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審判番号(事件番号) データベース 権利
異議2013900068 審決 商標
異議2013900046 審決 商標

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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W33
審判 全部申立て  登録を維持 W33
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審判 全部申立て  登録を維持 W33
管理番号 1287659 
異議申立番号 異議2013-685009 
総通号数 174 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2014-06-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2013-05-07 
確定日 2013-11-05 
異議申立件数
事件の表示 国際登録第1118868号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 国際登録第1118868号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、2012年5月25日にFraneeにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、2012年(平成24年)5月29日に国際商標登録出願され、第33類「Wine.」を指定商品として、平成24年12月10日に登録査定、同25年2月15日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第11号に反して登録がなされたものであるから、その登録は取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べている。
(1)引用商標
ア 登録第4504237号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、平成12年4月7日に登録出願、第33類「イタリア産のぶどう酒」を指定商品として、同13年9月7日に設定登録され、その後、同23年3月22日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
イ 国際登録第902976号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲3のとおりの構成よりなり、2006(平成18)年5月5日に国際商標登録出願、第33類「ltalian wines.」を指定商品として、平成20年6月13日に設定登録されたものである。
なお、これらをまとめていうときは、以下「引用商標」という。
(2)ワインについて世界的に著名な黒い雄鶏の図柄の商標について
申立人である「Consorzio vino Chianti-C1assico」は、イタリアの最高級ワインであるDOCG(統制保障原産地呼称)に認定されたキャンティ・クラシコの品質を管理する団体であり、黒鶏の図柄は、所定の基準を満たしてキャンティ・クラシコと認められたワインのみが付すことのできる図柄として世界的に著名な商標である。イタリア国のワインの中でも抜群の知名度を誇るキャンティワインは、300年もの長い歴史を誇るワインのブランドとして知られている。
20世紀に入り海外でキャンティワインが大人気になり、我が国にも多くのキャンティワインが輸入されるようになった。しかし、キャンティ以外の地域で大量生産で作られた粗悪なキャンティワインが出回るようになったため、1924年にキャンティ地域(現在のキャンティクラシコ地域)の生産者が協会を作り、その他の生産者と区別するために「キャンティ・クラシコ」を名乗り、「黒い雄鶏(ガッロネロ)」の図柄を品質保証の印として用いるようになった。
1924年から現在に至るまで、「黒い雄鶏(ガッロネロ)」は、一定の基準を満たしたキャンティ・クラシコワインのみが付すことができる商標として一貫して使用されており、我が国は勿論、世界中で、ワインについて「黒い雄鶏」の図柄といえばキャンティ・クラシコを表すものとして著名である。
甲第4号証?甲第9号証に示すように、「黒い雄鶏」の図柄が付されたキャンティ・クラシコワインは、古くから我が国にも輸入されており、「黒い雄鶏」の図柄は、キャンティ・クラシコワインを表す商標として著名なものになっている。
(3)商標法第4条第1項第10号違反について
