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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない X30
管理番号 1293653 
審判番号 取消2013-300227 
総通号数 180 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2014-12-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2013-03-21 
確定日 2014-10-14 
事件の表示 上記当事者間の登録第5218406号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5218406号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成20年9月16日に登録出願、第30類「はちみつ,はちみつを主原料とする液状・粉状・カプセル状・錠剤状又は顆粒状の加工食品,はちみつを使用した菓子,はちみつを使用したトローチ(菓子)」を指定商品として、同21年3月27日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の予告登録は、平成25年4月12日にされたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、請求の理由、答弁に対する弁駁書、口頭審理陳述要領書及び平成26年2月3日差出しの上申書において要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第17号証(枝番号を含む。以下、枝番号を省略する場合がある。)を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実がないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
被請求人の提出した証拠は、作成者が、すべて被請求人か、通常使用権者又はそれらの取引先であって、利害関係のない第三者が作成した証拠はないため、これらの証拠には証明力がない。
加えて、これらの証拠には、日付がないか、あっても証明力がない。インターネットのホームページは可変証拠であり、容易に画面の修正が可能であるから、証明力がない。
したがって、本件審判の請求の登録前3年以内(平成22年4月12日から同25年4月11日 以下「要証期間内」という。)に、本件商標の使用をしていることを、被請求人が証明したとは言えない。
被請求人の乙号証にある商標を図形ごとに分類し、A商標(一筆書きの蜂図形+Airborne)、B商標(太陽付き蜂図形+Airborne)、C商標(太陽付き蜂図形のみ)及びD商標(蜂図形+AIRBORNE HONEY)とする(別掲2ないし5)。
以下、乙号証に対する請求人の反論を述べる。
(1)乙第2号証について
乙第2号証の各写真は、マヌカ・クローバー・ラタなどの「はちみつ」の瓶であることや、瓶にA商標が付されていることが読み取れるものの、写真の撮影日や作成者名が記載されていないから、要証期間内に、日本国内で、この瓶の「はちみつ」が販売されたかどうかは、不明である。
(2)乙第3号証の1ないし5について
ア 乙第3号証の1ないし5は、株式会社イコマス貿易(以下「イコマス貿易」という。)のホームページ(以下「イコマスHP」という。)であるが、その印刷日は不明である。また、ホームページは、容易に画面の変更が可能な証拠であるところ、イコマス貿易はイコマスHPにおいて、ニュージーランド(以下「NZ」という。)のレートに応じて商品価格を変えたり、商品の生産状況に応じて販売休止中とのコメントを入れるなどしているものであるから、上記乙号証が、要証期間内に使用されていたものかどうかは、確かでない。
上記乙号証は、2013年9月30日印刷の被請求人HP(審決注:イコマスHPと思われる。(公証人の確定日付認証済)(甲2))の内容と殆ど同じであるから、予告登録後のものではないかと思われる。
イ 乙第3号証の1にはB商標が表示されているが、乙第3号証の2ないし4には「Airborne」の表示がないC商標が表示されている。乙第3号証の5から、上記イコマスHPがイコマス貿易によるもので、同社がAIRBORNE社の代理店で「はちみつ」を販売していることはわかるが、上記のとおり、乙第3号証の1ないし5が要証期間内の使用証拠かどうかは、確認できない。
(3)乙第3号証の6について
乙第3号証の6(イコマスHPに係る「ウェブページ 納入時期証明書」)は、イコマス貿易が作成した文書に、取引先業者から捺印を受けたものであるところ、取引先業者によるものであるから客観性がないうえ、同証拠に別添として提出された写真(白黒)のホームページは、印刷日が不明であるから、平成23年5月作成の画面かどうかは明らかでない。
この別添写真は、乙第3号証の1及び甲第2号証の画面(1頁)と同一画面であるから、現在のイコマスHPの白黒版と思われる。
また、乙第3号証の1及び6では、缶上のB商標と缶下のD商標とが、同じイコマスHP画面に併存しているのが不思議である。
上記のとおり、乙第3号証の6の別添写真は印刷日が不明で、証拠としての客観性に欠けるから、取引先業者が、上記写真と同じ画面のイコマスHPを、平成23年5月に納入したとは考えられない。
(4)乙第4号証及び乙第5号証は、被請求人の作成にかかるものである。
乙第4号証の宣誓書は、2013年7月22日(予告登録後)のもので、レターヘッドにB商標が使われ、乙第5号証は、被請求人のホームページである。
なお、イコマス貿易が、被請求人の代理店であることは理解できる。
(5)乙第6号証の1及び2は、被請求人作成の送り状(Invoice)であり、いずれもD商標が付いている。乙第6号証の3は、被請求人作成の送り状で、乙第4号証と同じレターヘッドの用紙に印刷されており、B商標がある。しかし、レターヘッドのついた用紙で、パソコンに保存したデータを印刷すれば、要証期間後の作成である可能性を否定できない。
また、乙第6号証の3は、要所要所を黒インクで消しており、証明事項があいまいである。netweightが0(ゼロ)であるのも不思議である。この送り状は当事者間の書類で、客観性がない。
(6)乙第7号証は、イコマス貿易の納品書であり、イコマス貿易が「はちみつ」を卸していることはわかるが、日本でどのような商標を使用したかは不明である。
(7)乙第8号証ないし乙第11号証は、いずれもNZでの当事者間書類であって、日本でいつ使用されたかは不明である。
(8)使用商標の同一性について
請求人は、イコマスHPにはD商標しか見当たらず、D商標は本件商標と非類似と考えたので、本件審判を請求した。
しかしながら、被請求人は答弁書において、A商標ないしD商標の表示された乙号証を使用証拠として提出し、「使用商標は社会通念上同一と認められる商標である」と主張している。
ア A商標の図形部分は、一筆書き風の蜂図形で、蜂の羽や足も白く、大きな丸い円環を有し、全体的に見て、白くて丸い蜂図形+Airborneである。本件商標の蜂図形に似たところはあるが、同一商標ではない。別異の円環を有するので、社会通念上も同一の図形商標とはいえない。
