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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Z18
管理番号 1292821 
審判番号 取消2013-300121 
総通号数 179 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2014-11-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2013-02-18 
確定日 2014-10-03 
事件の表示 上記当事者間の登録第4519963号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4519963号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成9年11月11日に登録出願、第18類「かばん類,袋物」を指定商品として、同13年11月9日に設定登録され、その後、同23年11月1日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
そして、本件審判の請求の登録は、平成25年3月4日にされた。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は、被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品について、本件審判の請求の登録前3年以内に、国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者によって使用されている事実は見当たらない。
したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その登録は取消されるべきである。
2 弁駁の理由
(1)被請求人は、答弁書において、乙第1号証ないし乙第5号証を提出し、商標権者は、本件商標を、日本国内において、本件審判の請求の登録前3年以内にその指定商品中「かばん類」について使用していたと主張している。
しかし、以下に述べるように、乙第1号証ないし乙第5号証からは、本件商標が「かばん類」について使用されていたものとは認められない。
(2)乙第2号証の1ないし5が本件商標の使用の証拠とならないことについて
ア 被請求人は、答弁書において、乙第2号証の1ないし5を提出し、各インボイスに本件商標を付している旨を主張している。
しかし、各インボイスに付されている商標「GILLI」は、左上の独立した「会社の名称及び住所の欄」において、会社の名称の上に密接して表示されているものである。また、その表示の周辺には商品の記載はない。
したがって、当該使用商標は、その表示の場所及び方法から、商品との関連性を認識させ、商品の出所を示すような表示態様で使用されているとまでは認められないから、商品について使用されているものとは理解、認識されない。むしろ、当該使用商標は、各インボイスにおいては、会社の略称として、会社の名称を表示するために使用されているにすぎないと理解、認識されるものである。
イ また、各インボイスにおける製品の品目の欄を見ると、「BAG」の文字が記載されていないため、その製品がバッグであるのか否か、何の製品であるのかすら、その記載からは不明確なものが多い。
「BAG」の文字が記載されているものについても、「CUORE DAY BAG BIG」、「DUCK MAORI FIOCCO BAG」、「LUCKY CAMBOGIA BAG」、「BAMAKO BAG VERTICALE」(乙2の1?3)の品目が見受けられるが、これらの記載の方法からみて、「BAG」の文字の前に付した文字がそのバッグの商標であると理解するのが自然である。
すなわち、それらのバッグに付された商標は、本件商標「GILLI」ではないと理解、認識されるものである。
ウ 上記のことから、各インボイスからは、「GILLI Srl」という会社が、「CUORE DAY」、「DUCK MAORI FIOCCO」、「LUCKY CAMBOGIA」、「BAMAKO」といった商標を付したバッグについての請求書を発行したということが理解されるにとどまるものである。
(3)乙第3号証及び乙第4号証が本件商標の使用の証拠とならないことについて
乙第3号証及び乙第4号証については、本件商標「GILLI」の表示はどこにもないから、当該書類が本件商標「GILLI」に関する取引書類であるとは認められない。
(4)乙第5号証が本件商標の使用の証拠とならないことについて
