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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 125
管理番号 1287525 
審判番号 取消2013-300144 
総通号数 174 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2014-06-27 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2013-02-22 
確定日 2014-04-07 
事件の表示 上記当事者間の登録第1499351号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第1499351商標(以下「本件商標」という。)は、別掲に示すとおりの構成からなり、昭和51年6月18日に登録出願、第17類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同57年2月26日に設定登録され、その後、指定商品については、平成14年6月19日に、第20類及び第24類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品並びに第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子」として、指定商品の書換の登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
なお、本件審判請求の登録日は、平成25年3月12日である。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の指定商品中、第25類の全指定商品について取り消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、審判請求書、答弁に対する弁駁、口頭審理陳述要領書及び証拠方法差出書において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証(枝番号を含む。ただし、以下、枝番のすべてを引用する場合は、その枝番の記載を省略する。)を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その第25類の全指定商品について継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者、通常使用権者のいずれかによって使用された事実は存在せず、また、現在においても使用されていないから、商標法第50条第1項の規定により、その登録は取り消されるべきである。
2 弁駁の理由
(1)被請求人は、本件商標の使用に係る商品は「セーター類」その他である旨主張すると共に、乙第1号証ないし乙第8号証並びに検乙1号証及び検乙2号証に基づいて、自己の本社玄関前で催されたバーゲンセールにて販売されたニット製品等の被服や、該バーゲンセールの開催を告知したポスターとの関係で、「ROCKY」なる商標(以下「使用商標」という。)が使用されている旨も述べている。
(2)まず、使用商標について触れると、商標権者等が実際に使用する商標の態様が登録商標と異なる場合、その使用に係る商標が登録商標と同一視されるためには、商標法第50条第1項括弧書きに規定する所謂「登録商標と社会通念上同一と認められる商標」に該当しなければならない。
すなわち、同条では実際の商取引の実情等を勘案することにより、「登録商標」の範囲に「社会通念上同一と認められる商標」をも含む旨明確にしているものであるが、その範囲は徒に拡大して解釈されるべきではなく、あくまでも「書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標、外観において同視される図形からなる商標」等の同条の括弧書きで明示されている範囲に限られるべきである。
そこで、本件について検討すると、被請求人に係る使用商標は「ROCKY」の欧文字を青色の活字体で表してなるにすぎないのに対し、本件商標は、黒色の細線と太線を用いて特徴的、かつ、独創的に表すことにより、最早「ROCKY」の欧文字が容易に看取できない程度に高度に図案化されていることからすると、両者が外観を著しく異にすることは明らかであり、当該使用商標は、本件商標との関係では、社会通念上の同一性を逸脱した範囲にある標章として捉えられて然るべきものである。
