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審判番号(事件番号) データベース 権利
異議2013900091 審決 商標
異議2013900094 審決 商標
異議2013900198 審決 商標

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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W19
管理番号 1288802 
異議申立番号 異議2013-900204 
総通号数 175 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2014-07-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2013-06-14 
確定日 2014-05-12 
異議申立件数
事件の表示 登録第5578137号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5578137号商標の商標登録を取り消す。
理由 第1 本件商標
本件登録第5578137号商標(以下「本件商標」という。)は、「無垢材挽き板化粧フロア」の文字を標準文字で表してなり、平成24年5月15日に登録出願、第19類「木製床材」を指定商品として、同25年3月19日に登録査定、同年4月26日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由(要旨)
本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号及び同第4条第1項第16号に違反してされたものであるから、その登録は取り消されるべきものである。

第3 本件商標の取消理由
商標権者に対して、平成25年12月16日付けで通知した本件商標の取消理由は、要旨以下のとおりである。
本件商標「無垢材挽き板化粧フロア」は、その指定商品「木製床材」との関係においては、「無垢材」、「挽き板」、「化粧」及び「フロア」の語を結合したものと容易に認識されるものである。
(1)登録異議申立人(以下「申立人」という。)の提出に係る甲各号証によれば、「無垢材」、「挽き板」、「化粧」及び「フロア」について、以下のインターネット情報等が確認できる。
ア 「無垢材」について
(ア)用語検索サイトの「kotobank」に、「無垢材【ムクザイ】」について、「(リフォーム用語集の解説)一本の原木から角材や板を直接必要な寸法に切り出したものの事。」、「(家とインテリアの用語がわかる辞典の解説)合板や集成材ではなく、使用する形状で丸太から切り出した木材」及び「(農林水産関係用語集の解説)接着剤を使わず製材品としてそのまま利用する木材。」との各記載がある(甲2)。
(イ)「住宅建築専門用語辞典」のウェブサイトに、「無垢材」について、「無垢材とは、集成材のような加工されたものではなく、純粋な一つの材料でできている木材。」との記載がある(甲3)。
(ウ)「床材用語集」(日本防音床材工業会)のウェブサイトに、「木材・木質材料/無垢(ムク)材/ムク板」について、「合板や集成材のように合成・加工されたものではなく、製材されたままの材料のこと。床では無垢(ムク)の床材という言い方をします。自然の美しさを味わえる反面、合板に比べて湿気・乾燥の影響により伸縮・反りが発生する場合があります。無垢集成材も無垢と呼んでいる場合があります。」との記載があり、その下部に「板材」の商品写真が表示されている(甲4)。
(エ)大利木材株式会社のホームページの「よくあるご質問」(注:合議体調査。以下同じ。)における「突き板と挽き板の違いは何ですか?」との質問の回答の中に、「無垢材とは」として、「無垢材とは、木を継ぎ足したり重ねたりしていない、そのままの木材のことです。」との記載がある(甲5)。
(オ)「日曜大工お助けマン/大工さんが作ったホームページ」のウェブサイトにおける「基本的な木材用語」(注:合議体調査。)中の、「無垢材(むくざい」の欄に、「材種に関係なく一般天然の木材のことを言う/無垢材に対し木材を貼りあわせたり表面を貼った加工材を集製材や積層材と言う」との記載がある(甲6)。
