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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない X4144
管理番号 1285586 
審判番号 取消2012-300284 
総通号数 172 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2014-04-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2012-04-06 
確定日 2014-03-17 
事件の表示 上記当事者間の登録第5210394号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5210394号商標(以下「本件商標」という。)は、「シータヒーリング」の片仮名と「Theta Healing」の欧文字を二段に書してなり、平成19年12月19日に登録出願、第44類「マッサージに関するカウンセリング,心理療法によるカウンセリング,美容に関するカウンセリング」をはじめとする、第41類及び第44類に属する商標登録原簿に記載の役務を指定役務として、同21年3月6日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定役務について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実がないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)「株式会社レイコー」は、本件商標の商標権者であって通常使用権者ではない。このことは、請求人が甲第2号証にて明らかにしているとおりである。
(2)「カウンセリング」は商品ではなく、役務であり、また、該役務は、本件商標の指定役務中の「マッサージに関するカウンセリング,心理療法によるカウンセリング,美容に関するカウンセリング」に含まれない。
(3)乙第1号証には「無料説明会」なる催しが要証期間内である平成23年10月7日(金)に開催されることを示す記載はあるが、発行日の記載もなく、乙第1号証が、要証期間内に作成されて頒布等されたことを証明する根拠はない。
(4)さらに、乙第1号証には、「シータヒーリングは、脳をシータ脳波と呼ばれる状態へシフトさせ、深く集中した祈りのもとで、『万有の創造エネルギー』を通して心身のヒーリングを行なう瞑想のプロセスです。シータヒーリングのセッションを受けることで、今より素敵な生き方を見つけるヒントがきっと得られるはずです。」との記載がされているだけで、「シータヒーリング」なるものが指定役務のいずれかの役務に係る商標に該当するのか不明である。
(5)乙第1号証及び乙第2号証のいずれにも「シータヒーリング(Theta healing)」と表示されているものの、これらの表示がいずれかの指定役務の商標であることを示すものではない。
(6)被請求人が本件指定役務中第44類「マッサージに関するカウンセリング,心理療法によるカウンセリング,美容に関するカウンセリング」のいずれかを「カウンセリング」と誤認しているとしても、乙第1号証に記載の「シータヒーリング」に関する説明には、「カウンセリング」に相当する記載はなく、その使用を証明するものではない。
カウンセリングとは「個人のもつ悩みや問題を解決するため、精神医学・心理学等の立場から協力し助言を与えること。個人指導。身上相談。」(広辞苑 第五版)であるから、ヒーリングや瞑想プロセスとは異なるものである。
(7)乙第2号証(1)ないし(3)のいずれも、本件商標を含む「シータヒーリング依頼書」を書類の名称として、申込日・依頼者の住所・氏名・連絡先等の記載欄を印字したものであるが、要証期間内に頒布されたものであることを証明する記載はない。
また、乙第2号証(1)ないし(3)は、「申込日」の欄に日付を表す記載が手書きでなされているが、使用等された日付を客観的に証明するものではない。
すなわち、乙第2号証(1)ないし(3)は、要証期間内に作成され頒布され、使用されたものであるという、客観的な証明はなされていない。
さらに、乙第2号証(1)ないし(3)のいずれも依頼者情報なる欄に氏名等は記載されているが、これらが実在する人物に係る情報であることを証明する根拠はなく、また、乙第2号証(1)ないし(3)が記入された時期が要証期間内であることを客観的に証明するものではない。これらは、本事件に係る審判請求書の副本の送達後においても、作成することが十分に可能なものである。
(8)乙第3号証が、仮に、乙第1号証に記載されている「シータヒーリング出張説明会」の様子を撮影したものであるとしても、複数の人が談笑している様子を表すだけであるから、指定役務のいずれが提供されているのか不明である。また、乙第3号証の写真が撮影された日付も不明であり、乙第3号証には、乙第2号証(1)ないし(3)に氏名が記載された3名の人物が含まれていると明記されているが、それらを客観的に証明する根拠は明示されていない。
また、乙第3号証には、乙第1号証に顔写真が掲載されている「プラクティショナー:坂本■■」なる人物が含まれているかどうかも定かではなく、被請求人の主張には根拠がない。
3 口頭審理における陳述
被請求人は、乙第1号証を要証期間内に頒布したことの確かな証拠を提出することは不可能である旨述べ、また、本件商標を要証期間内に日本国内において使用した事実を立証する新たな証拠を提示していない。
4 まとめ