イ B商標は、黄色の太陽と思われるものが目立つ円形の蜂図形+Airborneである。本件商標の蜂図形の図柄は、全体的に見て、三角形状であるのに対し、B商標は円形の黄色い図柄である。本件商標の蜂図形に似たところはあるが、同一商標ではない。B商標は別異の黄色い円形図柄を有するので、社会通念上も同一の図形商標とはいえない。
ウ C商標にはAirborneの文字がない。
エ D商標(旧商標)は、非類似商標である。
3 口頭審理陳述要領書における陳述
(1)乙第17号証について
インターネットフリー百科事典「ウィキペディア(Wikipedia)」の「インターネット・アーカイブ」の項にウェイバックマシンというサーチエンジンがあることについては了解した。
また、ウェイバックマシンのウェブページに、裁判上証拠能力を認められた事件があったことは理解できるが、事件ごとにケースバイケースであり、本件の場合は、商標の「使用」を証明する適切な証拠にはあてはまらない。
(2)乙第12号証ないし乙第16号証は、改訂版のデータである。
ウェイバックマシンのInternet Archive Frequently Asked Questions(以下「FAQ」という。)及びFAQの部分訳(甲3)には、
ア ウェイバックマシンの記載データには、改訂版の場合があること、
(⇒FAQによれば、「*」があるURLの場合は、元データの改訂版である。)
イ 掲載者はウェブ情報を自由に削除できること、
(⇒FAQによれば、簡単な操作で、サイトの記載頁を自由に制限できる。)
と記載されている。FAQ及びその部分訳にあるように、“updated”した改訂データが記載されている場合には、アーカイブ文書のURL内に「*」がある。
乙第12号証ないし乙第16号証に関し、各日付画面を見ると、そのURL内には「*」があり、いずれも元データの改訂版を掲載したものであることが明らかであるから、これらの掲載画像は、掲載当日のデータと同一ではない。
代表例として、乙第12号証の2及び3について説明する。
乙第12号証の2は、日付(2011年10月14日)の画面であり、その検索画面最下行には、「http://web.archive.org/web/*/http://www.mu-town.com/ecomas/index.html」の記載がある。このURLには「*」があるから、2011年10月14日は改訂データで、その連結画面にある乙第12号証の3の画像は、改訂版の画像である。
被請求人は、ウェイバックマシンの乙第12号証の1ないし3により、要証期間内に当該イコマスHPにおいて、乙第3号証の1の画像に相当する画像が表示されていたと主張するが、上記したとおり、乙第12号証の3の画像は改訂版の画像であって、2011年10月14日の元画像とは別画像である。
たとえ、改訂版の画像が乙第3号証の1の画像と同じであるとしても、2011年10月14日に使用されたのは、改訂版HPとは別の画像であり、当該日にどのような画像で掲載されたかが不明では、本件商標の「使用」の証拠にはならない。
同様に、乙第13号証ないし乙第16号証も改訂データで、その連結画面の画像も改訂版の画像である。
乙第12号証ないし乙第16号証の画像は、いずれも改訂版の画像であるから、要証期間内に当該イコマスHPにおいて、乙第3号証の1ないし5に相当する画像が表示されていたとは、証明できない。
改訂版が、本件審判の請求の登録後のホームページである可能性も否定できない。
(3)乙第12号証の3及び乙第15号証の3のComb Honey缶のラベルについて
ウェイバックマシンにある乙第12号証の3及び乙第15号証の3のComb Honey缶(以下「ハニー缶」という。)の画像には、B商標が記載されている。しかし、NZでは、ハニー缶には、現在もD商標が使われており、B商標が使用されている証拠はない。
2013年9月24日付け被請求人HP(公証人の確定日付認証済)(甲5)には、現在もカタログやハニー缶に、D商標が使われていることがわかる。
また、ウェイバックマシンのWeb Archiveにおける、Airborne Product Catalogue及び2010年から2013年までにあるハニー缶のラベルには、全てD商標が使われている(甲6ないし甲13)。
これは、イコマスHPのハニー缶ラベル(乙3の1、乙12の3及び乙15の3)にある、B商標と相違する。
したがって、イコマス貿易では、2011年から現在まで、NZで販売するハニー缶とは相違する、独自のラベルで販売していたことになる。
(4)乙第19号証及び乙第20号証について
被請求人は、乙第18号証(審決注:乙第19号証)においてラベル業者(Hally Labels Ltd.)(以下「ハリーラベル」という。)の宣誓書、被請求人の注文書及びハリーラベルの請求書を提出しているが、これらはいずれもNZでの当事者間書類であり、日本国内の使用証拠とはいえない。
被請求人は、品番を列挙し、「はちみつ」の種類を挙げて、A商標のラベルを使用したと述べているが、これらの品番が、「はちみつ」の種類を意味するとしても、当該品番だけでは、日本で、どのようなラベルを使用していたかは不明である。上記(3)の例にあるように、カタログの品番や品名が同じでも、日本とNZで全く違うラベルを使用しているか、そもそも蜂図形のないラベルであった可能性もある。
(5)乙第6号証の3における商標法第2条第3項第8号の「使用」について
被請求人は、乙第6号証の3のインボイスは取引書類を「頒布」したものに該当すると述べているが、当該インボイスは当事者間書類であって、一般公衆により閲覧可能な状態におかれたものとはいえないから、広告、価格表、取引書類に標章を付して「頒布」したものには当たらない。
4 平成26年2月3日差出しの上申書の要旨
(1)乙第18号証について
乙第18号証(ブックレット)(以下「ブックレット」という。)は、一見して古く、印刷した写真の色彩が鮮明でない。2枚目の商品ラインナップは、不自然にかすれている。印刷技術が進んだ現在、要証期間内のものであるならば、もっと色彩が鮮明でハッキリしているはずである。
被請求人は、印刷業者Luxon Advertising Limited(以下「LUXON」という。)による乙第23号証の請求書が要証期間内の日付であることから、これらの請求書が上記ブックレットの印刷代金であるとするが、これら請求書には、ブックレットとの同一性を示す明確な表示がない。乙第23号証だけでは、要証期間内に乙第18号証を印刷したことを証明できない。
また、ブックレット2枚目の「商品ラインナップ」の各ラベルには、花の絵を囲む茶色の円環に「Pure Natural New Zealand Honey」と書かれているが、この茶色の円環には「マルに△図形十flavour」(△の中には、soft,mediumなどがある。)の表示(以下、「flavour表示」という。)が見当たらない。被請求人(審決注:イコマス貿易)が2010年(審決注:2011年)10月に作成したと主張するホームページ及び甲第3号証の1(審決注:乙第3号証の1と思われる。)に掲載の各ラベルの茶色の円環には、いずれも、小さいflavour表示がある。
その他、被請求人提出の正面ラベル(乙2及び乙19ないし乙21)の全てにflavour表示があるから、要証期間内に被請求人が提出した「はちみつ」の正面ラベルには、flavour表示があると言える。
上記の点から、ブックレットは、要証期間内より古いものであると推定できる。
