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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Z31
管理番号 1284314 
審判番号 取消2012-300897 
総通号数 171 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2014-03-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2012-11-25 
確定日 2014-01-06 
事件の表示 上記当事者間の登録第4323578号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4323578号商標(以下「本件商標」という。)は、「ももいちご」と「百壱五」の文字を2段に書してなり、平成10年4月10日に登録出願、第31類「いちご」を指定商品として、同11年10月8日に設定登録され、その後、同21年9月15日に商標権の存続期間の更新登録がされているものである。
そして、本件審判の請求の登録は、平成24年12月13日にされているものである。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品「いちご」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
(1)請求人について
請求人は、本件商標に係る平成23年(行ケ)10243号(取消2010ー300840:「以下、『先の審決取消事件』という。」)における被告の夫であり、補助参加人として、裁判に参加している。
また、商標法第50条は、「何人も、当該商標登録を取り消すことについて審判の請求をすることができる。」とあるから、請求人は、本件審判の請求人適格を有する。
なお、本件審判の請求と「先の審決取消事件」とでは、商標法第50条にある「継続して3年以上」の対象とする期間が違うため一事不再理の適用はできない。
(2)被請求人らの贈答用化粧箱の使用における本件商標の不使用
甲第1号証の写真は、「ももいちご」の贈答用化粧箱の側面であって、この化粧箱に入った「ももいちご」が被請求人らの主力商品として、一般に知られており、ほかにインターネットで調べる限り、本件商標の構成中「百壱五」の使用については、確認できなかった。
唯一見つけたのは、ももいちご部会のホームページ(甲第2号証)であるが、これは「商品又は商品の包装に標章を付したもの」ではないから、商標法第2条第3項各号の使用には該当しない。
(3)請求人の主張は、フルーツキングミズノにおける丸徳商品タグの使用標章と本件商標とが、社会通念上同一といえないとする「先の審決取消事件」での主張と同様である。
2 請求人は、期間を指定して弁駁の機会を与えたが、応答するところがない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第23号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 被請求人らについて
(1)被請求人は、徳島市農業協同組合(以下「JA徳島市」という。)の佐那河内支所(徳島県名東郡佐那河内村)の組合員であり、平成4年に大阪中央青果市場大阪中央青果と共同開発した該佐那河内村産のイチゴ(以下、商標と区別するため「ももいちご商品」という。)に、「ももいちご」の商標(以下、本件商標と区別するため「ももいちご商標」という。)を付して、平成5年より販売を開始し、現在に至っている。
また、被請求人から本件商標権の使用許諾を受けたJA徳島市及びその組合員も同様に、ももいちご商標をイチゴに付して販売している。
なお、本件商標の名義人が被請求人個人となっている理由は、JA徳島市佐那河内支所や、同支所内に設立されJA徳島市組合員で構成された「ももいちご部会」は法人格を有しないため、同部会の中心メンバーであった被請求人の名義で、本件商標を取得したものである。よって、本件商標の使用及び管理は、被請求人本人も含めた、ももいちご部会の組合員及びJA徳島市が行っている。以下、これらを集合的に「被請求人ら」という。
(2)確定判決の既判力
本件審判の請求は、対象となる本件商標の使用の期間がその審判の請求の登録日である平成24年12月13日より前3年以内であるところ、「先の審決取消事件」において、本件商標の通常使用権者である阪神百貨店のフルーツキングミズノ(梅田店)が、本件商標を表示した商品タグを少なくとも平成18年よりも前から現在に至るまで使用しており、かつ、証人が平成17年ないし同18年頃から現在に至るまで毎年、12月31日に阪神百貨店の地下売り場で正月のおせち料理の買い物をしている際に、フルーツキングミズノ(梅田店)において、「ももいちご」商品が陳列され、上記商品タグが置かれている状況を目撃していることが認定されている。
さらに、上記商品タグにおいて、本件商標と社会通念上同一の商標が使用されていると認められている。
したがって、上記使用の事実は、すでに「先の審決取消事件」において認定済みであり、該判決の既判力によって、本件審判の請求は、却下されるべきである。
2 新たな使用の事実
(1)化装箱等の使用
