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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W41 審判 全部申立て 登録を維持 W41 審判 全部申立て 登録を維持 W41 審判 全部申立て 登録を維持 W41 |
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管理番号 | 1287667 |
異議申立番号 | 異議2013-900195 |
総通号数 | 174 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2014-06-27 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2013-06-14 |
確定日 | 2014-05-02 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5565419号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5565419号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5565419号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成24年10月4日に登録出願、第41類「宇宙空間の映像を移動式の全球型ドームスクリーンに映し出し、このドーム内に観客が入り、宇宙空間を体感できる施設の提供」を指定役務として、同25年2月27日に登録査定、同年3月15日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する国際登録第864925号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、2005年7月7日にEuropian Unionにおいてした商標登録出願に基づくパリ条約第4条による優先権を主張して、2005年(平成17年)9月14日に国際商標登録出願、第41類「Discotheque services, performance and production of shows and parties. 」を指定役務として、平成19年3月13日に登録査定、同年5月18日に設定登録されたものである 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、登録異議の申立ての理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出するとともに、資料1ないし資料17を提出している。 (1)引用商標の著名性について 申立人は、1989年にスペインのイビサ島で始まった人気のダンスクラブであって、「スペース」の名称の下、世界で最も著名なクラブとして知られており、毎年5月から10月までのイビサ島のシーズン中には、世界中から60万人以上の人々が訪れる。 また、申立人は、2009年以降、日本を含む世界各所で定期的にイベントを開催しており、その開催数は、2009年に86か所、2010年に108か所、2011年に111か所に及ぶ。 さらに、申立人は、2010年には世界のベストクラブに選ばれ、2011年には英国の高名なクラブ雑誌「DJ MAG」で世界のトップ100中第1位に輝くなど、クラブ史上最も多くの賞を獲得してきた。 加えて、申立人に関する情報は、インターネット上でも数多く検出される。 以上のとおり、「スペース」は、申立人のエンターテイメントを示す商標として、少なくともショービジネスなど娯楽関連ビジネスの需要者及び取引者の間で、広く知られている。また、「スペース」の周知性に加え、申立人は、本件商標の登録出願日前には、クラブ業のかたわら、世界各国でイベントなどを主催していたことなどからすると、引用商標の要部と認められる「space」は、本件商標の登録出願日前には、その指定役務に係る業界及びこれに関連する業界においてよく知られていたというべきであり、その知名度は、本件商標の登録査定の時点まで継続していた(資料1ないし資料14)。 (2)商標法第4条第1項第11号該当性について ア 本件商標 本件商標は、太枠の円の中に、「The Real Experience」及び「Trip to Space」の各文字のほか、星空を模した図形と地球を模した図形があり、当該地球を模した図形の中央に「SPACE BALL」の文字を配してなるものであるところ、当該「SPACE BALL」の文字は、本件商標の中央に太字で大きく表されているため、強い印象を与えるものであって、当該文字部分が出所識別機能を有する特徴ある部分というべきである。そして、当該文字部分の「SPACE」の文字と「BALL」の文字との間には、1文字分程度の空白があるところ、その構成全体として特定の意味合いを看取させるなど、「SPACE」の文字と「BALL」の文字とが常に一体不可分のものとしてのみ観察されるとすべき特段の事情は認められない。 そうすると、上記「SPACE BALL」の文字部分中、最も看者の目を惹く語頭の「SPACE」の文字をもって取引に資される場合もあることは、経験則の教えるところであり、よって、本件商標は、「ザリアルスペースエクスペリエンス」、「トリップトゥースペース」、「スペースボール」の称呼を生じるほか、「スペース」の称呼が生じ得る。 