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審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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異議2013900372 | 審決 | 商標 |
異議2013900212 | 審決 | 商標 |
異議2013900412 | 審決 | 商標 |
異議2013900318 | 審決 | 商標 |
異議2013900408 | 審決 | 商標 |
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審決分類 |
審判 一部申立て 登録を維持 W0103 審判 一部申立て 登録を維持 W0103 審判 一部申立て 登録を維持 W0103 |
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管理番号 | 1288803 |
異議申立番号 | 異議2013-900206 |
総通号数 | 175 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2014-07-25 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2013-06-24 |
確定日 | 2014-05-23 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5567748号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5567748号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5567748号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成24年9月20日に登録出願、第1類「工業用洗浄剤」,第3類「せっけん類,金属加工機械器具用洗浄剤,業務用合成洗剤,印刷用刷版等の印刷機・印刷機材の洗浄剤,一般家庭用洗浄剤,液状せっけん類,固形せっけん」を指定商品として、同25年2月20日に登録査定、同年3月22日に設定登録されたものである。 2 登録異議の申立ての理由 本件登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第4条第1項第10号、同項第15号及び同項第19号に該当するから、同法第43条の2第1号により、その指定商品中、第3類の全指定商品についての登録は取り消されるべきであるとして、登録異議の申立ての理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第13号証を提出した。 (1)引用商標 申立人が引用する登録第2413225号商標(以下「引用商標」という。)は、「PUREX」の欧文字を横書きしてなり、昭和63年4月14日に登録出願、第1類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成4年5月29日に設定登録され、同14年9月11日に、指定商品を、第3類「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤,洗濯用海草のり,洗濯用コンニャクのり,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり」とする指定商品の書換登録がなされたものであり、現に有効に存続している(甲3)。 (2)商標法第4条第1項第10号について ア Purex商標の周知性 申立人は、米国の有力な消費者製品メーカーであり(甲4、甲5)、2004年に、申立人が、その一員となったヘンケルグループ(独国)は、米国を始め、中南米・欧州・アジア・アフリカと世界各地を拠点とする家庭用品・化粧品・接着剤等の巨大メーカーであって、そのランドリー&ホームケア部門の2011年度の売上高は43億400万ユーロにのぼり、この部門において世界各地で主導的地位を獲得しており、その主要ブランドの一つが「Purex」である(甲6)。 申立人は、1923年から、洗濯用洗剤、洗濯用柔軟剤、乾燥機用柔軟シート等(以下、これらをまとめて「洗濯用剤」という。)に、別掲2のとおりの構成からなる商標(以下「使用商標」という。)を始めとする「Purex」の文字からなる商標(以下、これらをまとめて「Purex商標」という。)を使用している(甲7)。また、我が国においても、「Purex」ブランドの商品は多数販売されているものであり、申立人は、我が国の輸入業者に、2012年に約22万5,000ユーロ、2013年に約7,400ユーロを売り上げているものであり(甲8)、大手通信販売サイトにおいて、Purex商標が使用された申立人の業務に係る商品が多数取り扱われている(甲9)。さらに、インターネット上の英和・和英辞書において、「Purex」は、「アメリカの洗濯洗剤」として掲載される程に知られている(甲10)。 Purex商標が世界各国で使用され、信用が蓄積された商標である事実は、1952年に米国で商標登録されたのを始めとして、我が国における引用商標を含む146ものPurex商標が世界各国で登録されていることからも明らかである(甲11)。 以上のとおり、Purex商標は、本件商標の登録出願の時及び登録査定の時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、取引者、需要者に広く知られている商標であるといえる。 イ 本件商標とPurex商標との類否 本件商標の構成中の「enpurex」の文字及びPurex商標を構成する「purex」の文字は、いずれも我が国で親しまれた英語の辞書に掲載されていないことから、造語として理解されるものである。 