以上のとおり、本件商標が、その指定役務について継続して3年以上日本国内において使用された事実は、被請求人提出の証拠で得ることはできない。
よって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消されるべきものである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第3号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 理由
本件商標の通常使用権者である「株式会社レイコー」は、本件審判の請求の登録前3年以内に我が国においてその請求に係る指定商品中第44類「カウンセリング」について、本件商標を使用している。
2 本件商標の使用の事実
(1)商標の使用者
乙第1号証「シータヒーリング無料説明会チラシ」及び乙第2号証「シータヒーリングの依頼書」には、「株式会社レイコー」及び「茨城県つくば市東新井2-1」が表示されている。
(2)使用に係る役務
乙第1号証及び乙第2号証には、役務名及びその料金が記載されている。また、乙第3号証には役務を行なっている様子が写真として記載されている。
(3)使用に係る商標
乙第1号証及び乙第2号証には、本件商標が記載されている。
(4)使用時期
乙第1号証及び乙第2号証には、「日時:平成23年10月7日」と記載されている。
3 口頭審理における陳述
(1)乙第1号証のチラシ内容に記載されている「集中した祈り」「瞑想」「心身のヒーリング」という言葉から、この役務が心理的な要素を含む治療であることを容易に連想させる。「心理療法」と直接的に明記していないのは、この役務が医療行為と誤認されることを避けるためである。また、「プラクティショナー」は「施術者」であり、「プラクティショナーが個人別にセッションを実施いたします。」との記述は、この役務が個別に立ち会いのもと実施する施術であることを明確にしている。
(2)商標権者が乙第1号証のチラシを本件審判請求の登録前3年以内に頒布したことが確認できないという点については、ポスティングや手渡しなどで配ったため確かな証拠を提示することは不可能である。ただし、チラシを頒布した人物に証人として証言してもらうことは可能である。また、商標権者は、この役務の特性上、一度に大勢を相手にすることはできないため、大規模な広告は適切でなく、シータヒーリングなる役務について新聞広告を行っていない。
(3)本件商標を使用している役務は、本件指定役務中の「心理療法によるカウンセリング」である。
(4)乙第1号証は、商標権者がパソコンで作成したものである。
(5)乙第2号証の依頼書は、商標権者が作成した依頼書を事前に配布し、シータヒーリングなる施術を希望する者が申込日及び依頼者情報を記載したものである。
4 まとめ
以上のとおり、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者により指定役務中「心理療法によるカウンセリング」について使用していることが明らかであるから、本件審判の請求は成り立たない。

第4 当審の判断
1 被請求人の提出の乙各号証によれば、次のとおりである。
(1)乙第1号証は、「今より素敵な生き方、見つけませんか?」の見出しの下に、「シータヒーリング(Theta healing)●」(審決注:「●」は、○内に「R」の記号。以下同じ。)「出張説明会開催決定!」の副題があり、「シータヒーリングは、脳をシータ脳波と呼ばれる状態へシフトさせ、深く集中した祈りのもとで、『万能の創造エネルギー』を通して心身のヒーリングを行なう瞑想のプロセスです。」「シータヒーリングのセッションを受けることで…」の記載があり、その下に「お集まり頂いた皆様に、シータヒーリングについて簡単にご説明させて頂きます。ご希望される方には、プラクティショナーが個人別にセッションを実施いたします。」「日時:平成23年10月7日(金)」「会場:埼玉県熊谷市永井太田…河邊様宅」「個人セッション:5,000円/30分」及び「プラクティショナー:坂本 ■■」の記載、最下部に「[主催]株式会社レイコー 305-0033 茨城県つくば市東新井 2-1 KMS.S-II 3F」の記載とともに、電話番号・FAX番号が記載されている。
(2)乙第2号証(1)ないし(3)は、「シータヒーリング(Theta healing)●依頼書」の写しであり、いずれにも「日時:平成23年10月7日(金)」「会場:埼玉県熊谷市永井太田…河邊様宅」「料金:30分/5,000円…」「申込日: 年 月 日」と記載され、中央に「依頼者情報」として、「氏名(フリガナ)」「生年月日」「住所」「TEL」及び「FAX」の欄があり、最下部に「株式会社レイコー」「〒305-0033 茨城県つくば市東新井 2-1 KMS.S-2 3F」の記載とともに、電話番号・FAX番号が記載されている。なお、上記記載内容は印刷されているものである。
(3)そして、乙第2号証(1)ないし(3)の「申込日:」には、いずれにも、「23(年)10(月)7(日)」の記入がある。また、「依頼者情報」の「氏名」及び「住所」の項には、それぞれ、「河辺■■」及び「熊谷市永井太田…」、「河辺■■」及び「熊谷市永井太田…」、「岩崎■■」及び「熊谷市飯塚…」と記入されているとともに、いずれにも「生年月日」及び「TEL」の欄に記入がある。なお、いずれの記入も手書きによるものである。
2 前記1及び被請求人の主張によれば、次の事実を認めることができる。
(1)株式会社レイコーは、「シータヒーリング(Theta healing)」についての出張説明会を平成23年10月7日に埼玉県熊谷市の河邊氏宅で行うこととし、その案内(乙第1号証)を作成した。
