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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 011 |
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管理番号 | 1288654 |
審判番号 | 取消2013-300575 |
総通号数 | 175 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2014-07-25 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2013-07-09 |
確定日 | 2014-05-12 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第3292910号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第3292910号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲に示すとおりの構成からなり、平成4年10月8日に登録出願、第11類「浴槽類,統一的に組み合わせて構成できるようにされた加熱器・調理台・流し台」を指定商品として、同9年4月25日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 なお、本件審判請求の登録日は、平成25年7月30日である。 第2 請求人の主張 請求人は、本件商標の指定商品中、第11類「浴槽類」についての登録を取消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁(口頭審理における陳述を含む。)を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。 1 請求の理由 本件商標は、その指定商品中、第11類「浴槽類」について継続して3年以上日本国内において使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取消されるべきものである。 2 弁駁の理由 (1)乙第1号証は、有限会社生沼印刷(以下「生沼印刷」という。)の代表取締役である生沼氏の捺印によって証明されたものであるが、本件審判の請求後に作成されたものであること、生沼氏と商標権者との関係が不明であること等の理由で、証拠としての信頼性が低く、本件商標の使用証拠として認めるべきものではない。 また、取消請求に係る商品は、第11類「浴槽類」であるが、名刺の裏面の「浴槽や水回りのこと、何でもご相談下さい」という文言は、商標法第2条第3項第1号、第2号、第8号に規定する商品についての標章の使用には該当しない。 乙第2号証、並びに商標権者のホームページ(甲3)の記載によれば、商標権者の事業は、「住宅リフォーム、メンテナンス及び材料卸業」であるため、乙第1号証の名刺は、当該事業に関するものである。 (2)乙第2号証は、前記生沼氏の捺印によって証明されたものであるが、本件取消審判請求後に作成されたものであること、生沼氏と商標権者との関係が不明であること等の理由で、証拠としての信頼性が低く、本件商標の使用証拠として認めるべきものではない。 また、乙第2号証のパンフレット(以下「本件パンフレット」という。)には、最上段の最も目立つ箇所に大きく「自分らしさを取り戻すヘルスケアー。ハイテクバスルーム。」と記載さていると共に、中段下に大きく「耐久性と保温性にすぐれた特別設計。わずか3?5日で仕上がります。」と記載され、その下に写真入りで、「施工前」、「解体」、「据付工事」及び「完成」の施工工程の写真が掲載されている。本件パンフレットは、その全体構成から見て、バスルームの施工サービスの広告であることは明らかである。また、本件パンフレットには、「浴槽類」自体が商標権者の商品であることを消費者が認識するのに必要な情報は一切記載されていない。 そのため、消費者は、本件パンフレットを見て、バスルームの施工サービスの広告であると認識しても、浴槽類等の商品に関するパンフレットであると認識することはない。 したがって、本件パンフレットは、役務「バスルームの施工」に関する広告であり、取消請求に係る商品「第11類 浴槽類」についての本件商標の使用に該当しない。 (3)乙第3号証の1には、商標「REMOTEX」が一番目立つ位置に大きく表示されており、「Remotech」の商標を表示するシールは、物品のサイズと比較して極めて小さく目立たないものであるから、当該浴槽の商標は「REMOTEX」であると認められる。 