(2)乙第19号証、乙第25号証及び乙第26号証について
乙第19号証は、被請求人を顧客とする業者(ハリーラベル)が作成した宣誓書で、当事者間書類である。この文書は、被請求人が作成して、ハリーラベルにサインを求めたものと思われ、その内容は、被請求人の要望に沿ったものである。被請求人は、乙第19号証により、要証期間内にNZで印刷したことが証明されるから、乙第25号証及び乙第26号証により、輸入を証明でき、日本での商標使用が立証できると主張する。
しかしながら、乙第19号証に添付の印刷見本ラベルは、要証期間内に印刷したものであるという証明がない。
また、乙第25号証及び乙第26号証の取引書類だけでは、どのような図柄の商標を日本で使用したのかは証明されていない。
5 まとめ
以上のとおり、被請求人は、指定商品の「はちみつ」について本件商標の使用を証明したとはいえないし、また、使用をしていないことについて正当な理由を明らかにしたともいえないから、被請求人の主張は成り立たない。
よって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消されるべきものである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、答弁の理由、口頭審理陳述要領書及び平成26年1月17日付けの上申書において要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第26号証(枝番号を含む。以下、枝番号を省略する場合がある。)を提出した。
1 答弁の理由
本件商標の商標権者及び通常使用権者である「イコマス貿易」は、本件審判の請求の登録前3年以内に我が国においてその請求に係る指定商品中「はちみつ」について、本件商標を使用している。
2 本件商標の使用の事実
(1)商標の使用者
ア 乙第2号証の1「商品(マヌカ250g)を示す写真」、同号証の2「商品(マヌカ500g)を示す写真」、同号証の3「商品(クローバー250g)を示す写真」及び同号証の4「商品(ラタ250g)を示す写真」中、商品側面の写真に、商標権者「エアボーン ハニー リミテッド」、「ニュージーランド国、リーストン、ペニントン ストリート 41」と表示され、また、国内用ラベルに「株式会社イコマス貿易」、「大阪市福島区海老江3丁目10番15号」と表示されている(乙2の1、3及び4)。
イ 乙第3号証は、「イコマス貿易の商品広告販売用ホームページ(写)」(トップページ、商品案内・販売、AIRBORNE社の紹介、卸売りのご案内、販売のご案内及び納品証明書)であるところ、「株式会社イコマス貿易」の記載があり、乙第3号証の1には、イコマス貿易が直接エアボーン ハニー リミテッド(以下「エアボーン」という。)からはちみつを取り寄せ提供している旨が記載されている。
ウ 乙第4号証は、「宣誓書およびその訳文」であるところ、イコマス貿易が1995年頃からエアボーンの日本国内の代理店であることが宣誓されている。
エ 乙第5号証は、「エアボーンのホームページ(写)」であるところ、イコマス貿易がエアボーンの日本国内の代理店であることが記載されている。
オ 乙第6号証は、エアボーンによるイコマス貿易あての2012年6月11日付け、同年7月20日付け及び同年12月4日付け「インボイス」であるところ、そこには、エアボーン及びイコマス貿易の名称及び住所が記載されている。
カ 乙第7号証は、イコマス貿易による顧客あての2013年1月8日、同月10日、同月15日及び同月16日付け「納品書」であるところ、そこには、イコマス貿易の名称及び住所が記載されている。
キ 乙第8号証の「エアボーンの発注及び納入に係るラベルの写真」中の側背面ラベル、乙第9号証ないし乙第11号証の「ラベルの発注書1ないし3」及び「ラベルの発注書1ないし3に係る納入のインボイス」には、エアボーンの名称が表示されている。
(2)使用に係る商品
ア 乙第2号証には、請求に係る指定商品中の「はちみつ」の写真および各商品の種類名「マヌカ250g」「マヌカ500g」「クローバー250g」及び「ラタ250g」が示されている。
イ 乙第3号証の1には、販売用商品であるはちみつの写真が掲載され、該商品を提供している旨の記述がある。乙第3号証の2には、はちみつの写真および、商品の種類名である「マヌカ花蜜250g」、「マヌカ花蜜500g」、「クローバー花密250g」、「サザン・ラタ花蜜250g」及び「クリームタイプ」や価格等の記載がある。
ウ 乙第6号証には、はちみつの種類名についての項目及びその注文数量、価格等が記載されている。
エ 乙第7号証には、はちみつの種類名である「マヌカ」、「ラタ」あるいは「クローバー」及びそれらの納品数量等が記載されている。
オ 乙第8号証には、はちみつ及びその種類名「マヌカ250g」、「マヌカ500g」、「クローバー250g」及び「ラタ250g」のラベルが示されている。
カ 乙第9号証ないし乙第11号証には、はちみつのラベルの種類が記載されている。
(3)使用に係る商標
乙第2号証、乙第3号証の1及び6、乙第6号証の3並びに乙第8号証には、本件商標と社会通念上同一と認められる商標が記載されている。
(4)使用時期
ア 乙第4号証は、エアボーンによる「商標の使用に関する宣誓書」であり、当該宣誓書に記載のとおり、イコマス貿易は日本国内の公認代理店として、遅くとも1995年頃からエアボーンより商品を輸入している。
イ 乙第3号証の1ないし5は、イコマス貿易によるエアボーンの商品の国内向け広告販売用HP(イコマスHP)の写しであり、各ページの下欄に「(c)EcoMas Trading,Ltd.2011」と記載されている。また、乙第3号証の6は、イコマスHP(乙3の1ないし5)を作成及び納品した会社の代表者による当該イコマスHPの納入時期についての証明書であり、納入時期が「2011年5月」であることが記載されている。
上記イコマスHPでは、商標を表示してエアボーンの商品が広告され(乙3の1)、同HPを通じて商品を注文することができるようになっている(乙3の2)。また、小売業者への卸売りの案内がされている(乙3の3)。
ウ そして、エアボーン発行のイコマス貿易宛てのインボイスには、「2012年6月11日」、「2012年7月20日」、及び「2012年12月4日」(乙6)と記載されており、イコマス貿易発行の国内顧客宛ての納品書には、「2013年1月8日」、「2013年1月10日」、「2013年1月15日」及び「2013年1月16日」(乙7)とそれぞれ記載されている。
エ また、エアボーンが自社の商品容器に貼付するラベルの製造会社ハリーラベルへの発注書には、「2012年1月19日」(乙9の1)、「2012年5月9日」(乙10の1)及び「2012年8月7日」(乙11の1)とそれぞれ記載され、各発注書に係るラベルの納入のインボイスには、「2012年2月8日」(乙9の2)、「2012年5月23日」(乙10の2)及び「2012年8月23日」(乙11の2)とそれぞれ記載されている。
3 口頭審理陳述要領書における陳述
(1)要証期間内にイコマスHPが表示されていたことについて
被請求人は、要証期間内に表示されていたイコマスHPの画面を確認するための証拠として,乙第12号証ないし乙第17号証を提出する。
