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審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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取消2012300362 | 審決 | 商標 |
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審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 00914161825 |
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管理番号 | 1284350 |
審判番号 | 取消2011-670011 |
総通号数 | 171 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2014-03-28 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2011-07-14 |
確定日 | 2013-12-10 |
事件の表示 | 上記当事者間の国際登録第595760号商標の商標登録取消審判事件について平成24年2月28日にした審決に対し、知的財産高等裁判所において審決取消の判決(平成24年(行ケ)第10250号 平成25年1月10日判決言渡)があり、同判決が確定したので、さらに審理の上、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 国際登録第595760号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、2003年(平成15年)5月15日に国際商標登録出願(事後指定)、第9類、第14類、第16類、第18類及び第25類に属する別掲2に記載のとおりの商品を指定商品として、平成18年1月13日に設定登録され、その後、商標登録の取消審判により、その指定商品中の第18類「Leather and imitations thereof,goods made thereof not included in other classes;trunks and suitcases」及び第25類「Clothing,headgear」について取り消すべき旨の審決がされ、同22年3月10日にその確定審決の登録がされ、現に有効に存続しているものである。 なお、本件審判の請求の登録は、平成23年7月26日にされたものである。 2 請求人の主張 請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求めると申し立て、その理由として、本件商標は、商標権者、専用使用権者及び通常使用権者のいずれによっても、継続して3年以上日本国内において、いずれの指定商品についても使用した事実が存しないことから、本件商標の登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである旨主張した。 3 被請求人による上申 被請求人は、結論同旨の審決を求めると上申し、その理由を要旨次のとおり述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第14号証(枝番を含む。ただし、枝番のすべてを引用する場合は、その枝番の記載を省略することがある。)を提出した。 (1)本件商標の使用の事実 本件商標は、以下のとおり、本件審判の請求の登録前3年以内(以下「要証期間」という。)に、日本国内において、被請求人により、本件商標の指定商品のうち、第14類「timepieces and chronometric instruments(計時用具)」について使用されている。 ア 取引の概要について 被請求人は、時計その他の雑貨の製造・販売を業とするイタリア法人であり、平成4年から本件商標を付した時計(以下「本件時計」という。)の製造・販売を開始し、今日までイタリア、日本のみならず世界中に各国の販売代理店を通じて本件時計を継続して販売している。 本件の取引の流れは、被請求人が、本件時計を製造し、平成15年1月から日本における販売代理店である株式会社ドウシシャ(以下「ドウシシャ」という。)に向けて輸出し、ドウシシャが百貨店などの小売業者に向けて本件時計を流通させる、というものである。 イ 被請求人とドウシシャとの関係 被請求人は、ドウシシャを、日本における本件時計を含む雑貨類の独占販売代理店として指名し、その旨の契約を締結した上で、平成15年1月から継続して本件時計の取引を行っている。 本件時計の取引の際に交わされた「独占販売契約書(EXCLUSIVE SOLE DISTRIBUTION AGREEMENT)」(乙6)によれば、被請求人とドウシシャとの間で、本件時計の日本における独占販売について、基本的かつ継続的な契約関係があったことが明らかである。 さらに、かかる独占販売契約の一環としての本件時計に関する商取引契約書(乙7)には、以下のような条項が存在する。 (ア)ドウシシャは、被請求人から、総額23万6,767ユーロの、LANCASTERブランドの時計8,000個を購入することを保証する。 (イ)被請求人は、総額23万6,767ユーロの、LANCASTERブランドの時計8,000個を納入することを保証する。 (ウ)具体的には、被請求人は、6箇月間毎月(平成21年3月、4月、5月、6月、7月及び8月)の各月末に、合計1,150個の時計をそれぞれ納入し、同年9月末に1,100個の時計を、自らの在庫状況に応じて納入し、総計8,000個の時計を納入するものとする。 