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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y44 |
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管理番号 | 1293662 |
審判番号 | 取消2013-300378 |
総通号数 | 180 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2014-12-26 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2013-05-10 |
確定日 | 2014-10-14 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4810432号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第4810432号商標の指定商品及び指定役務中、第44類「全指定役務」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第4810432号商標(以下「本件商標」という。)は、「AGING」の欧文字と「MANAGEMENT」の欧文字とを上下二段に書してなり、平成16年3月1日に登録出願、第44類「エステティック,その他の美容,理容,入浴施設の提供,庭園又は花壇の手入れ,庭園樹の植樹,肥料の散布,雑草の防除,有害動物の防除(農業・園芸又は林業に関するものに限る。),あん摩・マッサージ及び指圧,カイロプラクティック,きゅう,柔道整復,はり,アロマテラピーの提供,医業,美容外科医業,審美歯科医業,医療情報の提供,健康診断,歯科医業,調剤,栄養の指導,動物の飼育,動物の治療,植木の貸与,農業用機械器具の貸与,医療用機械器具の貸与,漁業用機械器具の貸与,美容院用又は理髪店用の機械器具の貸与,芝刈機の貸与」のほか、第3類、第10類、第25類、第29類、第41類及び第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同年10月15日に設定登録されたものであり、その後、その商標権は、原商標権者から「株式会社メディコア」(以下「メディコア」という場合がある。)へ移転(平成18年4月25日登録)され、さらに、平成25年12月6日受付の特定承継による移転登録申請をもって、東京都新宿区四谷二丁目4番地12のメディコアから兵庫県神戸市東灘区甲南台1番31号の「池内秀行」へ移転登録されているものである。 そして、本件審判の請求の登録は、平成25年5月29日にされたものである。 第2 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第6号証を提出している。 なお、本件商標に係る商標権は、前記第1のとおり、メディコアから池内秀行へ移転登録されていることから、以下の請求人の主張においては、その内容を踏まえて、適宜、前者を「被請求人」から「メディコア」へ置き換えるものとする。 1 請求の理由 本件商標は、その指定商品及び指定役務中、第44類に属するすべての指定役務について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきものである。 2 答弁に対する弁駁 (1)メディコアは、乙第1号証を根拠に、平成21年4月30日付けで、心斎橋コムロ美容外科の池内医師(以下「池内医師」という場合がある。)に本件商標についての通常使用権を許諾した旨主張する。 しかしながら、乙第1号証である「承継に関する基本合意書」(以下「基本合意書」という。)の第2条には、「3 乙は、甲が所有する別紙記載の商標権(以下「本件商標」という)の承継(無償の使用権、第三者との共有を含む)を希望し、甲は、乙が承継できるよう努める。」、「4 乙は、前3項に基づき承継した資産等(以下「承継対象資産等」という)について、本日、現状有姿で引渡しを受けたものとし、甲は、承継対象資産等の瑕疵(法律上の瑕疵を含む)については瑕疵担保責任を負わない。」との記載があるのみであって、メディコアが池内医師に通常使用権を許諾する趣旨の記載は存在しない。 (2)メディコアは、乙第2号証及び乙第3号証を根拠に、池内医師が、そのころから今日まで継続して、アンチエイジング(抗老化医学)治療につき、本件商標を使用している旨主張する。 しかしながら、乙第2号証及び乙第3号証である「回答書」及び「回答書2」は、池内医師が本件商標を使用していることを主観的に主張する内容が記載されているのみで、本件商標を使用していることを客観的に示す証拠ではない。 (3)メディコアは、乙第4号証を根拠に、池内医師が本件商標をアンチエイジング治療のために用いている旨主張する。 しかしながら、乙第4号証の各頁の右下には、「2013年7月25日」と印刷されており、これは、本件審判の請求の予告登録日である平成25年5月27日よりも後であるから、乙第4号証は、本件審判の請求の登録前3年以内(以下「要証期間内」という場合がある。)