ア 訂正シールを貼付した化粧箱
ピンク地の長方形に黒文字で「ももいちご/百壱五」と書かれた訂正シールを作成し(乙第11号証)、既存の「ももいちご商品」の化粧箱の在庫分の側面のうち、底面側の右下隅部に貼付して、平成23年12月頃より販売している(乙第12号証)。
訂正シールを付した化粧箱の使用時期は、JA徳島市が大塚包装工業株式会社に発注した送り状の日付2011(平成23)年11月17日からも確認できる(乙第13号証)。
イ 新たな化粧箱及びトレイ
新たに印刷する化粧箱については、前と同じ位置に「ももいちご/百壱五」と印刷し、また、同様にパックを詰めるための段ボール製のトレイにも「ももいちご/百壱五」と印刷したものを平成23年12月頃より使用して、「ももいちご商品」を販売している(乙第14号証及び乙第15号証)。
(2)高速バス広告
徳島バス株式会社(以下「徳島バス」という。)が定期便として運行するJR徳島駅と大阪駅間の高速バスの背面に、窓ガラスの下に白地で横長の長方形状の枠を設け、その中央上段に横書きで黒文字の行書体で「徳島 佐那河内産」、その下部に赤文字の手書き調で大きく、左下から右上に緩やかに傾斜させた横書きで「ももいちご」と表記され、さらに右下には、やや小さくゴシック体で「JA徳島市」、その右に、やや大きく行書体で「百壱五」、さらにその上部には、小さくルビのように「ももいちご」と表示されている(乙第16号証)。
該バスを用いた広告の日付については、広告費用の平成24年1月5日付け請求書及び同年月10日付け領収書から確認できる(乙第17号証)。これらに示すとおり、JA徳島市佐那河内支所(ハウス苺部会)は、広告代理店である株式会社本州堂を通じて、高速バスの後部形状シートにおける広告を徳島バスに依頼している。広告の対象が「ももいちご」であることは、請求書左中段の「(クライアント名)ももいちご・さくらいちご」で確認でき、また広告の期間は、その下の「(請求期間)H23.12.26?H24.3.25」との記載から、平成23年12月26日から平成24年3月25日の期間に行われたことが確認できる。
(3)とくしま特選ブランドのホームページ、チラシ
徳島県では、同県産品のブランド戦略として徳島県が認定した県産農林水産物を「とくしま特選ブランド」として登録し、専用の「とくしま特選ブランド」マークを付す等、普及販促に努めている。該「とくしま特選ブランド」の認定が平成24年3月6日に行われたことが、徳島県が開設するホームページ上で、2012(平成24)年3月8日付け「『とくしま特選ブランド』について」において報告されている(乙第19号証)。徳島県が作成、配布しているチラシ「徳島の自信 とく選」においても、そのトップとして、表紙中段右側に「ももいちご商品」の写真と、その下に「ももいちご(百壱五)」と表記されている(乙第20号証)。
また、同じく徳島県が開設、運営する「新鮮なっ!とくしま通信」のホームページに掲載された「とくしま特選ブランド」においても、左欄に表示される一覧の最上段に「ももいちご」がリストに掲載されるとともに、上段に「ももいちご商品」の化粧箱の写真と、その右側に赤文字で「ももいちご(百壱五)」と表示されていることが確認できる(乙第21号証の1)。さらに、同ホームページ左欄のリストから「ももいちご」を選択すると、ももいちごのホームページに切り替わる(乙第21号証の2)。
これらホームページやチラシにおける上記商標の使用時期は、上記「とくしま特選ブランド」が認定された、平成24年3月6日頃であることが、上記乙第19号証から確認できる。
(4)阪神百貨店のフルーツキングミズノ
「先の審決取消事件」において提出した、阪神百貨店のフルーツキングミズノ(梅田店)において、「ももいちご商品」と並べて展示した商品タグを示す写真(乙第22号証)は、平成23年4月11日に撮影したものである。同商品タグが本件商標の使用に該当することは、すでに、「先の審決取消事件」において認められている。
なお、フルーツキングミズノにおいては、その後、本件商標を付した新たな値札を作成するとともに、化粧箱にも本件商標を付している。具体的には、平成24年頃から、「徳島県産佐那河内の/ももいちご/(百壱五)」の3段書きで表示した値札を使用している。また、化粧箱の蓋を取り、化粧箱に収められた状態で「ももいちご商品」が見えるようにした状態で表面に透明フィルムを被せ、その右上隅部近傍に、左上から右下に斜めに渡された帯に「徳島県産 佐那河内/ももいちご(百壱五)」と2段書きで表示している(乙第23号証)。
3 権利濫用
不使用取消審判の請求人適格は、「何人」にも認められているところ、当該審判の請求が被請求人らを害することを目的としていると認められる場合には、該請求は権利濫用として認められない。
本件においては、請求人が都合3回、本件商標の取消審判を求めており、しかも、その内容は、おおむね同内容であり、常軌を逸しているものである。
特に、請求人らは、本件に先立ち不正使用取消審判の請求を行っており、不正使用の主張は、前提として使用の事実が存在すべきところ、「先の審決取消事件」の請求人らの主張していることと矛盾している。
本件における請求人の「本件商標の使用の事実がない」との主張は、現在継続中の前記不正使用取消審判の請求における主張とは相反するものであり、禁反言に相当し、信義誠実の原則に違反する。
