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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 041
管理番号 1290668 
審判番号 取消2011-300253 
総通号数 177 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2014-09-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2011-03-07 
確定日 2014-07-28 
事件の表示 上記当事者間の登録第4147558号商標の商標登録取消審判事件についてされた平成24年2月1日付け審決に対し,知的財産高等裁判所において審決取消の判決(平成24年(行ケ)第10088号 平成24年11月19日判決言渡)があったので,さらに審理のうえ,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4147558号商標(以下「本件商標」という。)は,「青山ケンネルスクール」の文字を横書きしてなり,平成8年3月29日に登録出願,第41類「愛玩動物の美容及び看護の教授,愛玩動物の調教,愛玩動物の美容及び看護に関するセミナーの企画・運営又は開催,研究用教材に関する情報の提供及びその仲介」を指定役務として,平成10年5月22日に設定登録,その後,同19年12月18日に商標権の存続期間の更新登録がされているものである。
そして,本件審判の請求の登録日は,平成23年3月23日である。

2 請求人の主張の要旨
請求人は,商標法第50条第1項の規定により,本件商標の指定役務中,「愛玩動物の美容及び看護の教授,愛玩動物の美容及び看護に関するセミナーの企画・運営又は開催」についての登録を取消す,審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求め,その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第11号証を提出した。
(1) 請求の理由
本件商標は,その指定役務中,「愛玩動物の美容及び看護の教授,愛玩動物の美容及び看護に関するセミナーの企画・運営又は開催」について,継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから,その登録は取り消されるべきである。
(2) 答弁に対する弁駁
ア 被請求人が「本件商標と社会通念上同一の範囲の商標『青山ケンネルスクール』を被請求人が提供する『愛犬(愛玩動物)に関する講習会(教室)』について使用する」旨の主張について
(ア)乙第1号証の印刷日は,乙第1号証の1が平成23年4月(西暦は和暦で表示した。以下同じ。),及び同2ないし11が同年5月9日であり,本件審判の請求の登録日(平成23年3月23日)以後であり,証拠になり得ない。
(イ)乙第2号証は,商標権者(被請求人)のホームページ(以下全体を「ウェブサイト」といい。ウェブサイト内のページを「ウェブページ」という。)を作成したとされる会社の証明書であるが,被請求人と利害関係の無い公平な第三者による証明書とはいい難いために,証拠になり得ない。
(ウ)乙第3号証ないし乙第8号証は,「青山ケンネルスクール」の名称で提供されている講習会(教室)の案内資料とのことであるが,同資料のどこにも「青山ケンネルスクール」の商標が付されておらず,また,開催年月日も西暦の記載が後から手書きされたものであって,不明確であるため,証拠になり得ない。
(エ)乙第10号証は,商標権者の改訂された新しいウェブサイトのようであるが,答弁書で改訂前のウェブサイトを「4月8日」までインターネット上に公開していたとあることから,改訂後の新しいウェブサイトは本件審判の請求の登録日以後のものであり,証拠になり得ない。
イ 「『愛犬(愛玩動物)に関する講習会(教室)』が『愛玩動物の美容及び看護の教授,愛玩動物の美容及び看護に関するセミナーの企画・運営又は開催』に該当する」旨の主張について
(ア)「美容」について検討するに,被請求人は美容に関して新明解国語辞書から「適度の睡眠・食事・便通等により常に健康な素肌を保つこと」を引用している。しかして,同辞書にはその他に狭義の意味があり,これと特許庁商標課編「商品及び役務の区分解説」における美容の定義とは同一であって,商標法における「動物の美容」(第44類)もこれに基づいて「愛玩動物に対して被毛の手入れをして容姿・髪型等を美しくすること」であると思料する。