における本件商標の使用を証明する証拠ではない。 また、請求人が提出する甲第2号証ないし甲第6号証は、2010年11月10日並びに2011年の3月21日、5月21日、8月6日及び9月1日における乙第4号証に対応するホームページのインターネットアーカイブであるところ、これらには、本件商標に該当する記載は見当たらないから、少なくとも上記日付において、池内医師は、該ホームページ上で本件商標を使用していない。 (4)メディコアは、乙第5号証を根拠に、平成21年9月から同25年6月までの間、池内医師が、本件商標を用いた治療として、トランスディトロピンという薬剤を処方している旨主張する。 しかしながら、乙第5号証には、その表紙に「今までコムロ美容外科汐留院にて、TDT(トランスDトロピン)を用いたエイジングマネージメント療法を行っていた。汐留院閉院に伴い、当院でのfollow up希望される。」との記載があるのみで、この記載がいつ書かれたものであるか不明である。 また、仮に、上記記載が乙第5号証の右上に記載された2009年9月29日時点で書かれたものであるとしても、この記載は、同日以前の使用を主張するのみで、要証期間内における本件商標の使用を証明する証拠ではない。 さらに、乙第5号証には、その表紙における上記記載以外に本件商標の記載は一切存在しない。 第3 被請求人の答弁 被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第11号証を提出している。 1 答弁の理由 (1)本件商標についての通常使用権 ア 本件商標の前商標権者である「株式会社メディコア」(メディコア)は、大阪市中央区において、心斎橋コムロ美容外科(以下「心斎橋院」という。)を実質的に経営していたところ、経営不振に陥ったため、平成21年4月30日付け「承継に関する基本合意書」(乙第1号証。以下「基本合意書」という。)をもって、医師である「大阪市中央区心斎橋筋一丁目10番11号 ルフレ21 8階 心斎橋コムロ美容外科こと 池内秀行」(池内医師)に心斎橋院の事業用資産を譲渡し、その際、本件商標についての通常使用権を許諾した(乙第1号証)。 イ 池内医師は、平成21年1月頃から、メディコアの破産手続申立代理人弁護士(奥野総合法律事務所)との間で、心斎橋院の営業等を承継することについて協議を重ね、上記アのとおり、同年4月30日に基本合意書を締結した。 なお、上記基本合意書の締結日はメディコアの破産手続開始決定日と同日であるものの、その締結がメディコアの破産開始決定よりも前にされたものであることは、以下の(ア)及び(イ)から明らかである。 (ア)基本合意書に関しては、奥野総合法律事務所の平成21年4月28日付け「基本合意書案」(乙第6号証)のとおり、承継に関する基本合意自体は成立しており、書面化の手続が残っていただけである。 なお、基本合意書の作成は、基本合意書案に基づいてメディコアの代表者が押印した基本合意書2通が池内医師あてに送付され、同医師が押印した基本合意書2通のうち、1通を奥野総合法律事務所あてに返送する方法が採られているところ、平成21年4月30日午後3時36分、奥野総合法律事務所から池内医師あてにメディコアの代表者が押印した基本合意書(以下「基本合意書FAX1」という。)がファクシミリ送信され、同日午後5時30分、池内医師が基本合意書FAX1に署名押印した基本合意書を池内医師から奥野総合法律事務所あてにファクシミリ送信(以下「基本合意書FAX2」という。)した時点で既に締結されていた。 その後、平成21年4月30日午後7時、メディコアについて破産手続が開始され(乙第8号証)、さらに、同日午後7時16分、奥野総合法律事務所から締結済みの基本合意書FAX2が被請求人代理人あてにファクシミリ送信されて、基本合意書の締結が報告されたものであった(乙第7号証)。 (イ)奥野総合法律事務所の基本合意書案FAX送信票の連絡事項には、メディコアの破産手続開始予定日が平成21年4月30日であり、それまでに破産管財人候補者から承継に関する合意をするよう申出があったことが記されている。破産裁判所がなす破産開始決定に先立ち、破産管財人候補者が破産手続申立代理人弁護士との間で打合せを行うのが通常であるところ、メディコアについても同様であったもので、破産管財人弁護士も当然基本合意書の内容を承知しており、基本合意書において定められた承継の対価は、池内医師がメディコアの破産管財人弁護士あてに支払った(乙第9号証)。 ウ 基本合意書においては、メディコアは池内医師が「本件商標の承継」を「できるように努める」と記載されているが、それは、メディコアの破産開始決定直前の慌ただしい時期に急いで作成したため、合意成立前の下書きの表現がそのまま引き継がれてしまったものであり、実際には、承継が合意されていた。メディコアは破産することが確実であり、破産管財人も承知しているのであるから、メディコアにおいても、池内医師においても、該承継についての紛争は生じないものと考えていたため、文言にさしたる注意を用いず、本件商標の移転登録手続も採らなかったが、本件審判が請求されたことから、平成25年12月6日、本件商標の移転登録を完了した。 