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審判番号(事件番号) データベース 権利
異議2012900346 審決 商標
異議2013900175 審決 商標

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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W0942
審判 全部申立て  登録を維持 W0942
審判 全部申立て  登録を維持 W0942
審判 全部申立て  登録を維持 W0942
審判 全部申立て  登録を維持 W0942
管理番号 1284366 
異議申立番号 異議2013-900055 
総通号数 171 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2014-03-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2013-02-25 
確定日 2014-01-27 
異議申立件数
事件の表示 登録第5538392号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5538392号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5538392号商標(以下「本件商標」という。)は、「IC Cat’s」の欧文字及び記号を標準文字で表してなり、平成24年6月24日に登録出願、第9類「電気通信機械器具,電子計算機用プログラム,電子応用機械器具及びその部品,家庭用テレビゲーム機用プログラム,携帯用液晶画面ゲーム機用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,電子出版物」及び第42類「電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供」を指定商品及び指定役務として、同年11月8日に登録査定、同月22日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は、以下の(1)ないし(6)に示すとおりのものである。
(1)商願2007-88795(以下「引用商標1」という。)
商標の構成 別掲1のとおり
出願日 平成19年8月14日
指定商品及び指定役務 平成23年6月17日付け手続補正書及び同25年7月1日付け手続補正書に記載された第7類、第9類、第12類、第35類、第37類、第39類、第40類及び第42類に属する商品及び役務
(2)商願2007-88793(以下「引用商標2」という。)
商標の構成 CAT(標準文字)
出願日 平成19年8月14日
指定商品 平成23年6月20日付け手続補正書及び平成25年7月1日付け手続補正書に記載された第9類、第35類、第37類、第39類、第40類及び第42類に属する商品及び役務
(3)登録第5588584号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成 別掲2のとおり
出願日 平成19年10月4日
指定商品 第4類、第7類、第9類、第12類及び第17類に属する商標登録原簿に記載の商品
(4)登録第401687号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の構成 「CAT」
出願日 昭和25年11月22日
登録日 昭和26年8月9日
指定商品(指定商品の書換登録後) 第7類、第9類及び第12類に属する商標登録原簿に記載の商品
(5)登録第2560864号商標(以下「引用商標5」という。)
商標の構成 別掲1のとおり
出願日 昭和64年1月5日
登録日 平成5年7月30日
指定商品(指定商品の書換登録後) 第9類、第20類及び第28類に属する商標登録原簿に記載の商品
(6)登録第4138519号商標(以下「引用商標6」という。)
商標の構成 別掲1のとおり
出願日 昭和64年1月5日
登録日 平成10年4月24日
指定商品(指定商品の書換登録後) 第9類に属する商標登録原簿に記載の商品
なお、引用商標1ないし引用商標6をまとめて「引用商標」という。また、別掲1の構成からなる商標を「引用ロゴ商標」という場合があり、「CAT」の文字のみからなる商標を「引用CAT商標」という場合がある。

3 登録異議申立ての理由
本件商標は、以下のとおり、商標法第8条第1項、同法第4条第1項第11号、第15号及び第8号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取消されるべきものである。
(1)商標法第8条第1項及び同法第4条第1項第11号について
ア 指定商品・役務の抵触