これらの条項から、被請求人は、ドウシシャとの間で、要証期間のうち少なくとも平成21年3月ないし9月にわたって、本件時計を目的物とする取引の事実が存在していたことがわかる。 ウ 本件使用商標について 本件時計には、文字盤の中央下部又は中央右部に、本件商標と社会通念上同一と認められる「LANCASTER」の商標(以下「本件使用商標」という。)が付されている(乙1、乙3、乙12及び乙13)。 エ 本件時計に関する取引の実情について (ア)被請求人は、平成21年に本件時計をイタリアで生産し、これをドウシシャに向けて輸出した(乙8)。上記のとおり、被請求人とドウシシャとの間では、本件時計の取引を目的とした商取引契約が締結されている(乙7)。 (イ)被請求人は、平成21年2月25日、同年5月15日及び同年7月28日、ドウシシャに対し、「JOSS CHRONO」又は「INTRIGO」の欧文字を付した「イントリゴ ネロ クロノ-ガルーシャ」、「イントリゴ ブラック スチール ウォッチ(品番:OLA206BMRMRMR)」等の商品について、インボイスの番号を付した請求書を発行した(乙4)。そのうち、同年5月15日付けの請求書(インボイス)の番号は、「305」である(乙4の2)。 (ウ)平成21年5月25日付け貨物受領書(FIATA FCR)(乙8及び乙9)には、運送取扱人である日本エクスプレスが、貨物の輸送又は運送を海上運送人へ取次ぎ又は委託を行うことを前提として、被請求人がドウシシャに対して発送した商品「Watches&Watch boxes」を受け取ったことが記載され、その請求書(インボイス)の番号は、「305、306、307、308、309」である(乙8及び乙9)。 (エ)ドウシシャは、同日、被請求人に対し、請求書番号「305、306、307、308、309、262」に係る「時計」の商品代金として、みずほ銀行に対して被請求人向けの送金を依頼した(乙10)。 (オ)ドウシシャは、取引先に対し、「ランカスター イントリゴ ガルーシャ(品番:206BMRMRMR)」、「ランカスター イントリゴ アルミ」及び「ランカスター ジョス クロノ オーストリッチ」の各時計の商品写真が掲載された提案書を作成した上、これを提示した(乙3及び乙14)。 (カ)以上の事実を総合的に勘案すれば、少なくとも、被請求人が、平成21年5月15日には、日本における独占的販売店であるドウシシャに対し、本件使用商標を付した本件時計を輸出し、同社が日本において本件時計に関する取引書類に同商標を付した商品写真を掲載してこれを展示した事実が認められる。 オ 本件商標と本件使用商標との同一性について 本件商標は、「LANCASTER」の欧文字を横書きし、その「ANCASTE」の部分に下線を引いた構成からなるものであり、「L」、「E」及び「R」の文字は、若干図案化されている。本件商標からは、「ランカスター」の称呼が生じる。 他方、本件使用商標は、「LANCASTER」の欧文字及び「ITALY」の欧文字を2段に表示したものであり、下段の「ITALY」の文字は、イタリア製の商品であることを示すにすぎないため、本件使用商標からは、「ランカスター」の称呼も生じる。さらに、本件使用商標の上段部分は、本件商標と外観においても類似するものである。 そうすると、本件商標と本件使用商標とは、少なくとも称呼において同一のものであり、外観においても社会通念上類似であるから、両者は、社会通念上同一と認められる。 カ 商標法上の「使用」行為について 商標法第2条第3項は、同法上の「使用」について定義し、同項第8号において、「商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」を同法上の「使用」の一態様として列挙している。 本件においては、被請求人が、自己の時計に本件使用商標を付し、日本国内において、独占的販売店であるドウシシャを通じて上記時計に関する取引書類に本件使用商標を付した商品の写真を掲載してこれを展示したものであるから、本件商標と社会通念上同一の商標を使用(商標法第2条第3項第8号)していたということができる。 キ 結語 以上のとおり、商標権者である被請求人又は通常使用権者であるドウシシャは、要証期間に、日本国内において、本件商標の指定商品の1つである計時用具について、本件商標と社会通念上同一の商標を使用していたということができるから、本件審判の請求は成り立たない。 4 請求人は、前記3の被請求人による上申に対し、何ら弁駁するところがない。 5 当審の判断 (1)被請求人の提出した乙第1号証ないし乙第14号証及び上申の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 ア 被請求人とドウシシャの契約について (ア)被請求人とドウシシャは、2004年(平成16年)12月独占販売契約を締結し、2006年(同18年)1月1日、これを更新した。更新後の独占販売契約書(EXCLUSIVE SOLE DISTRIBUTION AGREEMENT)には、被請求人は、ドウシシャを、LANCASTERの商標及びロゴを付した時計について、日本における唯一かつ独占的な販売店とし、1年ごとに自動的に更新されること等が規定されている(乙6)。 (イ)被請求人は、ドウシシャとの間で、2009年(平成21年)2月27日、商取引契約書(COMMERCIAL AGREEMENT)を締結した。同契約書には、以下の条項がある(乙7及び乙14)。 a ドウシシャは、被請求人から、総額23万6,767ユーロの、LANCASTERブランドの時計8000個を購入することを保証する。 