エ 以上のとおり、メディコアと池内医師との間で基本合意書が有効に締結されたものであり、かつ、要証期間内において、池内医師がメディコアから本件商標についての通常使用権を許諾されていたことは明らかである。 (2)本件商標の使用 ア 池内医師は、乙第2号証及び乙第3号証にあるように、そのころから今日まで継続して、アンチエイジング(抗老化医学)治療について本件商標を使用している。 すなわち、本件商標が使用されている治療やそれに伴う薬剤の取引は、特定の需要者(患者)に限定されるものであることから、広く認知される必要もないところ、池内医師は、患者からアンチエイジングの訴えを受けると、成長ホルモンの分泌を促進するなどの効果が期待される療法として、エイジングマネージメント療法を行うとしているものであり、患者に対し、エイジングマネージメント療法の説明をし、患者の承諾を得て、トランスディトロピンを処方するのであるが、患者は、エイジングマネージメント療法を受けていること自体を秘匿事項とする者が大半であるため、薬剤の説明についてエイジングマネージメント療法を記すことはないが、患者への療法説明として本件商標を使用しており、アンチエイジングの療法説明書(乙第10号証)に記載した上、薬剤を使用している(商標法第2条第3項第8号)。 また、本件商標の使用期間について、本件商標が使用されている治療に伴う薬剤の納入業者との取引を証す証明書(乙第11号証)によれば、池内医師は、平成21年11月から同24年9月までの約2年10か月間、本件商標を使用した治療としての処方薬であるトランスディトロピンを製薬会社「PRSS.Japan株式会社」から購入しており、この期間は、本件商標を使用した治療を行った患者のカルテ(乙第5号証)とも合致するものである。上記患者は、本件商標の前通常使用権者(「前商標権者」の誤記と認める。)であるメディコアにより、メディコアの破産手続開始決定後は汐留院により、治療を受けていた者で、該汐留院閉院に伴い、平成21年9月から、池内医師において上記患者に対する治療を引き継いだものである。 そうすると、池内医師は、少なくとも、自己における上記患者の治療期間である平成21年9月ないし同25年6月までの期間、本件商標を使用していたことが明らかである。 イ 乙第4号証は、現在、池内医師が経営する心斎橋院のホームページの記事であり、本件商標をアンチエイジング治療のために用いていることが分かる。 ウ 乙第5号証は、アンチエイジング治療の一例のカルテであり、平成21年9月から同25年6月までの間、本件商標を用いた治療として、トランスディトロピンという薬剤を処方していたことが分かる。 (3)まとめ 以上のとおり、本件商標は、要証期間内に、通常使用権者である池内医師により使用されていることが認められるものである。 第4 当審の判断 1 被請求人は、本件商標は、要証期間内に、通常使用権者である池内医師により使用されている旨主張するところ、その使用につき、以下検討する。 (1)被請求人の主張及び同人の提出に係る乙各号証によれば、以下の事実が認められる。 ア 乙第1号証は、メディコアの代表取締役社長を甲とし、池内医師を乙として、甲乙各自が記名押印の上、平成21年4月30日付けで作成された基本合意書(写し)であって、その第1条(目的)には、「本合意は、心斎橋コムロ美容外科(以下「心斎橋院」という)の実質的な経営主体であった甲が経営不振に陥ったため、乙が心斎橋院における営業を実質的に承継するにあたり、平成20年12月31日(以下「基準日」という)時点の心斎橋院にかかる資産及び負債を、甲から乙に実質的に承継することを目的とする。」との記載があり、同じく、第2条(承継対象)には、「3 乙は、甲が所有する別紙記載の商標権(以下「本件商標」という)の承継(無償の使用権、第三者との共有を含む)を希望し、甲は、乙が承継できるよう努める。」及び「4 乙は、前3項に基づき承継した資産等(以下「承継対象資産等」という)について、本日、現状有姿で引渡しを受けたものとし、甲は、承継対象資産等の瑕疵(法律上の瑕疵を含む)については瑕疵担保責任を負わない。」との記載が含まれており、上記基本合意書(写し)の別紙には、メディコアの所有に係る4件の商標権のうちの一として、本件商標が掲げられている。 また、上記基本合意書(写し)の最上段には、メディコアの破産手続申立代理人弁護士に係る奥野総合法律事務所からのファクシミリ送信に係る表示として、「奥野総合法律事務所」の文字及びそのファクシミリ番号の記載があるほか、その送信日時である「2009年5月20日(水)11:51」との記載がある。 なお、メディコアは、平成21年4月30日午後7時に東京地方裁判所の破産手続が開始しているところ(乙第8号証)、上記基本合意書については、同月28日に、奥野総合法律事務所の担当弁護士から被請求人代理人にあてて、その案文がファクシミリ送信され(乙第6号証)、その後、乙第1号証と同一の内容からなる「承継に関する基本合意書」(ただし、池内医師の記名押印部が乙第1号証のそれと異なる。)