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審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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異議2013900091 | 審決 | 商標 |
異議2013900094 | 審決 | 商標 |
異議2013900095 | 審決 | 商標 |
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審決分類 |
審判 一部申立て 登録を維持 W21 審判 一部申立て 登録を維持 W21 審判 一部申立て 登録を維持 W21 |
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管理番号 | 1286693 |
異議申立番号 | 異議2013-900172 |
総通号数 | 173 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2014-05-30 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2013-06-03 |
確定日 | 2014-04-10 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5561301号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5561301号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5561301号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成24年6月28日に登録出願され、第21類「磁器製の鉢・サラダボール・皿・やかん・食器類・水差し・なべ,その他のガラス製又は陶磁製の包装用容器,鉢,コップ類,魔法瓶,洗濯ばさみ,雑巾,その他の清掃用具及び洗濯用具,動物用くし,愛玩動物用かご,愛玩動物用食器,犬のおしゃぶり,小鳥かご,小鳥用水盤」並びに第28類及び第31類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同25年1月22日に登録査定、同年3月1日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する国際登録第885498号商標(以下「引用商標」という。)は、「Alux」の欧文字を横書きしてなり、2005年8月16日にGermanyにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、2006年(平成18年)2月16日に国際商標登録出願され、第21類「Cooking pots and pans [non-electric].」及び第8類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、平成21年3月13日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 3 登録異議の申立ての理由(要点) (1)引用商標の周知・著名性について ア フィスラー社(申立人) 申立人は、1845年にドイツで設立され、約160年もの間、高品質の調理器具を作り続け、現在では世界70か国以上の国々で販売をしているグローバル企業である(甲13?甲15)。そして、世界中の需要者から、高級調理器具のトップブランドとして認められており、2007年には、国内外の最優秀・最強ブランドを選定している英国のブランディング専門調査団体スーパーブランズ(本部ロンドン)による「スーパーブランズ・ジャーマニー2007」のひとつに選ばれ、名実共に世界規模での周知・著名企業になっている(甲16)。 イ 引用商標 引用商標は、申立人の主力商品の1つであるフライパンの商品名に使用しているものである(甲17,甲19?甲23)。この商品の最大の特徴は、丸みを帯びたハンドルの形状であり、人間工学に基づき握りやすく扱いやすい商品となっているため、需要者に長く愛用されている商品である(甲19?甲22)。 そして、2005年には各種の賞を受賞しており、当該商標が申立人の重要な商標であることはいうまでもない(甲26)。 ウ 引用商標の使用形態 引用商標は、世界約70か国において、少なくとも2005年から現在にかけて継続して使用しており、日本においては200店舗以上の百貨店等で取り扱われているものである(甲18)。 また、インターネット上での販売もされており、自社ホームページはもちろんのこと、Amazon、楽天市場、ANAショッピング、アスクル等の著名サイトでも販売されている(甲19?甲24)。 そうとすれば、申立人が引用商標を長年継続的に使用した結果、遅くとも本件商標の登録出願時より前に取引者・需要者に広く認識されるに至っていたことは明らかである。 (2)商標法第4条第1項第11号について ア 指定商品の抵触 本件商標は、その指定商品中、第21類「磁器製の鉢・サラダボール・皿・やかん・食器類・水差し・なべ」が、引用商標の指定商品「Cooking pots and pans[non-electric].(なべ類)」と類似する。 イ 本件商標と引用商標とは類似すること 引用商標は、欧文字「Alux」より構成されているのは明らかであるところ、ローマ字又は英語の自然な読みに倣って、「アルックス」との称呼が生じる。 