したがって、使用商標が、本件商標との関係において、同一でないばかりか、商標法第50条第1項括弧書きに規定する「登録商標と社会通念上同一と認められる商標」として認識されるとも考え難く、故に、乙第3号証ないし乙第4号証並びに検乙1号証及び検乙2号証に示された被請求人に係る使用商標を用いた行為は、本件指定商品についての本件商標又はこれと社会通念上同一と認められる商標の使用に該当するものでないことは明らかである。
(3)次に、被請求人は、使用商標を表示した検乙1号証の織りネーム及び検乙2号証の下げ札を、自社玄関前で毎年2回定期的に催されるバーゲンセールで陳列、販売されるセーター類に付した状態の写真(乙3)をもって、本件商標の使用態様を立証する旨、及び該バーゲンセールの告知に用いられる「ROCKY」の文字を書した紙を上張りしたポスターの写真(以下、単に「本件ポスター」という。乙4)をもって、本件商標の使用商品を明らかにする旨、それぞれ主張している。
しかしながら、前記乙第3号証及び乙第4号証は全て本件審判の予告登録日たる平成25年3月8日よりも後の「平成25年4月22日」に撮影されたものであって、その背景等からも推察できるように、被請求人が開催するバーゲンセールで実際にセーター類が販売された際に撮影されたとは到底考え難いことを考慮すると、乙第3号証及び乙第4号証によっては、本件商標の使用態様や使用商品に加え、本件審判の予告登録日前3年以内に本件商標が本件指定商品との関係で実際に使用されていたという事実も何ら立証され得ないことは明白である。
(4)さらに、被請求人は、本件商標の使用実績として乙第5号証ないし乙第7号証も提出し、本件審判の予告登録日前3年以前に毎年2回、はがきによる招待状を持参した乙第6号証のリストに掲載された顧客を対象とするバーゲンセールを開催し、該バーゲンセールにて使用商標を付したニット製品などが販売され、また、昨年12月のバーゲンセール商品に付した前記織りネーム及び下げ札も実際に作成されている旨主張している。
しかしながら、前記はがき及びリストについては、本件商標又はこれと社会通念上同一と認められる商標について何ら記載されておらず、乙第7号証の販売実績報告書についても、セール売上表に示す2008年6月から2012年12月までのバーゲンセール会場において、本件商標又はこれと社会通念上同一と認められる商標を使用した本件商標に係る指定商品であるセーター類について使用した事実は一切示されていない。
また、乙第8号証に関しても、平成24年11月20日に(株)協永商会から納品された使用商標を表示した前記織りネーム及び下げ札については、使用商標が本件商標と社会通念上同一と認められる商標には該当しない上、通常、納品書はその納品者の社印等の捺印がなされるのに、同書証にはそのような捺印がない点、さらには、乙第1号証の被請求人に係るウェブサイトの写しでは、本件商標のみならず、使用商標及び前記バーゲンセールの開催の事実も何ら記載されていない点を考慮すると、被請求人が主張するバーゲンセールが実際に開催されていたのか、また、開催されていたとしても、使用商標が付されたセーター類等が販売されていたのか、些か疑問が残るところである。
いずれにしても、乙第5号証ないし乙第8号証、検乙1号証及び検乙2号証によっても、本件商標又はこれと社会通念上同一の商標が商標権者等によって使用されているという事実は何ら立証されていないことは明らかであり、乙第1号証ないし乙第8号証、検乙1号証及び検乙2号証を総合的に勘案しても、本件商標又はこれと社会通念上同一の商標が商標権者等によって使用されている事実が立証されるとは到底考えられないものである。
(5)以上の諸点からすると、乙第1号証ないし乙第8号証、検乙1号証及び検乙2号証によっては、被請求人が、商標権者等が本件商標又はこれと社会通念上同一と認められる商標を本件審判の予告登録前3年以内に日本国内において、その指定商品のいずれについても使用された事実が何ら立証されていないことは明白であり、前記答弁書における被請求人の主張は失当である。
3 平成25年10月11日付け口頭審理陳述要領書
(1)合議体の「暫定的見解」に関する被請求人の説明について