が、同月30日の午後3時36分に奥野総合法律事務所から池内医師にあてて、同じく、午後5時30分に池内医師から奥野総合法律事務所にあてて、同じく、午後7時16分に奥野総合法律事務所の担当弁護士から被請求人代理人にあてて、それぞれファクシミリ送信された(乙第7号証)。 イ 乙第2号証は、メディコアの清算人(弁護士)が平成25年7月17日付けで池内医師に対してした「商標使用の照会」について、同医師が同清算人にあてた同月31日付け「回答書」とされるものの写しであるところ、これには、同医師が、上記アにいう同21年4月30日付け基本合意書のとおり、本件商標を承継し、通常使用権を有していると考えていること、メディコアが心斎橋コムロ美容外科を経営していた当時から、心斎橋院の診療科目の1つであるアンチエイジング治療において、本件商標を記載することにより、継続して使用しており、その使用態様は今後も変わらないこと、メディコアが倒産した後においても、以前の患者や医療品等の取引先に対応していたこと、相当の対価を支払ってメディコアから本件商標を含む営業を譲り受けていること、今後におけるトラブルを回避するために、該基本合意書の別紙に記載された本件商標を含む4件の登録商標の権利者をメディコアから同医師へ移転登録するよう求めること、などの記載がある。 なお、上記「商標使用の照会」がどのような内容をもってされたかは、不明であり、また、上記「回答書」からは、本件商標についての具体的な使用態様(使用に係る商標の構成態様、使用の方法、使用の時期等)を確認することができない。 ウ 乙第3号証は、メディコアの清算人(弁護士)が平成25年8月2日付けで池内医師に対してした「商標使用の照会」について、同医師が同清算人にあてた同月9日付け「回答書2」とされるものの写しであるところ、これには、上記アにいう同21年4月30日付け基本合意書に基づく承継後の本件商標の具体的使用事例として、同医師が、同年9月29日に、コムロ美容外科汐留院でエイジングマネージメントを受けていたという患者からの問い合わせに対し、口頭でエイジングマネージメントの説明をした上で、別紙カルテのとおり、心斎橋院において、引き続きエイジングマネージメントとして、トランスディトロピンを処方していることを挙げて、心斎橋院は、少なくとも同年9月ないし同25年6月にわたり、本件商標を継続して使用しているから、同医師による本件商標の使用の事実は明らかであると思う旨の記載がある。 なお、上記「商標使用の照会」がどのような内容をもってされたかは、不明であり、また、上記「別紙カルテ」とは、乙第3号証としては提出されていないものの、被請求人の主張及びほかの証拠の内容に鑑みれば、乙第5号証として提出されたものと推認される。 エ 乙第4号証は、池内医師が現在経営する心斎橋院のホームページの記事とされるものであるところ、これには、「心斎橋コムロ美容外科」の表示があるほか、「メディカルコスメ」のうちの「Trans-D Tropin(トランスディトロピン)」の見出しの下、「アンチエイジング治療の中で、内科的な治療として重要なのが、成長ホルモンです。(中略)TDT(トランスDトロピン)は、脳下垂体に働き掛け、成長ホルモンの分泌量を増やすことができるFDA認可の安全な薬品です。」の説明文とともに、「トランスDトロピン」が適するとする年齢層や症状例、使い方及び費用についての記載があり、これらの後に、「当院ではアンチエイジング、スローエイジングを基本の考え方とした患者様により良く年齢を重ねて頂くための/エイジングマネージメント/を行っています。美容外科的な外からのアプローチだけでなく、体の内側からもいつまでの『綺麗』でいて頂くための内科的治療も取り入れております。」との記載がある。 なお、乙第4号証は、その右下にある「2013/07/25」の記載によれば、2013年(平成25年)7月25日に紙出力したものといえるから、これをもって、要証期間内の使用ということはできない。 オ 乙第5号証は、アンチエイジング治療の一例のカルテとされるものの写しであるところ、これには、「210929-3 カルテ」の見出しの下、「氏名」、「住所」、「生年月日」等の記載欄(ただし、具体的な記載内容は不明。)及びその欄外に、手書きで「今までコムロ美容外科汐留院にて、TDT(トランスDトロピン)を用いたエイジングマネージメント療法を行っていた。汐留院閉院に伴い、当院でのfollow up希望される。」との記載があるほか、「所見・経過・処置」の欄には、平成21年9月29日から同25年6月26日までの間における「トランスDトロピン(又はTDT)」についての注文、入金及び発送に係る概要が記載されている。 なお、上記カルテからは、本件商標についての具体的な使用態様(使用に係る商標の構成態様、使用の方法、使用の時期等)を確認することができない。 カ 乙第10号証は、エイジングマネージメント療法についての説明書とされるものであるところ、これには、「エイジングマネージメント療法説明書及び申し込み承諾書」の標題の下、「エイジングマネージメント療法とは」、「期待できる効果について」、「副作用について」、「使用上の注意事項」、「療法の適応」及び「の他の注意事項」の各事項に係る記載のほか、「申し込み承諾書」として、「上記の内容を理解した上で、療法を受けることを承諾いたします。」