イ 引用商標 引用商標は、「space」の文字と、その左下段に「DANCE」の文字及び背景に数種の図形を伴って表されるものであるところ、当該「space」の文字が中央に大きく配されているため、強い印象を与えるものであって、当該文字部分が出所識別機能を有する特徴ある部分というべきであり、これより、「スペース」の称呼を生じる。 ウ 本件商標と引用商標との類否 (ア)本件商標の構成中の「SPACE」の文字部分から生じる「スペース」の称呼が引用商標から生じる「スペース」の称呼と同一であるため、両商標は、「スペース」の称呼を同じくする類似の商標といわざるを得ない。 (イ)本件商標は、その構成中、最も看者の目を惹く「SPACE」の文字をもって取引される場合もあるものであり、これは、引用商標の出所識別機能を有する特徴ある「space」の文字部分と同一であるから、両商標は、外観上、紛らわしく、需要者に同様の印象を与えるものである。 (ウ)本件商標は、その構成中、最も看者の目を惹く「SPACE」の文字をもって取引に資される場合も多く、当該文字からは「空間、宇宙、場所」等の観念が生じるところ、これは、引用商標の出所識別機能を有する特徴ある「space」の文字部分から生じる観念と同一であるから、両商標は、観念上、紛らわしく、需要者に同様の印象を与えるものである。 (エ)本件商標の指定役務は、前記1において記載のとおりであるところ、これは、「娯楽施設の提供(類似群コード:41K01)」に区分されるべき役務であって、引用商標の指定役務中の「discotheque services(ディスコの提供)」と類似する役務である。 エ 小括 本件商標と引用商標とは、上述のとおり、商標の外観、称呼及び観念において類似し、かつ、指定役務も類似するものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 (3)商標法第4条第1項第15号該当性について 申立人は、上記(1)において述べたとおり、世界的に一世を風靡したダンスクラブであり、娯楽関連事業分野において、一定の名声を獲得しているところ、本件商標の指定役務は、申立人が関わる娯楽関連事業分野と一致するものであるため、引用商標と類似する本件商標がその指定役務に使用された場合、これに接する需要者は、申立人の業務に係る役務と出所の混同を生ずるおそれがある。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 (4)結語 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反してされたものであるから、取り消されるべきものである。 4 当審の判断 (1)商標法第4条第1項第11号該当性について ア 本件商標 本件商標は、別掲1に示すとおりの構成態様からなるものであるところ、その構成中の図形部分は、いずれも特定の称呼及び観念を生ずるとはいい難く、また、その構成中の「The Real Experience」及び「Trip to Space」の各文字部分は、「真に迫る体験」及び「宇宙旅行」程の意味合いを容易に想起させるものであって、本件商標の指定役務との関係においては、看者をして、役務の質を表したものと認識され得るものである。そして、本件商標の構成中、中央に位置する「SPACE BALL」の文字は、同じ書体及び大きさをもって、視覚上、一体的にまとまりあるものとして看取、把握されるものであり、当該「SPACE BALL」の文字に相応して生ずる「スペースボール」の称呼も、よどみなく一連に称呼し得るものである。 そうとすると、本件商標は、その構成中の「SPACE BALL」の文字部分から「スペースボール」の一連の称呼のみを生ずるものであり、また、当該「SPACE BALL」の文字自体は、特定の語義を有する成語とは認められないから、これよりは、特定の観念を生ずることはない。 なお、申立人は、本件商標は、その構成中、最も看者の目を惹く「SPACE」の文字をもって取引に資される場合もある旨主張するが、上記構成態様からなる本件商標にあっては、その構成中の「SPACE BALL」の文字部分について看者の注意が惹かれるとはいい得るものの、これをさらに「SPACE」の文字と「BALL」の文字とに分離し、当該「SPACE」の文字部分のみが看者に強い印象を与えるとみるべき特段の事情は見当たらないから、上記申立人の主張を採用することはできない。 イ 引用商標 引用商標は、別掲2に示すとおりの構成態様からなるものであるところ、その構成中の図形部分は、いずれも特定の称呼及び観念を生ずるとはいい難く、また、その構成中の「DANCE」の文字部分は、「西洋式の踊り」程の意味合いを容易に想起させるものであって、引用商標の指定役務との関係においては、看者をして、役務の質を表したものと認識され得るものである。そして、引用商標の略中央に位置する「space」の文字は、縦長の特徴ある書体をもって顕著に表されていることから、看者の注意を強く惹くものといえる。 そうとすると、引用商標は、その構成中の「space」の文字部分に相応して、「スペース」の称呼及び「空間、場所」の観念を生ずるものである。 ウ 本件商標と引用商標との類否 本件商標と引用商標とは、それぞれ別掲1及び別掲2に示すとおりの構成態様からなるものであるところ、両商標は、外観において顕著な差異を有するものであるから、互いに見誤るおそれはない。 また、本件商標は「スペースボール」の称呼を生ずるものであるのに対し、引用商標は「スペース」の称呼を生ずるものであるところ、両称呼は、「スペース」の音を共通にするとしても、「ボール」の音の有無という明らかな差異があるから、それぞれを一連に称呼しても、語感、語調が相違し、互いに聴き誤るおそれはない。 さらに、本件商標は特定の観念を生ずることのないものであるのに対し、引用商標は「空間、場所」の観念を生ずるものであるから、両商標は、観念において相紛れるおそれはない。 してみれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標である。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。 (2)商標法第4条第1項第15号該当性について 申立人の主張する本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当するという理由は、要するに、引用商標の要部と認められる「space」が、本件商標の登録出願日前において、申立人のダンスクラブを示すものとして、その指定役務に係る業界及びこれに関連する業界においてよく知られており、かつ、その知名度は本件商標の登録査定時においても継続していたことから、引用商標と類似する本件商標がその指定役務に使用された場合、これに接する需要者は、申立人の業務に係る役務と出所の混同を生ずるおそれがあるというものと解される。 そこで、申立人の主張並びに同人の提出に係る証拠方法及び資料についてみるに、資料1ないし資料4及び資料13は、ダンスクラブである申立人のパンフレットのほか、同人に係るショーの概要、受賞一覧及び社会活動に関する情報とされるものであるところ、これら各資料の最上部には、「SPACE IBIZA 2012」の表示があり、また、当該資料には、引用商標の構成中にある縦長の特徴ある書体をもって顕著に表されている「space」の文字に酷似する文字とゴシック体で小さく表された「IBIZA」の文字とを二段に表してなる標章の表示があることから、2012年(平成24年)頃の情報であって、引用商標の構成中にある「space」の文字に酷似する文字が用いられていることはうかがえるものの、その内容はすべて英語で表示されている上、申立人の主張するところによっても、その内容のほとんどがスペインのイビサ島に所在する申立人が同島において行っている活動等を紹介するにとどまるものである。 また、資料5ないし資料12は、我が国における申立人開催のイベントに関する情報(チラシを含む。)とされるものであるところ、これらによれば、申立人に関連あるイベントが2011年(平成23年)の1月及び3月、2012年(平成24年)1月及び2013年(平成25年)6月に我が国において開催されたことはうかがえるものの、当該イベントに係る引用商標ないしその構成中の「space」の文字の使用についての具体的内容(商標の使用態様、使用期間及び使用地域、広告宣伝の方法及び回数等)は明らかでない。 さらに、資料14は、検索エンジン「Google」を用いて「スペースイビサ」の語を検索した結果とされるものであるところ、これは、検索対象である「スペースイビサ」の語を含むインターネット上の情報を示すにとどまるものであり、そのすべてが引用商標ないしその構成中の「space」の文字に係る情報に当たるものとはいえない。 その他、申立人の提出に係る証拠方法及び資料を総合してみても、引用商標ないしその構成中の「space」の文字が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人のダンスクラブを表示するものとして、我が国の需要者の間で広く認識されていたと認めるに足る事実は見いだせない。 そうすると、引用商標ないしその構成中の「space」の文字は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人のダンスクラブを表示するものとして、我が国の需要者の間で広く認識されていたとは認められない。 そして、本件商標と引用商標とは、上記(1)のとおり、互いに紛れるおそれのない非類似の商標であって、十分に区別し得る商標といえるものであり、ほかに役務の出所について混同を生ずるおそれがあるとすべき特段の事情も見いだし得ない。 してみれば、本件商標をその指定役務について使用しても、これに接する需要者は、これが申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように連想、想起することはなく、その役務の出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。 (3)むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲 1 本件商標 ![]() (色彩については、原本参照のこと。) 2 引用商標(国際登録第864925号商標) ![]() (色彩については、原本参照のこと。) |
異議決定日 | 2014-04-22 |
出願番号 | 商願2012-80427(T2012-80427) |
審決分類 |
T
1
651・
271-
Y
(W41)
T 1 651・ 261- Y (W41) T 1 651・ 263- Y (W41) T 1 651・ 262- Y (W41) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 大渕 敏雄 |
特許庁審判長 |
林 栄二 |
特許庁審判官 |
田中 敬規 梶原 良子 |
登録日 | 2013-03-15 |
登録番号 | 商標登録第5565419号(T5565419) |
権利者 | 株式会社テレビ東京 |
商標の称呼 | ザリアルエクスペリエンストリップトゥースペース、リアルエクスペリエンストリップトゥースペース、ザリアルエクスペリエンス、リアルエクスペリエンス、トリップトゥースペース、スペースボール |
代理人 | 鮫島 睦 |
代理人 | 佐々木 美紀 |
代理人 | 寺田 花子 |
代理人 | 勝見 元博 |
代理人 | 大橋 弘 |
代理人 | 田中 光雄 |