その証左となる特許電子図書館(IPDL)の「商品・役務名リスト」検索や商品・サービス国際分類表(日本語訳)によると,動物の美容を英語で表記すると「Animal grooming(毛繕い)」や「Grooming(Animal?)」等となっている。なお,「Grooming(グルーミング)」とは,社団法人ジャパンケネルクラブによれば「犬に対する被毛の手入れのすべて」をいうとある。また,アメリカの「AMERICANKENNELCLUB」が原著者の事典によれば「犬の被毛を美しく保つため,ブラシや櫛で手入れをしたり,トリミングをしたりすること」とある。
(イ)してみれば,本件商標の指定役務「愛玩動物の美容の教授」は「愛玩動物に対して被毛の手入れを教えること」であり,商標権者が提供する「手作りごはん料理教室」は,あくまでも愛犬のためのご飯作りを教えるものであって,商標法の「愛玩動物の美容の教授」に該当するものではない。同教室で学んだご飯を愛犬が食べたことで,毛艶が良くなったり,皮膚病が改善されたとしても,それはその結果に過ぎない。むしろ,商標権者が提供する「手作りごはん料理教室」は,第44類に属する役務として登録されている「動物の食事に関する栄養の指導」,「愛玩動物に関する栄養の指導」及び「愛玩動物の栄養の指導」などに該当するものと考える。
(ウ)被請求人は,「愛犬の美容」と「愛犬の食事」が密接な関係にあるとして「手作りごはん料理教室」も「愛玩動物の美容の教授」に含まれるサービスであると主張するが,上記のとおり第44類の「動物の食事に関する栄養の指導」等に含まれるサービスであると考えるのが妥当であり,同様に「手作りごはん料理教室」が「愛玩動物の美容に関するセミナーの企画・運営又は開催」に含まれるサービスであるという被請求人の主張も失当である。
(エ)次に,「看護」について検討すると,上記のとおり「手作りごはん料理教室」は第44類の「動物の食事に関する栄養の指導」等に含まれるサービスであると考えるのが妥当であり,同様に「手作りごはん料理教室」が「愛玩動物の看護に関するセミナーの企画・運営又は開催」に含まれるサービスであるという被請求人の主張も失当である。
ウ むすび
以上のことから,本件商標は,その指定役務「愛玩動物の美容及び看護の教授,愛玩動物の美容及び看護に関するセミナーの企画・運営又は開催」について,継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから商標法50条1項の規定により取り消されるべきものである。

3 被請求人の主張の要旨
被請求人は,結論同旨の審決を求める,と答弁し,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第49号証(枝番を含む。ただし,以下,枝番のすべてを引用する場合は,その枝番を省略する。)を提出した。
(1)本件商標の使用の事実
本件商標が使用されている商標権者に係る役務「青山ケンネルスクール」は,平成19年10月に開講した飼い主と愛犬向けの様々な教室を提供するサービスであり,現在まで継続して開催されている。
これは「愛犬の手作りごはん」,「愛犬の手作りおやつ」,「パピートレーニング」,「テリントンTタッチ」,及び「クリッカー」など愛犬に関する様々な内容を対象とする講習会(教室)が提供されている。本件商標は開講当時から現在まで同講習会の名称として継続的に使用され,これが商標権者に係る役務の出所を表示するものであることは明らかである。
例えば「愛犬の手作りごはん料理教室」は,平成20年6月29日,同年10月26日,同21年8月30日,同年10月25日及び同22年3月7日などに開催されてきた。そして,本件商標は当該教室の名称として商標権者の公式ウェブサイトに継続して使用されてきたものである。
なお,「青山ケンネルスクール」のウェブサイトは,コンピュータ関連総合サービス会社により,平成19年10月に作成され,平成23年4月8日までインターネット上に公開されていたが,現在では新しいウェブサイトに改訂されている。
(2)次に,本件審判の請求に係る「愛玩動物の美容及び看護の教授,愛玩動物の美容及び看護に関するセミナーの企画・運営・管理」と上記「手作りごはん講習会」との関係について述べる。
ア 「愛玩動物の美容の教授,愛玩動物の美容に関するセミナー」に関する本件商標の使用について
そもそも「美容」は,通常,人を対象としたものであるが,その意味合いは新明解国語辞典によると「適度の睡眠・食事・便通等により常に健康な素肌を保つこと」などを意味する語である。ちなみに,「美容」には一般的にダイエット,即ち,健康や美容のために食事の量・質に制限を加えることなどといったものも含むと理解される。事実,インターネット上では「美容」及び「ダイエット」の両方に関して触れたサイトが膨大な数存在する。そして,この「美容」を促進するためには,毎日の食事から得られる栄養バランスがベースとなることは周知の事実と考えられ,「美容」と「食事」は密接不可分の関係にあるといわざるを得ない。
