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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W20
管理番号 1284308 
審判番号 不服2013-9008 
総通号数 171 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2014-03-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-05-16 
確定日 2014-01-24 
事件の表示 商願2012- 39009拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第20類「まくら,抱きまくら」を指定商品として、平成24年5月16日に立体商標として登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由(要点)
原査定は、「本願商標は、目鼻口を有し肢体及び耳の長い架空の動物と思われる形状の立体的形状を表示してなり、『抱きまくら』を取り扱う業界において、動物や目鼻口のある架空の動物の形状の抱きまくら又は薄型の抱きまくらなど多様な形状の抱きまくらが販売されていることからすると、本願商標をその指定商品中『抱きまくら』に使用するときには、これに接する取引者、需要者は、その商品が抱きまくらの一形状を表示したにすぎないものと理解するにとどまり、単に商品の形状を普通に用いられる方法で表示したものといえる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の『まくら』に使用するときは、その商品があたかも『抱きまくら』であるかのように、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)立体商標における商品の形状に係る判示
ア 商品の形状は、多くの場合、商品に期待される機能をより効果的に発揮させたり、商品の美感をより優れたものとするなどの目的で選択されるものであって、商品の出所を表示し、自他商品を識別する標識として用いられるものは少ないといえる。このように、商品の製造者、供給者の観点からすれば、商品の形状は、多くの場合、それ自体において出所表示機能ないし自他商品識別機能を有するもの、すなわち、商標としての機能を有するものとして採用するものではないといえる。また、商品の形状を見る需要者の観点からしても、商品の形状は、文字、図形、記号等により平面的に表示される標章とは異なり、商品の機能や美感を際立たせるために選択されたものと認識し、出所表示識別のために選択されたものとは認識しない場合が多いといえる。
そうすると、商品の形状は、多くの場合に、商品の機能又は美感に資することを目的として採用されるものであり、客観的に見て、そのような目的のために採用されたと認められる形状は、特段の事情のない限り、商品の形状を普通に用いられる方法で使用する標章のみからなる商標として、商標法第3条第1項第3号に該当すると解するのが相当である。
イ また、商品の具体的形状は、商品の機能又は美感に資することを目的として採用されるが、一方で、当該商品の用途、性質等に基づく制約の下で、通常は、ある程度の選択の幅があるといえる。しかし、同種の商品について、機能又は美感上の理由による形状の選択と予測し得る範囲のものであれば、当該形状が特徴を有していたとしても、商品の機能又は美感に資することを目的とする形状として、商標法第3条第1項第3号に該当するものというべきである。その理由は、商品の機能又は美感に資することを目的とする形状は、同種の商品に関与する者が当該形状を使用することを欲するものであるから、先に商標出願したことのみを理由として当該形状を特定の者に独占させることは、公益上の観点から必ずしも適切でないことにある。
ウ さらに、商品に、需要者において予測し得ないような斬新な形状が用いられた場合であっても、当該形状が専ら商品の機能向上の観点から選択されたものであるときには、商標法第4条第1項第18号の趣旨を勘案すれば、商標法第3条第1項第3号に該当するというべきである。その理由として、商品が同種の商品に見られない独特の形状を有する場合に、商品の機能の観点からは発明ないし考案として、商品の美感の観点からは意匠として、それぞれ特許法・実用新案法ないし意匠法の定める要件を備えれば、その限りにおいて独占権が付与されることがあり得るが、これらの法の保護の対象になり得る形状について、商標権によって保護を与えることは、商標権は存続期間の更新を繰り返すことにより半永久的に保有することができる点を踏まえると、特許法、意匠法等による権利の存続期間を超えて半永久的に特定の者に独占権を認める結果を生じさせることになり、自由競争の不当な制限に当たり公益に反することが挙げられる(知的財産高等裁判所 平成18年(行ケ)第10555号判決、平成19年(行ケ)第10215号判決、平成22年(行ケ)第10253号判決)。
(2)本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなるものであり、これによれば、本願商標に係る立体的形状は、目、鼻、口及び長い耳を有する頭部、該頭部と一体的につながっている胴部並びに該胴部からそれぞれ分岐した手部及び脚部からなり、全体がやや平べったく、前記目、鼻及び口は白色、他の部分はあかね色の無地模様で表されたうさぎのような動物と思われる立体的形状からなるものである。
そして、原審において示したインターネット上のウェブサイト(別掲2)によれば、「抱きまくら」を取り扱う業界においては、動物のような形状や、やや平べったい形状を有する各種の「抱きまくら」が製造販売されている実情にあることが認められる。
このことは、別掲3に示すインターネット上のウェブサイトにおいて、やや平べったい動物の形状の「抱きまくら」が各種掲載されていることからも裏付けられるものである。
そうとすると、本願商標に係る立体的形状は、前記のような特徴を有するとしても、動物のような形状や、やや平べったい形状を有する各種の「抱きまくら」が製造販売されている実情を踏まえると、「抱きまくら」の一形態を表示したものと認識し得るものであって、その特徴は、機能上又は美感上の理由による形状の選択と予測し得る範囲のものとみるのが相当である。
そうとすれば、本願商標は、その指定商品中「抱きまくら」に使用するときには、商品の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標といわなければならない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものである。
(3)請求人の主張について
請求人は、本願商標は、「CRAFTHOLIC」(登録商標)シリーズの下に業界において広く普及している旨主張している。
しかしながら、このことについて何らの立証がなく、また、職権による調査によっても、その事実を認めるに足る証拠は見当たらない。
したがって、請求人の主張は採用できない。
(4)むすび
以上のとおり、本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、これを登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1 本願商標