(カ)「超簡単!建築用語辞典」のウェブサイトに、「無垢」について、「表面に張物をした突板や集成材のような木材を張り合わせたものではなく、何も加工をしていない、一枚板で造られた木材のこと。」との記載があり、右下部分に「この情報は2006年04月14日時点のものです。」の記載がある(甲7)。
イ 「挽き板」について
(ア)「床材用語集」(日本防音床材工業会)のウェブサイトに、「木材・木質材料/挽き板」について、「板材のことでラミナとも言われ、のこぎりを挽いて切り出したことから挽き板と呼ばれています。床材では、小さな挽き板を組み合わせて市松模様などに張り上げるタイプがあります。」との記載がある(甲8)。
(イ)大利木材株式会社のホームページの「よくあるご質問」における「突き板と挽き板の違いは何ですか?」との質問の回答の中に、「挽き板とは」として、「挽き板(ヒキ板)とは、スライスではなく、回転する鋸(のこ)刃で切り出した板です。…2mm無垢仕上げ『プライムフロアー』は挽き板を使用しています。」との記載があり、その右側に、「2mm 厚の無垢挽き板」の引き出し線を付した床材の断面の写真が表示されている(甲5)。
(ウ)「超簡単!建築用語辞典」のウェブサイトに、「挽板」について、「天然木を鋸で挽いて製作する、厚さ1mm以上の化粧板。合板などに接着してフローリング等にする。」との記載があり、右下部分に「この情報は2012年12月19日時点のものです。」の記載がある(甲9)。
(エ)株式会社東集のウェブサイト(注:合議体調査。)の「素朴な疑問のページ」における「・突き板(もしく挽き板)って何ですか?」との質問の回答として、「挽き板」の欄に、「特長:・木目が美しいままの単板が得られる/・ひび割れなどがおきにくい/・厚い単板を得ることができるため、高級品向き」、「短所:・丸太を四角く製材してからスライスし、さらにのこぎりで挽くためのこぎりの刃の厚み分の原料がおがくずとなってしまうためスライスよりも歩留まりが悪く価格が高い」及び「記事:主に、和室用の化粧柱のうち、高級品に見られます。」との記載がある(甲10)。
(オ)北海道パーケット工業株式会社のホームページの「ひき板へのこだわり」と題するページにおいて、「ひき板とは」として、「ひき板製法は加工による木材の細胞組織の破壊が行われないため木材本来の強度があり、製品仕上がりにおいてもホンモノの木味が楽しめます。また、太い真円の丸太だけでなく、間伐材など様々な原木を利用できるため、資源の有効活用につながります。」との記載があり、その下に「丸太からフローリングのピース製品ができるまでの工程図」が表示され、更にその下に、「ひき板の主な特徴」として、「間伐材なども無駄なく有効活用でき、環境保護(ECO)にもつながります。さらに出来上がった床材は干割れがおきず長く使用できます。」との記載がある(甲11)。
(カ)株式会社アークシステムズの「無垢フローリング専門店/無垢‐床.com」のウェブサイトにおける「用語集」に、「挽板(ひきいた)」について、「・挽き板とも書く。のこぎりで挽いて切り出した薄い板。突板とは違い、板といえるほど厚みがあるので無垢の感触が楽しめる。」との記載がある(甲12)。
ウ 「化粧」について
(ア)「建築学用語辞典」(岩波書店)の「化粧」に、「[1]見え掛りの部分,または部材であることを表す語.たとえば化粧屋根裏,化粧積みなど.通常は仕上加工を施す.[2]仕上加工が施されている部材であることを特に表す語.荒木に対してかんな削りされたもの,構造材,下地材に対して装飾材,仕上材など.たとえば化粧板,化粧れんがなど.」との記載がある(甲13)。
(イ)「建築学用語辞典」(岩波書店)の「化粧合板」に、「化粧を目的として薄単板,模様紙,合成樹脂,塗装などを用いて表面を化粧加工した合板の総称.」との記載がある(甲13)。
(ウ)「Yahoo!百科事典」のウェブサイトに、「化粧板(けしょうばん)」について、「板状製品の表面に化粧加工したものの総称。…化粧板は板状製品の化粧性を向上させるほか、耐水性、耐汚染性、耐摩耗性、耐薬品性など種々の性能向上に寄与することが多い。野板(のいた)(粗板、荒板)に対して、材質を選び、よい仕上げを施したものを化粧板(けしょういた)ということもある。」との記載がある(甲14)。
