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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W01033541 |
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管理番号 | 1293848 |
異議申立番号 | 異議2014-900063 |
総通号数 | 180 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2014-12-26 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2014-02-26 |
確定日 | 2014-10-30 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5637443号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5637443号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5637443号商標(以下「本件商標」という。)は、「Quartz JQC」及び「クォーツJQC」の文字を上下二段に横書きしてなり、平成25年6月24日に登録出願、同年11月26日に登録査定され、第1類「自動車用コーティング剤」、第3類「せっけん類,自動車用洗剤」、第35類「経営の診断又は経営に関する助言,市場調査又は分析,商品の販売に関する情報の提供」及び第41類「知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,書籍の制作」を指定商品及び指定役務として同年12月13日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第1947114号商標(以下「引用商標」という。)は、「QUARTZ」の文字を横書きしてなり、昭和59年12月19日に登録出願、第5類「グリース、潤滑油、その他の工業用油、その他本類に属する商品」を指定商品として昭和62年4月30日に設定登録され、その後、平成9年6月3日及び同19年5月1日の2回に亘り商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに平成20年8月6日に指定商品を第4類「工業用ガソリン,モーターオイル,ギヤオイル,衝撃吸収用オイル,車両用グリース,その他の工業用油,工業用油脂,燃料」とする指定商品の書換登録がされ、現に有効に存続しているものである。 第3 登録異議の申立ての理由の要点 本件商標は、申立人の業務に係る潤滑油(モーターオイル、エンジンオイル)に使用する商標として我が国において本件商標の登録出願前から周知となっている引用商標及び「QUARTZ」商標(以下「使用商標」ということがある。)と類似するものであり、また、潤滑油は本件商標の指定商品及び指定役務と密接に関連するものであるから、本件商標がその指定商品及び指定役務に使用されたときは、申立人又は申立人と経済的に関連を有する者が提供する商品又は役務であるとの誤認混同を生じさせるおそれがある。 よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものであるから、その登録を取り消すべきものである。 第4 当審の判断 1 引用商標及び使用商標の周知性について (1)申立人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。 (ア)申立人は、パリに本部を置く民間の総合石油エネルギー企業であり、また、国際石油資本スーパーメジャー6社の一つであって、世界に50ヵ所の生産拠点、150カ国以上に販売拠点を有し、「TOTAL」(トタル)及び「ELF」(エルフ)のブランドの下に事業を展開しており、「TOTAL」ブランドは世界の全業種ブランドランキング(2013年)では69位に位置している(甲3ないし甲5)。 (イ)潤滑油(モーターオイル、エンジンオイル)の分野においては、申立人は、モータースポーツに進出している自動車企業へのサポートや技術コンタクトを行っているほか、ハウスマーク「TOTAL」と共に「QUARTZ」の商標を使用した潤滑油が、フランスの自動車メーカーとして知られる「プジョー」及び「シトロエン」の指定エンジンオイルになっている(甲3及び甲4)。上記潤滑油については、1985年から我が国でも輸入販売され、現在では、1999年3月に申立人の100%子会社として設立された「トタル・ルブリカンツ・ジャパン株式会社」(以下「トタルジャパン」という。)を通じ、国内の約850店舗で販売されており、最近4年間の売上高は、2009年が1億4415万円、2010年が1億7680万円、2011年が2億1294万円、2012年が2億1952万に達している(甲11)。 (ウ)上記「TOTAL」及び「QUARTZ」の商標を付した潤滑油については、2005年から2013年にかけて発行された自動車愛好家向けの各種雑誌等に度々広告が掲載され、記事としても掲載されたほか、トタルジャパンのウェブサイトにおいても紹介されており、また、インターネットの検索サイトYahoo!による「QUARTZ TOTAL」のキーワード検索によれば、約369,000件がヒットし、その上位9位までが申立人の業務に係る上記潤滑油を紹介するものである(甲4、甲8、甲9の1ないし9及び甲10の1ないし48)。 (エ)申立人の「TOTAL」の文字からなる商標及び「TOTAL」の文字を含む商標は、我が国を含む全世界で1221件登録されており、「QUARTZ」の文字からなる商標は、第4類に属する商品を指定商品として、我が国を含む全世界で138件登録されている(甲6及び甲7)。 (2)以上によれば、「TOTAL」の文字からなる商標及び「TOTAL」の文字を含む商標は、申立人のハウスマークとして我が国の取引者、需要者の間に広く認識されているものといえる。 しかしながら、申立人の業務に係る潤滑油については、その商品紹介や広告において「TOTAL(トタル)は・・・」、「TOTALオイル」、「TOTAL(トタル)自動車用オイルシリーズ」、「TOTAL QUARTZ」、「トタルクォーツ」、「トタルクォーツ・シリーズ」、「TOTAL QUARTZ ○○○」、「トタルクォーツ○○○」等の如くに記述されているものが多いこと、「QUARTZ series」、「QUARTZ INEO ECS ○○○」、「QUARTZ RACING ○○○」等の表示が散見されるものの、これらは常に商品の容器と共に表示されていること、しかもその容器には、常にハウスマークである「TOTAL」と共に「QUARTZ」の標章が表示されており、使用商標「QUARTZ」のみが独立して使用されているものは殆ど見当たらないこと、宣伝広告の媒体は限られており、その期間・規模・頻度等も必ずしも大きいとはいえないこと、「QUARTZ」の商標が世界で商標登録されているとしても、それだけで周知になるものではないこと、などからすると、「TOTAL QUARTZ」(トタルクォーツ)として相当程度知られているとしても、使用商標自体が独立して申立人の業務に係る商品「潤滑油」を表示するものとして、本件商標の登録出願時において取引者、需要者の間に広く認識されていたものとまでは認められない。使用商標と引用商標とは同一といえるものであるから、引用商標についても同様のことがいえる。 2 本件商標と使用商標との類似性について 本件商標は、上記第1のとおり、「Quartz JQC」及び「クォーツJQC」の文字が全体的にバランスよく配置されており、「Quartz」又は「クォーツ」の文字部分のみが特に看者の注意を強く惹くというものでもなく、全体をもって親しまれた既成の観念を有しない一種の造語として認識し把握されるとみるのが自然であるから、「クォーツジェイキューシー」の称呼のみを生ずるものというべきである。 他方、使用商標は、例えば、「ジーニアス英和辞典」によれば「(鉱)石英<純粋な結晶は無色透明で水晶(crystal)と呼ぶ>」を意味する英単語を表したものであり、「クォーツ」の称呼を生ずるものである。 そうすると、本件商標と使用商標とは、それぞれの構成に照らし外観上判然と区別し得る差異を有するものであり、それぞれから生ずる「クォーツジェイキューシー」の称呼と「クォーツ」の称呼も「ジェイキューシー」の音の有無という顕著な差異により容易に区別することができるものである。また、本件商標は、親しまれた既成の観念を有しないものである以上、観念上、使用商標と比較することもできない。 したがって、本件商標と使用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきであり、引用商標についても同様のことがいえる。 3 商品及び役務の関連性について 申立人は、本件商標の指定商品中の「自動車用コーティング剤」及び「自動車用洗剤」は自動車修理工場において自動車の修理・整備に使用されるものであり、使用商標及び引用商標に係る潤滑油とは流通経路、用途、使用場所等を共通にし、密接に関連する商品であり、本件商標の指定役務も上記潤滑油と密接に関連するものである旨主張する。 確かに「自動車用コーティング剤」、「自動車用洗剤」及び「潤滑油(モーターオイル、エンジンオイル)」は自動車について使用されるものではあるが、前二者は自動車の外見を美化、保護するために使用されるものであって、必ずしも自動車修理工場でのみ使用されるものとはいえないのに対し、後者は自動車エンジンについて使用されるものであり主に自動車修理工場等で使用されるものであるから、それぞれの品質、用途、使用場所等は異なるものといわざるを得ない。 また、本件商標の指定商品の「せっけん類」及び指定役務と上記潤滑油とが密接に関連するものであるとすべき具体的な証左は見出せない。 結局、本件商標の指定商品及び指定役務と使用商標及び引用商標に係る潤滑油とが密接に関連するものであるとまではいえない。 4 商品及び役務の出所の混同のおそれについて 以上を総合勘案すると、本件商標をその指定商品及び指定役務について使用した場合、これに接する取引者、需要者が「Quartz」又は「クォーツ」の文字部分のみに注目して使用商標ないしは申立人を連想、想起するようなことはないというべきであり、該商品及び役務が申立人又は申立人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品及び役務であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれはないものと判断するのが相当である。 5 むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2014-10-21 |
出願番号 | 商願2013-48567(T2013-48567) |
審決分類 |
T
1
651・
271-
Y
(W01033541)
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最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 久保田 正文 |
特許庁審判長 |
井出 英一郎 |
特許庁審判官 |
田中 亨子 今田 三男 |
登録日 | 2013-12-13 |
登録番号 | 商標登録第5637443号(T5637443) |
権利者 | 寺園 馨 |
商標の称呼 | クォーツジェイキュウシイ、クオーツジェイキュウシイ、クォーツ、クオーツ、ジェイキュウシイ |
代理人 | ▲高▼山 嘉成 |
代理人 | 古木 睦美 |
代理人 | 佐藤 雅巳 |