(色彩については原本参照)

別掲2
(1)「クニスポ!NET」のウェブサイトにおいて、「人気爆発! リラックマ」の見出しの下、「サンエックス リラックマ ビッグ抱きまくら」の記載とともに、やや平べったい動物の形状の抱きまくらの写真が掲載されている。
(http://www.kunispo.net/SHOP/MD-01801.html)
(2)「YAHOO!JAPANショッピング」の「抱き枕.COM」のウェブサイトにおいて、「スタンディングアニマル抱き枕 もこもこタイプ」の記載とともに、動物の形状の抱きまくらの写真が掲載されている。
(http://store.shopping.yahoo.co.jp/daki-makura/r519515.html)
(3)「アイリスプラザ」のウェブサイトにおいて、「抱きまくらPDA-110ブルー・ピンク」の記載とともに、やや平べったい形状の抱きまくらの写真が掲載されている。
(http://www.irisplaza.co.jp/Index.asp?KB=SHOSAI&SID=K558848F)
(4)「ひんやりクール堂」のウェブサイトにおいて、「クールレイ(R) 抱き枕[カバー付き]ブルー」の記載とともに、やや平べったい形状の抱きまくらの写真が掲載されている。
(http://hinyari.favouriteshirts.net/hinyarimakura/daki/coolray209318.html)

別掲3
(1)「楽天市場」の「smilepure」のウェブサイトにおいて、「すもも だきまくら LLサイズ」の記載とともに、やや平べったい動物の形状の抱きまくらの写真が掲載されている。
(http://item.rakuten.co.jp/smilepure/nq-00051/)
(2)「楽天市場」の「URBENE」のウェブサイトにおいて、「何と全長99cmの巨大モケケまで!?抱き枕にまで変身するステキアイテム」の記載とともに、やや平べったい動物の形状の抱きまくらの写真が掲載されている。
(http://item.rakuten.co.jp/urbene/mokeke-mkk-4980/)
(3)「株式会社クリエイトアルファ」のウェブサイトにおいて、「ゆる抱き枕」の記載とともに、やや平べったい動物の形状の抱きまくらの写真が掲載されている。
(http://createalpha.jp/index.php?id=239)
(4)「SUPER DELIVERY」のウェブサイトにおいて、「【おやすみシフォン】抱きまくら うさぎ」の記載とともに、やや平べったい動物の形状の抱きまくらの写真が掲載されている。
(http://www.superdelivery.com/p/r/pd_p/1523794/)
(5)「Kiitos ONLINE SHOP」のウェブサイトにおいて、「ふわもこキュート♪クマ・ウサギ・クロネコ・カエル・パンダの抱き枕[ぬいぐるみ]」の記載とともに、やや平べったい動物の形状の抱きまくらの写真が掲載されている。
(http://kobe-kiitos.shop-pro.jp/?pid=54408727)
(6)「puolukka」のウェブサイトにおいて、「のびねこ 抱き枕(ぬいぐるみ)」の記載とともに、やや平べったい動物の形状の抱きまくらの写真が掲載されている。
(http://www.puolukka.jp/?pid=20942648)
(7)「YAHOO!JAPANショッピング」の「パジャマ屋」のウェブサイトにおいて、「オーガニックコットン お肌にやさしい 動物型の抱き枕♪フワフワ ひつじ くん ピロー[ぬいぐるみ 特大]」の記載とともに、やや平べったい動物の形状の抱きまくらの写真が掲載されている。
(http://store.shopping.yahoo.co.jp/pajamaya/3450317-y0000-.html)



審理終結日 2013-11-22 
結審通知日 2013-11-27 
審決日 2013-12-11 
出願番号 商願2012-39009(T2012-39009) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W20)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鈴木 斎 
特許庁審判長 小林 由美子
特許庁審判官 大森 健司
山田 啓之
代理人 新池 義明 

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