一方,商標権者が開催している上記「手作りごはん講習会」の案内資料を見ると,「犬や猫に手作りのご飯を与えること(で)『毛艶が良くなった。』…」と記載されているが,愛犬の毛は人間でいえば素肌であるから,上記「美容」の意味合いからしても,「(食事により)毛艶を良くすること」は,「美容」の促進と同一視できるものである。
また,他の資料を見ても,「愛犬の肥満対策,肥満予防をお考えの飼い主さんにお勧め」,「愛犬の肥満対策コース」など美容の一つであるダイエット食に関する教室も開かれているのがわかる。
このように「愛犬の美容」と「愛犬の食事」が密接な関係にある事情に照らせば,上記商標権者が提供する「手作りごはん料理教室」も「愛玩動物の美容の教授」に含まれるサービスであることは明白である。
また,商標権者がこの講習会を企画,運営,管理することは「愛玩動物の美容に関するセミナーの企画・運営・管理」に他ならない。
イ 「愛玩動物の看護の教授,愛玩動物の看護に関するセミナーの企画・運営・管理」に関する本件商標の使用について
上記「手作りごはん講習会」では,糖尿病や癌を患う愛犬の食事に関する講習も開催している。ここで「看護」とは「けが人や病人の手当て,世話をすること。看病」を意味するが,「美容」と同様に「食事」は「看護」と密接な関係を有し,食事を使った「看護」が行われていることは周知の事実である。
したがって「愛犬の看護」と「愛犬の食事」が密接な関係にあることは明らかである。
ここで,商標権者が開催している上記「手作りごはん料理教室」の案内資料を見ると,犬や猫に手作りのご飯を与えることで「皮膚病が改善された…」などと記載されており,皮膚病の看病のために食事による療養,治療を目的としてこの講座が開かれていることがわかる。また,他の資料を見ても「アレルギーの犬,猫のためには,」,「疾病に負けない身体を作る手作りご飯」,「人間がかかる病気,ガン,糖尿病などにかかるワンちゃんが増えています。症状を正しく知り,症状をサポートしてくれる食材を使って,手作りご飯を作ってみましょう。」,「ガン,腎臓病,心臓病,糖尿病などの疾病を改善,サポートしてくれる食材を使ったヘルシーレシピ。」などと記載されており,看護の際,病気の改善に役立つ愛犬の食事に関する講座も開かれている。
このように「愛犬の看護」と「愛犬の食事」が密接な関係にある事情に照らせば,上記商標権者が提供する「手作りごはん料理教室」も「愛玩動物の看護の教授」に含まれるサービスであることは明白である。また,商標権者がこの講習会を企画,運営,管理することは「愛玩動物の看護に関するセミナーの企画・運営・管理」に他ならない。
ウ 商標権者(青山ケンネル株式会社)について
商標権者「青山ケンネル株式会社」(前会社名:青山ケンネル販売株式会社)は,昭和31年に開店したペットショップ「青山ケンネル」を起原とする昭和57年10月に設立された会社であり,同社は関連会社である学校法人シモゾノ学園、国際動物専門学校等を経営し20年以上,愛玩動物の美容に関する教育のサービスも行っている。そして,「青山ケンネル」の語を含む多くの商標を登録所有し使用してきた。商標権者の店舗である青山ケンネル(旧店舗名:VERONIQUE 東京都渋谷区恵比寿3-2-19)を中心に愛犬の総合的なサービスを提供してきたところ,本件「青山ケンネルスクール」についても,上記「愛犬の手作りごはん」,「愛犬の手作りおやつ」などに限られず,トリマー,グルーミングなどに関するアドバイスなども当然に行われている。
また,商標権者は動物美容関連教育のサービスを永年に亘り,その業務の中核的な存在として行ってきた。この点からしても,本件商標が商標権者の提供に係る「愛玩動物の美容の教授,愛玩動物の美容に関するセミナー」の業務について使用されているものであるいえる。
(3)むすび
以上のとおり,本件商標は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,商標権者により使用されているものである。よって,本件商標は,商標法第50条第1項の規定により,その登録は取り消されるべきものではない。

4 当審の判断
(1)基本的事実関係について
被請求人の提出に係る証拠によれば,次の事実を認めることができる。
ア 被請求人は,愛玩動物の販売,犬具・フードの販売,愛玩動物の美容・ホテル業等を目的とする株式会社である。(乙23)
イ 被請求人は,平成21年(2009年)4月20日,「青山ケンネルスクールAoyama Kennel School」との表題部における表示のもと,下記の日に,「愛犬の手づくりごはん」の名称で,犬の飼い主向けの教室を開催することをインターネットのウェブサイト上に掲載していた(乙29の1・2)。同様の掲載は,平成19年10月ころから平成23年4月8日までの間もなされていたと認められるところ(乙1の1?11,2),上記事実からすれば,被請求人が,「青山ケンネルスクール」の商標を使用して,下記の日に,「愛犬の手づくりごはん」の名称で,犬の飼い主向けの教室を開催していたと認めることができる。
