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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W20 審判 全部申立て 登録を維持 W20 |
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管理番号 | 1290785 |
異議申立番号 | 異議2014-900051 |
総通号数 | 177 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2014-09-26 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2014-02-17 |
確定日 | 2014-08-07 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5630566号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5630566号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5630566号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成25年7月1日に登録出願、第20類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同年10月11日に登録査定、同年11月15日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第4687860号商標(以下「引用商標」という。)は、「MIRRA」の欧文字を横書きしてなり、2002年12月5日に、アメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成14年12月20日に登録出願、第20類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成15年7月4日に設定登録され、その後、平成25年7月2日に商標権存続期間の更新登録がされたものである。 3 登録異議申立ての理由 (1)商標法第4条第1項第11号について 本件商標中の「Mirra」の文字部分は、他の部分に比べ、大きな面積を占めるばかりでなく、上段に配されているから、看者に強く支配的な印象を与えるものである。したがって、本件商標は、これより「ミラ」の称呼を生ずる。 一方、引用商標は、その構成文字より「ミラ」の称呼を生ずる。 してみると、本件商標と引用商標は、「ミラ」の称呼を同じくする類似の商標である。 また、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品を含むものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 (2)商標法第4条第1項第15号について ア 引用商標の著名性 申立人は、1950年代初めには、モダンデザインの家具メーカーとして、世界的に著名となっていた。申立人は、その業務に係る椅子について引用商標を使用しており(甲3)、日本においては、申立人の100%出資子会社であるハーマンミラージャパン株式会社(以下「ハーマンミラージャパン」という。)を通じて販売している(甲4の2)。そして、引用商標を使用した椅子(以下「ミラチェア」という場合もある。)は、日本における2004年の発売開始以来、2013年までに、13,918脚の販売実績があり、1脚の販売価格が132,840円(税込)である(甲4の6)ことからすれば、18億円以上の売上実績がある。また、ミラチェアは、雑誌、新聞、業界誌等で多数紹介された(甲5)。 したがって、引用商標は、申立人の業務に係る椅子を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、取引者、需要者の間に広く認識されていた商標であるといえる。 イ 本件商標は、引用商標を含むものであり、引用商標が使用される椅子が属する家具を指定商品とするものである。 してみれば、本件商標をその指定商品について使用するときは、その出所につき混同を生ずるおそれがある。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 (3)むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反してされたものであるから、取り消されるべきものである。 4 当審の判断 (1)商標法第4条第1項第11号について 本件商標は、別掲のとおりの構成よりなるものであるところ、その構成中、上段左に表された「M」の欧文字以外の欧文字は、いずれも図案化されて表されているものであり、特に、上段右の「rra」の欧文字部分とその下段の「lio」の欧文字部分は、対称的といえるほど、かなり図案化されているものであって、一見した場合は、「rra」の欧文字と「lio」の欧文字を表したと理解されにくいものといえるが、「Mi」の文字部分の下に、4つの黒塗り正方形内に、それぞれ白抜きで「ミ」、「ラ」、「リ」、「オ」の片仮名部分が存在することにより、本件商標中の図案化された欧文字部分が全体として「Mirralio」を表したと理解されるものといえる。そして、本件商標中の欧文字部分は、構成文字全体が同一の書体で表され、かつ、欧文字部分の読みを特定したと認められる「ミラリオ」の片仮名部分が図案化された欧文字部分と一体的にまとまりよく表され、構成全体が一体のものとして認識されるものといえる。さらに、本件商標は、これを構成する文字全体より生ずると認められる「ミラリオ」の称呼も語呂よく簡潔なものといえる。 