• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X07
管理番号 1285520 
審判番号 取消2013-300332 
総通号数 172 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2014-04-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2013-04-24 
確定日 2014-02-10 
事件の表示 上記当事者間の登録第2122163号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第2122163号商標の指定商品中、第7類「土木機械器具、荷役機械器具」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第2122163号商標(以下「本件商標」という。)は、「ハコポット」の文字を書してなり、昭和61年12月20日に登録出願、第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成元年3月27日に設定登録され、その後、同21年3月4日に指定商品を第7類「金属加工機械器具,鉱山機械器具,土木機械器具,荷役機械器具,漁業用機械器具,化学機械器具,繊維機械器具,食料加工用又は飲料加工用の機械器具,製材用・木工用又は合板用の機械器具,パルプ製造用・製紙用又は紙工用の機械器具,印刷用又は製本用の機械器具,ミシン,農業用機械器具,靴製造機械,製革機械,たばこ製造機械,ガラス器製造機械,塗装機械器具,包装用機械器具,陶工用ろくろ,プラスチック加工機械器具,半導体製造装置,ゴム製品製造機械器具,石材加工機械器具,動力機械器具(陸上の乗物用のものを除く。),陸上の乗物用の動力機械の部品,風水力機械器具,機械式の接着テープディスペンサー,自動スタンプ打ち器,業務用電気洗濯機,修繕用機械器具,機械式駐車装置,乗物用洗浄機,業務用撹はん混合機,業務用皮むき機,業務用食器洗浄機,業務用切さい機,業務用電気式ワックス磨き機,業務用電気掃除機,芝刈機,電動式カーテン引き装置,廃棄物圧縮装置,廃棄物破砕装置,機械要素(陸上の乗物用のものを除く。)」とする指定商品の書換登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録は、平成25年5月16日にされているものである。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第8号証(枝番を含む。)を提出した。
1 請求の理由
被請求人は、本件商標を、その指定商品中、「土木機械器具,荷役機械器具」については継続して3年以上日本国内において使用していない。また、本件商標について専用使用権者は存在せず、通常使用権者として本件商標を使用している者も存在しない。
したがって、本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、その指定商品中上記商品につき使用されていないものであるから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)本件商標の使用に係る商品について
ア 被請求人は、乙各号証を示して、本件商標の使用に係る商品(以下「使用商品」という。)を「植物の生育用の『育苗箱』」と主張しているところ、請求人は、このことについては争わない。
イ 被請求人は、乙第3号証ないし乙第5号証を示して、使用商品が、搬送コンベヤーとの組み合わせにより、培土や種子を搬送するための「コンベヤ一用育苗箱」を構成するものであって、「荷役機械器具の部品及び付属品」及び「コンベヤーの部品及び付属品」に該当するものであるから、結局、本件商標は、その指定商品中の「荷役機械器具」について使用されているものである旨主張している。
しかしながら、商品「育苗箱」は、特許庁IPDLの「商品・役務名リスト」において、「育苗ポット」、「育苗鉢」、「育苗用栽培トレイ」、「育苗用容器」、「種子又は苗を入れて栽培するのに用いる育苗ポット」等が検索されることからすれば、これに当たると思料され、また、これらの商品の類似群コードはいずれも「19B32」である(甲2の1)のに対し、「土木機械器具、荷役機械器具」の類似群コードは「09A03」であることから、使用商品である「育苗箱」と「荷役機械器具」とは明確に区別されるものである(甲3)。
したがって、被請求人が本件商標を使用しているのは「荷役機械器具」ではなく「育苗箱」であり、被請求人は、本件商標を「荷役機械器具」には使用していない。