(エ)「住宅建築専門用語辞典」のウェブサイトに、「化粧合板」について、「化粧合板とは、基材の合板の表面に塗装や突板を貼り付けるなど、表面処理を施した合板のことを言います。」との記載がある(甲15)。
(オ)「住宅建築専門用語辞典」のウェブサイトに、「天然木化粧合板」について、「天然木化粧合板とは、天然の木を薄くスライスして合板に貼った化粧合板。」との記載がある(甲16)。
エ 「フロア」について
(ア)「フロア・フローリングのアウトレット建材屋.net」のウェブサイトにおいて、「新入荷しました!!」の見出しのもと、板材と見受けられる写真の横に「防音直貼フロア NO.2!人だけでなくペットにもやさしい防滑性の優れたフロア。」との記載がある(甲23)。
(イ)Panasonicの個人向けウェブサイトにおいて、住まいの設備と建材>内装・収納>フローリング(木質床材>…ラインアップ>に、「Eフロア-A」について「光沢感のある滑らかな表面仕上げの床材を6色ご用意しています。」との記載がある(甲24)。
(ウ)「ベース設計資料 NO.157」(2013年6月20日発行 建設工業調査会発行)に、「建設資材メーカー便覧 (45)貼り床材」に、「クッションフロア」及び「直貼り遮音フロア」の欄のもと、メーカー名が記載されている(甲25)。
(2)当審における職権調査によれば、以下の事実が認められる。
ア「無垢材」、「挽く」、「化粧」及び「フロア」の語の意味について
「広辞苑(第六版)」には、「むく‐ざい【無垢材】」の項に「接着剤で合成した集成材に対して、そのまま製材品として利用する木材。」、「ひ・く【引く・曳く・牽く】」の項に、「(「挽く」と書く)(鋸を手前に引く意から)切り割る。」、「け‐しょう【化粧・仮粧】」の項に、「(名詞に冠して)美しく飾った、体裁をつくろった、形式的な、などの意を表す語。〔建〕外から見えるところ。外面にあらわれている部分。」との記載がある。また、「フロア」の語は、「(部屋などの)床、板の間、床板」などの意味として一般に知られている英語「floor」(小学館プログレッシブ英和中辞典)の音を片仮名で表したものと認められるところ、上記「広辞苑」には、「フロア【floor】」の項に「床。階。」と記載されている。
イ 「フローリングの日本農林規格」における用語の定義について(http://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/pdf/kikaku_54.pdf)
(ア)単層フローリング:ひき板を基材とし、厚さ方向の構成層(…)が1のフローリング(…)をいう。
(イ)複合フローリング:単層フローリング以外のフローリングをいう。
(ウ)化粧加工:複合フローリングの表面に美観を表すことを主たる目的として施された加工(…)をいう。
(エ)天然木化粧:天然木のひき板又は単板を用いた化粧加工をいう。
ウ 「単層フローリング」及び「複合フローリング」について
(ア)「住宅建築専門用語辞典」のウェブサイトにおいて、「単層フローリング」の見出しのもと、「別名:無垢フローリング」、「単層フローリングとは、構成層が1つのフローリングで、一般的には無垢材でつくられたものを言います。」との記載、「複合フローリング」の見出しのもと、「複合フローリングとは、木質系材料からなる床板(フローリング材)。表面加工その他所要の加工を施したもので、合板や集成材などの木質材料を基材としています。表面に木材の薄板を張り合わせたもの(天然木化粧)と合成樹脂オーバーレイ、塗装、プリントなどの加工を施したもの(特殊加工化粧)とに分類されます。」との記載がある。
(http://www.what-myhome.net/16ta/tansoufurouringu.htm)
(http://www.what-myhome.net/28fu/fukusoufurouringu.htm#01)
(イ)「全国フローリング技能協会」のウェブサイトにおいて、「単層フローリング」の見出しのもと、「フローリングは、『単層フローリング』と『複合フローリング』に分ける事ができる。単層フローリングは、ブナ・サクラ・ナラ・イタヤなどの一枚板により構成されている自然素材である。」との記載及び「複合フローリング」の見出しのもと、「…複合フローリング類は、ブナ・サクラ・ナラなどと針葉樹合板で構成されており、膨張や収縮、ねじれや反りなども生じにくい。」との記載がある。