乙第5号証については、「GILLI samp1es」、「GILLI col1ection」の記載はあるものの、それがバッグのことであるかは不明であるから、当該書類が本件商標「GILLI」を付したバッグに関する取引書類であるとは認められない。
3 口頭審理における主たる主張
乙第2号証の1ないし5の「インボイス」に記載の商品が本件商標を付したバッグであるか対応関係が不明確であり、本件商標を付したバッグが本当に取引されたか不明である。また、そもそもインボイスに記載の商品の取引があったかさえも不明である。
したがって、本件商標がバッグについて使用されたとはいえない。
4 まとめ
以上のとおり、被請求人が提出した証拠によっては、本件商標が日本国内において本件審判の請求の登録前3年以内にその指定商品中「かばん類」について使用されていたとは認めることができないものである。

第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第14号証(枝番を含む。)を提出した。
1 概要
本件商標は、以下のとおり、本件審判の請求に係る指定商品、すなわち、第18類「かばん類、袋物」(以下「本件請求商品」という場合がある。)について、日本国内において、本件審判の請求の登録前3年以内(以下「要証期間内」という場合がある。)に商標権者により使用された。
本件審判の被請求人たるイタリアの法人、「ジリ エスアールエル」(商標権者)は、我が国の輸入紳士婦人洋品雑貨卸業者である「株式会社エスプリ・ユージー」(以下「エスプリ・ユージー」という場合がある。本社:大阪府大阪市中央区久太郎町4-2-15 和信御堂ビル4F)(乙1)を通じ、平成24年に少なくとも5回にわたりバッグを輸入した。そして、エスプリ・ユージーは、日本国内で当該バッグを販売した。被請求人の「バッグ」は、本件請求商品中の「かばん類」の範疇に含まれることは明らかである。
2 商標権者による本件商標の使用
インボイスの日付、バッグの個数、金額の順に、(a)2012年1月13日、20点 、3,395.00ユーロ、(b)2012年1月30日、20点、1,697.50ユーロ、(c)2012年1月30日、4点、268.50ユーロ、(d)2012年4月3日、141点、13,721.00ユーロ、(e)2012年7月24日、166点、13,721.00ユーロ、合計として、351点、3,2803.00ユーロのとおり、商標権者は、我が国の輸入紳士婦人洋品雑貨卸業者であるエスプリ・ユージーに対し、イタリア国から、本件商標と社会通念上同一の商標を付したバッグを、2012年に少なくとも計351点発送した(乙2?乙4)。
そして、両者間で送受信された4通の電子メールからは、エスプリ・ユージーは、被請求人のバッグを日本国内で販売するために、商標権者から当該バッグを購入したことが容易に推認できる(乙5)。
商標権者による当該行為は、商標法第2条第3項第2号に規定される「商品に標章を付したものを輸入する行為」に当たる。また、上記各インボイスにも、本件商標が付されていることから(乙2の1?5)、このインボイスをエスプリ・ユージーに対し送付することは、同法第2条第3項第8号に規定される「商品に関する取引書類に標章を付して頒布する行為」に該当する。
このように、本件商標は、商標権者によって、本件請求商品中の「かばん類」について、日本国内において、本件審判の請求の登録日前3年以内に使用されたことは明らかである。
3 インボイスに付されている商標「GILLI」が本件商標の使用であること
請求人は、インボイス(乙2の1?5)に付されている商標「GILLI」は、会社の略称として、会社の名称を表示するために使用されているにすぎないと理解、認識されるものであり、本件商標の使用ではない旨主張する。
しかし、各インボイスの左上方に記された横方向に拡大した欧文字「GILLI」からなる特徴的な外観を有する当該商標は、商標権者のハウスマークともいうべき代表的な商標であり、単なる会社の略称ではない。このことは、商標権者が自身の製品やカタログに全面的に当該商標を使用していることからも容易に理解することできる(乙6の1?4,乙7の1?5,乙8の1・2)。
したがって、商標「GILLI」が会社の名称を表示するために使用されているにすぎない、という請求人の主張は失当である。
4 要証期間内に商品「バッグ」について本件商標を使用していること