そして、本件商標の構成中の「purex」の文字部分は、Purex商標が申立人の商標として広く知られており、強い出所表示機能を発揮するものであることにより、独立して自他商品の識別力を発揮するものであるのに対し、「en」の文字部分は、それ自体には独立した意味のない接頭語として認識されるから、本件商標は、「エンピュレックス」の一連の称呼のほかに、「purex」の文字部分から「ピュレックス」の称呼をも生じるものであり、また、申立人の周知商標「Purex」に関連した商品であるとのイメージ(観念)を想起させる。 したがって、本件商標の構成中の「purex」の文字部分は、Purex商標の綴りと同じであるから、本件商標とPurex商標とは、その外観において極めて近似し、いずれからも「ピュレックス」の称呼を生じるものであり、かつ、本件商標から申立人の周知商標に関連した商品であるとの観念を生じるため、その観念においても近似する。そして、本件登録異議の申立てに係る指定商品「せっけん類,金属加工機械器具用洗浄剤,業務用合成洗剤,印刷用刷版等の印刷機・印刷機材の洗浄剤,一般家庭用洗浄剤,液状せっけん類,固形せっけん」は、申立人の周知商標「Purex」が使用されている商品「洗濯用洗剤」と同一又は類似する商品である。 ウ まとめ 本件商標は、その登録出願の時及び登録査定の時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして取引者、需要者に広く知られている商標と類似する商標であって、その商品と同一又は類似する商品について使用する商標であるから、商標法第4条第1項第10号に該当する。 (3)商標法第4条第1項第15号について Purex商標は、上記(2)のとおり、申立人が製造、販売する洗濯用剤に使用されている商標として、我が国における取引者、需要者の間に広く認識されているものであり、また、本件商標とPurex商標とは、互いに類似する商標である。 また、本件登録異議の申立てに係る指定商品とPurex商標が使用されている商品とは、いずれも何らかの対象物を洗浄又は洗浄後に加工するために使用されるものであるため、その用途を共通にし、かつ、需要者層も共通する場合のある商品といえるから、極めて高い関連性を有する。 加えて、申立人は、洗濯用柔軟剤について引用商標を所有しており(甲3)、長年にわたり、その登録を維持し、ブランド力を高めてきた実情がある。 したがって、本件商標は、本件登録異議の申立てに係る商品に使用した場合、当該商品が申立人の業務に係るものであると誤認されるおそれがあるのみならず、申立人との間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係等にある者の業務に係る商品であると誤認されるおそれがあるから、商標法第4条第1項第15号に該当する。 (4)商標法第4条第1項第19号について Purex商標は、上記(2)アのとおり、申立人が製造、販売する洗濯用剤に使用されている商標として、国内外における取引者、需要者の間に広く認識されている。 また、本件商標は、造語であり、かつ、その構成中に「purex」の文字を含むものであるところ、「purex」は、造語であり、周知著名となっているため、商標権者がPurex商標を知らずに「enpurex」の文字からなる商標を考案したとは考え難いものである。加えて、本件商標は、爽やかな青色を基調としている点においても、Purex商標と近似している。このように、本件商標とPurex商標とは、その構成が極めて近似しており、時と場所を異にして両者を離隔観察した場合、彼此混同を生ずるほどに類似しているといわざるを得ない。 そうすると、本件商標は、周知著名なPurex商標に依拠して採択されたものと推認せざるを得ず、申立人のPurex商標に化体した信用・世界的名声及び顧客吸引力にただ乗りし、商標権者の市場参入を容易にし、不当に商標的利益を得ようとする意図で採択されたものと考えられ、Purex商標の出所表示機能を希釈化し、その名声を毀損すべく、不正の目的をもって出願、使用されている商標であることが推認される。 したがって、本件商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的をもって使用するものであるから、商標法第4条第1項第19号に該当する。 (5)むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同項第15号及び同項第19号に違反して登録されたものである。 3 当審の判断 (1)Purex商標の周知・著名性について 申立人の提出に係る甲各号証及びその主張によれば、申立人は、1922年に米国で家庭用液状漂白剤メーカーとして創設されたものであり、商標「Purex」を、1923年から漂白剤に使用し、現在も、乾燥洗剤、液状洗濯洗剤、液状柔軟剤等に使用していること(甲7)、申立人が2004年からその一員となったヘンケルグループ(独国)は、「2011年の事業概要と業績」において、そのランドリー&ホームケア部門におけるトップブランドの一つとしてPurex商標を挙げていること及び同部門全体の2010年及び2011年の売上高が、それぞれ、約43億ユーロであること(甲5、甲6)、本件商標の登録査定後である2013年9月頃に、我が国の通信販売サイトにおいて、Purex商標に係る洗濯用液体洗剤、液体柔軟剤等が取り扱われていたこと(甲9)が認められる。 しかしながら、申立人の提出に係る全証拠をみても、Purex商標に係る営業の規模、輸出先や宣伝広告の方法及びその内容等を具体的に把握することはできない。 