一方、本件商標は、黒色の背景図形と思しき図形内に、「ALEX」と「Animal Farms」の欧文字を2段に併記してなるものである。そして、欧文字「ALEX」部分が大きく目立つように表されていることから、当該部分が看者の注意を最も強く惹く要部であるというべきである。 そうとすれば、本件商標からは、構成全体から生じる「アレックスアニマルファームズ」のほかに、「アレックス」の称呼が生じる。 そこで、本件商標と引用商標から生じる称呼「アレックス」と「アルックス」を比較すると、両称呼は、中間音において、「レ」と「ル」の差異を有するものの、5音中4音の音が共通している。しかも、この差異音は、いずれも「ラ」行に属する近似音であり、聴取し難い中間音に位置するものである。さらに、語頭音「ア」は強く明瞭に発音されるため、それに続く音は比較的閉脚して聴取されることを鑑みれば、差異音「レ」と「ル」が商標全体に及ぼす影響は小さく、両称呼は相紛らわしいものといえる。 したがって、本件商標と引用商標とは、称呼上、相紛らわしい商標である。 ウ 取引の実隋 商標の類否判断は、商標が使用される商品の主たる需要者層その他商品の取引の実情を考慮し、需要者の通常有する注意力を基準として判断しなければならない(甲12)。ここでいう「取引の実清」には、引用商標の周知・著名性も含まれることは経験則によっても認められており、引用商標の周知・著名性は、上記(1)のとおりであり、具体約な取引状況の下では、出所の混同のおそれを増幅させるものとなる。 なお、申立人がインターネットにより検索を行ったところ、一般の需要者が実際に、申立人の商標「ALUX(アルックス)」を「アレックス」と混同している記載を発見した(甲24)。 エ 小括 上記のとおり、本件商標と引用商標とは、称呼上、相紛らわしい類似の商標であり、また、その指定商品も、類以関係にある。加えて、申立人及び引用商標の周知・著名性を考慮すれば、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。 (3)商標法第4条第1項第15号について 本件商標の登録は、仮に商標法第4条第1項第11号に違反してされたものでないとしても、以下に述べる理由により、同項第15号に違反してされたものである。 ア 引用商標の著名性 引用商標の著名性は、上記(1)のとおりである。 イ 本件商標と引用商標の類以性 上記(2)イのとおり、本件商標と引用商標とは、互いに紛らわしい類似の商標である。 ウ 商品及び営業上の関連性 上記のとおり、申立人は、引用商標を主として「キッチンウェア」等について長年継続的に使用しており、それらは周知・著名となっている。 そして、本件商標の指定商品である「磁器製の鉢・サラダボール・皿・やかん・食器類・水差し・なべ,鉢,コップ類,魔法瓶」については、全てキッチンウェアに属するものであり、生産部門、販売部門、原材料及び品質、用途並びに需要者の範囲において全て一致するものである。 したがって、両者は、商品として密接な関係性を有している。 エ 混同のおそれ 商標法第4条第1項第15号にいう「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」には、商品や営業の関連性を想起させる、いわゆる広義の混同も含まれるところ、上記のとおり、引用商標の著名性、独創性、申立人の事業実態、両商標が使用される商品及びその需要者や取引者の共通性を鑑みれば、本件商標が指定商品に使用された場合、それがあたかも著名ブランドである「Alux」の関連商品であるかのように誤認させ、商品の出所の混同が生じるおそれが極めて高い。 (4)結論 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号により、その指定商品中、第21類「磁器製の鉢・サラダボール・皿・やかん・食器類・水差し・なべ,鉢,コップ類,魔法瓶」についての登録は取り消されるべきである。 4 当審の判断 (1)申立人及び引用商標の周知・著名性について 申立人が提出した証拠によれば、申立人は、1845年にドイツでカール・フィリップ・フィスラーが創業し、もともとは配管業者としてのスタートであったが、1892年の車輪のついた移動式野営キッチンの発明を機に申立人の中心が調理器具の製造にシフトし、その後長年にわたり調理器具を作り続け、現在では世界70か国以上の国々で販売をしており、「Fissler(フィスラー)」のブランドが日本国内においても一定程度知られていることが認められる。 しかしながら、申立人が、引用商標が周知・著名である旨主張して提出した証拠(甲17?甲24)は、申立人の日本法人やAmazon、楽天市場、ANAショッピング、アスクル等のウェブページの一部を紙打ち出ししたものであるところ、「アルックス」の表示の下、フライパンの画像が表されていることは確認できるものの、そのほとんどが「Fissler」又は「フィスラー」の文字とともに紹介されているものである。また、「Alux」の表示は、甲第20号証のみであり、それについても「Fissler」の文字とともに記載されているものである。 その他、引用商標の使用開始時期、使用期間、販売数量、一般紙・業界紙における記事掲載など周知・著名性に係る証拠の提出はない。 