ア 乙第12号証ないし乙第16号証は、Web、マルチメディア資料のアーカイブを運営している団体「インターネット・アーカイブ(Internet Archive)」が運営するウェイバックマシンというウェブ・アーカイブサービスを利用して、当該団体によって要証期間内に収集されたイコマスHPのアーカイブを検索した際の画面表示のプリントアウトである。
インターネット・アーカイブは、1996年、米国議会図書館やスミソニアン博物館などの機関との協力により、デジタルコンテンツの永久ライブラリを構築するために設立された非営利団体であり、本部は米国カリフォルニア州サンフランシスコにある(乙17)。
ウェイバックマシンは、インターネット・アーカイブが運営しているウェブ・アーカイブサービスであり、これを用いることによって、過去のある時点において収集されたウェブページのコピー(ウェブ・アーカイブ)を見ることができ、アーカイブ内のウェブページは国内外において裁判上も証拠能力が認められている(乙17)。
イ 乙第12号証は、イコマスHP(トップページ)(乙3の1)のウェブ・アーカイブ検索に係るウェブページのプリントアウトである。
ウェイバックマシンのホームページの入力バーに、イコマスHPのURLを入力し(乙12の1)、検索を行うと、ウェイバックマシンによってアーカイブが収集された日に印付けされたカレンダーが表示され、当該URLのホームページについては、2011年10月14日時点でアーカイブが記録されている(乙12の2)。このアーカイブは、乙第3号証の1に示された画面表示とほぼ等しく、すでに本件商標と社会通念上同一の商標を表示している(乙12の3)。
なお、当該ウェブサイトのアーカイブ時期を、乙第3号証の6に記載のウェブページ納入時期よりも前に遡って、2006年7月8日のアーカイブを表示させると、全く異なるデザインのウェブページが表示される(乙12の4)。これは、ウェイバックマシンが単に現在のウェブサイトの状態を表示しているのではないことを示している。
ウ 乙第13号証は、イコマスHP(商品案内・販売)(乙3の2)のウェブ・アーカイブ検索に係るウェブページのプリントアウトである。この2011年10月13日時点のアーカイブは、乙第3号証の2に示された画面表示とほぼ等しく、すでに、乙第2号証の写真に表示された商品が写真とともに表示されている(乙13の3)。
エ 乙第14号証は、イコマスHP(エアボーンの紹介)(乙3の3)のウェブ・アーカイブ検索に係るウェブページのプリントアウトである。この2011年10月14日時点のアーカイブは、乙第3号証の3に示された画面表示とほぼ等しく、すでに、エアボーンについて詳細な紹介が記述されている(乙14の3)。
オ 乙第15号証は、イコマスHP(卸売りのご案内)(乙3の4)のウェブ・アーカイブ検索に係るウェブページのプリントアウトである。この2011年10月13日時点のアーカイブは、乙第3号証の4に示された画面表示とほぼ等しく、すでに小売店への卸売りの案内がされている(乙15の3)。
カ 乙第16号証は、イコマスHP(販売のご案内)(乙3の5)のウェブ・アーカイブ検索に係るウェブページのプリントアウトである。この2011年10月13日時点のアーカイブは、乙第3号証の5に示された画面表示とほぼ等しく、イコマス貿易の名称、住所、販売の案内等が記載されている(乙16の3)。
以上により、要証期間内に公開されていたイコマスHPの画面が明らかにされた。
(2)乙第6号証における下線の引かれた各商品について
乙第6号証の記載と乙第2号証に表示された写真の商品との関連性を明らかにするために,乙第18号証及び乙第20号証を補足する。
ア 乙第6号証の「Floral」の記載は、主に一種類の花から採られたはちみつを表示するものであり、複数種類の花から採られたはちみつ「Multifloral」(マルチフローラル)等の他の種類のはちみつと区別するものである。
イ ブックレット(乙18)の23-24頁には、エアボーンの商品「はちみつ」の一覧表が記載されている。ここで、はちみつの種別として、「CLASSIC HONEY」「HEALTH HONEY」「COMB HONEY」等に区分けされている中に「FLORAL HONEY」があることから、「Floral」がはちみつの種類の一つであることが分かる。
ウ ブックレットの11-12頁には、「Floral」の種類のはちみつの説明とともに、その商品の写真が掲載されている。説明中に、「Floral」の種類のはちみつには「クローバー」「マヌカ」「ラタ」等があることが記載されている。また、写真には、乙第2号証の2に表示された「マヌカ500g」の写真の商品と同じ商品が左から5番目に掲載され、当該商品は、乙第2号証の1の「マヌカ250g」の商品のラベルともほぼ共通している。さらに、左端の商品「Rata500g」のラベルは、乙第2号証の4の「ラタ250g」のものとほぼ共通している。写真右端の商品のラベルも、乙第2号証の3の「クローバー250g」の商品ラベルとほぼ共通している。
したがって、乙第2号証の写真に表示された商品は「Floral」種類のはちみつであることが認められる。
エ ブックレットの11-12頁に掲載された写真の商品は、同24頁に記載された「FLORAL HONEYS-500gmPET」の表中の商品であり、同250gの商品は、「FLORAL HONEYS-250gmPET」の表中の商品といえるから、乙第2号証の1、3および4の「マヌカ250g」「クローバー250g」及び「ラタ250g」は、それぞれ上記「FLORAL HONEYS-250gmPET」表中の「Clover-Creamed」(Stock Item33032515)、「Manuka-Creamed」(Stock Item33032520)及び「Rata-Creamed」(Stock Item33032530)に相当し、乙第2号証の2の「マヌカ500g」は「FLORAL HONEYS-500gmPET」表中の「Manuka-Creamed」(Stock Item33025020)に相当することが認められる。
オ 乙第20号証は、「マヌカ500g」(乙2の2)の背面写真を加えたものである。商品背面のラベルには、バーコードが付されており、そこに記載された番号「940311800060」は、ブックレット24頁の「FLORAL HONEYS-500gmPET」の表中の「Manuka-Creamed」の欄に記載された「Barcode」の番号と一致する。
なお、「Creamed」とは、クリーム化されたという意味であり、我が国で一般的な透明なはちみつ(リキッドタイプ)とは異なり、クリーム化されている故に不透明である。乙第2号証の各商品は内容物が不透明であることから、クリームタイプであることが分かる。
カ 一方、乙第6号証のインボイス中の、Description欄の表示に対応する「ItemCode」欄の番号は、「Floral 250×12 Clover Creamed SPJ」は「33032515」、「Floral 250×12 Manuka SPJ」は「33032520」、「Floral 250×12 Rata SPJ」は「33032530」、「Floral 500×12 Manuka SPJ」は「33025020」とあり、それぞれ、上記ブックレット表中の商品のStock Item番号と一致する。
なお、インボイス(乙6)に記載の「250」、「500」は、それぞれ「250g」、「500g」を表し、「×12」は、12瓶入りのカートン(箱)単位で販売していることを表し、「SPJ」は「Square PET Jar」(四角形のPET製の瓶)の略記で、はちみつが四角形のPET製の瓶に詰められていることを表している。乙第2号証のはちみつの容器は正に四角形のPET製の瓶であり、インボイスの「SPJ」の記載と一致する。