ワインについて黒い雄鶏の図柄は、申立人が管理する、イタリアの最高級ワインであるDOCG(統制保障原産地呼称)に認定されたキャンティ・クラシコを表す商標として我が国は勿論のこと、世界中で著名であり、よって、ワインに黒い雄鶏の図柄が付されると、取引者、需要者において、恰も、キャンティ・クラシコの関連商品であると誤認混同が生じることは明らかである。
本件商標は、「1e C1ocher」の欧文字の下に、矢の上に乗った横向きの黒い雄鶏の図柄を配置してなる文字と図形との結合商標であり、一見して中心に大きく描かれた「横向きの黒い雄鶏の図柄」が強く印象に残る商標である。
よって、細部において異なる部分かあったとしても、需要者、取引者は、本件商標を見た時に「黒い雄鶏」の印象を強く受け、「黒い雄鶏」の図柄からワインについて著名なキャンティ・クラシコを想起するため、本件商標は、申立人が管理するキャンティ・クラシコワインを表す図柄として世界的に著名な黒い雄鶏の商標と観念が同一である。
また、本件商標は、「1e C1ocher」の欧文字を含むものの、この欧文字は、フランス語であり、その発音及び意味を一見して理解できる取引者、需要者はそれ程多くなく、これに対して中心に大きく描かれている図柄は一見して誰でも「黒い雄鶏」であると理解することができる。このため、殆どの取引者、需要者は、本件商標が付された商品を口頭で説明する時に、強く印象に残る図柄を用いて「黒い雄鶏の図柄が付されたワイン」であると説明すると考えられる。
よって、本件商標からは、その「黒い雄鶏」の図柄の部分から「クロイユウケイ」又は「クロイオンドリ」の称呼が生じる。
これに対して、申立人が管理するキャンティ・クラシコワインを表す図柄として世界的に著名な黒い雄鶏の商標からも同様に「クロイユウケイ」又は「クロイオンドリ」の称呼が生じるため、両商標は称呼が同一である。
上記のとおり、本件商標は、申立人が管理するキャンティ・クラシコワインを表す図柄として世界的に著名な黒い雄鶏の商標と観念及び称呼が同一の類似商標であるため、これを、その商品「ワイン」に使用すると、キャンティ・クラシコワインそのものであると、又は、恰も、キャンティ・クラシコの関連商品であると誤認混同が生じることは明らかであるため、本件商標は、商標法第4条第工項第10号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第11号違反について
本件商標と引用商標の指定商品について比較すると、本件商標における「Wines」と、引用商標に係る「イタリア産のぶどう酒」及び「Ita1ian wines」とは、共に同一の類似群コード28A02が付される同一又は類似の商品である。
また、本件商標の図案と、引用商標に表示された図案は、共に横向きの黒い雄鶏からなる。
そして、本件商標は、「1e C1ocher」の欧文字を含むものの、この欧文字は、フランス語であり、その発音及び意味を一見して理解できる取引者、需要者はそれ程多くなく、これに対して中心に大きく描かれている図柄は一見して誰でも「黒い雄鶏」であると理解することができる。
よって、本件商標からは、「黒い雄鶏」が申立人が管理するキャンティ・クラシコワインを表す図柄として世界的に著名であることも相まって、「黒い雄鶏」及び「キャンティ・クラシコワイン」の観念が生じる。
また、本件商標は、「1e C1ocher」の欧文字を含むものの、この欧文字は、フランス語であり、その発音及び意味を一見して理解できる取引者、需要者はそれ程多くなく、これに対して中心に大きく描かれている図柄は一見して誰でも「黒い雄鶏」であると理解することができる。このため、殆どの取引者、需要者は、本件商標が付された商品を口頭で説明する時に、強く印象に残る図柄を用いて「黒い雄鶏の図柄が付されたワイン」であると説明すると考える。よって、本件商標からは、その「黒い雄鶏」の図柄の部分から「クロイユウケイ」又は「クロイオンドリ」の称呼が生じる。
これに対して、引用商標は、申立人が管理するキャンティ・クラシコワインを表す図柄として世界的に著名な商標そのものであるため、「黒い雄鶏」及び「キャンティ・クラシコワイン」の観念が生じ、我が国においては、その「黒い雄鶏」の図柄から「クロイユウケイ」又は「クロイオンドリ」の称呼が生じる。
上記のとおり、本件商標と引用商標は、その観念及び称呼が同一の類似商標であるため、本件商標は、商標法第4条第1項第工1号に該当する。
3 当審の判断
(1)「黒い雄鶏」の図柄の周知性について
申立人は、「ワインについて黒い雄鶏の図柄は、申立人が管理する、イタリアの最高級ワインであるDOCG(統制保障原産地呼称)に認定されたキャンティ・クラシコを表す商標として我が国は勿論のこと、世界中で著名である」旨の主張をしているところ、ワインについて使用される「黒い雄鶏」の図柄は、甲第4号証ないし甲第9号証の「世界の名酒辞典(講談社)」に掲載された「キアンティ・クラッシコ」のワインに係るボトルのラベルに表示されているものであり、引用商標2(別掲3)の構成申の黒い鶏の図形(以下、この図形を「黒い雄鶏(図)」または「使用商標」という。)と認められるものである。