本件商標は、その指定商品中、第9類「電気通信機械器具、電子計算機用プログラム,電子応用機械器具及びその部品」が引用商標1ないし4及び6の指定商品と、第9類「家庭用テレビゲーム機用プログラム,携帯用液晶画面ゲーム機用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM」が引用商標1及び5の指定商品と類似する。また、その指定役務中、第42類「電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供」は、引用商標1及び2の指定役務と類似する。
イ 本件商標と引用商標の比較検討
(ア)引用商標より生じる称呼
引用商標は、欧文字「CAT」若しくはロゴ化された「CAT」から構成されている。「CAT」は、極めて平易な単語であり、「キャット」の称呼が生じる。
(イ)本件商標より生じる称呼
本件商標「IC Cat’s」は、「IC」と「Cat’s」の間にスペースが配されていることから、外観構成上・視覚上、「IC」と「Cat’s」に分断して認識される。
「IC」は、集積回路(Integrated circuits)」の略称として一般に広く知られており(甲9)、単に商品等の品質や用途等を表示しているに過ぎず、自他商品等識別機能を発揮しない。即ち、本件商標の自他商品等の識別力を有する部分は、後半の「Cat’s」部分である。
そして、本件商標全体から生じる「アイシーキャッツ」の称呼が簡潔ではないことをかんがみれば、簡易迅速を尊ぶ商取引において、かかる構成態様からなる本件商標が、「キャッツ」の略称をもって取引に資される場面があることは容易に想像できる。
以上より、本件商標は、構成全体から生じる「アイシーキャッツ」の称呼のほかに、「キャッツ」の称呼が生じる。
(ウ)本件商標と引用商標の称呼の対比
本件商標と引用商標から生じる称呼「キャッツ」と「キャット」を比較すると、両称呼は、語尾において「ツ」と「卜」の差異を有するものの、聴音する上で重要な語頭部分を共通にする。
しかも、この差異音は、いずれも「タ」行に属する近似音であり、促音を伴う語頭の「キャッ」に強くアクセントがかかることから、その発音は極めて弱いものである。
したがって、本件商標と引用商標とは称呼上、相紛らわしい商標である。
(エ)引用商標より生じる観念
「CAT」は、極めて平易な単語であり、「猫」を意味するものとして認識される。
(オ)本件商標より生じる観念
本件商標の構成要素中の「Cat’s」部分は、所有格の「’s」が配されているものの、所有格は必ずしも強い印象を与えることはなく、本件商標全体から一体的な観念が生じることもない。したがって、印象の強い「Cat」の文字より、「猫」の観念が生じる。
(カ)本件商標と引用商標の観念の対比
引用商標からは、その構成文字に応じて「猫」の観念が生じ、本件商標の構成要素中の「Cat’s」部分からも「猫」の観念が生じる。したがって、両者の観念は共通する。
ウ 小括
上記のとおり、本件商標と引用商標とは、称呼及び観念上、相互に相紛らわしい類似の商標であり、また、その指定商品・役務も、類似関係にある。
したがって、本件商標は、商標法第8条第1項及び商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであり、その登録は取り消されるべきである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
本件商標が仮に商標法第4条第1項第11号に違反したものでないとしても、以下に述べる理由により、同法第15号に違反してなされたものであり、取り消されるべきである。
申立人の引用商標は、建設機械器具を始めとする多用な分野において世界的に著名であり、現在は勿論のこと、本件商標の出願時である2012年6月13日には、申立人の商標として広く認識されるに至っていたものである。以下、詳述する。
ア 引用商標の著名性
(ア)申立人(キャタピラー社)について
申立人は、1925年に米国で設立され、約80年もの間、世界中のインフラ整備に力を注いできた。その結果、2005年の売上は363億ドルを超え、現在では、建設工事及び鉱業設備機器、ディーゼル及び天然ガス・エンジン、産業用ガス・タービンなどの製造業及びテクノロジーにおいて世界をリードする会社となっている(甲23)。また、2012年の売上は、過去最高の658億ドルにも達し(甲24)、2012年度グローバルブランドランキングにおいて、世界第61位を獲得する等、名実共に世界規模での周知・著名企業になっている(甲25)。
日本においては、1963年に三菱重工との合弁会社であるキャタピラー三菱を設立し、1987年に新キャタピラー三菱へと社名変更をし、更に、2008年に運営母体をキャタピラージャパンに変え、現在に至っている(甲26)。
そして、キャタピラージャパンは、日本全国の子会社等と連携をしながら(甲27及び甲28)、キャタピラー製品の開発・生産・販売を行っている。
(イ)「CAT」の使用の経緯