以上より、インボイス(乙6)における「Floral 250×12 Clover Creamed SPJ」などの表示は、それぞれ、乙第2号証に示された各商品を表示するものと確認できる。
(3)乙第7号証の品名の欄に記載された「マヌカ4C/T 500g」等について
「納品書(控)」(乙7)の品名欄における「C/T」、「C/Ts」は、「Carton」(カートン、箱)の略記で、例えば「4C/T」は4カートンという意味であり、また、数量欄に記載の「pc」は、「piece」(個)の略記で、個々の瓶詰めはちみつの数量を意味し、上記(2)で記述したとおり1カートンは12瓶入りである。
すなわち、例えば、乙第7号証の1の品名欄「マヌカ4C/T500g」、数量欄「48pc」の記載は、1カートン12瓶入りの「マヌカ500g」を4カートン納品、すなわち、12×4=48瓶納品したという意味である。
このように、「4C/T」等の記載は、単に注文数量に関する記載であるから、「納品書(控)」の品名は、実質的には、「マヌカ500g」、「マヌカ250g」、「サザン・ラタ250g」及び「クローバー250g」である。
以上のことから、「納品書(控)」(乙7)に記載された商品は、乙第2号証に表示された写真の商品である。
(4)本件商標の使用が、商標法第2条第3項各号のいずれに該当するものであるかについて
ア 乙第6号証の3は、エアボーンがイコマス貿易に2012年12月4日付けで宛てたインボイスであり、はちみつに関する取引書類である。また、当該インボイスの右上には、本件商標と社会通念上同一の商標が表示されている。
よって、その使用は、商標法第2条第3項第8号の商品に関する取引書類に標章を付して頒布する行為に該当する。
イ 乙第12号証の3に表示された、はちみつに関するイコマスHP(トップページ)の画面には、左上に本件商標と社会通念上同一の商標が表示されている。そして、当該ウェブサイトは、要証期間内である2011年10月14日にはすでに表示され公開されていたものである。
したがって、当該使用は、商標法第2条第3項第8号の商品に関する広告を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為に該当する。
ウ 乙第6号証は、エアボーンが、イコマス貿易宛てに、要証期間内に、はちみつの種類である「マヌカ 250g」、「マヌカ 500g」、「クローバー 250g」及び「ラタ 250g」を輸出(販売)したことを示している。言い換えれば、イコマス貿易は、商品を要証期間内にエアボーンから輸入したということである。
そして、乙第2号証、乙第8号証ないし乙第11号証の2及び乙第19号証を総合すれば、当該輸入に係るはちみつには、その包装に本件商標と社会通念上同一の商標が付されていたことが優に認められる。
したがって、当該行為は、商標法第2条第3項第2号の、商品の包装に標章を付したものを輸入する行為に該当する。
エ 乙第7号証は、イコマス貿易が輸入した商品を、要証期間内に顧客に販売し納品したことを示すものである。
したがって、当該行為は、商標法第2条第3項第2号の、商品の包装に標章を付したものを譲渡する行為に該当する。
(5)請求人は、イコマスHP(乙3)の印刷日が不明として、要証期間内の使用証拠かどうかは確認できない、と主張している。
しかしながら、被請求人は、上記(1)のとおり、ウェブ・アーカイブによる記録によって要証期間内に公開されていたイコマスHPの画面を明らかにした(乙12ないし乙17)。
(6)請求人は、乙第6号証の3について、予告登録後の作成であることを否定できないとするが、当該インボイスは要証期間内の取引の際、エアボーンからイコマス貿易に送付された取引書類であり、黒インクで消した部分は、エアボーンによる取引書類への商標の使用の事実に何ら影響しない。また、請求人の主張する欄外の記載は取引書類の有効性に何ら影響しない。
(7)乙第8号証ないし乙第11号証について、請求人は、いずれもNZでの当事者間書類であるとして、日本でいつ使用されたかは不明と主張している。
しかしながら、これらの証拠からは、エアボーンが、ラベル製造会社であるハリーラベルに対し、要証期間内である、2012年1月19日(乙9の1)、同年5月9日(乙10の1)、同年8月7日(乙11の1)付けで発注し納品を受けたラベルが、乙第2号証の写真の商品に付されたラベルと同じ、本件商標と社会通念上同一の商標が付されたものであったことが確認できる。これを補足する証拠としてハリーラベルによる宣誓書(乙19)を提出する。
当該事実からは、当時エアボーンが製造、販売した商品の包装には、本件商標と社会通念上同一の商標が表示されたラベルが付されていたことが優に確認できるものである。
(8)使用商標の同一性について、請求人は、エアボーンの使用商標を、A商標ないしD商標に分類し、いずれについても本件商標との同一性を否定している。
しかしながら、少なくともA商標およびB商標は、本件商標の構成において基本となすものを変更するものでなく、その識別性を明確に維持しているから、社会通念上同一の範疇に属する商標であるというのが相当である。
4 平成26年1月17日付け上申書における要旨
(1)エアボーンの製造する商品「はちみつ」には、容器右側面に付された国内用ラベル以外は、エアボーンがラベルを付している。
エアボーンは、乙第2号証の1、3および4の各商品について、容器の背面および左背面から撮影した写真を乙第21号証として提出する。なお、各証拠の左側面、正面、右側面、商標拡大写真は、倍率以外は乙第2号証の写真と同じである。
各商品の容器壁面には、ア.正面に、花の写真を有する楕円形のラベル(以下、「正面ラベル」という。)、イ.左側面と背面にわたる、本件商標と社会通念上同一の商標が表示された一続きのラベル(以下、「背面ラベル」という。)が付されている。また、ウ.右側面に、日本語で「輸入業者:(株)イコマス貿易」等の記載を有するラベルが付されている(乙21)。これらのうち、正面ラベル及び背面ラベルは、エアボーンが付したものである。
エアボーンが、ハリーラベルに対し、要証期間内に発注し、納品を受けたラベル(乙8?11及び乙19)が、乙第2号証の写真の商品に付されたラベルと同じであり、背面ラベルには、本件商標と社会通念上同一の商標が表示されているほか、花粉含有率(POLLEN COUNT)、バッチ番号(BATCH NO.)及び賞味期限(BEST BEFORE)という、はちみつ製造者であるエアボーンのみが知り得て管理される情報欄が設けられている。商品の製造後、背面のラベルの貼付なしでは、花粉含有率、バッチ番号及び賞味期限という個々の商品に固有の重要な情報を管理することは不可能である。そして、背面ラベルにこれらの個々の情報を記載しラベルを付すことができるのはエアボーンだけである。
以上のことから、容器右側面に付された国内用ラベル以外のラベルについては、エアボーンがラベルを付したものであり、我が国への輸入時には既に付されており、輸入後に付されたのではないことが明らかである。
(2)乙第22号証は、イコマス貿易が、エアボーンに対して行った電信送金について、ウエストパック銀行が、エアボーンに発行した入金通知書(Advice of Credit)である。