(http://www.afta.jp/php/flooring/tanso.php)
(http://www.afta.jp/php/flooring/fukugo.php)
エ 「無垢材挽き板」、「無垢材の挽き板」、「化粧」及び「フロア」に関するインターネット情報
(ア)「無垢フローリングダイレクトショップ DIRECT SHOP SAKURA」のウェブサイトにおいて、「フローリングの基礎知識」として、「複合フローリング」の項に、「合板などの基材に化粧淡板(合議体注:「単板」の誤記と思われる。)、あるいは無垢材挽き板を貼ったフローリングで反りや収縮が少なく施工がしやすく表面も厚い単板なら十分木の質感が味わえます。基材の組み合わせや塗装方法により様々な性能をもたせることが出来る利点があります。健康面でもホルムアルデヒドなどの化学物質の基準も定められています。」との記載がある。
(http://www.directshopsakura.com/test130506/htm02/chishiki.htm)
(イ)「MAGASTORE」のウェブサイトにおいて、「ELLE DECOR 2012年10月号 ハースト婦人画報社/2012年09月07日/全195ページ」の目次下段部に、「…・部屋をグレードアップさせる、洗練された無垢材挽き板の床に注目!…」との記載がある。
(http://www.magastore.jp/product/8437)
(ウ)雑誌のオンライン書店「Fujisan.co.jp」のウェブサイトにおいて、「I’m home 発売日:2013/01/16」の雑誌検索結果に、「18.…下は表面に3mm厚の無垢材挽き板を使用した『複合(挽き板)フローリング』。表面に同じ無垢材を使用しているが、単層フローリングは自然素材ならではの質感や厚みが魅力だが、季節によって多少膨縮するのが…」との記載がある。
(http://www.fujisan.co.jp/zasshi-kensaku.asp?sid=886116&q=%96%B3%8DC)
(エ)「大阪ガス住設の家」のウェブサイトにおいて、新築・建替え>実例紹介>「FILE 101」に、「宝塚市 S邸/ ◎竣工年月:2012.09」として掲載されている玄関内部の写真とともに「◎玄関からリビングまで、床には自然塗装のナラの無垢材挽き板フローリングを使用。」との記載がある。
(http://www.ogj.co.jp/house/work_101/)
(オ)「PanaHome」のウェブサイトにおいて、「・分譲住宅」・宅地」「・愛知県」「・パナホーム・コート守山志段味」「・物件概要」の項に、「販売時期 平成25年01月07日 先着順受付中」の記載及び家屋内を写した写真中の床部分の写真下部に「贅沢な無垢材挽き板フロア使用(LDK)」との記載がある。
(http://www.panahome.jp/bunjyo/detail/naisou/001141/)
(カ)「Goodリフォーム.jp」のウェブサイトにおいて、「インテリックス空間設計」の見出しのもと、会社概要>>施行実例一覧>>実例情報(東京都Oさん)の欄に、「新しくした設備」「LDK・洋室・ホール床材/無垢材挽き板フローリング(オーク)」との記載がある。
(http://www.goodreform.jp/rf/intellex/jitsurei/0000198910/)
(キ)「兵庫県立丹波年輪の里」のウェブサイトにおいて、【新着図書紹介】の欄に、「建築知識 2013年3月 No.700」として、【寸法安定性に優れた無垢材の挽き板化粧フロア】」との記載がある。
(http://nenrin.org/03zyoho/post_754.php)
(ク)「GAUZY CALM WORKS」のウェブサイトにおいて、「GCW WORK SCENE」「GAUZY CALM WORKSの家具製作の日々」として、「2011年3月7日月曜日 木口テープ」及び「…無垢材の挽き板を貼るならば、3ミリが一般的だが、その3ミリの厚みが見えるのが嫌なのだ。」との記載がある。
(http://gauzycalm.blogspot.jp/2011/03/blog-post_07.html)