ア 本件ポスター(乙4)の使用時期について
被請求人にあっては、平成25年9月20日付提出の口頭審理陳述要領書において、同本件ポスターに示す日時たる12月6日(木)及び12月7日(金)の10:00?4:00の記載について、平成24年の12月6日が木曜日であり、また、同年12月7日が金曜日であることから、前記本件ポスターが平成24(2012)年の各日時に使用された事実が明らかである旨述べると共に、乙第9号証として、「2012平成二十四」のカレンダーを提出している。
しかしながら、乙第9号証からは、前記本件ポスターに記載された12月6日(木)及び12月7日(金)なる表示が平成24(2012)年の日付及び曜日と一致するという点のみ理解され、例えば、甲第2号証に示すとおり、平成13(2001)年及び平成19(2007)年の12月6日が木曜日で、また、12月7日が金曜日であることからすると、被請求人の主張するように同時期にバーゲンセールが20年来継続して開催されているのが事実であれば、該本件ポスターに記載された日付は平成13(2001)年又は平成19(2007)年である可能性も当然にあり、故に、これらが平成24(2012)年を指しているとは当然に認められないものである。
したがって、乙第9号証をもってしても、本件ポスターが、平成24(2012)年の12月6日(木)及び12月7日(金)の両日に使用されたという事実が何ら立証されていないことは明らかである。
イ 本件ポスターの使用方法について
被請求人は、本件ポスターが、バーゲンセールの日程を広報するために開催日の10日程前からバーゲンセール終了日までバーゲン会場とされる被請求人の本社玄関前の壁やその近辺の壁等通常3か所に貼り付け用いられている旨述べている。
しかしながら、本件ポスターがこのように3か所に貼り付けられて実際に使用されていた事実が認識されるような証拠は一切示されていないと共に、乙第4号証からは、写真撮影日たる平成25(2013)年4月22日に該本件ポスターが何処かの壁に貼り付けられていることのみが認識され、また、乙第9号証を含むその他の書証をもってしても、被請求人の主張する、該本件ポスターがバーゲンセールの開催日の10日程前からバーゲンセール終了日までの間、バーゲン会場とされる被請求人の本社玄関前の壁やその近辺の壁等の3か所に貼り付けられていたという事実は一切確認できないものである。
したがって、このような被請求人の主張に拠っては、被請求人が、本件ポスターを、本件審判の予告登録日前3年以内に本件商標又はこれと社会通念上同一の商標が本件審判請求に係る指定商品との関係で、実際に使用していたという事実は何ら立証されていないことは明白である。
ウ 小括
上述の諸点を総合的に勘案すると、本件ポスターの実際の使用時期及び使用方法を客観的、かつ、直接的に把握できる証拠は何ら提出されておらず、被請求人の提出に係る口頭審理陳述要領書及び証拠方法差出書をもってしても、該本件ポスターが、実際に、本件審判請求の登録前3年以内に使用されたか否かは依然として不明と言わざるを得ない。
(2)被請求人による請求人の弁駁書に対する反論について
ア 被請求人は、乙第3号証はその他の乙各号証の書証、検証物その他の証拠方法と相俟って、本件商標の使用事実を推認、証し得る旨述べているが、はがき及びリスト(乙5、乙6)並びに販売実績報告書のセール売上表(乙7)には、本件商標又はこれと社会通念上同一と認められる商標の記載は全くなされておらず、これらの書証が、被請求人も述べているとおり、「直接本件商標の使用事実を明らかにするものではない」ばかりか、本件商標の使用事実を推認せしめるものでもないことは明らかである。
また、乙第8号証に示す平成24年11月20日に(株)協永商会から納品されたとする織りネーム及び下げ札(検乙1、検乙2)が、平成24(2012)年12月6日(本)及び12月7日(金)の両日に開催されたバーゲンセールにおいて、実際に、本件指定商品に付され販売された事実を認識できる証拠は一切示されていない。
これに加えて、乙第1号証の被請求人ウェブサイトには、本件商標は一切表示されていない。この点に関し、被請求人は、そもそも該バーゲンセールが登録をした顧客のみを対象とした限定的な形式にしており、ウェブサイトで不特定多数の方々に知らせるべきものではないことを理由として挙げる一方、近隣やその友人、知人などの範囲で少しずつ固定客を増やすようにして20年来続けている旨述べている。