そして、申立人の提出に係る甲各号証によれば、「黒い雄鶏(図)」は、上記名酒辞典(1997年版、2006年版、2008年版?2012年版)に掲載の「キアンティ・クラッシコ」のボトルのラベルに表示されているほか、インターネット情報においては、「キャンティ・クラシコ」(「キャンティ・クラッシコ」の表示もある。)のワインに使用されていることが紹介され、また、そのラベルに表示された「黒い雄鶏(図)」が、イタリア語で「黒い鶏」を意味する「ガッロ・ネロ(Gallo Nero)」と紹介されるなど、申立人の業務に係る「キャンティ・クラシコ」のワインを表す「黒い雄鶏(図)」の図柄として、一定程度知られていることが認められるものである。
しかしながら、申立人の証左には、我が国における使用商標及びこれを含んだラベルが付された商品の販売数量、売上高などの取引実績の全体を具体的に把握し得る証左はみいだせない。加えて、新聞、雑誌等による広告内容や広告費等についての実情を具体的及び量的に把握し得る証左もほとんど提出されていない。
そうとすれば、使用商標が申立人の業務に係る商品等を表す商標として、本件商標の登録出願時及び登録査定時においても、我が国の需要者間に広く認識されるに至っているということはできない。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
申立人は、「本件商標の図案と、引用商標に表示された図案は、共に横向きの黒い雄鶏からなる。そして、本件商標は、中心に大きく描かれている図柄は一見して誰でも『黒い雄鶏』であると理解することができ、これが世界的に著名な申立人のキャンティ・クラシコワインを表す図柄と相まって、『黒い雄鶏』及び『キャンティ・クラシコワイン』の観念が生じ、その『黒い雄鶏』の図柄の部分から『クロイユウケイ』又は『クロイオンドリ』の称呼が生じる。これに対して、引用商標は、申立人のキャンティ・クラシコワインを表す図柄として世界的に著名な商標そのものであるため、『黒い雄鶏』及び『キャンティ・クラシコワイン』の観念が生じ、我が国においては、その『黒い雄鶏』の図柄から『クロイユウケイ』又は『クロイオンドリ』の称呼が生じるから、本件商標と引用商標は、その観念及び称呼が同一の類似商標である」旨主張している。
そこで、本件商標と引用商標との類否について検討するに、本件商標は、別掲1のとおり、「1e Clocher」の欧文字と、その下に、黒色のシルエットで上から右向きのニワトリ(鶏)、矢、楕円及び三角を積み重ねて結合した図形からなる商標である。そして、該「1e C1ocher」の文字は、その構成文字に相応して「ルクロシェ」と称呼され、フランス語の「(教会の)鐘楼」を意味するものであるが、一般に知られている語ではないから、特定の意味合いを生じさせない一種の造語として看取されるものである。また、該図形からは、直ちに特定の観念を有するものとして認識されないものである。
そうとすれば、本件商標は、「ルクロシェ」の称呼を生じ、その構成全体として特定の観念を生じないものである。
一方、引用商標1は、別掲2のとおり、赤色外枠に「CONSORZIO VINO CHIANTI CLASSICO」の文字を配し、その中央に黒色のシルエットで左向きに片足立ちした雄鶏を描いた図形(「黒い雄鶏(図)」)、さらにその下方の内輪に沿って、「CHIANTI CLASSICO」の文字が書かれたリボン状の図形を描いた構成からなるものである。
そして、その構成中、イタリア語の「CONSORZIO VINO CHIANTI CLASSICO」の文字部分は、「キャンティ・クラシコワイン共同組合」程の意味合いを有するものと認められるとしても、一般に知られているものとはいえないから、特定の観念が生じないものであるが、イタリアの代表的なワインの名称である「CHIANTI CLASSICO」の文字部分は、「キャンティ・クラシコワイン」程の意味合いを理解させるものである。
また、その構成中の「黒い雄鶏(図)」は、一定程度知られているとしても、一般的な需要者にまで広く知られているとはいえないものであるから、該図形は、直ちに特定の観念を有するものとして認識されないものである。
そうとすれば、引用商標1は、その構成文字に相応して「コンソルツィオヴィノキャンティクラシコ」及び「キャンティクラシコ」の称呼を生じるものであり、また、「キャンティ・クラシコワイン」程の観念を生じるものである。