ウ 乙第5号証の特許公開公報に係る発明について
(ア)被請求人が乙第5号証として提出した特許公開公報の「【要約】」における「【課題】」の項の記載によれば、当該発明は、「苗移植機に使用する長方形の育苗箱について、その幅寸法によることなく、共通に適用することができる簡易な構成の播種機を提供する。」とあり、当該発明が播種機であることを示している。そして、「【特許請求の範囲】」の各項の記載は、当該発明が播種機であることを明確に示している。
また、長方形の育苗箱に使用する播種機には、コンベヤーを利用したタイプのものだけではなく、固定した育苗箱の上に種子投入装置を移動させ、育苗箱は手作業にて交換するタイプ等、様々な種類のものが市販されている(甲4及び甲5)。
したがって、上記発明にコンベヤーが含まれていたとしても、コンベヤーはあくまで当該発明の一要素を構成しているにすぎず、当該発明が搬送コンベヤーではなく、播種機であると思料する。
ここで、商品「播種機」は、特許庁IPDLの「商品・役務名リスト」において、「播種機(機械)」が検索されることからすれば、これに当たると思料され、また、当該商品の類似群コードは「09A41」である(甲2の2)のに対し、「荷役機械器具の部品及び附属品」、「コンベヤーの部品及びその附属品」等は類似群コードが「09A03」であり、また同様に、「土木機械器具、荷役機械器具」の類似群コードは「09A03」であることから、「播種機」と「荷役機械器具」、「コンベヤー」、「荷役機械器具の部品及び付属品」及び「コンベヤーの部品及び付属品」とは明確に区別されるものである(甲2の3及び甲3)。
したがって、被請求人が使用商品と組み合わせて使用しているものは、「荷役機械器具」ではなく「播種機」であり、被請求人は、本件商標を「荷役機械器具」には使用していない。
(イ)被請求人が乙第5号証として提出した特許公開公報の「【要約】」における「【課題】」の項の記載内容は、当該発明が、専ら使用商品にのみ適用されるものではなく、「苗移植機に使用する長方形の育苗箱」について、汎用的に適用できるものであることを示しており、また、育苗箱が、播種機よりも苗移植機に帰属していることを示している。つまり、当該発明は、「苗移植機に使用する長方形の育苗箱」に播種する機械であり、使用商品である育苗箱は、播種機の部品であるというよりも、播種機が作用する対象の一つであると思料する。
また、乙第2号証は、使用商品が単独で取引されている事実を示すものであり、必ずしも乙第5号証に示される播種機とともに取引される、あるいは播種機とともに使用されるものではないことを示している。
さらに、育苗箱の使用においては、播種作業の際も、必ずしも播種機と組み合わせて作業することはなく、ブラシ、ローラー、播種板等を用い、手作業にて播種作業を実施し、使用することができるものである(甲6及び甲7)。そして、手作業による育苗箱への土詰め、播種作業については、被請求人のホームページ上においても、その手順を動画にて紹介しているものである(甲8)。
したがって、使用商品は、乙第3号証に示されるように播種機と組み合わせて使用されることがあるとしても、そのことを根拠に、「被請求人が荷役機械器具あるいはコンベヤーであると主張する播種機」の部品及び付属品に該当するとの主張は妥当ではない。
3 まとめ
以上の事実から、被請求人は、本件商標をその指定商品中の「土木機械器具、荷役機械器具」について、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において使用しているとはいえず、「土木機械器具、荷役機械器具」についての本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきものである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第5号証(枝番を含む。)を提出した。
1 答弁の理由
(1)被請求人の本件商標の使用状況について
被請求人は、現在、商品を梱包する段ボール箱に、本件商標の称呼と同一の「箱ポット」という商標(以下「使用商標」という。)を付して使用を継続している(乙1)。そして、商品の受領書においても、品名として使用商標を使用している(乙2の1ないし4)。
使用商品は、植物の生育用の「育苗箱」である。当該「育苗箱」は、紙製であって、縦横に仕切壁を形成して複数の容器状に構成したものであり、播種装置の搬送コンベヤー上にセットされると、左右の搬送ガイドによって姿勢を保持された状態で所定方向に移動する。そして、当該播種装置とは、「育苗箱」を搬送する複数の搬送ローラによって構成されるローラコンベヤー、このローラコンベヤーの左右両側に設けられて「育苗トレイ」の姿勢を保持する左右の搬送ガイド、培土を「育苗トレイ」に投入する培土投入装置、植物の種子を「育苗トレイ」に投入する種子投入装置、及び種子を培土に埋める覆土装置から構成されるものである(乙3ないし乙5)。