してみると、本件商標は、構成全体をもって、一体不可分の商標を表したと認識されるものであって、その構成中の「Mirra」の文字部分のみが独立して取引者、需要者に把握、認識されるものとはいえない。 したがって、本件商標は、構成する文字全体に相応して「ミラリオ」の一連の称呼のみを生ずるものであって、単に「ミラ」の称呼は生じないものというべきである。 また、本件商標は、全体として特定の意味を有するものとはいえないから、特定の観念を有しない造語よりなるものと理解されるとみるのが相当である。 そうであるとすれば、本件商標より「Mirra」の文字部分を分離、抽出し、これより「ミラ」の称呼を生ずるとし、これを前提として、本件商標と引用商標とが「ミラ」の称呼を同じくする類似の商標であるとする申立人の主張は、前提において誤りがあるというべきであり、理由がない。その他、本件商標と引用商標とが類似するとみるべき理由は見いだせないから、本件商標と引用商標は、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する商標と認めることはできない。 (2)商標法第4条第1項第15号について ア 引用商標の著名性 (ア)申立人の提出した甲第3号証(ミラチェアのカタログ)及び甲第4号証(ハーマンミラージャパンが運営するウェブサイト)によれば、申立人は、1920年代に設立された米国の家具メーカーであり、その後、家庭向けの小さな家具メーカーから家庭・オフィス向けの家具メーカーとして成長し、折々に活躍したデザイナーを起用してモダンデザインの家具を製造し、1950年代初めには、モダンデザインの家具メーカーとして、世界的に知られるようになったこと(甲4の3)、申立人は、その業務に係る椅子について引用商標を使用しており(甲3)、ミラチェア等の家具は、日本においては、申立人の100%出資子会社として1988年(昭和63年)7月に設立されたハーマンミラージャパンにより輸入され、日本国内の約20の販売ディーラーを通じて販売されている(甲4の2、4)ほか、2004年(平成16年)1月にハーマンミラージャパンが開設した「Mirra Chair Shopping Site」においても販売していたこと(なお、当該サイトは、2005年(平成17年)9月に閉鎖:甲4の5)、また、ミラチェアは、国際展示会「IPEC21 2004」に出展(甲4の5)し、発売から10年で世界中に150万脚販売(日本においては、1脚の販売価格が132,840円(税込):甲4の6)されたこと(甲4の7)、などを認めることができる。なお、申立人は、ミラチェアは、雑誌、新聞、業界誌等で多数紹介された旨主張し、甲第5号証を提出するが、甲第5号証は、記事の掲載一覧表であり、これのみをもってしては、ミラチェアがどのように紹介され、引用商標が使用されたのか明らかではない。 (イ)以上によれば、申立人が米国の家具メーカーであり、その業務に係る椅子について引用商標を使用し、その椅子は、申立人の100%出資子会社であるハーマンミラージャパンにより我が国に輸入され、販売ディーラーを通じて販売されていることは認め得るものの、ミラチェアの本件商標の登録出願前までの我が国における販売数量、売上高等を裏付ける証拠の提出もない。さらに、申立人ないしハーマンミラージャパンが、本件商標の登録出願日前より、我が国においてミラチェアの宣伝広告を積極的に行ったと認めるに足りる証拠の提出もない。 そうすると、申立人の提出に係る証拠のみをもってしては、引用商標が、申立人又はハーマンミラージャパンの業務に係る椅子を表示するものとして、本件商標の登録出願日前より、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていた商標と認めることはできない。 イ 出所の混同 前記ア認定のとおり、引用商標は、申立人の業務に係る椅子を表示するものとして、本件商標の登録出願日前より、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていた商標と認めることができない。 また、前記(1)認定のとおり、本件商標は、構成全体をもって一体不可分の造語商標を表したと理解されるものであって、引用商標とは、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきものである。 そうとすれば、本件商標に接する取引者、需要者が、引用商標を想起又は連想することはないというべきであるから、本件商標は、これをその指定商品について使用しても、該商品が申立人又はこれと業務上何らかの関係を有する者の取扱いに係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれのある商標と認めることはできない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する商標ということはできない。 (3)むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号のいずれの規定にも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲 本件商標 |
異議決定日 | 2014-07-30 |
出願番号 | 商願2013-50613(T2013-50613) |
審決分類 |
T
1
651・
271-
Y
(W20)
T 1 651・ 262- Y (W20) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 中山 悦子、椎名 実 |
特許庁審判長 |
小林 由美子 |
特許庁審判官 |
渡邉 健司 大森 健司 |
登録日 | 2013-11-15 |
登録番号 | 商標登録第5630566号(T5630566) |
権利者 | 岩▲崎▼真空技術株式会社 |
商標の称呼 | ミラリオ |
代理人 | 名古屋国際特許業務法人 |
代理人 | 伊藤 文彦 |