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審決分類 審判 全部無効 称呼類似 無効としない X05
審判 全部無効 外観類似 無効としない X05
審判 全部無効 観念類似 無効としない X05
管理番号 1288798 
審判番号 無効2013-680002 
総通号数 175 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2014-07-25 
種別 無効の審決 
審判請求日 2013-04-22 
確定日 2014-03-26 
事件の表示 上記当事者間の国際登録第1038045号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件国際登録第1038045号商標(以下「本件商標」という。)は、「AVADERM」の欧文字を横書きしてなり、2009年6月12日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、2009年(平成21年)12月14日に国際商標登録出願、第3類「Cosmetics,skin care preparations,including skin lotions and creams;skin cleaners and sunscreens.」及び第5類「Drug delivery formulations.」の商品を指定商品として、平成22年9月13日に登録査定、平成23年2月4日に設定登録されたものである。
2 引用商標
請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録第4748138号商標(以下「引用商標」という。)は、「AVAGARD」の文字を標準文字で表して、平成13年8月1日に商標登録出願、第5類「外用滅菌用ローション状の薬剤,その他の薬剤」を指定商品として、平成16年2月20日に設定登録されたものである。
3 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
(1)本件商標と引用商標との比較
ア 外観上の類否
本件商標と引用商標はその前半部分の「AVA」及び後半部分の「R」を共通にしている。需要者は商標に基づいて商品の選択する際に冒頭部に注意を払うものであるため、この「AVA」が強く印象に残り記憶されるものである。そのため、本件商標と引用商標とを時と処を異にして離隔的に観察した場合、「R」を共通にしていることとあいまって、外観印象において近似するものといえる。
とりわけ、薬剤は人の生命・健康に重大な影響を与えるものであり、薬剤の取り違えによる医療事故が時として医療現場で起こるものである。この薬剤の取り違えによる医療事故の未然に防ぐために、薬剤に関する類似の範囲は広く解されなければならない。この点から、本件商標は引用商標と類似するものとなる。
以上述べた如く、本件商標は引用商標と外観において相紛れるおそれがある。
イ 称呼上の類否
本件商標と引用商標は、需要者の注意を惹くその前半部分の称呼「アバ」が共通している。また、後半部分も「ダーム」と「ガード」も長音「ー」を共通にし、「ダ」と「ガ」とは母音を共通にする近似の音である。このように、本件商標と引用商標とは共通点及び近似の点が多いので、両商標をそれぞれ一連に称呼した場合、両者は全体の語感・音調において近似し、彼此聞き誤るおそれがあるといわなければならない。
外観上の類否で述べたように、薬剤の取り違えによる医療事故の未然に防ぐために、薬剤に関する類似の範囲は広く解さなければならない。この点から、共通点及び近似の点が多い本件商標と引用商標とは類似のものとされなければならない。
以上述べた如く、本件商標は引用商標と称呼上も類似する。
ウ 商品の類似
引用商標の指定商品「外用滅菌用ローション状の薬剤,その他の薬剤」が本件商標の指定商品中「第5類 Drug delivery formulations」と同一又は類似することは明らかである。また、引用商標の指定商品中「皮膚に用いる薬剤」と本件商標の第3類の指定商品とは、実際には皮膚のケアという用途を共通にするものであって、今日ではドラッグストア等では同じ店舗で販売されることが多いものである。
したがって、引用商標の指定商品中「皮膚に用いる薬剤」と本件商標の第3類の指定商品とは類似するものといえる。
(2)まとめ
以上述べたことから明らかなように、本件商標の登録は商標法第4条第1項第11号に違反してされたものであって、その登録は商標法第46条第1項第1号により無効とされるべきである。
4 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べている。
(1)本件商標と引用商標との比較
本件商標と引用商標は、いずれも、7文字の大文字アルファベットからなるものであり、同じ書体、同じ大きさ、同じ間隔をもって外観上まとまりよく一体として看取し得るものである。さらに、本件商標より生じる「アバダーム」の称呼と引用商標より生じる「アバガード」の称呼も格別冗長ではなく全体を淀みなく一連で称呼しうるものである。すなわち、両商標はそれらの構成文字全体を以て一体不可分のものと識別し把握すべきものである。
してみれば、本件商標は、その構成文字に相応して、「アバダーム」の称呼を生じるものであり、特定の意味合いを有しない造語と認められる。
一方、引用商標は、その構成文字に相応して、「アバガード」の称呼を生じるものであり、特定の意味合いを有しない造語と認められる。
そこで、本件商標と引用商標の類否について検討すると、両商標は、前記のとおりの構成よりなるから、前半部における「AVA」を共通にするものの後半部における「DERM」と「GARD」との顕著な差異により、外観上相紛れるおそれはないものである。称呼においては、本件商標より生ずる「アバダーム」の称呼と引用商標より生ずる「アバガード」の称呼とを比較すると、前半部の「アバ」の音を共通にするものの、後半部の「ダーム」と「ガード」の音において明らかな差異を有するものであるが両称呼は共に5音により構成され比較的短い音構成からなり、その5音のうち2音が相違するものであるから、該差異音が両称呼の全体に及ぼす影響は大きいものといえ、それぞれを一連に称呼するときには、その音調、音感が異なり、両者は十分に聴別し得るものである。
さらに、観念においては、両者はいずれも特定の観念を生じないものであるから、比較することができない。
そうすると、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標である。
その他、本件商標と引用商標とが類似するものというべき理由は見あたらない。