商標「CAT」は、日本及び国際的な著名企業である申立人のコーポレートマークであり、1949年に採択して以来、約60年以上も使用し続けているものである(甲29)。実際に、ニューヨーク証券取引所においても、申立人は「CAT」で指標されており、「CAT」が申立人の最も重要な商標であることはいうまでもない(甲30)。
(ウ)「CAT」の使用の形態
当然、商標「CAT」は、世界約200ヶ国で販売されている申立人の製品の殆どに使用されている。
その商品群は、主要製品である建設機械、エンジン、制御システム等は勿論のこと(甲31及び甲32)、玩具、被服、靴、時計等までにも及び(甲33ないし甲35)、幅広い地域や年代層の需要者等に認識されている。
(エ)宣伝・広告
申立人の主要な商品は、上述のとおり、建設機械やエンジン等であるところ、製品の性質上、カタログ等を全国規模に配布するものではない。
しかしながら、申立人は、商標「CAT」を使用したイベント等を積極的に行っており、例えば、トラクター等の商品の展示会・実演会、環境リサイクル機械の展示会(環境イベント)、夏休みの子供向けイベント等を、高い頻度で全国各地にて行っている(甲36ないし甲43)。
特に、申立人が主催するゴルフトーナメントは、1997年から現在まで毎年開催されており、「CATレディースゴルフトーナメント」と題し、商標「CAT」を大会名称に使用している。そして、この模様はテレビで全国放送されている(甲44及び甲45)。
上記のとおり、申立人が引用商標を「建設機械」等に長年継続的に使用し、莫大な宣伝広告費用を投じ広報活動を行ってきた結果、遅くとも本件商標の出願日より前に取引者・需要者に認識されるに至ったことは明らかである。
イ 本件商標と引用商標の類似性
前記のとおり、本件商標の構成中の「IC」は、「集積回路」の略称として一般に知られ、また、商品等の記号・符号等としても認識されるものであるから、本件商標の自他商品等の識別力を有する部分は「Cat’s」の部分にあり、本件商標からは「キャッツ」との称呼及び「猫」の観念が生じる。
これに対し、引用商標からは「キャット」の称呼が生じることから、両称呼は「キャッ」の音を共通にし、語尾において「ツ」と「ト」の音の差異を有するものである。
そして、この差異音は共に「タ」の同行に属する近似音であり、しかも、促音を伴う語頭部分の「キャッ」にアクセントがかかる関係上、語尾の「ツ」と「ト」の音は弱く発音されるものであることから、聴者に与える称呼の全体的な語調・語感に特段の差異もなく、両称呼の類似性は極めて高く、「猫」の観念が共通することも相まって、両者は互いに相紛らわしい類似の商標である。
ウ 商品及び営業上の関連性
上記のとおり、申立人は、引用商標を主として「建設機械」等に長年継続的に使用し、それらが周知・著名となっているが、「建設機械」は、もはや「熟練者」のみが経験と勘によって操作するものではなく、最新のテクノロジーを搭載することにより、一定の訓練を積めば誰もが効率よく作業が可能な、高い環境性と安全性を備えた、ハイテク機械である(甲46)。したがって、第7類に属する最終製品物たる「建設機械」のみならず、それに関連する第9類及び第42類の引用商標の指定商品・役務についても、引用商標は使用され、申立人の商標として広く知られているといえる。
また、申立人が世界企業へと成長したのは、常に最先端の技術を搭載した製品の開発に力を注いできたことに加え、ITを活用したシステムや電子診断機器等、顧客サポートに力を注ぎ、顧客吸引力を強化してきたこともその要因である。申立人が提供する製品は、製品を販売してそれで終わり、ということはなく、その後のサポート業務も含め、需要者との関係を築いていくものである。
現在においては、ITを活用したシステムや電子診断機器等、顧客サポートに力を注ぎ、建設工事機器の事故による休車時間を低減させ、効率良くメンテナンスを行い、安心感を高める等して、顧客吸引力を強化し、また、ブランド価値向上に、一層注力している(甲47ないし甲49)。
一方、本件商標の権利者は、ソフトウェアの作成等を通じたコンサルティング業務等を行っており、その業務内容には、製造業に対するコンサルティングや、製造業向けのシステム開発も行っている(甲50及び甲51)。
したがって、両者は、製造業の分野における技術(システム)の開発という点で共通をしており、営業上密接な関連性がある。
エ 混同のおそれ
商標法第4条第1項第15号にいう「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」には、商品や営業の関連性を想起させる所謂広義の混同も含まれるところ、上述したように、引用商標の著名性、独創性、申立人の事業実態、両商標が使用される商品・役務及びその需要者や取引者の共通性をかんがみれば、本件商標が指定商品等に使用された場合、それがあたかも著名ブランドである「CAT」の商品・役務であるかの如く誤認させ、商品又は営業上の出所混同を生じるおそれが極めて高い。
オ 小括