しかしながら、登録された顧客から紹介を受けた友人、知人が何ら情報を有さないままバーゲンセールに参加するとは考え難く、むしろ、被請求人のウェブサイト等を閲覧し、本件商標を付した製品の種類や価格等を確認した上で、バーゲンセールに参加するか否か最終的に判断をすることは、実際に事業を行っている者であれば容易に想像できるものである。
すなわち、固定客の増加を目的としている以上、限定的であることを理由として本件商標をウェブサイトに掲載しないというのは理解に苦しむところであり、乙第2号証の企業概要には被請求人が所有する商標として、当然に本件商標が記載されていることをも鑑みると、該会社概要は本件審判の予告登録日後に作成したものであると共に、ウェブサイトからも明らかなように、被請求人にあっては、自己の事業に係る製品ブランドとして本件商標を使用していなかったと捉えるのが至極妥当と考えられるものである。
したがって、乙各号証の書証、検証物その他の証拠方法を総合的に勘案しても、本件審判の予告登録日前3年以内に、本件商標又はこれと社会通念上同一の商標が本件指定商品との関係で実際に使用された事実は、何ら客観的に立証されていないと共に、そのような事実が推認できないことは明白である。
イ 被請求人は、本件ポスターに記載された日付と曜日の関係をもって、本件審判の予告登録日前における本件商標の使用事実を立証する旨述べているが、上述のとおり、前記本件ポスターに記載された12月6日(木)及び12月7日(金)なる表示が平成24(2012)年の日付及び曜日と一致するという点が理解できるにすぎず、被請求人によって、同日に、本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標がセーター類等との関係でバーゲンセールにて実際に使用されていた事実を立証するに足るとは到底考えられないものである。
また、前記本件ポスターの記載事項のうち最も重要となる商標の表示部分及び使用日付部分が張り替えられている上に、前記本件ポスターの写真撮影日が本件審判の予告登録日後の平成25(2013)年4月22日であることを考慮すると、乙第4号証自体の証拠価値には些か疑問が残る。
ウ 被請求人は、販売実績報告書(乙7)において、本件商標のもとにセーター類等の商品を販売している旨述べ、本件商標に係る商品の売上げについて示しているものの、同書証は客観性を有さないことが明らかであると共に、直接本件商標の使用事実を明らかにするものではないことは被請求人の自認するとおりである。
エ したがって、被請求人が開催するバーゲンセールに使用されたと述べている本件ポスターは証拠価値に疑問の残るところであり、はがき及びリストについては、本件商標又はこれと社会通念上同一と認められる商標が何ら記載されておらず、販売実績報告書は客観性に欠けることから、乙第5号証ないし乙第7号証はいずれも被請求人による本件指定商品についての本件商標の使用実績を示す一助にもならないと考えられ、故に被請求人の反論及び主張はいずれも客観的、かつ、直接的な証拠に裏付けられるものとはいえない。
(3)結論
以上の諸点を総合すると、被請求人の提出に係る口頭審理陳述要領書及び証拠方法差出書をもってしても、本件ポスターの使用時期及び使用方法を客観的、かつ、直接的に把握することはできず、その他の乙各号証の書証、検証物その他の証拠方法を総合して勘案しても、被請求人が、商標権者等が本件商標又はこれと社会通念上同一と認められる商標を本件審判の予告登録前3年以内に日本国内において、本件指定商品のいずれかについて使用された事実が何ら立証されていないことは明白である。
したがって、前記口頭審理陳述要領書中の請求人の弁駁書に対する反論についても根拠に欠けるものであって、該本件ポスターが、実際に、本件審判請求の登録前3年以内に使用されたか否かは依然として不明といわざるを得ない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、答弁、口頭審理陳述要領書及び証拠方法差出書において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第9号証(枝番を含む。ただし、以下、枝番のすべてを引用する場合は、その枝番の記載を省略する。)並びに検乙1号証及び検乙2号証を提出した。