b 被請求人は、総額23万6,767ユーロの、LANCASTERブランドの時計8,000個を納入することを保証する。 c 具体的には、被請求人は、6箇月間毎月(2009年(平成21年)3月、4月、5月、6月、7月及び8月)の各月末に、合計1,150個の時計をそれぞれ納入し、同年9月末に1,100個の時計を、自らの在庫状況に応じて納入し、総計8,000個の時計を納入するものとする。 (ウ)なお、被請求人は、2010年(平成22年)1月から、ユーロパッションを日本総代理店とした(乙5)。 イ 被請求人とドウシシャとの取引 (ア)被請求人は、2009年(平成21年)2月25日、同年5月15日及び同年7月28日、ドウシシャに対し、「JOSS CHRONO」又は「INTRIGO」の欧文字を付した「イントリゴ ネロ クロノ-ガルーシャ」「イントリゴ ブラック スチール ウオッチ(参照コード:OLA206BMRMRMR)」等の商品について、インボイスの番号を付した請求書を発行した(乙4の1?3)。そのうち、同年5月15日付けのインボイスの番号は、「305」である(乙4の2)。 また、同年5月25日付け貨物受領書(FIATA FCR)には、運送取扱人である日本エクスプレスが、貨物の輸送又は運送を海上運送人へ取次ぎ又は委託を行うことを前提として、被請求人がドウシシャに対して発送した商品「Watches&Watch boxes」を受け取ったことが記載され、その請求書の番号は「305、306、307、308、309」である(乙8及び乙9)。 (イ)ドウシシャは、2009年(平成21年)5月28日、被請求人に対し、インボイス番号「305、306、307、308、309、262」に係る「時計」の商品代金として、みずほ銀行に対して被請求人向けの送金を依頼した(乙10)。 ウ ドウシシャが取引した時計について (ア)ドウシシャは、取引先に対し、「ランカスター イントリゴ ガルーシャ(品番:206BMRMRMR)」、「ランカスター イントリゴ アルミ」及び「ランカスター ジョス クロノ オーストリッチ」の各時計の商品写真が掲載された提案書を作成した上、これを提示した(乙3及び乙14)。 (イ)上記(ア)の商品のうち、「ランカスター イントリゴ ガルーシャ(品番:206BMRMRMR)」の時計と実質的に同一のものと認められる時計には、LANCASTERの欧文字を円弧状に横書きし、その「ANCASTER」の部分に下線を引き、その下に「ITALY」と記載した、別掲3のとおりの構成からなる本件使用商標が付されている(乙1の1及び2、乙3並びに乙12)。 (2)本件商標の使用の有無について ア 本件時計に係る取引状況 前記(1)認定の事実、すなわち、(a)ドウシシャが被請求人の本件商標が付された時計についての日本における独占的販売店であること、(b)被請求人とドウシシャ間の請求書、貨物受領書及び送金依頼書の番号が同一であり、商取引契約書に基づいた本件時計の取引の一部が、平成21年5月には現実に行われたものといえること、(c)ドウシシャが作成したLANCASTERブランドの時計の提案書(乙3)は、平成23年7月26日以降に印刷されたものではあるものの、平成22年1月以降は、ユーロパッションが日本における販売代理店となっていることに照らすと、それ以前の時期に上記提案書が作成されたものと推認されること等を総合すれば、少なくとも、被請求人が、平成21年5月には、日本における独占的販売店であるドウシシャに対し、使用商標を付した本件時計を輸出し、同社が日本において本件時計に関する取引書類に使用商標を付した商品写真を掲載してこれを展示した事実が認められる。 イ 商標の同一性 (ア)本件商標は、別掲2のとおり、「LANCASTER」の欧文字を横書きし、その「ANCASTER」の部分に下線を引いた構成からなるものであり、「L」、「E」及び「R」の文字は、若干図案化されている。本件商標からは、「ランカスター」の称呼が生じる。 (イ)本件使用商標は、別掲3のとおり、「LANCASTER」の欧文字及び「ITALY」の欧文字を2段に表示したものであるところ、下段の「ITALY」の文字は、イタリア製の商品であることを示す部分と理解されるにとどまるから、上段の「LANCASTER」の文字のみが、自他商品の識別機能を果たす商標として理解され、これより「ランカスター」の称呼も生じる。 そして、本件使用商標の上段部分は、本件商標と綴り字を同じにし、外観においても類似するものである。 (ウ)上記(ア)及び(イ)のとおり、本件商標と本件使用商標とは、少なくとも称呼において同一のものであり、外観においても社会通念上類似であるから、両者は、社会通念上同一と認められる。 ウ 商標の使用の有無 (ア)前記のとおり、イタリア法人である被請求人は、平成21年5月、日本における独占的販売店であるドウシシャに対し、本件使用商標を付した時計を輸出し、ドウシシャがこれを取引書類に付して展示していたものである。 (イ)商標法は、商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もって産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とする(商標法第1条)。したがって、商標法上の保護は、商標の使用によって蓄積された信用に対して与えられるのが本来的な姿であり、一定期間登録商標の使用をしない場合には保護すべき信用が発生しないか、又は発生した信用も消滅してその保護の対象がなくなるものと解される。