平成20年(2008年)3月30日,4月27日,5月25日,6月29日,7月27日,8月3日,9月28日,10月26日,11月30日,12月21日,
平成21年(2009年)1月25日,3月1日,3月7日,5月30日,6月28日,7月26日,8月30日,9月20日,10月25日,12月13日,
平成22年(2010年)2月11日,3月7日,5月30日,6月27日,7月25日,8月29日,12月12日
ウ 上記ウェブサイトには,「愛犬の手づくりごはん 料理教室」の紹介として,「愛犬のための,健康で役立つご飯作りを楽しく学びましょう」,「犬や猫に手作りご飯を与えることが最近見直されてきているようです。手づくりご飯にしてから毛艶が良くなった! 皮膚病が改善された! お腹の調子が良くなった!などの声も聞きます。」,「また食物アレルギーの犬猫のためには,アレルギーの元になる食材を使わないことも出来ます。」,「この講習会では,これから手作りを始めたい方の為に,ご飯作りのポイントや注意点,給与量の目安などをご説明致します。」の記載がある。(乙1,2)
エ 「愛犬の手づくりごはん」教室の授業内容は大きく分けて2種類あり,初めて受講する者のためのものと,肥満対策,老犬用,疾病改善・予防,夏バテ対策などの個々のテーマを設定したものとがある。講師は,受講者が記入した調査票に基づいて事前に個々の受講者向けに資料を作成し,初めて受講する者向けの教室では,犬にとって必要な栄養や与えてはいけない食材などの全般的な話をした後,上記資料に基づき各犬に合わせた食餌の内容を教授しながら受講者全員でご飯を作っていき,テーマを設定した教室では,そのテーマに関する全般的な話をした後,上記資料を参酌しながら受講者全員でご飯を作るという形で授業を進行させている。例えば,疾病改善がテーマの場合,糖尿病,アレルギー,癌,腎臓病などの疾病に応じて,好ましい食材や栄養素,調理方法を教授するなどしている。(乙39?41)
(2)被請求人が開催する「愛犬手づくりごはん」教室が,「愛玩動物の美容の教授」,「愛玩動物の美容に関するセミナーの企画・運営又は開催」に該当するかについて
ア 「美容」とは,「適度の睡眠・食事・便通や洗顔・入浴・運動により,常に健康な素肌を保つこと。女性が髪型を整えたり肌の若さを保つために手入れをしたりすること」(新明解国語辞典第5版,乙11),「美しい容貌。容貌・容姿・髪型を美しくすること」(広辞苑第4版),「顔や体つきを美しくすること」(大辞林)をいう。
また,美容専門学校であるハリウッドビューティ専門学校が,美容技術(ヘア,メイクアップ,ネイルケア,エステティック等)とともに美容健康食を含む美容理論を美容科の必修科目としていること(乙36)や,インターネット上には食事と美容を結びつけた多数のウェブサイトが存在すること(乙14)に照らすと,美容を獲得し維持する手段として食事が挙げられることは広く社会一般に受け入れられていると認められる。上記辞書に定義される「美容」の手段にも制限はなく,食事が挙げられることもある。
そして,人間と犬などの愛玩動物との間で「美容」の意義を異なるものと考え,愛玩動物の「美容」をグルーミングやトリミングといった被毛の手入れに限定し,食事を介した美容の概念を排除しなければならない理由はない。また,特許庁商標課編「商品及び役務の区分解説〔国際分類第10版対応〕」には,第44類の「人又は動物に関する衛生及び美容」のうち人間に対する「美容」の解説として,「パーマネントウェーブ,結髪,化粧等の方法により,容姿を美しくするサービスです。」旨記載され,「動物の美容」の解説として「このサービスには,トリミングやグルーミングといわれる動物に対して行われる美容に関するサービスが含まれます。」と記載されているが,これらの記載から愛玩動物の「美容」をグルーミングやトリミングといった被毛の手入れに限定しなければならないということもできない。したがって,本件商標の指定役務である「愛玩動物の美容の教授」,「愛玩動物の美容に関するセミナーの企画・運営又は開催」から,愛玩動物の被毛の手入れのみならず,食事(食餌)を介して愛玩動物の美容の獲得・維持する方法の教授,セミナーの開催等が排除されるものではなく,これらも含まれるというべきである。
前記(1)の認定事実によれば,被請求人が開催している「愛犬手づくりごはん」教室は,犬の飼い主に対し,飼い犬のための健康で役立つ食餌の作り方を教授するものであるところ,「手作りご飯にしてから毛艶が良くなった」との声があることを教室の紹介の一環として挙げている。毛艶がよくなることは犬の容貌が良くなることであるから,この点において食餌を通した飼い犬の美容の獲得を教室の目的及び効果としているということができる。また,「愛犬手づくりごはん」教室では肥満対策をテーマとしたものが開催されているところ,肥満は,愛玩動物の健康を害するのみならず,美容の点からも好ましくないと一般に考えられていることからすれば,肥満対策をテーマとした犬の食餌の作り方の教授も,食餌を介した飼い犬の美容の獲得・維持をその内容の一つとしているということができる。