そうすると、上記証拠からは、調理器具に使用されている商標「Fissler」の周知性について認められることがあるとしても、引用商標については、それを付した商品「フライパン」が申立人により販売されていることは認められるが、これをもって、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人又は同人の業務に係る商品を表示するものとして、日本国内における需要者の間に広く認識されていると認めることはできない。 (2)商標法第4条第1項第11号該当性について 本件商標は、別掲のとおり、黒色の矩形状の図形内に、白抜きで「ALeX」の文字と「Animal Farms」の文字とを2段に表してなるところ、「ALeX」の文字が特定の意味を有する成語とはいえないものであること、「Animal Farms」の文字が「動物農場」程度の意味合いを理解させること、「ALeX」の文字が他の文字と比較して顕著に表されていること、黒色の矩形状の図形が背景図形と認められることから、その構成文字全体から「アレックスアニマルファームズ」の称呼が生じ、「アレックスという名の動物農場」程度の意味合いを理解させることがあるものといえる。また、「ALeX」の文字から「アレックス」の称呼が生じ、特定の観念が生じるものとはいえない。 他方、引用商標は、「Alux」の欧文字からなるところ、該文字が特定の意味を有する成語とはいえないものであることから、特定の観念を生じることのない一種の造語として認識されるものであり、その構成文字に相応して「アルックス」の称呼を生じ、特定の観念が生じるものとはいえない。 そこで、本件商標と引用商標との類否について検討するに、両商標は、それぞれ上記のとおりの構成からなるものであって、全体として明らかな差異を有するものであり、また、「ALeX」の文字部分と「Alux」の文字との比較においても、4文字という少ない文字数にあって「e」と「u」の文字とが相違し、該「e」の文字が大文字の3字と高さを等しくした大きさであるという特徴を有するものであって、外観上、判然と区別し得るものである。 そして、称呼についてみるに、本件商標から生じる「アレックスアニマルファームズ」の称呼と引用商標から生じる「アルックス」の称呼とは、構成音数を全く異にすることから、明確に聴別し得るものである。 次に、本件商標から生じる「アレックス」の称呼と引用商標から生じる「アルックス」の称呼について比較するに、両称呼は、第2音において「レッ」の音と「ルッ」の音の差異を有するものであり、この差異音は、母音において前者が(e)であるのに対し、後者が(u)であって比較的近似しない母音といえるものである上に、共通する子音(r)は、舌面を硬口蓋に近づけ、舌の先で上歯を弾くように発する有声子音で響きの強い弾音として発音され、かつ、共に促音を伴っていることから、一層強く発音され、聴取されるものである。そうすると、両称呼が4音構成という極めて短いことも相まって、この差異が称呼全体の音調、音感に与える影響は大きいものといわざるを得ず、それぞれを一連に称呼しても十分聴別し得るものである。 また、観念については、本件商標全体からは「アレックスという名の動物農場」程度の意味合いを理解させることがあるほか、本件商標の構成中「ALeX」及び引用商標からは、いずれも特定の観念を生じ得ないものであるから、観念において、相紛れることはないものである。 してみると、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標というのが相当である。 その他、本件商標と引用商標とが類似するとの理由は見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 (3)商標法第4条第1項第15号該当性について 引用商標は、上記(1)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人又は同人の業務に係る商品を表示するものとして、日本国内における需要者の間に広く認識されているとはいえないものである。 加えて、上記(2)のとおり、本件商標と引用商標とは、相紛れるおそれのない非類似の商標といえるものである。 してみれば、本件商標は、これをその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者をして、申立人又は引用商標を想起、連想させるものとは認められず、該商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 (4)まとめ 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲 本件商標 |
異議決定日 | 2014-03-31 |
出願番号 | 商願2012-52353(T2012-52353) |
審決分類 |
T
1
652・
261-
Y
(W21)
T 1 652・ 271- Y (W21) T 1 652・ 262- Y (W21) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 保坂 金彦 |
特許庁審判長 |
酒井 福造 |
特許庁審判官 |
浦辺 淑絵 原田 信彦 |
登録日 | 2013-03-01 |
登録番号 | 商標登録第5561301号(T5561301) |
権利者 | ペット-リンク カンパニー リミテッド |
商標の称呼 | アレックスアニマルファームズ、アレックス、アニマルファームズ、アニマル |
代理人 | 長谷川 芳樹 |
代理人 | 羽切 正治 |
代理人 | 小野 博喜 |
代理人 | 工藤 莞司 |
代理人 | 小野 友彰 |
代理人 | 魚路 将央 |
代理人 | 仲村 圭代 |
代理人 | 小暮 君平 |