1 答弁の理由
(1)被請求人について
被請求人は、大正12(1923)年に個人商店として創業、その後、昭和19(1944)年に法人を設立(乙2)、一貫してメリヤス製品、すなわち、ニット製品の製造販売をするものであるが、現在ではOEMとして他社ブランドのニット製品(セーター類等)を主力とし、併せてカットソー(ワンピース、スカート、ブラウス等の布帛)製品を製造するとともに、自社ブランド、すなわち、ファクトリーブランド(FB-アパレルメーカーが製造を依頼している生産者・工場が独自に売り出すブランド)によるニット商品の企画製造販売を行うものである(乙1の2)。
(2)本件商標の使用事実
被請求人は、本件商標をこの20年来、毎年6月と12月の一定期間に開催する「バーゲンセール」の対象品である自社製のセーター、カーディガン等のニット製品及びワンピース、スカートの被服の商標として継続して使用している(乙7)。
「ROCKY」は、織りネーム(検乙1)と下げ札(検乙2)に表示して各商品に付して、被請求人の本社玄関前において陳列、販売される(乙3)。その際は、バーゲンセールであること示す手作りの本件ポスター(乙4)を掲げる。
織りネーム及び下げ札は、最近の昨年12月の商品については、昨年11月20日に(株)協永商会から納品されたものを使用している(乙8)。
使用する「ROCKY」は、本件商標とは書体を異にするとはいえ、ともにローマ文字の「ROCKY」と認識されるものであり、本件商標の使用である。
商品は、セーター、カーディガン(乙3)、ニットジャケット(乙4)等のニット製品の外にワンピース、スカートなどのカットソー、すなわち、布地を用いて縫製する被服である(乙4、乙5)。
被請求人が開催する「バーゲンセール」は、毎年6月と12月の2日間の間に行われるのが常である(乙5、乙7)。この3年間であれば、平成22(2010)年6月3日と4日の「春・夏物(Spring&Summer)セール」、12月2日と3日の「秋・冬物(Autumn&Winter)セール」(乙7)、平成23(2011)年6月2日と3日の「春・夏物(Spring&Summer)セール」(乙5の2、乙7)及び12月8日と9日の「秋・冬物(Autumn&Winter)セール」(乙7)、平成24(2012)年6月7日と8日の「春・夏物(Spring&Summer)セール」(乙7)と一番最近の12月6日と7日の「秋・冬物(Autumn&Winter)セール」(乙4、乙5の3、乙7)が開催されている。
開催前には、被請求人は、これまでに、このバーゲンセールに参加されて商品を購入して登録された顧客に、開催期日をはがきで予め通知をする(乙5)。これらの顧客は、このはがきを持参し、また知人を伴って参加したり、たまたま通り合わせた一般の方が商品を購入し、この登録をすることによって、次回開催を繰り返し通知がされこれまでに多くの登録者がある(乙6)。
その結果、短期間の販売期間であるに拘わらず、常に一定の販売高をあげている(乙7)。
バーゲンセールの商品は、本件商標の外に被請求人が所有する件外登録商標「SANTAGOSTINO」を用いた商品も含まれているが、毎年12月のバーゲンセールの売上高(乙7)の70パーセントは、本件商標に係る商品であり、残りが「SANTAGOSTINO」商品、6月ではその比率は半々ほどになるのが通常の実績である。
なお、バーゲンセールの際に使用する本件ポスターは、バーゲンセールが毎年6月と12月の同時期の木曜日と金曜日に行われるために、期日を示す日付のところと、対象商品となるそれぞれの商標「ROCKY」と「SANTAGOSTINO」の部分を、上張りしたり張り替えて、その都度使用をしているものである。
(3)結論
以上のとおり、本件商標は、その指定商品について継続して本件審判の予告登録日である平成25年3月8日前3年以上日本国内において商標権者が使用していたものである。
2 平成25年9月20日付け口頭審理陳述要領書
(1)「暫定的見解」に関する説明
ア 本件ポスターの使用時期について
本件ポスターには、日時として12月6日(木)と12月7日(金)のそれぞれ10:00?4:00としか記載されていないが、平成24(2012)年のカレンダー(乙9)によれば、この年の12月6日は木曜日、同7日は金曜日であることから、この本件ポスターが平成24年に使用されたことが明らかである。