また、引用商標2は、別掲3のとおり、封蝋の印じ(印璽)の如き赤色外輪にイタリアワインの名称としての「CHIANTICLASSICO」及び特定の意味合いを理解させない「DAL 1716」の文字を上下に配し、その中央に引用商標1と同じ図形の黒色のシルエットを描いてなるものである。そして、引用商標2は、その構成文字に相応して「キャンティークラシコダルイチナナイチロク」、「キャンティークラシコ」及び「ダルイチナナイチロク」の称呼を生じるものであり、また、「黒い雄鶏(図)」は、引用商標1と同じく、直ちに特定の観念を有するものとして認識されないものである。
そうとすれば、引用商標2は、その構成文字に相応して「キャンティークラシコダルイチナナイチロク」、「キャンティークラシコ」及び「ダルイチナナイチロク」の称呼を生じるものであり、また、「キャンティ・クラシコワイン」程の観念を生じるものである。
そこで、本件商標と引用商標とを比較するに、外観においては、両者は、それぞれ前記のとおりの構成よりなるものであるから、構成全体として明らかに相違するものであって、外観上明確に区別できるものである。
なお、引用商標は、いずれも、赤色に強調された外輪の円形図形とその中央に描かれた図形がまとまりよく表されているものであるから、その構成全体として一体のものとして把握されるとみるのが自然であるが、引用商標の「黒い雄鶏(図)」と本件商標の図形部分とを比較してみても、本件商標の図形部分は、上から右向きのニワトリ(鶏)、矢、楕円及び三角を積み重ねて結合したシルエットの図形であり、一方、引用商標の「黒い雄鶏(図)」は、左向きの片足立ちの雄鶏を描いたシルエットの図形であって、その構成態様による差異が看者の印象に与える影響は極めて大きく、視覚的に十分区別し得るものである。
次に、称呼においては、本件商標から「ルクロシェ」の称呼を生じるのに対し、引用商標から「コンソルツィオヴィノキャンティークラシコ」、「キャンティークラシコダルイチナナイチロク」、「キャンティークラシコ」及び「ダルイチナナイチロク」の称呼を生じるものであって、両称呼は、その構成音数及び構成音において、明らかな差異を有するものであるから、それぞれ一連に称呼しても、明確に聴別され、称呼上相紛れるおそれはないものである。
また、観念においては、上記のとおり、本件商標は、特定の観念を生じないものであるから、本件商標と引用商標とは、観念上比較することはできず、類似するものとはいえない。
してみれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれからみても、互いに相紛れるおそれのない非類似の商標である。
したがって、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とが同一又は類似のものであるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第10号該当性について
使用商標は、前記(1)のとおり、申立人の業務に係る「キャンティ・クラシコ」のワインを表す「黒い雄鶏(図)」の図柄として、本件商標の登録出願時及び登録査定時においても、我が国の需要者間に広く認識されるに至っていないものである。
また、本件商標と使用商標との類否について検討するに、両商標は、前記(1)及び(2)に記載したとおりであるところ、本件商標は、「ルクロシェ」の称呼を生じ、直ちに特定の観念を生じないものである。
一方、使用商標は、一般的な需要者に知られていないものであるから、これよりは、直ちに特定の称呼や観念を生じないものである。
そして、本件商標の図形部分と使用商標とは、前記したとおり、外観上十分区別し得るものである。
その他、本件商標と使用商標とを類似するものとすべき理由は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
(4)まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第11号に違反して登録されたものではないから、商標法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 【別記】



異議決定日 2013-10-28 
審決分類 T 1 651・ 253- Y (W33)
T 1 651・ 25- Y (W33)
T 1 651・ 251- Y (W33)
T 1 651・ 261- Y (W33)
T 1 651・ 252- Y (W33)
T 1 651・ 263- Y (W33)
T 1 651・ 262- Y (W33)
最終処分 維持  
前審関与審査官 大塚 正俊 
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 田中 亨子
小川 きみえ
登録日 2012-05-29 
権利者 UNION DES VIGNERONS DES COTES DU RHONE
商標の称呼 ルクロシェ、クロシェ 
代理人 浜野 孝雄 

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