支払明細の項目に記載された整理番号「2012A81」は、乙第6号証の3のインボイスに記載の整理番号(右側表内上から3行目に記載されたReference No)「2012A81」と一致する。これは、上記入金通知書が、上記インボイスに記載の輸入に対する支払に係る通知書であることを示す。
イコマス貿易が送金した「元の金額」は、NZD14,655.87であるが、これは、請求代金に、送金の際に発生する手数料NZD15.00を上乗せした金額である。
このように、イコマス貿易が商品の輸入に対する代金をエアボーンに送金したことは、上記インボイス(乙6の3)に係る輸入が成立したことを示すものであり、上記インボイスに係る商品が実際に輸入され、イコマス貿易がその商品を受け取ったということができる。
(3)乙第23号証は、ブックレット(乙18)の構想、デザイン等の制作に係る費用について、ブックレットを制作したLUXONがエアボーンに対して発行した請求書の写しである。請求書の日付は、2011年3月31日及び同年4月30日と記載されていることから、ブックレットは要証期間内に発行されたものといえる。
(4)乙第2号証の写真にある商品について
ア 乙第21号証の1(マヌカ250g)の背面ラベルに記載されたバーコード番号「94311822」は、ブックレット(乙18)の24頁の表のバーコード番号と一致する。
イ 乙第21号証の2(クローバー250g)の背面ラベルに記載されたバーコード番号「94311815」は、ブックレットの24頁の表のバーコード番号と一致する。
ウ 乙第21号証の3(ラタ250g)の背面ラベルに記載されたバーコード番号「94311839」は、ブックレットの24頁の表のバーコード番号と一致する。
(5)請求人の口頭審理陳述要領書における主張に対して
ア「乙第12号証ないし乙第16号証は、改訂版のデータである」との主張について
請求人の提出したFAQのAについての部分訳(甲3の2)は、適切ではない箇所が散見されるため、内容をより適切に把握するため、FAQのAの訳文を提出し(乙24)、請求人の上記主張は誤りであるので、以下に説明する。
(ア)請求人は、FAQの「If you don't see""*"" next to an archived document,then the content on the archived page is idential to the previously archived copy.」の記載を根拠として、「URLに『*』があるアーカイブ文書は、元データの改訂版である」旨、主張している。
しかしながら、FAQによれば、仮に「*」が表示されるとすれば、その位置は「アーカイブされた文書の隣」であって、URL内との記載は一切ない。したがって、請求人の上記主張は失当であり、URL内に表示された「*」はFAQの記載とは何ら関係のないものである。
(イ)また、そもそも、FAQで問題にしている「updated」とは、ウェイバックマシンが前回アーカイブしたページと比較して今回のアーカイブが、変更されたかどうかということである。すなわち、仮に、現行バージョンのウェイバックマシンにおいて、FAQでいう「*」が表示されている場合があるとすれば、前回アーカイブされた日時と今回アーカイブされた日時の間のある時点でページが更新されたことにより、前回のアーカイブと今回のアーカイブのコンテンツが異なっている場合である。
(ウ)以上のことから、URL内の「*」の表示を根拠に、乙第12号証ないし乙第16号証が、改訂版のデータであるとして掲載当日のデータと同一ではない、とした請求人の主張は失当である。乙第12号証の3、乙第13号証の3、乙第14号証の3、乙第15号証の3、乙第16号証の3に表示されたウェブ・アーカイブは、それぞれ、アーカイブされた日時にウェブサイトに表示されていた内容を示すものである。
(エ)乙第12号証の3に表示された、エアボーンの商品「はちみつ」に関するイコマスHP(トップページ)の画面には、左上に本件商標と社会通念上同一の商標が表示されている。そして、当該ウェブサイトは、要証期間内である2011年10月14日にはすでに表示され公開されていたものである。
したがって、当該使用は、商標法第2条第3項第8号の商品に関する広告を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為に該当する。
イ ラベルについて
(ア)請求人は、「ハニー缶」について、エアボーンのホームページに掲載された写真と、イコマスHPに掲載された写真とで、ラベルに付された商標が異なることを指摘し、これを根拠として、カタログの品番や品名が同じでも、日本とNZで異なるラベルを使用していたり、そもそも蜂図形のないラベルであった可能性もあると主張している。
しかしながら、上記(1)で説明したとおり、「マヌカ250g」、「マヌカ500g」、「クローバー250g」及び「ラタ250g」の商品(乙20及び乙21)については、国内用ラベル以外の、正面ラベルおよび背面ラベルはエアボーンがラベルを付したのであり、我が国への輸入時には既に付されており、輸入後に付されたのではないことが明らかである。
(イ)さらに、「マヌカ250g」(乙21の1)及び「ラタ250g」(乙21の3)について、詳細に説明する。
a 「マヌカ250g」(乙21の1)の商品容器には、背面ラベルにバッチ番号「122012」および賞味期限「2016年5月22日」が記載されている。バッチ番号は、製造過程における処理バッチ毎に付与される、商品固有の番号である。また、容器右側面に「輸入業者:(株)イコマス貿易」の記載を有する国内用ラベルが貼付されているように、該商品は、イコマス貿易がエアボーンより輸入したものである。
乙第25号証の1は、エアボーンがイコマス貿易に輸出した商品について、輸入者であるイコマス貿易による通関手続のためにエアボーンが発行し送付した、Commercial Export Invoiceであり、表内右側3段目には、整理番号「2012A50」の記載がある。これは、乙第6号証の2のインボイスに記載のClient Order#「2012A50」と一致し、両者は同一取引に係る書類である。
乙第25号証の1には「Floral 250×12 Manuka SPJ」すなわち「マヌカ250g」の記載がある。また、発行日「2012年7月20日」、Date of Shipment「2012年8月3日」、Estimated Date of Arrival「2012年8月24日」は要証期間内である。
乙第25号証の2は、Weight/Packing List(包装・重量明細書)であり、整理番号「2012A50」の記載があり、乙第25号証の1のCommercial Export Invoiceと同一取引に係る書類である。包装・重量明細書は、Commercial Export Invoiceと同様、通関手続に要する書類であり、乙第25号証の2は乙第25号証の1と共に、イコマス貿易のために発行した書類である。
乙第25号証の2には、当該輸入に係る「Floral 250×12 Manuka SPJ」について、バッチ番号が「122012」、賞味期限が「2016年5月22日」であることが明記されている。これは、「マヌカ250g」(乙21の1)の容器の記載と一致する。
