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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
異議2013900336 審決 商標
異議2013900317 審決 商標
異議2013900258 審決 商標
異議2013900362 審決 商標
無効2012890055 審決 商標

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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W03
審判 一部申立て  登録を維持 W03
審判 一部申立て  登録を維持 W03
審判 一部申立て  登録を維持 W03
管理番号 1285638 
異議申立番号 異議2013-900224 
総通号数 172 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2014-04-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2013-07-12 
確定日 2014-03-03 
異議申立件数
事件の表示 登録第5572281号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5572281号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5572281号商標(以下「本件商標」という。)は、「ATROX」の欧文字を標準文字で表してなり、平成24年4月3日に登録出願、第1類「製造工程用電子部品洗浄剤,工業用接着剤,電子部品用接着剤,ポリマー樹脂,原料プラスチック,非鉄金属,写真材料」、第3類「せっけん類(電子機器用洗浄剤を含む)」、第6類「非鉄金属及びその合金,はんだ,棒はんだ,プリフォームはんだ,その他のはんだ付け用金属材料,糸はんだ,鉄及び鋼,はんだ付け用金属製ワイヤ,金属鉱石,金属製金具(「安全錠・鍵・鍵用金属製リング・南京錠」を除く。)」及び第9類「ICチップ」を指定商品として、同25年3月19日に登録査定、同年4月5日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