(ケ)天龍木材株式会社のウェブサイトにおいて、「床材/複合フローリング」の「タフフローリングシリーズ」について、「無垢材のテクスチュアと複合材の高機能を合わせ持つハイクオリティーフローリングの決定版」、「1 表面材の製造方法が違う!!/ソード加工/表面材は原板から3mm厚で鋸挽きしているため、仕上がりは無垢材同等の重厚感を演出します。」との記載がある。
(http://www.tenryu.co.jp/kenzai_yukazai.php)
(コ)「ジョイフル本田オンラインショップ」のウェブサイトにおいて、木材・建材>下地材・内装材>仕上材にある「床材 チークフロア No1グレード 半坪梱包」について、商品説明 【特長】◆希少価値の非常に高いミャンマー産チークを贅沢に使用した、最高級の無垢フロアー材。」との記載がある。
(https://joyfulhonda.jp/item/19845/)
(サ)株式会社紀伊国屋書店のウェブサイトにおいて、タイトル「床材フロアマテリアル-床材料の選定と仕上げ施工のための完全設計・施工ガイド」の書籍についての内容説明に「床材を活かす百科として施工・インテリア・設計・リフォームの方々にフローリングに絞った究極のバイブルである。」との記載がある。
(http://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784882824183)
(シ)「ファーストリフォーム」のウェブサイトにおいて、「大建工業 フォレスティア」には、「お手入れ簡単な天然木化粧フロア」との説明がある。そして、そのカタログには、「ワックス不要の天然木化粧フロア」との説明があり、仕様欄の「表面」の項には、「天然木薄単板、オーク板目・柾目混合乱尺張り」との記載がある。
(http://www.firstreform.com/products/detail.php?group_id=04030211)
(ス)株式会社テーオー小笠原のウェブサイトにおいて、「よくある質問とその回答」のページに、「Q フローリング材は他の床材と比べてどこが優れていますか?/A ごく一般的に使われる化粧フロア材の表面単板厚は0.2mm?0.3mmとなりますが、フローリング材では積層材の表面単板厚は2.0mm?3.0mm、…、また、無垢材は「木」本来の高級感と重厚感を持った天然木なので、耐久性・歩行感がとても優れております。」との記載がある。
(http://www.to-ogasawara.com/faq/)
(3)以上の甲各号証及び当審の職権調査からすると、「無垢材」の語は、「接着剤で合成した集成材に対して、そのまま製材品として利用する木材」の意で、「挽き板」の語は、「鋸で挽いた板」の意で、「化粧」の語は、「化粧加工」の意で、そして「フロア」の語は、「床、床材」の意で、それぞれ使用されている実情があるといえるから、これらの語は、床材(フローリング)との関係において、その取引者及び需要者に、商品の品質を表す用語として普通に理解・認識されている語といえるものである。
ところで、「木製床材」は、「単層フローリング(無垢フローリング)」と表面材(化粧材)と基材から構成される「複合フローリング」の2種類にわけられるものであるところ、前記(2)のエのとおり、「合板などの基材に無垢材の挽き板を貼った床材」が製造、販売され、これらを「無垢材挽き板」の語を用いて説明するほか、「無垢材挽き板」の語と床材を意味する「フローリング」や「フロア」の語とを組み合わせて、「無垢材挽き板フローリング」や「無垢材挽き板フロア」のように称している実情があることからすれば、上記意味合いとして理解される「無垢材」、「挽き板」、「化粧」及び「フロア」の各語を横一連に結合させた「無垢材挽き板化粧フロア」の文字からなる本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者・需要者は、「合板などの基材に無垢材の挽き板を貼って化粧加工した複合フローリング(床材)」の意味合いを表すものと容易に理解するといい得るものであり、それ以上に、本件商標が、自他商品の識別標識としての機能を果たすとする特段の事情も見いだせない。
そうすると、本件商標「無垢材挽き板化粧フロア」は、その登録査定時に、既に床材関係の取引者、需要者において、木製床材の品質を表すものとして理解されるにとどまるものというのが相当である。