乙第25号証の3は、イコマス貿易が、エアボーンに対して行った電信送金について、ウエストパック銀行が、エアボーンに発行したADVICE OF CREDIT(入金通知書)である。支払明細の項目には整理番号「2012A50」が記載され、乙第25号証の1及び2に記載の整理番号と一致する。これは、当該入金通知書が、乙第25号証の1及び2に係る商品の輸入に対する支払に係る通知書であることを示す。
金額についても、「元の金額」-「ウエストパック銀行外の手数料」=「請求代金」(30,419.33-15.00=30,404.33)であり、乙第25号証の1に記載されたエアボーンの請求金額に一致する。
このように、イコマス貿易は乙第25号証の1に係る商品の輸入に対する代金をエアボーンに送金した。なお、送金は、要証期間内である2012年9月11日付けである。これは、乙第25号証の1及び2に係る商品の輸入が要証期間内に成立したことを示すものであり、乙第25号証の1及び2に係る商品が実際に輸入され、イコマス貿易がその商品を受け取ったことを示す。
b 「ラタ250g」(乙21の3)の商品容器には、背面ラベルにバッチ番号「123831」および賞味期限「2016年9月25日」が記載されている。また、容器右側面に「輸入業者:(株)イコマス貿易」の記載を有する国内用ラベルが貼付されているように、該商品は、イコマス貿易がエアボーンより輸入したものである。
なお、上記「ラタ250g」の商品については、上記aの「マヌカ250g」の商品と同様に、乙第26号証の1及び2に係る商品が、実際に輸入され、イコマス貿易がその商品を受け取ったことを示している。
c 以上から、我が国の通常使用権者であるイコマス貿易は、要証期間内に、本件商標と社会通念上同一の商標を商品に付した、「マヌカ250g」(乙21の1)及び「ラタ250g」(乙21の3)の「はちみつ」を、被請求人(商標権者)であるエアボーンから輸入した。
したがって、当該行為は、商標法第2条第3項第2号の、商品の包装に標章を付したものを輸入する行為に該当するものである。
なお、商標を付された商品は、エアボーンから我が国に流通させる目的で輸入されており、当該輸入行為は商標権者である「エアボーン」による行為ともみなすことができる。
5 まとめ
以上のとおり、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者および通常使用権者により、その請求に係る指定商品中「はちみつ」について使用していることが明らかであるから、本件審判の請求は成り立たない、との審決を求める。

第4 当審の判断
1 被請求人の主張及び提出の乙各号証によれば、次の事実が認められる。(1)乙第4号証は、2013年7月22日付けのエアボーン代表者による宣誓書であると認められるところ、当該宣誓書の最上部には、本件商標の商標登録原簿に記載されている商標権者(以下「エアボーン」という。)の名称及び住所に相当する英語が表記されている。そして、エアボーンは、本件商標を付した商品について、株式会社イコマス貿易(大阪市福島区海老江3丁目10番15号)が、1995年からエアボーン公認の日本国の代理店であることを宣誓している。
(2)乙第18号証は、エアボーンのブックレット(写し)(表紙及び裏表紙、11-12頁、23-24頁)であるところ、表紙には、別掲3のB商標と酷似した標章及び「AIRBORNE HONEY.」「BETTER BY A」及び「COUNTRY MILE」の文字が3段に表示され、11-12頁には「AIRBORNE FLORAL」の文字と、その右側に、「はちみつ」(以下「使用商品」という。)の容器(瓶)の写真が掲載されている。また、23-24頁には「RANGE SPECIFICATION」の文字とその右側に別掲3のB商標と酷似した標章が表示され、「FLORAL HONEYS-250gm PET」の見出しの表中2段目に、「Manuka-Creamed」、「Barcode 94311822」、「Outer Number 20000094311826」及び「Stock Item 33032520」の記載がある。なお、当該ブックレットの印刷日は不明である。
(3)乙第21号証の1は、使用商品の一種類である「マヌカ250g」を示す写真(写し)6面であるところ、背面ラベル中の左側面には、商品の成分表示を記載した表と、その下部に別掲2のA商標が付されている。正面には、蓋から本体にかけて正面ラベルが付され、ラベル中央に「白い花弁の花の写真」と「Manuka/250g net」の記載、花の写真の円環に「Airborne」、「Est1910」、「Pure Natural New Zealand Honey」の文字が記載されている。右側面(国内用ラベル)の写真には、上から「品名:天然蜂蜜100%」、「内容量:250g」、「原産国:ニュージーランド」、「輸入業者:(株)イコマス貿易」の記載及び住所、電話番号等の記載のほか、「賞味期限:本体ラベルに表示」の記載がある。背面ラベル中の、「BATCH NO.」の下に「122012」が、「BEST BEFORE」の右横に「22.05.2016」が、バーコードの下には「94311822」の数字が記載されている。背面ラベルには、ラベルの右下に、エアボーンの名称及び住所が英語で表記されている。商標拡大の写真は、背面ラベル中の左側面に付された商標を拡大したものであり、別掲2のとおり、円を背景に擬人化したミツバチが両手、羽を広げている状態を線書きの図形で表し、その下部に「Airborne」の欧文字を表したA商標(以下「使用商標」という。)が表示されている。
(4)乙第25号証の1は、2012年7月20日付けのCOMMERCIAL EXPORT INVOICE(インボイス)であるところ、「Exporter」(輸出者)の欄に、エアボーンの名称及び住所の英語表記が、「Consignee」(引受人)の欄に、イコマス貿易の名称及び住所の英語表記が記載され、「Order No:」(注文番号)の欄に「email 22.06.2012」、「Reference No:PF」(整理番号)の欄に「2012A50」、「Estimated Date of Arrival:」(到着予定日)の欄に「24th August 2012」等が記載され、その下方の表中の2行目に、「ITEM NO:」の欄に「33032520」、「QUANTITY CARTONS」の欄に「100」及び「FULL DESCRIPTION OF MERCHANDISE UNITS」の欄に「Floral 250×12 Manuka SPJ」の記載、表右下の「TOTAL NZD」の欄には「30404.33」の記載がある。
(5)乙第25号証の2は、「WEIGHT/PACKING LIST」(包装・重量明細書)であるところ、最上部にエアボーンの名称及び住所の英語表記及び「Consignee」(引受人)の欄に、イコマス貿易の名称及び住所の英語表記が記載され「AIRBORNE REF NO」(整理番号)の欄に「2012A50」、「Ecomas Order No」の欄に「email 22.06.2012」等が記載され、その下方の表中の10行目に、「No.Ctns」の欄に「100」、「Description of Goods」の欄に「Floral 250×12 Manuka SPJ Honey」、「Best Before」の欄に「22.05.2016」及び「Batch No:」の欄に「122012」の記載がある。