したがって、この各日付の曜日記載によって、本件ポスターが平成24(2012)年のそれぞれの日時に使用されたことは明らかである。
イ 本件ポスターの使用方法について
本件ポスターは、縦110センチ、横90センチ程の大きなものであり、バーゲンセールの日程を広報するために、開催日の10日ほど前からバーゲンセール終了日まで、バーゲン会場とする被請求人の本社玄関前の壁やその近辺の壁など、通常3か所に貼り付けて用いるものある。
バーゲンセールは、本件商標と「SANTAGOSTINO」の2つのブランドを対象とするために、それぞれのブランドの展示場所に応じて、当該本件ポスターを「ROCKY」と「SANTAGOSTINO」の部分と日付の部分を張り替えて約3年間使用している。
(2)弁駁書に対する反論
ア 本件商標と使用商標との所謂同一性について
本件商標の書体が特殊化されたものとしても、使用商標との間では「書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標・・・ローマ字の文字(すなわち「ROCKY」の文字)の表示を相互に変更したものであって同一の称呼(共に「ロッキー」の称呼)及び観念(共に「岩の多い、岩のような」などの観念)を生じる商標」であるから、本件商標と使用商標とは、当該50条第1項括弧書きに規定する条件に当てはまるものであり、むしろこの括弧書によって、本件商標権と使用商標との同一性が証明されているといえる。
イ 乙第3号証及び乙第4号証の写真は、所謂予告登録後に成立したものであるから、本件商標の使用事実を立証し得ないとの請求人の主張に対して
(ア)「ROCKY」商品を写した写真(乙3)は、その他の乙各号証の書証及び検証物と相俟って、本件商標の使用事実を立証するために提出されたものである。
(イ)本件ポスターは、その期日と曜日との関係から所謂予告登録前の平成24(2012)年12月の日時に被請求人が実施したバーゲンセールにおいて使用されたことを立証するものである。
ウ 乙第5号証ないし乙第7号証については、バーゲンセールが毎年6月と12月に継続して行われていることを示すもので、直接本件商標の使用事実を明らかにするものではない。
エ 納品書(乙8)に捺印がないことを理由として、この書証の成立が疑わしいとの趣旨の主張については、現今の取引では捺印のない納品書はむしろ通常に行われているものである。
オ 被請求人のウェブサイトにおいて、バーゲンセールの開催に関する記載がないことを問題視しているが、そもそも、このバーゲンセールが登録をした顧客のみを対象とした限定的な形式にしていることからも了解できるように、被請求人の取引先との間の商品の中でのサンプル品や色別にバランスが悪く納品できなかった商品なども含めてのバーゲンセールであるから、ウェブサイトで不特定多数の方々に知らせるべきものではなく、かかる形式で開催をしているものである。近隣やその友人、知人などの範囲で少しずつ固定客を増やすようにして20年来続けているものである。
(3)結論
よって、本件商標と社会通念上同一の商標をセーター類などに付して販売した行為は、商標法第2条第3項第2号の「商品・・・に標章を付したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引き渡しのために展示・・・する行為」に該当し、セーター類などの販売に関する本件ポスターに本件商標と社会通念上同一の商標を付した行為は、同法同項第8号の「商品・・・に関する広告・・・行為」に該当するものである。

第4 当審の判断
1 被請求人が提出した証拠によれば、以下の事実が認められる。
(1)乙第1号証は、被請求人のウェブサイトであり、これには、 被請求人が、1923年に創業し、事業内容を「メンズ、レディース・ニット製品の製造販売」等とする旨記載されている。
(2)乙第3号証は、平成25年4月22日に被請求人取締役社長が撮影したとする7葉の写真であり、当該写真のセーター及びカーディガンには、青色で「ROCKY」と表示された織りネーム及び下げ札がつけられている。