イ そうすると,被請求人が開催する「愛犬手づくりごはん」教室は,「愛玩動物の美容の教授」,「愛玩動物の美容に関するセミナーの企画・運営又は開催」に該当するというべきである。
(3)被請求人が開催する「愛犬手づくりごはん」教室が,「愛玩動物の看護の教授」,「愛玩動物の看護に関するセミナーの企画・運営又は開催」に該当するかについて
ア 「看護」とは,「けが人や病人の手当て・世話をすること。看病。看護のための理論と実技を研究する学問」をいうところ(新明解国語辞典第5版,乙20),けが人や病人の世話をする際,その傷病の内容に応じて食事の内容や提供の仕方に健康な人とは異なる配慮が必要なことは一般常識である。
前記(1)の認定事実によれば,「愛犬手づくりごはん」教室では,糖尿病,アレルギー,癌,腎臓病などの疾病に応じて,好ましい食材や栄養素,調理方法を教授するなどしていることが認められるから,疾患を有する飼い犬の世話の一環としての食餌の作り方を教授しているということができる。
イ したがって,被請求人が開催する「愛犬手づくりごはん」教室は,「愛玩動物の看護の教授」,「愛玩動物の看護に関するセミナーの企画・運営又は開催」に該当するというべきである。
(4)「愛犬手づくりごはん」教室用のチラシ(乙3?8)に「青山ケンネルスクール」の記載が無いことについて
請求人は,被請求人提出の「愛犬手づくりごはん」教室のチラシには,「青山ケンネルスクール」の記載が見当たらないから,本件商標の使用を裏付ける証拠とはならない旨,主張している。
たしかに,「愛犬手づくりごはん」教室用のチラシに「青山ケンネルスクール」の記載はなく,「VERONIQUE」や「ヴェロニカ」の記載がある。
しかし,「VERONIQUE」,「ヴェロニカ」」は教室の開催場所とみることなども可能であるし,被請求人が別の役務標章を使っていたとしても,このことは,被請求人が「青山ケンネルスクール」の表示のもと,「愛犬の手づくりごはん」の名称で,犬の飼い主向けの教室を開催することをインターネットのウェブサイト上に掲載し,「青山ケンネルスクール」の商標を使用して,「愛犬の手づくりごはん」の名称で,犬の飼い主向けの教室を開催していたとの前記認定事実と矛盾するものではない。
したがって,請求人の上記主張は,採用することができない。
(5)商品及び役務の区分について
請求人は,被請求人が提供する「手作りごはん料理教室」は,第44類に区分すべき「愛玩動物の栄養の指導」などに該当するから,上記教室が「愛玩動物の美容及び看護の教授,愛玩動物の美容及び看護に関するセミナーの企画・運営」に該当しない旨を主張する。
この点,証拠(甲7?11)によれば,「動物の食事に関する栄養の指導」,「愛玩動物に関する栄養の指導」,「愛玩動物の栄養の指導」,「愛玩動物の栄養指導」,「動物に関する栄養の指導」を第44類に区分した上,指定役務とした商標が存在することが認められる。しかし,被請求人が開催する「手作りごはん料理教室」が「愛玩動物の栄養の指導」の側面を有していたとしても,このことは,「手作りごはん料理教室」が「愛玩動物の美容及び看護の教授,愛玩動物の美容及び看護に関するセミナーの企画・運営」に該当することと矛盾するものではない。請求人の上記主張は採用することができない。
(6) まとめ
以上のとおりであって,被請求人は,本件審判の請求の登録(平成23年3月23日)前3年以内に日本国内において,商標権者が,その請求に係る指定役務「愛玩動物の美容及び看護の教授,愛玩動に関するセミナーの企画・運営又は開催」について,本件商標を使用していたことを証明したものというべきである。
したがって,本件商標の登録は,その請求に係る指定役務について,商標法第50条第1項の規定により,取り消すことができない。
よって,結論のとおり審決する。
審理終結日 2014-05-30 
結審通知日 2014-06-04 
審決日 2014-06-17 
出願番号 商願平8-34514 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (041)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山本 敦子 
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 内藤 順子
田中 亨子
登録日 1998-05-22 
登録番号 商標登録第4147558号(T4147558) 
商標の称呼 アオヤマケンネルスクール、アオヤマ、ケンネルスクール 
代理人 一色国際特許業務法人 
代理人 岩田 敏 
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