したがって、本件商標「無垢材挽き板化粧フロア」は、その指定商品「木製床材」との関係よりすると、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というべきである。
3 まとめ
以上のとおりであるから、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号に違反して登録されたものである。

第4 商標権者の意見
前記第3の取消理由に対して、商標権者は、平成26年1月27日の意見書において要旨次のように反論し、証拠方法として乙1号証ないし乙10号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 甲第2号証ないし甲第27号証の事実認定の誤りについて
申立人の提出した甲第2号証ないし甲第27号証をみると、いずれの証拠も「無垢材」「挽き板」「化粧」「フロア」という本件商標の各構成の意味を示すものであって、一連一体に表示された「無垢材挽き板化粧フロア」の意味を示すものではない。
したがって、上記甲各号証は、指定商品「木製床材」について、本件商標が、取引上一般に使用されている事実を示す証拠ではない。
2 職権調査による事実認定の誤りについて
(1)本件商標「無垢材挽き板化粧フロア」が取引上一般に使用されている事実を示す証拠ではない。
ア 一連一体の「無垢材挽き板化粧フロア」の語の意味ではない。
前記第3の取消理由で示された「広辞苑」における記載並びに「フローリングの日本農林規格」、「住宅建築専門用語辞典」及び「全国フローリング技能協会」のウェブサイトにおける記載は、「単層フローリング」、「複合フローリング」、「化粧加工」、「天然木化粧」及び「特殊加工化粧」の語の説明であり、これら辞書やウェブサイトに「無垢材挽き板化粧フロア」の語は掲載されていない。また、このほかに職権調査により示されたものも、一連一体の「無垢材挽き板化粧フロア」の語の意味の説明ではない。
イ 商標権者の商品に関するものである。
同じく取消理由で示された「無垢材挽き板」、「無垢材の挽き板」、「化粧」及び「フロア」に関するインターネット情報などの事実において、「MAGASTORE」や「大阪ガス住設の家」のウェブサイト、及び雑誌「I‘m home」などに掲載されている情報は、商標権者の商品に関するもの、あるいは商標権者の商品を扱っている会社のものであって商標権者の商品を示している可能性が高い(乙2ないし乙4、乙6及び乙7)。
ウ これら記載からは、本件商標「無垢材挽き板化粧フロア」が、取引上一般に使用されている事実を示すものとはいえない。
(2)「無垢材を鋸で挽いた板(挽き板)」の意味合いが直接的かつ具体的に看取されない。
ア 「無垢材」の語は、「…そのまま製材品として利用する木材」を、「挽き板」の語は、「鋸で挽いた板」を、「化粧」の語は、「化粧加工」を、「フロア」の語は、「床、床材」をそれぞれ意味し、さらに「木製床材」は、「単層フローリング(無垢フローリング)」と「表面材(化粧材)及び基材から構成される複合フローリング」の2種類に分けられるが、「木製床材」の業界において、「挽き板」及び「無垢材」の語は、必ずしも床材の「材料」としての意味のみではなく、床材の「種類」を特定する意味でも使用されており、「挽き板」といえば「複合フローリング」を認識され、「無垢材」といえば「単層フローリング」を認識される実情がある(乙9)。
イ 「無垢材」及び「挽き板」が、床材の「材料」と「種類」を意味することからすれば、本件商標を指定商品「木製床材」に使用すると、「無垢材を鋸で挽いた板を化粧にした床材(複合フローリング)」の意味合いと「無垢材を鋸で挽いた板のみでできた床材(単層フローリング)」の意味が生ずる。
ウ このように、木製床材の品質(材料)を「間接的」に暗示させることはあっても、木製床材の品質(材料)を直接的、かつ、具体的に表示するものとして理解されることはないから、本件商標は、特定の観念を生じない一種の造語として、単層フローリングや複合フローリングに続く、「新しい床材カテゴリー」を表現したものと認識されるべきである。