の記載の下、日付、氏名及び押印、住所、電話番号並びに生年月日を記入等する欄が設けられているが、これらの欄は、すべて空白となっている。 キ 乙第11号証は、本件商標が使用されている治療に伴う薬剤の納入業者との取引を証す証明書とされるものの写しであるところ、これは、平成26年3月31日付けの「PRSS.Japan株式会社」から特許庁審判長へあてた証明書とする書面であって、「私は,心斎橋コムロ美容外科に医療器具や薬剤等を納入している業者です。心斎橋コムロ美容外科に納入する薬剤のうち,心斎橋コムロ美容外科においてエイジングマネージメント療法として処方されるトランスディトロピンを,平成21年11月から平成24年9月までの期間,納入していましたので,それを証明致します。」との記載がある。 なお、上記証明書からは、トランスディトロピンについての具体的な納入内容(納入の時期、納入の数量等)を確認することができない。 (2)上記(1)において認定した事実によれば、本件商標の使用につき、以下のとおり、判断することができる。 ア 池内医師は、平成21年4月30日に本件商標の前商標権者であるメディコアとの間で結んだ基本合意書に基づき、メディコアが経営していた心斎橋院の営業を承継し、また、少なくとも、2013年(平成25年)7月25日には、「Trans-D Tropin(トランスディトロピン)」と称する薬品との関連において、心斎橋院のホームページ上に「エイジングマネージメント」の表示がされていたとはいえるものの、本件審判の請求の登録は、前記第1のとおり、平成25年5月29日にされたものであるから、上記ホームページ上の表示が要証期間内にされたということはできない。 イ 被請求人の提出に係るカルテ(乙第5号証)からは、心斎橋院(池内医師)が、平成21年9月29日に、それまでコムロ美容外科汐留院においてTDT(トランスDトロピン)を用いたエイジングマネージメント療法を行っていた患者を受け入れ、その後、同25年6月26日までの間、該患者からのTDT(トランスDトロピン)の注文に対応していたことはうかがえるものの、本件商標の具体的な使用態様(使用に係る商標の構成態様、使用の方法、使用の時期等)を確認することができない上、そもそも、カルテとは、通常、院内においてのみ用いる内部文書(診療録)にとどまるものであるから、これが取引書類に当たるということはできない。 ウ 被請求人は、池内医師が、エイジングマネージメント療法を行うに当たり、患者に対し、該療法の説明をし、患者の承諾を得て、トランスディトロピンを処方するとして、「エイジングマネージメント療法説明書及び申し込み承諾書」(乙第10号証)を提出しているが、その「申し込み承諾書」の欄は空白であるため、これが要証期間内に使用されたということはできない。 エ 被請求人は、本件商標が使用されている治療に伴う薬剤(トランスディトロピン)の納入業者との取引についての証明書(乙第11号証)を提出しているが、該薬剤の具体的な納入内容(納入の時期、納入の数量等)を確認することができない上、そもそも該薬剤が納入されたとしても、そのことをもって、直ちに本件商標が要証期間内に使用されたということはできない。 オ その他、被請求人の主張及び同人の提出に係る乙各号証を総合してみても、本件商標(社会通念上同一の商標を含む。)が、要証期間内に、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者により、本件審判の請求に係る指定役務のいずれかについて使用されたと認めるに足る事実は見いだせない。 2 まとめ 以上によれば、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定役務のいずれかについての本件商標の使用をしていることを証明していない。 また、被請求人は、本件審判の請求に係る指定役務について本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。 したがって、本件商標の登録は、その指定商品及び指定役務中、「結論掲記の指定役務」について、商標法第50条第1項の規定により、取り消すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2014-08-08 |
結審通知日 | 2014-08-12 |
審決日 | 2014-09-01 |
出願番号 | 商願2004-18584(T2004-18584) |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Z
(Y44)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 石田 清 |
特許庁審判長 |
林 栄二 |
特許庁審判官 |
田中 敬規 梶原 良子 |
登録日 | 2004-10-15 |
登録番号 | 商標登録第4810432号(T4810432) |
商標の称呼 | エージングマネージメント、エージング、マネージメント |
代理人 | 足立 洋 |
代理人 | 白坂 一 |