したがって、使用商品は、搬送コンベヤーとの組合せにより、培土や種子を搬送するための「コンベヤー用育苗箱」を構成するものである。
(2)使用商標及び使用商品について
搬送コンベアと一体となって培土や種子を搬送するコンベヤー用トレイとしての「育苗箱」は、「荷役機械器具の部品及び付属品」及び「コンベヤーの部品及び付属品」に該当するものであるから、結局、本件商標は、その指定商品中の「荷役機械器具」について使用されているものである。
また、本件商標「ハコポット」と使用商標「箱ポット」とは同一の称呼及び観念を生じるので、使用商標は、商標法第50条に規定する「登録商標」に該当するものである。
(3)被請求人は、本件商標について、平成11年及び平成21年の2度にわたり、更新登録手続を行っており、本件商標の登録を取り消されることは、権利関係に大きな影響を及ぼしかねないものである。
2 まとめ
以上のとおり、被請求人が本件商標を3年以上継続して使用していないという事実はなく、請求人の主張の根拠は存在しない。

第4 当審の判断
1 被請求人の提出した乙各号証及び同人の主張によれば、以下の事実が認められる。
(1)乙第1号証は、2013年6月12日を撮影日とする、「本件商標を付した段ボール箱」(写真2葉)及び「本件商標を使用する段ボールと包装されている育苗箱」(写真1葉)とされるものであるところ、前者には、側面部分に「ISEKI」、「特許出願公告」、「純正商品」、「箱ポット」、「18条」及び「井関農機株式会社」の各表記がなされた段ボール箱が写っており、また、後者には、上蓋部分が開かれた前者と同様の段ボール箱の中に、黒色の包装用袋に収められている縦横に細かい仕切り線のようなものが設けられた白色の物が写っているが、その詳細な形状は不明である。
(2)乙第2号証の1ないし4は、それぞれ平成23年3月24日付け、平成24年3月26日付け、平成25年3月21日付け及び平成25年3月25日付けの「受領書」(写し)とされるものであって、そのいずれにも「大石産業株式会社(福岡県北九州市)迄」及び「井関農機 株式会社 関東支店 御中」の記載があるほか、乙第2号証の1及び4には、いずれも「940-0205/新潟県長岡市栄町2-2-4」及び「お届け先/新潟県(有)大崎勉治商店」の記載並びに品名欄に「箱ポット 16条(ケース)」の記載及び受領印欄に「大崎」の印影等があり、また、乙第2号証の2及び3には、いずれも「950-0000959-1311/新潟県加茂市加茂新田6302」及び「お届け先/新潟県(有)岡農機」の記載並びに品名欄に「箱ポット 18条(ケース)」の記載等がある。
(3)乙第3号証は、2013年4月25日を撮影日とする、「本件商標を使用する育苗箱の作業風景」(写真2葉)とされるものであるところ、上段の写真には、作業場と思しき場所において、4名の者がホッパーその他の機器が一列に配置されている装置の周囲で何らかの作業をしている様子及び乙1号証の写真に写っている物と同様の「段ボール箱」が山積みにされている様子が写っており、また、下段の写真には、2名の者が上段の写真に写っている装置上にある白色の細かな升目様の物に何かを入れている様子が写っている。
(4)乙第4号証は、2013年4月25日を撮影日とする、「本件商標を使用する育苗箱に土砂と種子を投入した写真」(写真1葉)とされるものであるところ、黒色の横長長方形の箱内に、ごく小さな白色の筒様の物であって縦18列及び横19列に並べたものを一つのまとまりとするものが左右に分けて入っている様子が写っている。
(5)乙第5号証は、出願人を「井関農機株式会社」とする「公開特許公報」(特開2013-74828号)の写しであり、以下の記載が認められる。
ア 「【発明の名称】」の項に「播種機」と記載され、「【要約】」における「【課題】」の項に「苗移植機に使用する長方形の育苗箱について、その幅寸法によることなく、共通に適用することができる簡易な構成の播種機を提供する。」と記載されている。