したがって、本件商標がその指定商品・役務について使用された場合は、申立人の著名商標に係る商品・役務と出所の混同が生ずるおそれが高いものであり、本件商標は法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであって、その登録は取り消されるべきである。
(3)商標法第4条第1項第8号について
上記のとおり、引用商標は、申立人の著名な略称であり、本件商標は、その要部にかかる申立人の著名な略称を含むものである。したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に違反して登録されたものであり、その登録は取り消されるべきである。

4 当審の判断
(1)申立人の使用する商標の著名性について
申立人は、申立人の使用する商標の周知著名性に関して甲各号証を提出しているので、以下、検討する。
ア 申立人の日本における関連会社であるキャタピラージャパン株式会社(以下「キャタピラージャパン」という。)のウェブページによれば、申立人は、1925年に設立され、日本において、1963年にキャタピラー三菱を設立し、1987年に新キャタピラー三菱へと社名変更をし、更に、2008年にキャタピラージャパンに社名変更をしており、キャタピラージャパンは、ブルトーザ、油圧ショベル、ホイールローダなどを取扱い、その商品名に「CAT」を使用してきており、当該商品に引用ロゴ商標が表示されている(甲26、甲28、甲29、甲31、甲36ないし甲41及び甲46等)。
イ ニューヨーク証券取引所において申立人は、「CAT」で指標されている(甲30)。
ウ Interbrandによる、「Best Global Brands 2012」において、申立人のブランド「Caterpillar」が61位となった(甲25)。
エ 以上及び甲各号証によれば、引用ロゴ商標は、申立人の取り扱う建設機械に使用する商標として、本件商標の出願時及び登録査定時に需要者の間に相当程度認識されていたものということはできる。しかしながら、申立人提出の甲各号証によっては、建設機械の需要者を除く一般需要者の間に広く認識されていたものということはできない。
この点について、申立人は、引用商標が玩具、被服、靴、時計等にも使用され(甲33ないし甲35)、幅広い年代層の需要者等に認識されている旨主張するとともに、夏休みの子供向けイベント等を、高い頻度で全国各地にて行っていることや、申立人が主催するゴルフトーナメントを「CATレディースゴルフトーナメント」と題し、商標「CAT」を大会名称に使用して、この模様はテレビで全国放送されているなど述べているが、これらの使用事例のみによっては、申立人の上記主張は採用できない。
(2)商標法第8条第1項及び同法第4条第1項第11号について
ア 本件商標について
本件商標は、上記1のとおり「IC」の欧文字と「猫」を意味する「Cat」の語にその所有格を付した「Cat’s」とを、一文字分のスペースを介して「IC Cat’s」と標準文字で表してなるところ、その構成文字は、同じ書体、同じ大きさで一体的に表され、また、その構成文字全体から生じる「アイシーキャッツ」の称呼も無理なく一連に称呼し得るものであるから、かかる構成、称呼においては、本件商標は、特段の事情がない限り、一体のものとして認識し、把握されるものとみのが自然である。
ところで、本件商標の指定商品には「集積回路」が含まれるところ、「IC」の文字は、集積回路の略称として一般に知られているものであるから、本件商標を「集積回路」及びこれを包含する関連する商品、例えば、「電子応用機械器具及びその部品」に使用する場合には、「IC」の部分は、商品の出所識別標識としての機能を有しないものであり、「Cat’s」の部分が独立して商品の出所識別標識としての機能を十分果たし得るものというのが相当である。
そうすると、本件商標は、その指定商品中「電子応用機械器具及びその部品」に使用する場合には、「Cat’s」に相応し、「キャッツ」の称呼及び「猫のもの」の観念を生じるものである。
イ 引用商標について
引用商標は、上記2のとおり、いずれも「CAT」の文字を表示してなるものであるから、「キャット」の称呼及び「猫」の観念を生じるものである。
ウ 本件商標と引用商標の類否
本件商標と引用商標とは、それぞれ、前記ア及びイのとおりの構成よりなるから、外観上明らかに区別できるものである。
そして、まず、本件商標全体から生じる「アイシーキャッツ」の称呼と引用商標から生じる「キャット」の称呼とを比較すると、両称呼は、語調、語感が明らかに異なり相紛れるおそれはないものである。
次に、本件商標から生じる「キャッツ」の称呼と引用商標から生じる「キャット」の称呼とを比較すると、両称呼は、語尾音における「ツ」の音と「ト」の音に差異があるところ、共に促音を含めて3音の比較的短い音構成にあっては、その差異は大きいものとなり、また、該差異音の前音「キャッ」は、促音を伴うつまる音であって区切れるように発音されることにより、それに続く「ト」の音及び「ツ」の音は、前音に紛れることなく、明瞭に発音され、各々それ自体明確に聴取されるものであるから、両者は相紛れるおそれはないものである。