請求人は、インボイスにおける製品の品目の欄には「BAG」の文字が記載されていないため、その記載からはその製品がバッグであるのか否か不明確なものが多く、また、「BAG」の文字が記載されているものについても、これらの記載の方法からみて、「BAG」の文字の前に付した文字がそのバッグの商標であると理解するのが自然であるから、それらのバッグに付された商標は、本件商標「GILLI」ではないと理解、認識されるものである旨主張する。
しかし、各インボイスの品目欄には、「BAG」の文字を有し、その他の文字も単にバッグの特徴等を示すにすぎないものであって、一目でバッグであると認識できる製品の名称が記載されているものであり、また、「バッグ」の文字がないものにあっても、品目欄の記載は、バッグの特徴を示すものであって、これらがバッグであることは明白である(乙6の1?4,乙9の1・2,乙10の1?7,乙11の1?3)。
また、乙第12号証は、バッグの画像(乙6の1?4)の撮影者である「マッテオ ウェーバー」氏が商標権者に対して発行した写真撮影に関するインボイスであり、乙第13号証は、ウェーバー氏のウェブサイト中において、自身のクライアントを紹介するページである。列挙されたクライアントの中に商標権者が含まれている。これらにより、乙第6号証の1ないし4に係る画像は、写真家の「マッテオ ウェーバー」氏によって、2011年9月頃に、商標権者の2012年春夏シーズンのカタログ用として撮影されたことが分かり、その結果、上記インボイス(乙2の1?5)の品目/製品コード欄に記載された製品がバッグであること、及び当該バッグに本件商標が付されていることが一層明確となる。
さらに、乙第14号証の1ないし11は、インターネット通販サイト「楽天市場」内の商標権者の製品の記事(いずれも2010年7月5日時点のもの)であり、乙第7号証の1ないし5に追加するものである。これらにより、商標権者が製造販売するバッグに本件商標が付されていることが一層明確となる。
5 乙第3号証ないし乙第5号証について
請求人は、乙第3号証ないし乙第5号証について、本件商標の表示がどこにもない、あるいは表示はあってもそれがバッグのことであるかは不明であるから、本件商標の使用の証拠にはならない旨主張する。
しかし、乙第3号証の1は、2012年1月20日付けでエスプリ・ユージーから商標権者に対しバッグの代金として1697.50ユーロが送金されたことを証明する外国向送金依頼書兼告知書であり、他方、乙第3号証の2は、エスプリ・ユージーによる送金が商標権者の口座になされたことの記録書であるところ、かかる送金に応じる形で、乙第2号証の2のとおり、2012年1月30日付けで商標権者からエスプリ・ユージーに対し、20点のバッグが輸入されたのである。その際、貨物に付されたのが乙第4号証のタグであり、また、乙第2号証の2のインボイスが納品書として当該貨物とともに発送されたのである。
このように、乙第3号証の1及び2並びに乙第4号証は、2012年1月30日付けインボイス(乙2の2)に対応するものであり、すなわち、これら証拠が単独で本件商標の使用を立証する性質のものはないが、乙第2号証の2のインボイスに記載の取引が実際に行われたことを証明する補強的証拠に該当する。
また、エスプリ・ユージーの「yoshinori takeda」氏から商標権者に送信された2012年2月16日付け電子メール(乙5)中に記載されている「CUBEのアイテム」と称した製品は、「CUBE」とは商標権者の製品の中でも人気のキューブ形状のバッグのシリーズであること(乙7の1?3)、商標権者の日本人向けカタログにも「CUBE」バッグが写真とともに掲載されていること(乙8の1・2)、そして、乙第2号証の1ないし5のインボイスの品目欄にも相当数の「CUBE」(イタリア語では「CUBO」)シリーズのバッグが含まれていることからすると、バッグであることが明らかであって、当該電子メールによる報告によると、当該バッグはその日までに約60点販売されたのであり、商標権者の全てのバッグに本件商標が付されているものといえる。
6 まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標権者により、本件審判の請求に係る指定商品中の「かばん類」について、日本国内において、本件審判の請求登録前3年以内に使用されたことが明らかである。

第4 当審の判断
1 被請求人の提出した証拠について
被請求人の提出した証拠によれば、以下のことが認められる。
(1)本社が大阪府大阪市中央区在の「株式会社エスプリ・ユージー」は、1990年11月に設立された輸入紳士婦人洋品雑貨卸業者であることが認められる(乙1)。