乙第3号証の2には、「浴槽1400一部を拡大して示す写真」との説明が付してあるが、撮影の角度を考えると、乙第3号証の1の写真の一部を拡大したものではなく、乙第3号証の1とは別にわざわざ撮影されたものである。したがって、乙第3号証の2は、明らかに、本件商標の使用証拠を得ることを目的として撮影されたものであり、在庫管理のために撮影されたものとは考えられない。 もし、不使用取消審判が請求される前に商標の使用証拠を準備するならば、より客観的な証拠となる得る方法で準備すると考えられるから、乙第3号証の2のような客観性を欠いた写真をわざわざ準備することは通常有り得ない。したがって、乙第3号証の2が不使用取消審判の請求前に撮影されたとする被請求人の主張には、大きな疑念を抱かざるをえない。 さらに、乙第3号証の1及び2は、被請求人が答弁書において述べているように在庫管理時に撮影された写真とすると、極めて不自然な点がある。現実の在庫であれば、複数の物品が場所を詰めて並べられているのが自然であるのに、この写真では、倉庫の如き場所のしかも中央に一台の物品のみが孤立した状態で配置されており、物品の配置スペースの無駄が非常に大きく、在庫品の管理状態として極めて不自然である。また、在庫管理のために、物品の隅に貼り付けられた小さなシールをわざわざ拡大して撮影する理由も不明であり、このような写真を各在庫について残すことは極めて不自然である。 以上を総合すると、乙第3号証の1及び2は、ねつ造されたものであることが強く推認されるから、証拠として採用されるべきものではない。また、これらの写真がねつ造されたものであるとすると、乙第1号証及び乙第2号証についても、同様にねつ造されたものであることが推認される。 被請求人は、陳述書において、平松氏が乙第3号証の写真を撮影した経緯について縷々説明しているが、それらの説明を考慮に入れても、誰が、何時、どこで、どのような目的で当該写真を撮影したかが客観的に証明されておらず、かつ、撮影されている浴槽が誰の所有のものであるかも客観的に証明されていない。そのため、当該写真は、株式会社リモデルが浴槽について本件商標を使用した客観的証拠とは認められない。被請求人が新たに提出した乙第14号証?乙第17号証の写真についても同様である。 乙第14号証?乙第17号証の写真に印字されている日付のフォントは、同一と認められるため、この日付は同一の手段によって付されたことが推認される。近時、写真の撮影はデジタルカメラによって行われることが普通になっており、その画像データの加工は種々のソフトウェアを用いて誰でも簡単に行うことが可能である。画像に印字される日付等は、誰でも簡単に追加、改変が可能である。 したがって、被請求人が提出した写真の日付のみをもって商標の使用の日時を示す客観的な証拠とするのは、著しく不適切である。 (4)乙第11号証の株式会社マルシン及び株式会社ストークキャピタルが発行する納品書及び請求書には、商品名として「Remotech浴槽1200ピンク」等が記載されているが、商標権者や使用権者が発行したものでないこれらの納品書及び請求書は、商標法第2条第3項に規定する商標の使用の証拠とは認められない。また、「Remotech浴槽1200ピンク」等の記載と、ロゴを含む本件商標とは明らかに社会通念上同一ではないから、これらの納品書及び請求書に本件商標は使用されていない。 (5)乙第18号証の1の工事請負契約書には、浴槽の販売がされているのであれば、記載するはずの商品の価格は、記載されていない。これは、浴槽も含めて工事請負という一つの役務としての請負であって、商品(浴槽)の販売がなされたことにはならない。 また、仮に、このような工事請負が浴槽の販売に当たるとしても、一つの請負契約に係る書証のみでは、実際に事実があったかについて客観的に示すものとはいえない。 (6)乙第19号証の1の杉山氏の陳述書は、おそらく被請求人が用意した書面に署名捺印されたものであるから、客観性に乏しい。そして、浴槽エプロンに刻印が入っていたことを陳述しているが、刻印が非常に目立たない部分にあるにもかかわらず、当初から刻印が入っていたことを陳述しているのは、不自然である。 (7)まとめ 以上述べたように、被請求人が提出した証拠は、いずれも本件商標を商品「浴槽類」に使用したことを客観的に証明できるものではない。 第3 被請求人の答弁 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由(口頭審理における陳述を含む。)を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第19号証(枝番を含む。ただし、以下、枝番のすべてを引用する場合は、その枝番の記載を省略する。)を提出した。 1 答弁の理由 被請求人は、その審判の請求の登録前3年以内に、商標権者が日本国内で、請求に係る「第11類 浴槽類」について登録商標を使用したことを証明する。 