したがって、本件商標は、「合板などの基材に無垢材の挽き板を貼って化粧加工した複合フローリング(床材)」の意味合いを容易に認識されることはない。
(3)商標権者が英知をかけて創造した「無垢材挽き板化粧フロア」について、労費をかけて大々的に広告し、周知をしたことにより、インターネット検索において商標権者の商品を示すサイトが多数ヒットするものである(乙10)が、これらをもって、直ちに取引上一般に使用されていると認定するのは納得し難い。
3 むすび
以上により、本件商標は、自他商品の識別標識としての機能を果たすものであり、商標法第3条第1項第3号に違反して登録されたものではない。

第5 当審の判断
1 本件商標の商標法第3条第1項第3号該当性について
本件商標についてした前記第3の取消理由は、妥当なものであって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に違反して登録されたものといわざるを得ない。
2 商標権者の意見について
商標権者は、申立人の提出した甲各号証や職権調査の結果においては、本件商標「無垢材挽き板化粧フロア」の語そのものの説明はされてはおらず、また、取消理由で示した職権調査は、商標権者の商品に関するものであるから、これらをもって、本件商標が、取引上一般に使用されているとはいえない旨、主張する。
しかしながら、前記第3の取消理由で示したとおり、本件商標構成中の「無垢材」の語は「接着剤で合成した集成材に対して、そのまま製材品として利用する木材」を、「挽き板」の語は「鋸で挽いた板」を、「化粧」の語は、「化粧加工」を、そして「フロア」の語は、「床、床材」を表すものとして、それぞれ、その指定商品「木製床材」を取り扱う業界においては一般に知られているものである。
そして、商標権者と取引関係にあるという「PanaHome」のパンフレットに、「03 床材」の見出しの下、「木質フロア(無垢材挽き板/銘木突板)」のタイトルの下に、商品の写真とともに、商品情報として「ライブナチュラルプレミアム(無垢材挽き板化粧フロア)(ワックス不要)表面に天然木2mm厚の無垢材挽き板を贅沢に使用した木質フロアです。」との記載があり、その下方には、「木質フロア(突板)」及び「木質フロア(化粧シート貼り)」のタイトルの下に、それぞれ商品の写真と商品情報が記載されている。
また、上記「無垢材挽き板化粧フロア」の文字は、床材(フロア)の表面が「突板」であることを表したものと認められる「銘木突板フロア」、「高意匠突板フロア」及び「突板フロア」の文字に相対した表示方法(表示位置)で示されていることからすれば、その床材(化粧フロア)の表面が無垢材の挽き板、すなわち「無垢材を鋸で挽いた板(挽き板)」を使用したものであることを表したと認識されるものである(乙5の2)。
以上よりすれば、本件商標を、その指定商品「木製床材」に使用した場合、これに接する取引者・需要者は、「合板などの基材に無垢材の挽き板を貼って化粧加工した複合フローリング(床材)」の意味合いを表すものと容易に理解し、床材の品質を認識するというのが相当であるから、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というべきである。
3 まとめ
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項により、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲
異議決定日 2014-03-31 
出願番号 商願2012-42493(T2012-42493) 
審決分類 T 1 651・ 13- Z (W19)
最終処分 取消  
前審関与審査官 須田 亮一 
特許庁審判長 野口 美代子
特許庁審判官 大森 健司
村上 照美
登録日 2013-04-26 
登録番号 商標登録第5578137号(T5578137) 
権利者 朝日ウッドテック株式会社
商標の称呼 ムクザイヒキイタケショーフロア、ムクザイヒキイタケショー 
代理人 鈴木 恵子 
代理人 高野 清 
代理人 清水 義仁 
代理人 平木 康男 
代理人 安田 徹夫 
代理人 平木 祐輔 
代理人 清水 久義 

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