(6)乙第25号証の3は、2012年9月11日付けのNZ在のウエストパック銀行からエアボーンにあてた「ADVICE OF CREDIT」(入金通知書)であるところ、「Value date:11 September 2012」、「Details of payment:REF NO PF 2012A50」、「Original currency:NZD」、「Original amount:30,419.33」及び「Non-Westpac charges:NZD15.00」の記載がある。
2 以上の事実を総合すれば、以下のとおり判断することができる。
(1)使用者について
上記1(1)の「宣誓書」(乙4)によれば、イコマス貿易は本件商標に係る通常使用権者といって差し支えない。
(2)使用商標について
使用商品に付された使用商標は、別掲2のとおりの構成からなり、円を背景にやや擬人化されたミツバチが両手、羽を広げている状態を線書きの図形(以下「使用ミツバチ図形」という。)で表し、その下部に「Airborne」の欧文字を表したものである。
本件商標は、別掲1のとおりの構成からなり、両手、羽を広げたやや擬人化されたミツバチの図形(羽の部分、舌先及び足の部分は黒塗りされている。以下「ミツバチ図形」という。)とその下部に「Airborne」の欧文字を表したものである。
そこで、使用商標と本件商標を比較すると、使用商標が線書きで、円を背景に使用ミツバチ図形が表されているのに対し、本件商標には円の部分がなく、ミツバチ図形の羽、足の部分及び舌先が色塗りされていることなど、子細に見れば差異を有するものの、やや擬人化されたミツバチの図形は同一であり、図形の下部に同一の書体で表された「Airborne」の欧文字を配した同一の構成からなることから、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標というべきである。
(3)使用商品及び使用時期について
上記1(2)ないし(6)のとおり、ブックレット(乙18)の「FLORAL HONEYS-250gm PET」表中の「Manuka-Creamed」(以下「マヌカ」という。)の「Barcode」と、「マヌカ250g」の容器(瓶)を示す写真(乙21の1)中の、背面ラベルに記載のバーコードが同一であるから、乙21の1に掲載されている商品(瓶)はちみつは、マヌカと同じものと認められる。
また、マヌカの「Stock Item」(乙18)に記載された番号と、エアボーンがイコマス貿易にあてたインボイス(乙25の1)に記載の「Floral 250×12 ManukaSPJ」に対応する「ITEM NO」とが同一であり、上記インボイスと同一の「REF NO」及び「Order No」が記載されている包装・重量明細書(乙25の2)における「Floral 250×12 ManukaSPJ」に対応する「Batch No」及び「Best Before」と、上記商品ラベル(乙21の1)に記載の「Batch No」及び「Best Before」とが同一であるから、上記インボイスと包装・重量明細書における「Floral 250×12 ManukaSPJ」は、マヌカと同じものと認められる。
さらに、上記インボイス及び包装・重量明細書によれば、マヌカは、2012年8月24日を到着予定日として、イコマス貿易に、エアボーンから100カートン輸出され、当該マヌカを含む上記インボイスで輸入された商品の金額は、「30404.33NZD」であったことが認められるところ、上記インボイス及び包装・重量明細書と同一のREF NOが記載されているウエストパック銀行発行の入金通知書(乙25の3)によれば、2012年9月11日に、同金額(Original amount:30,419.33-charges:NZD15.00の額)が、イコマス貿易からエアボーンに支払われていることが認められる。
そうとすると、イコマス貿易が輸入した「はちみつ」(使用商品)は、本件審判の請求に係る指定商品中に含まれる「はちみつ」であるということができる。
そして、使用商品を輸入したと認められる、到着予定日の2012年(平成24年)8月24日は、本件審判の請求の登録(登録日は平成25年4月12日)前3年以内である。
(5)小括
以上のとおり、通常使用権者であるイコマス貿易は、要証期間内に、本件審判の請求に係る指定商品中「はちみつ」の包装に本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)を付したものを輸入した(商標法第2条第3項第2号)ということができる。
(6)請求人の主張について
請求人は、被請求人が提出した乙各号証について、要するに、作成者は全て被請求人か通常使用権者又はそれらの取引先であって、第三者が作成した証拠がないこと、その証拠についても、日付がないか、あっても証明力がないものである旨主張している。
しかしながら、例えば、支払いの裏付けとなる銀行発行の入金通知書は、発行者が取引先銀行であったとしても公的性は十分に認められるものである。
そして、商標法第50条第1項の規定による商標登録の取消しを免れるためには、被請求人は、要証期間内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明しなければならないところ、被請求人は、上記(1)ないし(5)のとおり、通常使用権者が要証期間内に、本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)を取消に係る指定商品中の「はちみつ」に使用していることを証明したものといえるから、請求人の主張は採用することができない。
4 まとめ
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において通常使用権者がその請求に係る指定商品中の「はちみつ」について本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていることを証明したというべきである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すべきではない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1(本件商標)



別掲2(使用商標:A商標)



別掲3(使用商標:B商標)(色彩は原本確認)



別掲4(使用商標:C商標)(色彩は原本確認)



別掲5(使用商標:D商標)



審理終結日 2014-07-30 
結審通知日 2014-08-01 
審決日 2014-09-02 
出願番号 商願2008-75570(T2008-75570) 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (X30)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 赤澤 聡美早川 真規子 
特許庁審判長 野口 美代子
特許庁審判官 梶原 良子
守屋 友宏
登録日 2009-03-27 
登録番号 商標登録第5218406号(T5218406) 
商標の称呼 エアボーン 
代理人 原 一敬 
代理人 牧 哲郎 
代理人 吉川 俊雄 
代理人 浅井 和子 
代理人 市川 寛奈 
代理人 牧 レイ子 
代理人 菊谷 公男 
代理人 伊丹 辰男 
代理人 水野 清 

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