(3)乙第4号証は、上部に、赤字で大きく「バーゲン」と書かれた、台紙つきの手づくりのポスターの写真であり、これには、上から順に、「製造元アウトレット」、「日時 12月6日(木)10:00?4:30/12月7日(金)10:00?4:00」、「場所 当社玄関前」、「ROCKY」、「ニット&カットソー各種/ニットジャケット、ベスト、カーデガン、ワンピース、クルー衿セーター、スカート」、被請求人と電話番号の表示及びポスター右上、右中、右下、左下の4カ所に「SALE」の文字が赤字などで表示されている。
(4)乙第5号証の3は、消印が24年11月27日のはがきであり、表面には、「あて所に尋ねあたりません」等の書かれたゴム印が押され、宛先として墨田区の住所・氏名が書かれた紙が貼付され、その下に、手書きで「H24、11月、 不明で戻る./削除済み」と書かれている。また、この裏面には、「《秋冬ニットセールのお知らせ》」(以下、単に「バーゲンセール」という。)として、ニット製品などを揃えている旨、日時、場所、連絡先の記載があるが、これらは、乙第4号証の本件ポスターに記載されているものと一致する。
(5)乙第6号証は、「登録通知先リスト」であり、これには、「2012年12月 セール」、「6日・7日実施」「11月27日郵送」の文字と共に、127名の郵便番号と主に墨田区や江戸川区の住所(個人情報保護の為住所の一部削除されている。)と氏名が記載されている。
(6)乙第7号証は、平成25年4月22日付けの被請求人取締役社長の記名押印のある「販売実績報告書」と平成20(2008)年?平成24(2012)年までの「セール売上表」を内容とする添付資料であり、「販売実績報告書」には、被請求人は、20年以上にわたって毎年6月と12月にバーゲンセールを、同人の本店で継続して行っていること、このバーゲンセールは、顧客にはがき等で連絡をして行う恒例行事であること、このバーゲンセールでは、被請求人に係る登録商標「ROCKY」と「SANTAGOSITINO」のもとに、「ニットジャケット、カーディガン、セーター」等を販売していること等が記載され、また、添付資料には、各セール売上表には、セール期日の天気、午前と午後の売上金や実販売額等記載されている。
(7)乙第8号証は、株式会社協永商会から被請求人宛の24年11月20日付け納品書であり、これには、商品名欄に「ROCKYネーム」、「ROCKY下札」等とその数量、単価、金額等が記載されている。
(8)検乙1号証は、「ROCKY」の文字のある織りネームであり、また、検乙2号証は、「ROCKY」の文字のある下げ札であり、これらは、乙第3号証のセーター及びカーディガンにつけられている織りネーム及び下げ札と一致する。
(9)乙第9号証は、ウェブサイトから取得した平成24(2012)年カレンダーであり、これには、12月6日が木曜日、12月7日が金曜日であることが認められる。
2 上記1で認定した事実及び被請求人の主張によれば、被請求人は、平成24年12月6日?7日に、ニット&カットソー各種(乙3のセーター及びカーディガンを含む。以下、これを「使用商品」という。)のバーゲンセールを行い、使用商標を表示した使用商品を販売したこと、及び当該バーゲンセールの10日前から、使用商標並びに使用商品を表示したポスターを使用したことが推認できる。
(1)使用商標及び使用商品について
ア 本件商標は、黒色の細線と太線をもってややデザイン化した欧文字からなるところ、かかるデザイン化の程度及び前後する各文字との関係からすれば、「ROCKY」の文字を表したものと認識させるものである。
一方、本件ポスター及び乙第3号証のセーター及びカーディガンの織りネーム及び下げ札に表示された「ROCKY」は、青色の活字体により表示されているものである。
そうしてみると、使用商標は、本件商標と、外観上異にするとしても、共に、同一の「ROCKY」の文字よりなる、称呼及び観念を同一にするものであるから、社会通念上同一の商標といえる。
この点に関し、請求人は、本件商標は、黒色の細線と太線を用いて特徴的、かつ、独創的に表すことにより、「ROCKY」の欧文字が容易に看取できない程度に高度に図案化されていることからすると、両者が外観を著しく異にすることは明らかであり、当該使用商標は、本件商標との関係では、社会通念上の同一性を逸脱した範囲にある標章である旨、主張する。
しかしながら、上記したとおり、本件商標は、ややデザイン化した構成からなるとしても、「ROCKY」の文字を表したものと認識させるものであるから、かかる請求人の主張は採用することができない。
イ 乙第3号証のセーター等及び本件ポスターに表示された使用商品は、請求に係る指定商品の範疇に属する商品である。