なお、請求人は、「とりわけ、薬剤は人の生命・健康に重大な影響を与えるものであり、薬剤の取り違えによる医療事故が時として医療現場で起こるものである。この薬剤の取り違えによる医療事故を未然に防ぐために、薬剤に関する類似の範囲は広く解さなければならない。この点から、本件商標は引用商標と類似するものとなる。」と主張している。
しかし、商標審査基準は、「商標の類否の判断は、商標が使用される商品又は役務の主たる需要者層(例えば、専門家、老人、子供、婦人等の違い)その他商品又は役務の取引の実情を考慮し、需要者の通常有する注意力を基準として判断しなければならない。」と規定しているのであって、「薬剤に関する類似の範囲は広く解さなければならない」ことを商標の類否の判断の一般的な解釈として明示している訳ではない。
したがって、上記請求人の主張は何ら根拠がなく、理由が無い。
(2)本件商標の指定商品と引用商標の指定商品との比較
本件商標の指定商品中「skin lotions and creams.」と引用商標の指定商品「外用滅菌用ローション」は、いずれもドラッグストア等で販売されているとしても、両者は、販売コーナーを異にするものであり、それぞれの生産部門、販売部門、流通経路、原材料、品質及び用途を異にする非類似の商品である。
(3)まとめ
以上より、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではなく、商標法第46条第1項第1号により無効にされるべきものではない。
5 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 商標の類否について
本件商標は、「AVADERM」の文字を横書してなるところ、その構成文字に相応して、「アバダーム」の称呼を生じるものであり、特定の意味合いを有しない造語と認められるものである。
一方、引用商標は、「AVAGARD」の文字を表してなるところ、その構成文字に相応して、「アバガード」の称呼を生じるものであり、特定の意味合いを有しない造語と認められるものである。
そこで、本件商標と引用商標の類否について検討するに、両商標は、前記のとおりの構成よりなるから、前半部における「AVA」を共通にするものの、後半部における「DERM」と「GARD」との明確な差異により、外観上明らかに相違するものである。
また、称呼においては、本件商標より生ずる「アバダーム」の称呼と引用商標より生ずる「アバガード」の称呼とは、前半部の「アバ」の音を共通にするものの、後半部の「ダーム」と「ガード」の音において明らかな差異を有するものであって、かつ、両称呼は、共に5音により構成される比較的短い音構成からなり、その5音のうち2音が相違するものであるから、該差異音が両称呼の全体に及ぼす影響は小さいものとはいえず、それぞれを一連に称呼するときには、その音調、音感が異なり、両者は十分に聴別し得るものである。
さらに、観念においては、両者はいずれも特定の観念を生じないものであるから、比較することができない。
してみれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標ということができる。
その他、本件商標と引用商標とが類似するというべき理由は見あたらない。
なお、請求人は、薬剤は人の生命・健康に重大な影響を与えるものであり、薬剤の取り違えによる医療事故が時として医療現場で起こるものであって、この薬剤の取り違えによる医療事故の未然に防ぐために、薬剤に関する類似の範囲は広く解されるべきであるとし、本件商標は、引用商標と類似する旨、主張する。
しかしながら、薬剤の取り違えによる医療事故の未然に防ぐために、薬剤に関する類似の範囲を広く解されなければならないとする合理的根拠は見当たらず、また、薬剤の取り違えによる医療事故が時として医療現場で起こるものであるならなおさら、薬剤の取り違えのおそれを未然に防ぐために、実際の医療現場においても、商標の外観、称呼等を意識して、慎重に取引がなされるものであって、軽々には商品を取り違えることはないと考えられるし、ましてや、上記したとおり、両商標は、特に、外観上明らかに相違し、称呼上十分に聴別し得る非類似の商標といえるから、薬剤を取り違えることはないとみるのが相当である。
したがって、請求人の主張は、採用することができない。
イ 商品の類否について
本件商標の指定商品中、第5類「Drug delivery formulations.」は、引用商標の指定商品である第5類「外用滅菌用ローション状の薬剤,その他の薬剤」に包含されるものである。
なお、請求人は、引用商標の指定商品中「皮膚に用いる薬剤」と本件商標の第3類の指定商品とは実際には皮膚のケアという用途を共通にするものであり、ドラッグストア等の同じ場所で販売されるものであるから、それらの商品が類似するものである旨、主張する。
しかしながら、本件商標の指定商品中「skin lotions and creams.(参考訳:皮膚用のローション(化粧水))」と引用商標の指定商品中「外用滅菌用ローション(水薬)」は、いずれもドラッグストア等で販売されているとしても、両者は、販売コーナーを異にするものであり、それぞれの生産部門、販売部門、流通経路、原材料、品質及び用途を異にする非類似の商品である。
したがって、請求人の主張は、採用することができない。
ウ 小括
上記のとおり、本件商標は、引用商標と商標において類似するものではないから、たとえ、本件商標の指定商品中、第5類「Drug delivery formulations.」が、引用商標の指定商品に包含されるとしても、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。
(2)まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではないから、同法第46条第1項により、無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2013-10-24 
結審通知日 2013-10-30 
審決日 2013-11-19 
審決分類 T 1 11・ 262- Y (X05)
T 1 11・ 261- Y (X05)
T 1 11・ 263- Y (X05)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 吉澤 拓也佐藤 松江 
特許庁審判長 内山 進
特許庁審判官 井出 英一郎
小川 きみえ
登録日 2009-12-14 
商標の称呼 アバダーム、アバデルム 
代理人 三浦 邦夫 
代理人 田島 壽 
代理人 青木 篤 

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