第2 登録異議の申立ての理由
1 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、以下の(1)ないし(7)のとおりであり、現に有効に存続しているものである。
(1)登録第918890号商標(以下「引用商標1」という。)は、「アトリクス」の文字を書してなり、昭和44年12月18日に登録出願、第4類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同46年8月2日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録が3回なされ、さらに、平成14年4月10日に第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類」を指定商品とする書換登録がなされ、さらにその後、商標権の存続期間の更新登録がなされているものである。
(2)登録第555715号商標(以下「引用商標2」という。)は、「ATRIX」の文字を書してなり、昭和34年9月23日に登録出願、第3類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同35年9月21日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録が3回なされ、さらに、平成14年2月6日に第3類「化粧品(化粧用染料・化粧用顔料を除く。)」を指定商品とする書換登録がなされ、さらにその後、商標権の存続期間の更新登録がなされているものである。
(3)登録第1010126号商標(以下「引用商標3」という。)は、「アトリックス」の文字を書してなり、昭和46年2月19日に登録出願、第4類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同48年4月23日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録が3回なされ、さらに、平成16年11月17日に第3類「化粧品」を指定商品とする書換登録がなされ、さらにその後、商標権の存続期間の更新登録がなされているものである。
(4)登録第1696612号商標(以下「引用商標4」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、昭和56年7月17日に登録出願、第4類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同59年6月21日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録が2回なされ、さらに、平成17年6月1日に第3類「化粧品」を指定商品とする書換登録がなされているものである。
(5)登録第5326572号商標(以下「引用商標5」という。)は、「アトリックス」の文字と「atrix」の文字とを上下二段横書きしてなり、平成21年10月13日に登録出願、第5類「薬剤」を指定商品として、同22年5月28日に設定登録され、その後、本件商標に係る商標権については、同年12月27日受付の一部放棄による本商標権の抹消登録の申請がされ、その指定商品中、「薬剤、但し衛生用薬剤を除く」についての登録の抹消がされているものである。
(6)国際登録第818481号商標(以下「引用商標6」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、2005年8月11日に国際商標登録出願(事後指定)、第3類「Cosmetics.」を指定商品として、平成18年12月28日に設定登録されているものである。
(7)国際登録第963574号商標(以下「引用商標7」という。)は、別掲3のとおりの構成よりなり、2008年4月17日に国際商標登録出願、第3類「Cosmetics.」を指定商品として、平成21年2月27日に設定登録されているものである。
2 具体的理由の要点
本件商標は、その指定商品中、第3類「せっけん類(電子機器用洗浄剤を含む)」についての登録は、商標法第4条第1項第11号及び同15号に違反してなされたものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきものである。
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 指定商品の抵触
本件商標の指定商品中、第3類「せっけん類(電子機器用洗浄剤を含む)」は、引用商標1の指定商品「せっけん類」と抵触する。
イ 本件商標と引用商標1との類否
本件商標は、「ATROX」の欧文字を横書きしてなるものであるから、その文字列に相応して「アトロクス」又は「アトロックス」の称呼を生ずる。
引用商標1は、「アトリクス」の片仮名を横書きしてなるものであるから、「アトリクス」の称呼を生ずる。
本件商標から生ずる「アトロクス」の称呼と引用商標1から生ずる「アトリクス」の称呼を比較すると、両者はいずれも5音の構成音からなり、前方の2音「ア」「ト」を共通にすると同時に、後方の2音「ク」「ス」も共通しており、中間の第3音において「ロ」と「リ」の1音の差異を有するにすぎない。
しかも、差異音である「口」と「リ」は、共に50音図の同行(ラ行)に属し、子音(r)が共通するものであって、その調音位置と発音方法を同じくするものであるから、その音感において近似する近似音であり、その差異が称呼全体に及ぼす影響はわずかなものである。
したがって、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは、全体の語感が近似したものとなり、聞き誤るおそれがある。
このような考えを裏付ける証拠として、中間部における「口」と「リ」の1音相違を称呼上類似と判断した審決例が多数存在する。
ウ 小結
したがって、本件商標は、引用商標1に類似するものであり、その指定商品中、第3類の指定商品は引用商標1の指定商品と抵触するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
ア 申立人の「atrix」「アトリックス」商標の周知・著名性
申立人は、1971年に「atrix」「アトリックス」の商標(以下「申立人商標」という。)を付したハンドクリームの販売を開始し、以来40年以上もの長きに亘って販売が継続してきた(甲9)。その結果、申立人商標は、我が国の需要者において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして周知・著名となっているといえる(甲10?甲16)。
イ 出所混同のおそれ
(ア)本件商標と申立人の周知・著名商標との類否
本件商標が、周知・著名商標である申立人商標と称呼が類似することは前述したとおりである。
そして、本件商標は全5文字中、申立人商標の欧文字部分と「A」「T」「R」「X」の4文字が、その順序においても共通するものである。
よって、本件商標は、周知・著名な申立人商標との間で出所の混同を生ずる程度に類似性が高いものである。
また、申立人商標は、特定の観念を生じさせない造語であり、極めて独創性の高い商標である。このように、造語より構成される創造商標については、一般に強い識別力が認められ、他人がその商標と類似するような商標を使用した場合には、既成語から構成される商標よりも、需要者に対する印象等から、出所の混同を生ずる幅は広いというべきである。
このことは、実際の裁判例(平成16年(行ケ)第256号ほか)においても、商標法4条1項15号の適用における商標の類似性の認定にあっては、通常の商標法4条1項11号の適用における類似性に比して、対比する商標間における共通する部分の記憶や印象を重視した認定がなされていることからも明らかである。
よって、本件商標と申立人商標は、仮に類似する商標ではないとしても、出所の混同を生じる程度には類似性の高い商標であると判断されて然るべきである。
(イ)申立人商標を使用する商品と本件商標の指定商品との関連性
申立人商標は、手荒れを労る製品として使われるハンドケアクリームに使用されている一方、本件商標の指定商品中、第3類「せっけん類(電子機器用洗浄剤を含む)」は、ハンドソープなど手洗い用せっけんを含んでいる。
そうすると、申立人商標の使用に係る商品と、本件商標を使用する商品とは、その需要者の範囲が一致する。また、これらの商品は、同じトイレタリーグッズ(せっけん・歯磨きなどの洗面用品を含む化粧品類)であることから、その取引者も販売場所(スーパー・ドラッグストア内の売り場)も一致しており、双方に商品上の密接な関連性を有している。
そのため、本件商標がその指定商品中、第3類「せっけん類(電子機器用洗浄剤を含む)」に使用された場合には、これに接する取引者・需要者は、それが申立人の業務に係る商品であるか、又は何らかの関連性のある商標であるかのように誤認し、あるいはその商品の出所について、申立人と何らかの経済的・組織的な関連があるかのように混同を生ずるおそれがある。
ウ 小結
したがって、本件商標は、申立人商標との間で出所の混同を生じるおそれのある商標であるから、商標法第4条第1項第15号に該当する。