4 むすび
以上のとおり、被請求人らは、本件商標を使用しているから、本件審判の請求は成り立たない。

第4 当審の判断
1 被請求人の答弁及び提出に係る乙各号証によれば、以下の事実を認めることができる。
(1)被請求人は、JA徳島市の佐那河内支所の組合員であり、また、本件商標の名義人が被請求人個人となっている理由は、JA徳島市佐那河内支所や、同支所内に設立されJA徳島市組合員で構成された「ももいちご部会」は法人格を有しないため、同部会の中心メンバーであった被請求人の名義で、本件商標を取得したものである。よって、本件商標の使用及び管理は、被請求人本人も含めた、ももいちご部会の組合員及びJA徳島市であると主張している。
(2)「大塚包装工業株式会社」が「JA徳島市 佐那河内選果場」に宛てた2011年11月17日付け送り状(乙第13号証)には、商品名として「百壱五訂正シール」、数量として「10000」との記載がある。
該訂正シールは、乙第11号証の「ももいちご/百壱五」の2段に書されたものと認めても差しつかえないといえる。
(3)徳島バスの後部の写真(写し)2葉(乙第16号証)には、バスの後部の窓ガラス下に白地で横長の長方形状の枠を設け、その中央上段に「徳島 佐那河内産」、その下部に赤文字の手書き調で大きく、左下から右上に「ももいちご」と表記され、さらに右下には、やや小さくゴシック体で「JA徳島市」、その右に、やや大きく「百壱五」、さらにその上部には、小さくルビのように「ももいちご」と表示され、いちごの写真が表示されている。
(4)「株式会社本州堂」が「JA佐那河内支所 ハウス苺部会」に宛てた平成24年1月5日付け請求書(乙第17号証の1)には、「(クライアント名)ももいちご・さくらももいちご」との記載、「(請求期間)H23.12.26?H24.3.25」との記載、掲出場所として「徳島バス」との記載、広告種類として「後部形状シート広告」との記載とともに広告料、製作費等の欄に金額が記載されている。
また、「株式会社本州堂」が「JA佐那河内支所 ハウス苺部会」にあてた平成24年1月10日付け領収書(明細書)(乙第17号証の2)には、上記請求書に記載の項目と同一の内容が記載されている。
2 以上からすると、「JA徳島市 佐那河内選果場」や「JA佐那河内支所 ハウス苺部会」は、被請求人から本件商標につき通常使用権の許諾を受けているものと推認することができる。
そして、取消審判の請求の登録日(平成24年12月13日)前3年以内である2011(平成23)年11月17日に、ももいちごの化粧箱に貼るための訂正シールを「大塚包装工業株式会社」が「JA徳島市 佐那河内選果場」へ納品しており、また、同様に平成23年12月26日から同24年3月25日までに、ももいちごの広告のために、徳島バスの後部に表示した広告に対して、「JA佐那河内支所 ハウス苺部会」が同24年1月10日に「株式会社本州堂」へ広告料等の支払いをしている。
上記訂正シール及びバスの後部広告には、「ももいちご」の平仮名と「百壱五」の漢字を2段に書したものを表示するものであるから、これらは、本件商標と社会通念上同一の商標といえるものであり、また、これらは、商品の包装に標章を付する行為又は商品に関する広告であるといえる。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標の通常使用権者と推認し得る「JA徳島市 佐那河内選果場」及び「JA佐那河内支所 ハウス苺部会」が本件商標と社会通念上同一と認められる商標を本件審判の請求に係る指定商品「いちご」について使用していたことを証明したものということができる。
4 請求人は、審理終結後、平成25年5月28日差出の上申書(審理再開申立書)を提出している。
しかしながら、商標法第50条第1項による商標登録の取消しの審判の請求があったとき、同条第2項本文は、「その審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを被請求人が証明しない限り、商標権者は、その指定商品又は指定役務に係る商標登録の取消しを免れない。」と規定しているところ、上記3のとおり、被請求人は、本件商標について商標法第50条の要件を具備する証明をし得たものと認められるから、当合議体は、当該上申書を徴するも上記判断を左右するに足らないと認め、審理再開の必要がないと判断した。
5 むすび
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2013-05-22 
結審通知日 2013-05-24 
審決日 2013-06-14 
出願番号 商願平10-30450 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (Z31)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 齋藤 貴博内藤 順子 
特許庁審判長 寺光 幸子
特許庁審判官 原田 信彦
山田 和彦
登録日 1999-10-08 
登録番号 商標登録第4323578号(T4323578) 
商標の称呼 モモイチゴ、ヒャクイチゴ 
代理人 豊栖 康司 
代理人 豊栖 康弘 

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