(2)乙第2号証(1)ないし(3)は、これらに印刷された文字及び手書きで記入された文字の記載内容からすれば、株式会社レイコーが用意した(書式印刷されている)「シータヒーリング(Theta healing)●依頼書」なる書面(以下「本件依頼書」という。)に、河辺■■、河辺■■及び岩崎■■が、それぞれ、平成23年10月7日に記入し(以下、記入済みの依頼書を「記入済み依頼書」という。)、「シータヒーリング」なるセッションを受けることを依頼したとみるのが自然である。
(3)そして、記入済み依頼書の記入日(申込日)が本件依頼書の日時と同じ平成23年10月7日であること(上記1(1)(3))、本件依頼書は株式会社レイコーが用意したものとみるのが自然であること(上記(2))に加え、一般にこのような書面は、主催者が開催日前ないし当日にある程度の数を配布するといえることをあわせみれば、主催者である株式会社レイコーは、配布の開始日は明らかではないが、少なくとも開催日の前から、又は開催日である平成23年10月7日に本件依頼書を頒布したと推認することができる。
3 判断
(1)使用者について
上記2(3)の「本件依頼書」を頒布した「株式会社レイコー」は、その依頼書に記載された名称及び住所(上記1(2))が本件商標の商標権者のそれと一致することから、商標権者と認められる。
(2)使用する商標について
上記2(3)の株式会社レイコーが頒布した「本件依頼書」に表示された「シータヒーリング(Theta healing)」の文字(以下「使用商標」という。)と、上記第1のとおり「シータヒーリング」及び「Theta Healing」の文字からなる本件商標とは、一行構成と二段書きの構成、括弧の有無及び「H(h)」の文字における大文字、小文字の差異を有するものの、両者は構成文字を共通にするから、使用商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標といえる。
(3)使用する役務について
「株式会社レイコー」が提供する「シータヒーリング(Theta healing)」なるセッション(以下「使用役務」という。)は、心身のヒーリングを行うこと及び個人別に30分行われるものであることが認められ、心身のヒーリングと心理療法とは密接な関係にあること、及び心理療法は個人別に行われる場合も少なくないことをあわせみれば、使用役務は「心理療法によるカウンセリング」の範ちゅうに属する役務とみて差し支えない。
そうすると、使用役務は、本件審判の請求に係る指定役務中「第44類 心理療法によるカウンセリング」の範ちゅうに属する役務ということができる。
(4)使用時期について
上記2(3)の「本件依頼書」を頒布した平成23年10月7日(及びそれ以前のころ)は、本件審判の請求の登録(登録日は平成24年4月25日)前3年以内である。
(5)そして、上記2(3)の「本件依頼書」は、「株式会社レイコー(商標権者)」が使用役務の提供について、依頼を受けたことの証となる書類であることからすれば、使用役務に関する取引書類というべきである。
(6)以上のとおり、商標権者である株式会社レイコーは、本件審判の請求の登録前3年以内にその請求に係る指定役務中「第44類 心理療法によるカウンセリング」の範ちゅうに属する役務に関する取引書類に本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)を付して頒布した(商標法第2条第3項第8号)ということができる。
(7)請求人の主張について
請求人は、乙第2号証(1)ないし(3)は、「依頼者情報」の欄に氏名等は記載されているが、これらが実在する人物に係る情報であることを証明する根拠はなく、また、記入された時期が要証期間内であることを客観的に証明するものではない旨主張する。
しかしながら、乙第2号証(1)ないし(3)については、上記のとおり判断するのが相当であるし、「記入済み依頼書」の人物が実在することに疑義があるというべき事情は見いだせないから、請求人の主張は採用することができない。
4 まとめ
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者がその請求に係る指定役務中「第44類 心理療法によるカウンセリング」の範ちゅうに属する役務について本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていることを証明したというべきである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すべきではない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2012-12-10 
結審通知日 2012-12-12 
審決日 2012-12-27 
出願番号 商願2007-129063(T2007-129063) 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (X4144)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 堀内 真一 
特許庁審判長 森吉 正美
特許庁審判官 梶原 良子
堀内 仁子
登録日 2009-03-06 
登録番号 商標登録第5210394号(T5210394) 
商標の称呼 シータヒーリング、シータ、ヒーリング 
代理人 石橋 佳之夫 
代理人 西村 啓一 

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