(2)乙第2号証の1は、イタリアの法人である商標権者からエスプリ・ユージー本社あてのインボイスの写しであり、その日付が2012年1月13日、合計個数が20、合計金額が3,395.00ユーロであると認められ、「品目/製品コード」欄には、品目が「バッグ」であると認識できる製品の名称と認められる「BAMACO BAG VERTICALE」等が記載され、インボイスの各葉の左上方には本件商標と同一の商標であると認められる「GILLI」の文字が表示されている。
同じく、乙第2号証の2も、商標権者からエスプリ・ユージー本社あてのインボイスの写しであり、その日付が2012年1月30日、合計個数が20、合計金額が1,697.50ユーロであると認められ、「品目/製品コード」欄には、品目が「バッグ」であると認識できる製品の名称と認められる「BAMACO BAG VERTICALE」等が記載され、インボイスの各葉の左上方には本件商標と同一の商標であると認められる「GILLI」の文字が表示されている。
同様に、乙第2号証の3ないし5も、商標権者からエスプリ・ユージー本社あてのインボイスの写しであり、インボイスの日付、合計個数、合計金額の順に、乙第2号証の3が2012年1月30日、4点、268.50ユーロ、乙第2号証の4が2012年4月3日、141点、13,721.00ユーロ、乙第2号証の5が2012年7月24日、166点、13,721.00ユーロであると認められ、それぞれ、「品目/製品コード」欄には、品目が「バッグ」であると認識できる製品の名称が記載され、インボイスの各葉の左上方には本件商標と同一の商標であると認められる「GILLI」の文字が表示されている。
(3)乙第3号証の1は、エスプリ・ユージーから商標権者あての2012年1月20日付け外国向送金依頼書兼告知書の写しであると認められ、送金金額欄に「1,697.50」、送金目的欄に「サンプルBag代金」の記載があり、送金金額は、乙第2号証の2のインボイスの合計金額に符合する。
(4)乙第5号証は、2012年1月31日、同年2月10日、同月15日及び同月16日に「yoshinori takeda」と「Cinzia Caprioli」との間で送受信された電子メールの写しであると認められ、その内容から、前者はエスプリ・ユージーの、後者は商標権者のそれぞれ担当者であると推認されるものであり、2月16日の前者から後者へのメールにおいて「エスプリ・ユージーは、概して、GILLIコレクションを手に取ったお客様から良い反応を頂いています。小さいCUBEのアイテムはお客様にもよく知られていて、今日までに約60点売れました。」旨の報告がされていることが認められる。
(5)乙第6号証の1ないし4は、商品「バッグ」に本件商標が付されている事実を立証するために提出された商標権者が製造販売するバッグの画像(平成23年9月撮影,乙6の1「BAMAKO BAG VERTICALE」,乙6の2「BANDOLIERA SMALL DRESSAGE」,乙6の3「CUORE BANDOLIERA」,乙6の4「LUCKY CUBO」)であるとするものであり、そこに写っている商品「バッグ」そのものが乙第2号証の1ないし5のインボイスに記載されたものとはいえないものの、「BAMAKO BAG VERTICALE」の文字が乙第2号証の1及び2、「BANDOLIERA SMALL DRESSAGE」の文字が乙第2号証の1及び2並びに4及び5、「CUORE BANDOLIERA」の文字が乙第2号証の1及び2、「LUCKY CUBO」の文字が乙第2号証の1及び2の「品目/製品コード」欄にそれぞれ記載されていることが確認でき、これら画像には、「GILLI」の文字よりなる標章が付されており、該標章は、本件商標と同一のものであると認められる。
2 本件商標の使用について
(1)上記1によれば、2012年1月20日付けでエスプリ・ユージーから商標権者に対しバッグの代金が送金され、かかる送金に応じる形で、同月30日付けで商標権者から我が国のエスプリ・ユージーに対し、本件商標と同一の商標が付されたバッグ20点が送付されたのを始め、同年1月13日から同年7月24日において、本件商標と同一の商標が付されたバッグ351点が送付されたことが推認される。
そして、上記商品が商標権者からエスプリ・ユージーへ送付された2012(平成24)年1月13日から同年7月24日における各日付後、さほど遅くない時期に日本国内に輸入されたとみて差し支えないから、その時期は本件審判の請求の登録前3年以内(平成22年3月4日ないし同25年3月3日まで)に優に含まれるものであるといえる。
また、エスプリ・ユージーは、我が国の輸入紳士婦人洋品雑貨卸業者であり、乙第5号証のエスプリ・ユージー及び商標権者のそれぞれ担当者による電子メールのやり取りの内容などを併せみれば、エスプリ・ユージーは、日本国内で上記バッグを流通させたことが推認される。