2 乙号証について (1)名刺(乙1)について 商標権者は、浴槽や水回りのことについて、部品や材料の卸売をはじめ、取り付けなども行う会社である。 乙第1号証には、いずれも佐原氏が代表である商標権者及びその関連会社である株式会社リモデルプランニング(以下「リモデルプランニング」という。)に係る佐原氏の名刺であり、それぞれの名刺の裏面の「浴槽や水回りのこと、なんでもご相談下さい」は、指定商品である第11類「浴槽類」の代表例である浴槽を明示し、登録商標の一つとして、本件商標が明示されている。 したがって、本件商標が、商品「浴槽」との関係で商標的な使用がなされ、その使用者は、商標権者である株式会社リモデルである。 この名刺は、平成22年11月20日に印刷会社から商標権者に納品されたものであり、その後も業務に関連して常時用いられている(乙1、乙5)。 したがって、当該名刺は、本件審判請求の登録日から3年以内の期間に使用されていることは確実である。 (2)本件パンフレット(乙2)について ア 乙第2号証は、ジェットバスである商品「リモテック365-F」の広告パンフレットである。 この広告主体、すなわち、使用者は、本件パンフレットの下部に記載される商標権者である。また、本件商標と同一の商標が、本件パンフレットの右上に記載され、しかも、浴槽商品である「リモテック365-F」の画像が、本件パンフレットの中段に載っている。 本件パンフレットは、平成23年9月20日に納品されたものであり、本件審判請求の登録日から3年以内の期間に使用されたものである(乙2、乙6)。 イ 乙第2号証における商品「リモテック365-F」本体の写真には、本件商標が明示されている。「リモテック365-F」は、ジェットバス機能をもつ浴槽であり、類似商品・役務審査基準における浴槽類(類似区分:19B57)の例示商品「気泡発生装置付き浴槽」に該当する。 ウ 本件パンフレットは、実際の取引に際して、三つ折りにして(つまり、「自分らしさを取り戻すヘルスケアー。ハイテクバスルーム。」の上段部と。「リモテック365-F。快適さ・環境への優しさを追求しました。」の中段部と、「耐久性と保温性にすぐれた特別設計。わずか3?5日で仕上がります。」の下段部の三つ折りにして)、客に説明する資料の一つとして使用するものである。 この商品説明あるいは広告用のパンフレットは、浴室部分のいわゆるリフォーム工事(下段部)、ユニットバス(上段部)だけでなく、商品であるジェットバス機能付き浴槽(中段部)の広告をも兼ねている。特に、中段部の商品「ジェットバス機能付き浴槽」は、推奨商品の一つであり、「リモテック365-F本体」の表面の本件商標を示しながら、「ジェットバス機能付き」を広告宣伝する。 したがって、本件パンフレットは、まさに、商標法第2条第3項第8号が規定する行為を実行するものに他ならない。 (3)乙第3号証の写真について 乙第3号証の1は、在庫管理時に撮影した写真であり、包装状態の浴槽の一製品である「浴槽1400」の全体を示している。また、乙第3号証の2は、その「浴槽1400」の一部を拡大して示す写真であり、包装の表面に、本件商標と同じラベルが付されている。 写真の撮影日は、平成24年4月27日であり、本件審判請求の登録日から3年以内の期間内の事実を示す。 したがって、乙第3号証は、指定商品中、第11類「浴槽類」に入る「浴槽1400」に対し、本件審判請求の登録の日から3年以内の期間内に、本件商標が商標的に使用されていることを示す。 (4)乙第7号証?乙第10号証は、商標権者と、実際の商標使用者であるリモデルプランニングとの間に、商標権者の登録商標の使用をも認め合っていたことを示す。すなわち、リモデルプランニングが通常使用権者であることを示す。その点、特に、両者の住所および代表者が共通していることからも、リモデルプランニングが商標権者の本件商標を含む登録商標を使用し得る通常使用権者(少なくとも黙示の通常実施権を有する者)であることを強く裏付けている。 (5)乙第11号証?乙第13号証は、浴槽およびその関係部品の仕入先の一つとの継続的な取引関係書類であり、被請求人が浴槽類について、本件商標を使用する必然性が継続していることを示す。特に、本件商標の表示がある乙第13号証の図面は、商標権者との間だけでなく、通常使用権をもつリモデルプランニング及び浴槽類の購入者にも、Remotech浴槽であることを理解させるものである。 (6)乙第14号証?乙第17号証の写真について 乙第14号証は、浴槽エプロンの取っ手部分の写真である。その取っ手部分は、浴槽エプロンの他の部分における商標表記とは別の表記である。 乙第15号証は、包装形態の浴槽エプロンの写真であり、浴槽エプロンの包装に本件商標が表示されている。 乙第16号証は、浴槽エプロンの包装用段ボール表面の識別シールであり、ここにも本件商標が表示されている。 乙第17号証は、浴槽エプロンの右下部分の写真であり、識別のマークとして、本件商標が表示されている。 (7)乙第18号証及び乙第19号証について ア Remotech浴槽には、その浴槽エプロンの取っ手部分に、本件商標と社会通念上同一のマークが刻印されている。 そのことを、審判請求の登録日前3年以内における実際の取引例の一つ(乙18)を通して、客の陳述書(乙19の1)及び納入浴槽の写真(乙19の2?5)によって立証する。 イ また、乙第19号証の2?5におけるRemotech浴槽の取引は、平成23年2月である。それに対し、乙第14号証の写真にある撮影日は、2013年(平成25年)5月9日であり、Remotech浴槽のエプロンの取っ手部分には、継続的に、本件登録商標と社会通念上同一のマークが刻印されている。 したがって、乙第18号証及び乙第19号証による立証は、乙第14号証の写真の撮影日が正しいこと駄目押ししている。 ウ 以上による刻印は、商標法第2条第3項第1号に規定する使用に該当し、さらには、実際の取引を通して、同項第2号に規定する使用に該当する。 3 浴槽の取引事情 第11類の商品「浴槽」には、第37類の「据え付け工事」が必ず伴うものである。そのため、そのような取引事情を考慮するならば、乙第1号証の名刺や乙第2号証のパンフレットにおけるマークは、「浴槽」の識別と「据え付け工事」の識別との両方の識別機能を備えていると解するのが妥当である。 4 まとめ 以上のように、本件商標は、審判請求の登録前3年以内に、「第11類 浴槽類」の代表例である「浴槽」について、商標権者により使用された事実がある。 第4 当審の判断 1 被請求人が提出した証拠について (1)乙第2号証は、本件パンフレット及び生沼印刷の代表取締役によるパンフレット作成に係る証明書である。本件パンフレットの上段には、「自分らしさを取り戻すヘルスケアー。ハイテクバスルーム。」の見出しがあり、その右下に、色彩の施された本件商標と同じ構成からなる商標(以下「使用商標1」という。)が表示されている。 中段には、「リモテック365-F。快適さ・環境への優しさを追求しました。」の見出しがあり、「リモテック/365-F/本体」の記載とその浴槽の写真が掲載されている。 下段には、「耐久性と保温性にすぐれた特別設計。わずか3?5日で仕上がります。」の見出しがあり、「施行前」、「解体」、「据付工事」、「完成」として工事の説明がされ、「据付工事」の説明に「さらに天井、タイル、床板、浴槽等、防水効果の高い素材を使用するため、耐久性は抜群です。」の記載があり、「完成」の説明に「天井、タイル壁、床板、浴槽等、各パーツは、すべて工場生産して搬入するため、工期も大幅に短縮。」の記載がある。 最下段には、商標権者の名称及び住所が記載されている。 (2)乙第6号証の1?4は、「リモテック365F(パンフレット)1000枚」、「ロゴラベル 500枚」に係る、商標権者から生沼印刷に宛てた平成23年9月2日付け発注書(写し)、生沼印刷から商標権者に宛てた平成23年9月20日納品書(写し)、同平成23年9月20日付けの請求書(写し)であり、当該請求書には、請求金額について「141750」の記載があり、「23.9.30」の日付けが押印されている。また、乙第6号証の4は、商標権者名義の湘南信用金庫の普通預金通帳(写し)であり、平成23年9月30日に振込払「141330円」、振込手数料「420円」が「お支払金額」として記載されている。 (3)乙第18号証の1は、商標権者と神奈川県小田原市在の杉山氏との間の契約日を「平成23年2月2日」とする「工事請負契約書」(写し)であり、「工事名称」等に「浴槽交換工事(1、300)1台」、「工事予定期間」に「23年2月中旬」、「契約総額」に「336,000円」の記載がある。 乙第18号証の3は、「Remotech浴槽交換工事一式」について、施工条件通り完工引渡しされたことを確認する「施工完了書」であり、平成23年2月15日付けで杉山氏の署名、捺印がされたものである。 乙第18号証の5は、商標権者名義の預金通帳(写し)であり、平成23年2月17日に336,000円の入金が記載されている。 乙第19号証の5は、平成26年3月7日に撮影されたものと認められる浴槽エプロンの取っ手部分の写真であり、その取っ手部分には、本件商標が刻印されている。乙第19号証の1は、同日付けの杉山氏による書面であり、平成23年2月15日に納入され、取り付けられた浴槽エプロンの拡大写真(乙19の5)には、その写真が示すとおり、取っ手部分に刻印がされていることについて、杉山氏が証明するものである。 2 事実認定及び判断 (1)上記1(1)及び(2)によれば、以下の事実が認められる。 ア 商標権者は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標が使用されている本件パンフレットを平成23年9月20日に1000枚作成したことが認められ、作成後頒布されたものと推認できる。