さらに、本件商標からは、特定の観念を生じない又は「猫のもの」の観念を生じる場合があるのに対し、引用商標からは、「猫」の観念が生じるものであるから、本件商標と引用商標とは、観念において区別できるものである。
してみれば、本件商標と引用商標は、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
したがって、本件商標は、商標法第8条第1項及び同法第4条第1項第11号に違反して登録されたものということはできない。
(3)商標法第4条第1項第15号について
本件商標は、引用商標とは上記(2)のとおり、非類似の商標であり、また、上記(1)のとおり、引用商標が建設機械の需要者の間に相当程度認識されていたものということはできるとしても、建設機械の需要者を除く一般需要者の間に広く認識されていたものということはできない。そして、「CAT」の文字自体は、「猫」を意味する語であって、その独創性も高いものではない。
また、引用商標に係る建設機械と本件商標の指定商品及び指定役務とは、用途が異なり、商品の製造販売と役務の提供が同一の事業者により行われているものでないから、両者の関連性は高いとはいえない。
そうすると、これらを総合して考慮するならば、本件商標をその指定商品及び指定役務について使用しても、これに接する需要者、取引者が引用商標を連想、想起するようなことはないというべきであり、該商品及び役務が申立人又は同人と経済的・組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品又は役務であるかの如く、その出所について誤認混同を生ずるおそれもないと判断できる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものということはできない。
なお、申立人は、ITを活用したシステムや電子診断機器等、顧客サポートに力を注ぎ、建設工事機器の事故による休車時間を低減させ、効率良くメンテナンスを行い、安心感を高める等して、顧客吸引力を強化し、ブランド価値向上に、一層注力しており(甲47ないし甲49)、一方、本件商標の権利者は、ソフトウェアの作成等を通じたコンサルティング業務等を行っており、その業務内容には、製造業に対するコンサルティングや、製造業向けのシステム開発も行っている(甲50及び甲51)から、両者は、製造業の分野における技術(システム)の開発という点で共通しており、営業上密接な関連性があると述べているが、これらを参酌しても上記判断を覆すことはできない。
(4)商標法第4条第1項第8号について
申立人の略称として「CAT」が使用されていることについては、ニューヨーク証券取引所において申立人が「CAT」で指標されている(甲30)ことから伺えるものの、そのほかに日本国内において「CAT」が申立人の略称として使用され、それが申立人を指し示すものとして一般に受け入れられていたことを示す証拠の提出はないから、「CAT」が、本件商標の登録出願前より申立人の著名な略称であったとは認められない。
そうすると、本件商標は、他人の著名な略称を含む商標とはいえない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に違反して登録されたものということはできない。
(5)以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第8号、同第11号、同第15号及び同法8条第1項のいずれにも違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲1(引用商標1、5及び6)


別掲2(引用商標3)



異議決定日 2014-01-17 
出願番号 商願2012-47924(T2012-47924) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W0942)
T 1 651・ 262- Y (W0942)
T 1 651・ 261- Y (W0942)
T 1 651・ 263- Y (W0942)
T 1 651・ 23- Y (W0942)
最終処分 維持  
前審関与審査官 西田 芳子 
特許庁審判長 小林 由美子
特許庁審判官 前山 るり子
大森 健司
登録日 2012-11-22 
登録番号 商標登録第5538392号(T5538392) 
権利者 株式会社日立ソリューションズ
商標の称呼 アイシイキャッツ、キャッツ 
代理人 小暮 君平 
代理人 長谷川 芳樹 
代理人 藤井 正弘 
代理人 工藤 莞司 
代理人 魚路 将央 
代理人 後藤 政喜 

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