また、申立人が、我が国の輸入業者を通じてPurex商標に係る商品を販売したとする甲第8号証によれば、その商品の輸入額は、2012年において、約2,250万円(2012年の為替換算を100円/1ユーロとして算出)、2013年において、約96万円(2013年の為替換算を130円/1ユーロとして算出)であるところ、例えば、沖縄地区税関のウェブサイトによると、平成21年(2009年)における我が国の柔軟仕上剤等の輸入実績が約90億円であることからすると(http://www.customs.go.jp/okinawa/07_tokei/tokyusyu/sofner.pdf)、柔軟剤のほかに液体洗剤を含むと認められる上記輸入額は、極めてわずかであるといわざるを得ない。 その他、申立人による積極的な宣伝広告活動や一般紙、雑誌などにおける記事掲載等、Purex商標の周知・著名性を具体的に裏付ける証拠は、何ら提出されていない。 そうすると、Purex商標は、本件商標の登録出願の時及び登録査定の時において、申立人の業務に係る商品を表示する商標として、我が国及び外国の取引者・需要者の間に広く認識されているものと認めることはできないといわなければならない。 なお、申立人は、「purex」の語が、いわゆるオンライン辞書に「アメリカの洗濯洗剤」と記載されているものであり(甲10)、また、世界各国においてPurex商標が登録されていると主張するが、それらの事実により、直ちに、Purex商標についての需要者の認識の程度を把握することはできないものであるから、申立人の主張する上記理由により、Purex商標の周知・著名性を認めることはできない。 (2)商標法第4条第1項第10号について 本件商標は、前記1のとおりの構成からなるところ、その構成中の「enpurex」の文字は、上下の2本の青色線の間に、同書、同大、等間隔に青色で表されているものであり、構成文字全体から生じる「エンピュレックス」又は「エンプレックス」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものであって、殊更に、その構成文字が「en」と「purex」とに分離して観察されるものではなく、また、「purex」の文字部分が、看者の注意を強くひくという事情もないものであるから、本件商標は、その構成中、文字部分全体が一体不可分のものとして認識され、その構成文字部分から「エンピュレックス」又は「エンプレックス」の称呼を生じるものであり、該文字が親しまれた成語ということはできないから、特定の観念を生じないものであるとみるのが相当である。 他方、Purex商標は、前記2(2)アのとおり、「Purex」の文字からなるから、その構成文字に相応して「ピュレックス」又は「プレックス」の称呼を生じるものであり、また、親しまれた特定の意味合いを理解させることのない造語からなるものというのが相当であるから、特定の観念を生じないものである。 してみると、本件商標とPurex商標とは、外観及び称呼において、明らかに相違し、観念においては、両者を区別することができないものであるから、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。 さらに、Purex商標は、上記(1)のとおり、本件商標の登録出願の時及び登録査定の時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできないものである。 したがって、Purex商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標とはいえず、また、本件商標とPurex商標とは非類似の商標であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。 (3)商標法第4条第1項第15号及び同項第19号について 「Purex」商標は、上記(1)及び(2)のとおり、本件商標の登録出願の時及び登録査定の時において、申立人の業務に係る商品を表示する商標として、我が国又は外国における需要者の間に広く認識されていたものとは認められず、さらに、本件商標とは類似しないものであって、十分に区別し得る別異の商標というべきものであるから、Purex商標と本件商標とが使用される商品の関連性、取引者、需要者の共通性を考慮したとしても、本件商標をその指定商品中、第3類に属する商品に使用した場合に、これに接する取引者、需要者がPurex商標ないしは申立人を連想、想起するようなことはないというべきであり、該商品が申立人又は申立人と組織的、経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれはないものである。 さらに、本件商標が不正の目的をもって使用するものと認めるに足る証拠は見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号及び同項第19号に該当するものということはできない。 (4)むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号、同項第15号及び同項第19号に違反してされたものではないから、商標法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲1 本件商標 (なお、色彩については、原本参照。) 別掲2 使用商標 (なお、色彩については、原本参照。) |
異議決定日 | 2014-05-15 |
出願番号 | 商願2012-76111(T2012-76111) |
審決分類 |
T
1
652・
222-
Y
(W0103)
T 1 652・ 271- Y (W0103) T 1 652・ 25- Y (W0103) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 平松 和雄 |
特許庁審判長 |
野口 美代子 |
特許庁審判官 |
堀内 仁子 田中 敬規 |
登録日 | 2013-03-22 |
登録番号 | 商標登録第5567748号(T5567748) |
権利者 | 富士商興株式会社 |
商標の称呼 | エンプレックス、エンピュレックス |
代理人 | 特許業務法人三枝国際特許事務所 |
代理人 | 田中 二郎 |