す際に容器内に格納された洗浄・抗菌・脱臭等の効果を有する物質が溶解されることにより、洗浄、消毒、防臭、空気清浄、空気脱臭等の機能を効果的に発揮させるため、又は、美観をより優れたものとするために採用されたものと理解させるから、これに接する取引者、需要者は、商品の機能や美観を際立たせるために選択したものと理解するにとどまり、商品の出所を識別する標識とまでは認識しないとみるのが相当である。 そうとすると、本願商標に係る立体的形状は、トイレ用防臭剤等の一形態を表示したものと認識し得るものであって、その特徴は、機能上又は美感上の理由による形状の選択と予測し得る範囲のものとみるのが相当である。 してみれば、本願商標は、その指定商品に使用するときには、商品の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標といわなければならない。 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものである。 (3)請求人の主張について 請求人は、本願に係る商品である、英語で一般に「toilet rim block(トイレリムブロック)」と呼ばれている商品(以下、「トイレリムブロック」という。)の範ちゅうに入る日本製の商品は存在しないし、他国で製造販売される「トイレリムブロック」にも本願に係る商品と外観を概ね共通にする商品は存在しないから、本願商標に接する需要者、取引者は、これを単に商品の品質、形状を表すものとして理解することはなく、本願商標は全体で一体不可分の立体形状として自他商品識別機能を発揮する。そして、本願商標の形状、色彩、模様は、請求人の商品として独特のものであって、その限りにおいては一私人に独占を認めることに関して不適当なことはなく、本願商標と関連する商標は、ドイツにおいて自他商品の識別性が認められ登録されていることからも、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当しない旨主張している。 しかしながら、日本製の「トイレリムブロック」という商品が存在しないとしても、別掲3のとおり、他国で製造された、水洗式便器の縁にフックで懸垂し、用便後に水を流す際に容器内に格納された洗浄・抗菌・脱臭等の効果を有する物質が溶解されることにより、その効果を発揮する商品(いわゆる「トイレリムブロック」)がインターネット等を通じて我が国でも取引・購入できる実情がある。 そして、本願商標の形状は、水洗式便器等に懸垂するためのフックの付いた穴の開いた容器に物質を格納した構成からなるものである。そして、このような水洗式便器等に懸垂するためのフックが付いた穴の開いた容器に物質を格納してなる形状は、「トイレリムブロック」の機能を発揮するために必要な形状といえ、出願人以外の者が取り扱う商品についても採用されているものである。 また、請求人は、本願商標の形状、色彩、模様は、請求人の商品に独特のものであると主張しているが、本願商標の形状が、球状の形状を複数連ねた容器からなり、その穴から覗き見える物質に色彩が施されている等の特徴を有しているとしても、それらは、機能又は美観上の理由による形状の選択と予測し得る範囲のものであると認められること、上記(2)のとおりであるから、本願商標は、商品の機能又は美観に資することを目的とする形状として、商標法第3条第1項第3号に該当するものというべきである。 さらに、本願商標は、ドイツにおいて商標登録されているとしても、ドイツにおける立体商標の登録制度と我が国のそれが同一のものと解釈しなければならない事情が存するものとは認められないから、これに基づく主張は採用の限りでない。 したがって、請求人の主張はいずれも採用することができない。 (4)まとめ 以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することができない。 したがって、本願商標が同号に該当するとして本願商標を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲1(本願商標) (色彩については、原本参照) 別掲2 (1)「アイディア.com」と称するウェブサイトにおいて、「黄ばみ・尿石・臭いの消臭!!吊り下げ可能! バイオ トイレ用(トイレタンクに置くだけ)」の見出しの下、「トイレのタンクに置くことでバイオが水に溶け出し、黄ばみや尿石、臭いの元となる配水管の中まできれいにします。」と記載され、以下の商品の写真が掲載されている。そして、「使用方法」の項には、「【手洗い付きトイレタンクに設置する場合】●蛇口から出る水が丁度かかる位置に(中央の円に穴があいている面を下にして)本品を置いてください。」、「【タンクに置いててご使用になる場合】●本品の片上にある通し穴に付属のワイヤーを通します。(先端を細く折り曲げて頂くと、穴に入りやすくなります。)●結び目が穴の部分で止まる事を確認してください。●タンクの蓋を開け、必ずバイオボールが完全に水の中に使っている事を確認してから蓋をお閉めください。」と記載されている。 (http://www.1616idea.com/fs/cogit/toilet/475039#newtop) (2)株式会社協栄販売のホームページにおいて、「トイレ洗浄消臭剤 ダカラビセイブツ」の見出しの下、以下の商品の写真が掲載されている。そして、「使用方法」の項には、「■手洗い部に置く タンク手洗い部の排水口の上の水があたる場所に設置してください。BN菌が徐々に流れ出し、タンク内から便器・排水管のヨゴレを分解し、悪臭を元から除去してくれます。」、「■タンク内に取り付ける ケースに付いているフックをタンク内のパイプなどにかけてください。」と記載されている。 (http://www.kyoei-hanbai.com/product/004.html) (3)アクアサービス株式会社のホームページにおいて、「トイレ用除菌剤 LS-8」の見出しの下、以下の商品の写真が掲載されている。そして、「■使用方法」の項には、「□男性用小便器に、置いておくだけです。 □容器の中の成分が徐々に溶出しますので、中身の不織布が平たくなったら交換の目安です。」と記載されている。 (http://www.aqua-s.jp/control/ls8.html) (4)「雑貨屋 総合雑貨の専門店 大和ネットサービス」と称するウェブサイトにおいて、「トイレ 黄ばみ防止 洗浄剤 ビーズで簡単!キバミ110番3個セット アイデア 便利」の見出しの下、以下の商品の写真が掲載されている。そして、「トイレ水タンクの上部に置くだけで微溶し、便器の悪臭やキバミ・ヌメリの原因となる細菌やカビ類の付着を防ぎます。」と記載されている。 (http://www.e-zakkaya.com/htm012/012137195.htm) 別掲3 以下に例示するような、水洗式便器の縁にフックで懸垂し、用便後に水を流す際に容器内に格納された洗浄・抗菌・脱臭効果等を有する物質が溶解されることにより、その効果を発揮する商品がインターネットで紹介され、我が国でも取引、購入できる。 (1)http://japanese.alibaba.com/product-gs/hanging-rim-block-toilet-bowl-cleaner-572381666.html (2)http://japanese.alibaba.com/product-gs/1pcs-chemical-blue-automatic-toilet-cleaner-toilet-bowl-cleaner-harpic-toilet-cleaner-918608377.html (3)http://japanese.alibaba.com/product-gs/30g-hanger-single-blue-toilet-block-403218296.html (4)http://japanese.alibaba.com/product-gs/toilet-cleaner-and-deodorizer-309316155.html (5)http://japanese.alibaba.com/product-gs/solid-toilet-rim-block-452511761.html |
審理終結日 | 2014-06-03 |
結審通知日 | 2014-06-04 |
審決日 | 2014-07-02 |
出願番号 | 商願2012-57550(T2012-57550) |
審決分類 |
T
1
8・
13-
Z
(X05)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 鴨田 里果、箕輪 秀人 |
特許庁審判長 |
土井 敬子 |
特許庁審判官 |
梶原 良子 高野 和行 |
代理人 | 特許業務法人三枝国際特許事務所 |