第3 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、「ATROX」の欧文字よりなるところ、その構成文字に相応して、「アトロックス」の称呼を生じるものである。そして、該文字は、特定の意味合いを有しない造語と認められるものであるから、特定の観念を生じないものである。
他方、引用商標1は、上記第2に記載のとおり、「アトリクス」の片仮名よりなるところ、その構成文字に相応して、「アトリクス」の称呼を生じるものである。そして、該文字は、特定の意味合いを有しない造語と認められるものであるから、特定の観念を生じないものである。
そこで、本件商標と引用商標1との類否について比較するに、外観においては、上記したとおり、本件商標と引用商標1は、明らかに相違するものであるから、両者は、外観上明確に区別し得るものである。
次に、称呼においては、本件商標から生ずる「アトロックス」の称呼と、引用商標1から生ずる「アトリクス」の称呼とは、それぞれが比較的短い音構成である6音と5音であるばかりでなく、中間部において、「ロッ」と「リ」の差異を有するものである。そして、該「アトロックス」は、該「ロッ」が強く発音され、「アト」「ロックス」の如く2音節的に称呼されるといえるものである。
これに対し、該「アトリクス」は、中間部に促音を有していないことから、各音が平坦に発音され、称呼されるといえるものである。
そうすると、両称呼における音数、音構成の差異が全体の称呼に大きく影響を与え、両称呼をそれぞれ一連に称呼しても、音調、音感が異なり、称呼上明らかに聴別し得るものである。
また、観念においては、本件商標と引用商標1は、上記のとおり、特定の観念を生じないものであるから、両者は、観念上比較できないものである。
してみれば、本件商標と引用商標1とは、観念において比較できないとしても、外観及び称呼において相紛れるおそれのない非類似の商標と判断するのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
2 商標法第4条第1項第15号について
(1)申立人商標の著名性について
申立人提出の甲各号証及び申立人の主張によれば、申立人は、1971年に申立人商標を付したハンドクリームの販売を開始し、申立人の関連会社である花王株式会社及び合弁会社ニベア花王株式会社(以下「ニベア花王」という。)とともに、40年以上に亘り継続して販売を行ってきたものである。また、提出されたウェブサイト情報によれば、申立人商標が付されたハンドクリームが広く愛用されていることが認められるところである(甲9?甲15)。
そして、ニベア花王の経営管理部長の陳述書によれば、同社が販売した申立人商標を付したハンドクリームの売り上げは、2008年の21億2,700万円から毎年増え、2012年には、28億9,800万円となり、ハンドクリーム市場におけるシェアは、21.1%、シェア第1位となっている(甲16)。
そうとすれば、申立人商標が付されたハンドクリームは、一般の需要者がよく手にする商品であり、申立人商標は、申立人の業務に係る商品であることを表示するものとして、相当の知名度を有しているといい得るものであって、遅くとも本件商標の登録出願の日前から、取引者、需要者の間において、広く認識されていたものと認めることができ、その著名性は現在も継続しているものといえる。
(2)本件商標と申立人商標との類否について
本件商標は、前記1のとおり、「アトロックス」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
他方、申立人商標は、「atrix」及び「アトリックス」の欧文字及び片仮名であるところ、それぞれの構成文字に相応して、「アトリックス」の称呼を生じるものである。そして、該両文字は、特定の意味合いを有しない造語と認められるものであるから、特定の観念を生じないものである。
そこで、本件商標と申立人商標との類否について比較するに、外観においては、上記したとおり、本件商標と申立人商標の欧文字については、その綴りが相違し、また、片仮名とは明らかに相違するものであるから、両者は、外観上明確に区別し得るものである。
次に、称呼においては、本件商標から生ずる「アトロックス」の称呼と、申立人商標から生ずる「アトリックス」の称呼とは、ともに促音を含む6音という比較的短い音構成であるばかりでなく、中間部において、「ロッ」と「リッ」の差異を有するものである。そして、該「アトロックス」は、上記したとおり、該「ロッ」が強く発音されるものであるのに対し、該「アトリックス」は、中間部に促音を伴う「リッ」を有しており、該「リッ」が強く発音されるものである。そして、相違音である「ロッ」と「リッ」の音は、ともに強く発音されることで、明確に区別されるものであるから、両称呼をそれぞれ一連に称呼しても、音調、音感が異なり、称呼上明らかに聴別し得るものである。
また、観念においては、本件商標と申立人商標は、上記のとおり、それぞれ造語であって、特定の観念を生じないものであるから、両者は、観念上比較できないものである。
してみれば、本件商標と申立人商標とは、観念において比較できないとしても、外観及び称呼において相紛れるおそれのない非類似の商標あって、別異の商標と判断するのが相当である。
(3)出所の混同について
申立人商標の周知性については、上記(1)のとおり、その著名性が認められるものであるが、本件商標と申立人商標とは、上記(2)のとおり、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標あって、別異の商標というべきものである。
そうとすれば、商標権者が本件商標をその指定商品中、「せっけん類(電子機器用洗浄剤を含む)」に使用しても、これに接する取引者、需要者をして申立人商標を連想又は想起させるものとは認められず、その商品が申立人あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのごとく、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
3 まとめ
以上のとおり、本件商標の指定商品中、第3類の「せっけん類,(電子機器用洗浄剤を含む)」についての登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲1(引用商標4:色彩については原本参照)


別掲2(引用商標6:色彩については原本参照)


別掲3(引用商標7:色彩については原本参照)



異議決定日 2014-02-21 
出願番号 商願2012-25856(T2012-25856) 
審決分類 T 1 652・ 262- Y (W03)
T 1 652・ 263- Y (W03)
T 1 652・ 261- Y (W03)
T 1 652・ 271- Y (W03)
最終処分 維持  
前審関与審査官 津金 純子 
特許庁審判長 内山 進
特許庁審判官 小川 きみえ
井出 英一郎
登録日 2013-04-05 
登録番号 商標登録第5572281号(T5572281) 
権利者 アルファ・メタルズ・インク
商標の称呼 アトロックス 
代理人 齋藤 宗也 
代理人 山崎 和香子 
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト 
代理人 山崎 行造 

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