そして、本件パンフレットは、断続保温機能及びジェットバス機能を備えた機器と浴槽の説明とその設置、施工についての説明がなされているものであるから、上記商標が浴槽についても使用されているものと認められる。 してみれば、商標権者は、本件審判の請求の登録前3年以内である平成24年9月20日頃から、日本国内において、その請求に係る指定商品の範ちゅうに含まれる商品「浴槽」の広告に本件商標を付して頒布したものと認められる。 係る行為は、「商品…に関する広告…に標章を付して…頒布…する行為」(商標法第2条第3項第8号)に該当するものである。 イ 請求人は、「本件パンフレットは、役務「バスルームの施工」に関する広告であり、取消請求に係る商品「第11類 浴槽類」についての本件商標の使用に該当しない」と主張している。 しかしながら、浴槽のようにその設置に相当の工事を伴う場合は、浴槽の販売と工事を一式に請け負うことは不自然ではない。そして、本件パンフレットは、前記のとおり、断続保温機能及びジェットバス機能を備えた機器と浴槽の特徴を大きく取り上げた内容であり、更にパンフレット中には「・・・浴槽等・・・すべて工場生産して搬入する」などの説明があることからすると、本件パンフレットは、浴槽の販売とその工事に関するパンフレットと見るのが相当である。 したがって、請求人の上記主張は採用できない。 (2)上記1(3)によれば、以下の事実が認められる。 ア 商標権者は、本件商標が浴槽エプロンに刻印された浴槽交換工事の契約を平成23年2月2日に行い、同月15日にその交換工事を行ったことが認められる。そして、当該浴槽交換工事代金には、浴槽の代金を含むものと認められるから、上記日時に本件商標が付された浴槽を販売したものと推認できる。 してみれば、商標権者は、本件審判の請求の登録前3年以内である平成23年2月15日に、日本国内において、その請求に係る指定商品の範ちゅうに含まれる商品「浴槽」本件商標を付して販売したものと認められる。 係る行為は、「商品に・・・標章を付したものを譲渡・・・する行為」(商標法第2条第3項第2号)に該当するものである。 イ 請求人は、「乙第18号証の1の工事請負契約書には、浴槽の販売がされているのであれば、記載するはずの商品の価格は、記載されていない。これは、浴槽も含めて工事請負という一つの役務としての請負であって、商品(浴槽)の販売がなされたことにはならない」と主張している。 しかしながら、前記(1)イのとおり、浴槽のようにその設置に相当の工事を伴う場合は、浴槽の販売と工事を一式に請け負うことは不自然ではない。そして、上記工事請負契約書は、請負内容について「浴槽交換工事(1,300)1台」と記載され、サイズが1,300(mm)の浴槽を交換(設置)することを目的としたものであることが明らかであるから、上記工事請負書において、浴槽代金が明確に記載されていないとしても、浴槽の販売を伴う契約書とみるべきである。 また、請求人は、「一つの請負契約に係る書証のみでは、実際に事実があったかについて客観的に示すものとはいえない」と主張しているが、上記工事請負契約書に何ら不自然な点はなく、加えて、当該工事に係る「施工完了書」(乙18の3)、工事代金の入金の事実(乙18の5)及び当該工事の施主の証明書(乙19の1)等によれば、平成23年2月15日に浴槽の販売を含む交換工事が行われたことを優に認め得るものである。 したがって、上記請求人の主張はいずれも採用できない。 3 まとめ 以上によれば、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が、請求に係る指定商品中の「浴槽」ついて、本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標を使用していたことを証明したものと認めることができる。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その請求に係る指定商品についての登録を取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲(本件商標) |
審決日 | 2014-03-31 |
出願番号 | 商願平4-296977 |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Y
(011)
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最終処分 | 不成立 |
特許庁審判長 |
内山 進 |
特許庁審判官 |
井出 英一郎 内藤 順子 |
登録日 | 1997-04-25 |
登録番号 | 商標登録第3292910号(T3292910) |
商標の称呼 | リモテック |
代理人 | 松下 昌弘 |
代理人 | 保科 敏夫 |