イ 「【発明の詳細な説明】」における「【技術分野】」の項に「本発明は、搬送装置に床土詰部、播種部等の各作業部を備えて苗移植機用の育苗箱に播種する播種機に関する。」と記載され、同じく、「【背景技術】」の項に「【0002】育苗箱は、苗移植機に適合するマット苗を形成するための所定の長方形状の浅底容器である。播種機は、そのような育苗箱に種籾を播種するために、育苗箱を搬送するベルト等による搬送装置の搬送経路上にその搬送方向に沿って底土散布装置、播種装置、覆土装置等の作業装置を備えて構成される。(中略)このような構成の播種機は、長方形状の育苗箱をその長手方向に搬送することにより、搬送行程に沿って安定して底土散布、播種、覆土等が順次実施されて育苗準備することができる。」及び「【0003】上記播種機によって播種された育苗箱は、所定の苗高まで育苗された時点で苗移植機により圃場に株分け移植が行われる。苗移植機による苗株の植付けは、苗の集合体であるマット状苗を育苗箱から取出して植付け条間距離(例えば30cm)と対応する幅寸法の苗載部に植付け条別にセットすることにより、所定の条間距離で複数条の苗植付けを行うことができる。」と記載されている。
2 請求人の提出した甲各号証及び同人の主張によれば、以下の事実が認められる。
(1)甲第4号証は、ヤンマー株式会社の「野菜播種機 総合カタログ」(2011年7月作成)とされるものであるところ、「育苗資材」の見出しの下、「野菜トレイ(農水省規格)」の項に「ヤンマー野菜播種機、野菜移植機に使用できる専用トレイです。受皿に水稲用育苗箱が使え、また繰り返し使えて経済的。」及び「野菜の種類に合わせて5タイプ準備しています。」の記載とともに、「20角-288穴 花卉用トレイ」、「25角-200穴 レタス用トレイ」及び「30角-128穴 白菜・キャベツ・ブロッコリー用トレイ」の各表示とそれぞれの穴数に応じた升目様の仕切りが設けられた黒色の商品(トレイ)の画像が掲載されている。
また、「野菜専用育苗箱」の項に「野菜トレイにぴったり合った育苗箱です。」等の記載とともに、黒色長方形からなる商品(育苗箱)の画像が掲載されている。
さらに、「野菜播種機」(SV400S)の見出しの下、「トレイ、養土、種子、覆土を供給すれば、一連の作業が自動化でき、400箱/時という高能率を実現します。」等の記載とともに、ホッパー、播種装置及び灌水装置等が一列に配置された当該「播種機」の画像が掲載され、かつ、その画像に映し出されている商品のどの箇所において「トレイ連続供給→養土充填→灌水→鎮圧穴あけ→播種→覆土→灌水」という一連の作業が行われるかが視覚的に分かるように説明がされている。
(2)甲第5号証の1は、株式会社スズテックの「播種機総合カタログ 2013年」(2013年1月作成)とされるものであるところ、そのうち、例えば「THS3208」と称する商品(播種機)の紹介欄には、ホッパー、播種装置及び灌水装置等が一列に配置された当該「播種機」の画像が掲載されているほか、「全自動」、「条散播兼用」、「能力 300箱/時」、「土入れ→溝付→播種→鎮圧→灌水→覆土→仕上り」等の記載がある。
また、上記カタログには、「播種機関連商品」の一つとして、「育苗箱」の見出しの下、「『すくすく』(散播専用)水の必要な外側は大きな溝に、水持ちの良い中央部は小さな溝」及び「『ニューライン』(条播・散播兼用)根がらみが良くマット強度抜群」の各記載とともに、2種類の黒色長方形からなる商品(育苗箱)の画像が掲載されている。
(3)甲第7号証は、日本甜菜製糖株式会社の「ニッテンペーパーポット 総合カタログ」とされるものであるところ、「ペーパーポットは、日本甜菜製糖(株)が開発した、特殊加工された紙製の移植作物用集合鉢です。紙製の鉢は、根に酸素や水分が均一に供給されるため、健苗育成が可能です。育苗中の根巻きがなく、根張りも素直で良好です。」の記載があるほか、「育苗箱」の見出しの下、「水稲育苗箱(中成苗用) ペーパーポット・チェーンポットに最適です。」、「ニッテン育苗箱 箱の内側にある爪でペーパーポットがセットできます。」、「T-1育苗箱 5cm高さのペーパーポット規格に最適です。」及び「NK-1育苗箱 箱の内側にある爪でペーパーポットがセットできます。」の各記載とともに、4種類の黒色又は紺色長方形からなる商品(育苗箱)の画像が掲載されている。
また、上記カタログには、「土詰・播種機」の一つとして、「土詰播種一貫機」と称するホッパー及び播種装置等が一列に配置された商品の画像が掲載されており、そこには「苗箱供給→土詰→播種穴あけ→播種→覆土→鎮圧の一連の作業を自動で行います。」及び「作業効率 170?300箱/時(50Hz・60Hz)可変速」等の記載がある。
3 上記1及び2において認定した事実に基づき、本件商標が取消請求に係る指定商品に使用されたか否かにつき、以下判断する。
(1)使用商品について
被請求人は、使用商品が紙製で、縦横に仕切壁を形成して複数の容器状に構成した植物の生育用の「育苗箱」であると主張している。
ところで、商品「育苗箱」とは、作物の苗が圃場に株分け移植するに適した状態に至るまでの間育苗するための長方形の箱状容器であって、良好な育苗のための水分供給や根付き等に関する工夫が施されているものといえる。