さらに、上記「バッグ」は、本件請求商品中の「かばん類」の範疇に含まれることは明らかである。
(2)そこで、商標権者からエスプリ・ユージーへ商品「バッグ」が送付された行為、すなわち該商品が我が国に輸入された行為が商標法第50条に規定する商標の「使用」に該当するか否かについて検討する。
商標法50条1項に規定されている不使用取消審判の場面における「使用」の概念を法2条3項各号において定義されているものと別異に理解すべき理由はない(知財高裁平成21年(行ケ)第10216号同年10月22日判決参照)とされている。
そして、商標法2条3項が同法上の標章の「使用」の定義を規定した趣旨は、商品に標章が表示される場合において、それが何人の使用と認められるものであるかについては社会通念にゆだねるとともに、同法の目的との関係を考慮し、特に商品の識別標識として機能すると認められる事実についてのみ、これを「使用」であると定義することにより、同法上の「使用」としての法的効果を認めるべき行為の範囲を限定したものであると解される。そして、商標権者等が商品に付した商標は、その商品が転々流通した後においても、当該商標に手が加えられない限り、社会通念上は、当初、商品に商標を付した者による商標の使用であると解されるから、その商品が実際に何人によって所有、占有されているとを問わず、同法2条3項に該当する行為が行われる限り、その行為は、当初、商品に商標を付した者による商標の「使用」行為であるというべきである。これを本件のような我が国で商標登録を有する外国法人との関係についてみれば、商標権は、国ごとに出願及び登録を経て権利として認められるものであり、属地主義の原則に支配され、その効力は当該国の領域内においてのみ認められるところから、当該外国法人が商標を付した商品が我が国外において流通している限りは、我が国の商標法の効力は及ばない結果、我が国の商標法上の「使用」として認めることはできないものの、その商品がいったん日本に輸入された場合には、当該輸入行為をとらえ、当該外国法人による同法2条3項2号にいう「商品に標章を付したものを輸入する行為」に当たる「使用」行為として、同法上の「使用」としての法的効果を認めるのが相当である。(東京高裁平成14年(行ケ)第346号同15年7月14日判決参照)
そうすると、本件においては、上記(1)のとおり、本件商標の商標権者が本件商標と同一の商標を付した商品について、要証期間内である時期に、取引先のエスプリ・ユージーがこれを輸入したとの事実を認定でき、該商品のエスプリ・ユージーから他者への流通の存在を推認できるものであるから、エスプリ・ユージーの輸入行為をもって、商標法第2条第3項第2号にいう「商品に標章を付したものを輸入する行為」に当たる「使用」行為として、同法第50条に規定する商標権者による本件商標の「使用」があったものと認めることができるというべきである。
また、乙第2号証の1ないし5のインボイスの各葉の左上方には本件商標と同一の商標であると認められる「GILLI」の文字が表示されていることから、商標権者がこのインボイスをエスプリ・ユージーに対して送付する行為は、商標法第2条第3項第8号にいう「商品に関する取引書類に標章を付して頒布する行為」に該当するということができる。
3 まとめ
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標をその請求に係る指定商品に含まれる「バッグ」について、商標権者が使用していたことを証明したというべきである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
本件商標


審決日 2014-05-27 
出願番号 商願平9-175104 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (Z18)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大橋 良成深沢 美沙子 
特許庁審判長 関根 文昭
特許庁審判官 手塚 義明
酒井 福造
登録日 2001-11-09 
登録番号 商標登録第4519963号(T4519963) 
商標の称呼 ジッリ、ジリー、ギリー 
代理人 橋本 良樹 
代理人 高梨 範夫 
代理人 幡 茂良 
代理人 小出 俊實 
代理人 大村 昇 
代理人 潮崎 宗 
復代理人 加藤 智子 
代理人 石川 義雄 
代理人 小林 久夫 
復代理人 勝又 文彦 
代理人 安島 清 
代理人 蔵田 昌俊 
代理人 吉田 親司 

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