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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
不服20147500 審決 商標
不服2014650063 審決 商標
不服201320466 審決 商標
不服201317632 審決 商標
不服201315721 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 取り消して登録 X1142
審判 査定不服 商3条1項5号 簡単でありふれたもの 取り消して登録 X1142
管理番号 1289768 
審判番号 不服2013-7594 
総通号数 176 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2014-08-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-04-12 
確定日 2014-07-29 
事件の表示 商願2011-87389拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
理由 1 本願商標
本願商標は、「AP1000」の欧文字及び数字を標準文字で表してなり、第11類「原子炉」及び第42類「原子力発電プラント構成機器及び装置の設計」を指定商品及び指定役務として、平成23年12月6日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、商品の種別、規格等の記号・符号の一類型として一般に採択使用されている欧文字2文字と数字『1000』を組み合わせて表したにすぎず、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標であるから、本願商標は、商標法第3条第1項第5号に該当する。また、出願人の提出に係る証拠によっては、本願商標が商標法第3条第2項の要件を具備するものとは認められない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第5号該当性について
本願商標は、前記1のとおり、欧文字2文字と4桁の数字とを組み合わせてなるものであるところ、欧文字2文字と数字の組合せは、商品の品番、規格等を表示する記号又は符号として類型的に使用されるものであり、本願商標は、上記の記号又は符号の一類型と認識されるにとどまるというのが相当であるから、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標と認められる。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第5号に該当するものである。
(2)商標法第3条第2項について
ア 出願人(請求人)は、本願商標が商標法第3条第2項の要件を具備する旨を主張し、証拠方法として、原審において甲第1号証ないし甲第13号証、当審において甲第14号証ないし甲第74号証を提出している。
イ そこで、上記証拠方法及び当審における職権調査によれば、以下の事実が認められる。
(ア)出願人は、本社がアメリカ合衆国ペンシルバニア州に所在する原子力発電設備の設計・建設・保守及び原子力燃料の製造販売事業を行う多国籍の原子力関連企業であり、現在は株式会社東芝(以下「東芝」という。)グループの一員となっていることが認められる。
(イ)AP1000とは、出願人から販売されている2ループ構成の加圧水型原子炉であって、これは、アメリカ合衆国原子力規制委員会(以下「NRC」という。)から2005年12月に最終設計認可を受けた初めての第3世代プラスの改善型原子炉であること、元になったAP600からの発展的な改良である本形式は、安全面・経済効率で重要な改良が加えられたものとなっていることが認められる。
そして、2011年9月には、NRCは、改良のために修正されたAP1000型炉における、多肢にわたる設計申請の再評価を終わらせ、同年12月、当設計を使用した米国で一番目のプラントの着工を承認した。2012年2月には、NRCは、2基の新原子炉の着工を許可した。
また、中国では、2007年春に、中国国家核海外ウラン資源開発公司が、4基の原子炉建設に出願人を選定した。
(ウ)請求人が提出する指定商品及び指定役務に係るセールス用原子炉紹介文書等(甲1,甲2,甲14,甲15)には、表紙等において、本願商標と同一視できる程度の表示がされている。
(エ)本願の指定商品及び指定役務は、「原子炉」及び「原子力発電プラント構成機器及び装置の設計」であるところ、これらの商品及び役務は、各国の施策・事業等と密接に関連を有しているといえるものであり、その特殊性から、その取引者、需要者は、極めて限られた原子力関連産業に携わる者であることが認められる。
(オ)2011年12月2日付け日経産業新聞において、東芝は同月1日に子会社の出願人が米国で受注した原子炉向けの復水器を出荷したと発表したこと、納入先の原発は、米サザン電力の子会社、ジョージア電力が2009年から建設準備を進めていたボーグル原発(ジョージア州)の3・4号機
であり、出願人の新型炉「AP1000」を採用すること、東芝がボーグル原発向けに設計や技術支援、品質管理を担当し、製造は韓国BHI社が担当したこと、同原発向けのタービン・発電機の製造については、東芝が国内工場で始めていることなどが記載されていることが認められる(甲6)。
また、NRCが、2012年3月30日、米南東部サウスカロライナ州のVCサマー発電所の新型原子炉2基の建設・運転を認可することを決めたこと、VCサマー原発では、東芝の子会社である出願人製の新型加圧水型原子炉「AP1000」を採用すること、及びその関連の報道が、上記決定の翌日以降、日本国内の新聞、雑誌においてされていることが認められる(甲16?甲21,甲54)。
(カ)2010年7月以降(甲67)の新聞等において、これから中国で新規に着工する原子力発電所で採用する炉型を「AP1000」に一本化する可能性があること(甲23,甲62?甲67)、出願人がインド原子力発電公社と「AP1000」原子炉の建設を目指して協議を行う覚書を結んだこと(甲27)、東芝が、トルコ政府の原子力発電所新設計画について、出願人の「AP1000」原子炉を提案していく方針を明らかにしたこと(甲30)、出願人がカナダの電力会社が計画する原子力発電所の更新計画に対し「AP1000」を提案する準備を始めたこと(甲32)、出願人の親会社である東芝が、フィンランドとチェコの原子力発電所建設計画で入札に参加したこと(甲40,甲55?甲58)などが報道されていることが認められる。
ウ 上記イで認定した事実によれば、東芝グループの一員である米国法人の出願人から販売されている「AP1000」と称される加圧水型原子炉は、2005年12月にNCRの最終設計承認ののち米国をはじめいくつかの国における原子力発電所の建設計画や中国において4基が建設中等について多くの報道等がされ、本願の指定商品及び指定役務に係る分野の取引者においては全国的に知られているとみるのが相当である。
また、本願の指定商品及び指定役務に係るセールス用原子炉紹介文書等(甲1,甲2,甲14,甲15)については、我が国内において商品又は役務に関する広告として使用されたものとみるのが相当である。
してみれば、本願商標は、その指定商品及び指定役務について、出願人により使用された結果、需要者が出願人の業務に係る商品又は役務であることを認識することができるものとなっていると判断するのが相当であるから、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備するものというべきである。(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第5号に該当するものであるとしても、同法第3条第2項の要件を具備するものである。
したがって、原査定は、取消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決日 2014-07-16 
出願番号 商願2011-87389(T2011-87389) 
審決分類 T 1 8・ 15- WY (X1142)
T 1 8・ 17- WY (X1142)
最終処分 成立  
前審関与審査官 中山 悦子矢澤 一幸 
特許庁審判長 酒井 福造
特許庁審判官 浦辺 淑絵
原田 信彦
商標の称呼 エイピイセン、エイピイイチゼロゼロゼロ 
代理人 市位 嘉宏 

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