商標法第50条は、そのような不使用の登録商標に対して排他独占的な権利を与えておくのは国民一般の利益を不当に侵害し、かつその存在により権利者以外の商標使用希望者の商標の選択の余地を狭めることになるところから、請求によりこのような商標登録を取り消す趣旨の制度である。 商標権は、国ごとに出願及び登録を経て権利として認められるものであり、属地主義の原則に支配され、その効力は当該国の領域内においてのみ認められるのが原則である。もっとも、商標権者等が商品に付した商標は、その商品が転々流通した後においても、当該商標に手が加えられない限り、社会通念上は、当初、商品に商標を付した者による商標の使用であると解される。そして、外国法人が商標を付した商品が、日本において独占的販売店等を通じて輸入され、国内において取引される場合の取引書類に掲載された商品写真によって、当該外国法人が独占的販売店等を通じて日本における商標の使用をしているものと解しても、商標法第50条の趣旨に反することはないというべきである。 (ウ)小括 よって、本件においては、商標権者である被請求人が、自己の時計に本件使用商標を付し、日本国内において、独占的販売店であるドウシシャを通じて上記時計に関する取引書類に本件使用商標を付した商品写真を掲載してこれを展示したものであるから、本件商標と社会通念上同一の商標を使用(商標法第2条第3項第8号)していたということができる。 (3)まとめ 以上のとおり、商標権者である被請求人又は通常使用権者であるドウシシャは、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、指定商品の1つである「timepieces and chronometric instruments(参考訳:計時用具)」について、本件商標と社会通念上同一の商標を使用していたということができる。 したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その請求に係る指定商品についての登録を取り消すべきでない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
【別記】 別掲2 本件商標の指定商品 第9類 Nautical,surveying,photographic,cinematographic,optical(in particular,sunglasses and prescription glasses,their frames and cases),weighing,measuring,monitoring,teaching apparatus and instruments;telecommunications apparatus(including radio);automatic vending machines and mechanisms for coin-operated apparatus;speaking machines;cash registers;calculators;fire extinguishers. 第14類 Precious metals and their alloys and products made from these materials or coated therewith;jewellery,precious stones;timepieces and chronometric instruments. 第16類 Paper,boxes of paper,table cloths of paper,table napkins of paper,cardboard and cardboard articles,printed matter,newspapers and periodicals;books;bookbinding material;photographs;stationery,adhesive bands and tapes for stationery or household purposes,artists’ supplies,paintbrushes,typewriters and office articles(except furniture);instructional and teaching materials;playing cards;printer’s type;printing blocks. 第18類 Leather and imitations thereof,goods made thereof not included in other classes;animal skins and hides;trunks and suitcases;umbrellas,parasols and walking sticks;whips and saddlery. 第25類 Clothing,footwear,headgear. |
審理終結日 | 2013-06-27 |
結審通知日 | 2013-07-09 |
審決日 | 2013-07-22 |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Y
(00914161825)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 鈴木 雅也、矢澤 一幸 |
特許庁審判長 |
村上 照美 |
特許庁審判官 |
田中 敬規 梶原 良子 |
登録日 | 2003-05-15 |
商標の称呼 | ランカスター、ランキャスター |
代理人 | 橘 哲男 |
代理人 | 藤本 正紀 |
代理人 | 佐藤 大輔 |
代理人 | 中山 健一 |
代理人 | 内藤 通彦 |