(2)請求人の主な主張について
ア 請求人は、甲第2号証の2001年及び2007年のカレンダーをもって、本件ポスターの使用時期が、2001年又は2007年である可能性もあるとし、平成24(2012)年を指しているとは認められない旨、主張する。
しかしながら、当該バーゲンセール開催前に、予め、顧客に通知したはがき(乙5の3)の消印は、平成24年11月27日であることからすると、そのバーゲンセールを告知する本件ポスターの使用時期は、平成24年とみるのが自然である。
イ 請求人は、本件ポスターが、本社玄関前の壁等の3か所に掲示し、実際に使用されていた事実は一切確認できない旨、また、本件ポスターの記載事項のうち最も重要となる商標の表示部分及び使用日付部分が張り替えられている上に、本件ポスターの写真撮影日が本件審判の予告登録日後の平成25(2013)年4月22日であることを考慮すると、乙第4号証自体の証拠価値には疑問が残る旨、主張する。
しかしながら、メーカー等が自他製品のバーゲンセールを行う場合は、ポスターを事前に掲示することは一般に行われているところであり、また、被請求人は「本件ポスターは、縦110センチ、横90センチ程度の大きさで、手作りのものであって、約3年間使用しているものであり、バーゲンセールが毎年6月と12月の同時期の木曜日と金曜日に行われるために、期日を示す日付のところと、対象商品となるそれぞれの商標「ROCKY」と「SANTAGOSTINO」の部分を、上張りしたり張り替えて、その都度使用しているものである。」と述べているところ、本件ポスター及び被請求人の主張に何ら不自然な点はないから、本件ポスターの使用には信憑性があるものといえる。
ウ 請求人は、当該バーゲンセールにおいて、使用商標が付されたセーター類等が販売されたのか疑問が残る旨、主張する。
しかしながら、上記したとおり、バーゲンセールを告知する本件ポスターの使用には信憑性があること、また、株式会社協永商会から被請求人に、セーター類等(乙3)に付けられた織りネームと下げ札とみられる「ROCKYネーム」並びに「ROCKY下札」が納品されたことからすると、当該バーゲンセールにおいて、使用商標が付されたセーター類等が販売されたことが推認できる。
よって、かかる請求人の主張は、いずれも採用することができない。
(3)小括
以上によれば、商標権者は、本件審判請求の登録前3年以内である平成24年12月6日と同7日に開催されたバーゲンセールにおいて、本件商標と社会通念上同一の使用商標が付された使用商品を販売したこと、また、当該バーゲンセールの開催の10日前頃、本件商標と社会通念上同一の使用商標並びに「ニットジャケット、ベスト、カーデガン」等の使用商品が表示された本件ポスターを掲示したことが認められる。
そして、かかる行為は、「商品・・に標章を付したものを譲渡し、引き渡し・・する行為」及び「商品・・に関する広告・・に標章を付して展示し、・・する行為」ということができ、これは、商標法第2条第3項第2号及び同第8号に規定する標章についての「使用」に該当する。
3 まとめ
してみれば、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が、請求に係る指定商品に含まれる「ニットジャケット、ベスト、カーデガン」等の商品について、本件商標と社会通念上同一の商標を使用していたことを証明したものと認めることができる。
以上のとおりであるから、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
(本件商標)


審決日 2013-11-28 
出願番号 商願昭51-40630 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (125)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 内山 進
特許庁審判官 内藤 順子
小川 きみえ
登録日 1982-02-26 
登録番号 商標登録第1499351号(T1499351) 
商標の称呼 ロッキー 
代理人 馬場 啓子 
代理人 梅村 莞爾 
代理人 田中 尚文 
代理人 岡部 讓 
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