また、育苗箱で苗を育てる場合、苗の移植時における一定間隔の保持や移植作業の効率向上等に資するべく、育苗箱の中に仕切様の物をセットし、それによって仕切られた区画ごとに播種、育苗がされるものといえる。
さらに、育苗箱を用いた育苗に先立つ播種は、商品「播種機」を用いて行うことがあるところ、当該商品の中には、「土入れ」、「播種」、「覆土」、「灌水」等の作業を一連に効率良く進められるように、育苗箱を搬送するための装置上に一列に上記各作業用の装置を配置したものもある。
以上を踏まえて、被請求人が主張する上記「育苗箱」についてみるに、乙第1号証の写真(下段)には、その詳細な形状は不明であるものの、縦横に細かい仕切り線のようなものが設けられた白色の物が写っており、また、乙第4号証の写真には、黒色の横長長方形内に、ごく小さな白色の筒状の物であって縦18列及び横19列に並べたものを一つのまとまりとするものが写っているところ、これらに共通する白色の物は、上述した育苗箱の中にセットして用いる仕切様の物に相当するというべきであり、それは、「育苗箱」とともに用いるものではあっても、「育苗箱」とは別異の商品といわなければならない。
また、上記育苗箱の中にセットして用いる仕切様の物は、上述のとおり、苗の移植時における効率向上等に資するべく用いられるものであって、それによって仕切られた区画ごとに播種、育苗がされることになるものである。
してみれば、使用商品は、主として農業において用いられる商品とみるのが相当であり、これを専ら土木工事に使用される「土木機械器具」や専ら荷役に使用される「荷役機械器具」の範ちゅうに属する商品とみることはできない。
なお、被請求人は、使用商品について、搬送コンベヤーとの組み合わせにより、培土や種子を搬送するための「コンベヤー用育苗箱」を構成するものである旨主張するところ、当該主張は、育苗箱を搬送するための装置を備えた「播種機」の動作の観点から独自の見解を述べたにとどまるというべきものであり、また、使用商品は、上述のとおり、「育苗箱」とは別異の商品というべきものであるから、当該主張を採用することはできない。
(2)使用商標について
使用商標は、上記1(1)のとおり、「箱ポット」の文字からなるものであり、これより、「ハコポット」の称呼を生じ、特定の観念は生じない。
他方、本件商標は、前記第1のとおり、「ハコポット」の片仮名からなるものであり、これより、「ハコポット」の称呼を生じ、特定の観念は生じない。
そこで、本件商標と使用商標とを比較するに、両商標は、いずれも「ハコポット」の称呼を生じるものであるが、外観上、その構成文字において「ハコ」と「箱」という明らかな差異があり、また、本件商標を構成する「ハコポット」の片仮名から「箱ポット」の文字のみが直ちに想起されるとはいい難い。
してみれば、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標と認めることはできない。
(3)小括
上記(1)及び(2)によれば、被請求人は、本件商標(社会通念上同一の商標を含む。以下同じ。)を本件審判の請求に係る指定商品「土木機械器具,荷役機械器具」について使用していたとは認められない。
その他、本件商標が上記指定商品「土木機械器具,荷役機械器具」について使用されていたことを認めるに足る証拠は提出されていない。
4 まとめ
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが請求に係る指定商品「土木機械器具,荷役機械器具」について、本件商標を使用していたことを証明したものと認めることはできない。
また、被請求人は、上記指定商品について本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その指定商品中「結論掲記の商品」について取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2013-11-19 
結審通知日 2013-11-22 
審決日 2013-12-24 
出願番号 商願昭61-133727 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (X07)
最終処分 成立  
特許庁審判長 水茎 弥
特許庁審判官 梶原 良子
田中 敬規
登録日 1989-03-27 
登録番号 商標登録第2122163号(T2122163) 
商標の称呼 ハコポット 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