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審決分類 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない W09
審判 査定不服 商3条1項6号 1号から5号以外のもの 登録しない W09
管理番号 1283279 
審判番号 不服2012-23602 
総通号数 170 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2014-02-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-11-29 
確定日 2013-12-09 
事件の表示 商願2012-3232拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「ENTERPRISE」の欧文字を標準文字で表してなり、第9類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成24年1月20日に登録出願され、その後、指定商品については、同年7月4日付けの手続補正書により補正された結果、第9類「金銭登録機,電気通信機械器具,電子計算機,電子計算機用プログラム,その他の電子応用機械器具及びその部品,レコード,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる音楽ファイル」に補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『ENTERPRISE』の欧文字を表してなるところ、該文字は、「企業。事業。会社。」(株式会社岩波書店発行『広辞苑 第六版』参照)の意味を有する平易な語であり、特に、指定商品中通信ネットワークに係る商品との関係からすると、『大企業が全社的に構築するような、大規模な情報システム、あるいはネットワークなどを指す際に用いる言葉。』(株式会社秀和システム発行『通信ネットワーク用語事典 改訂第5版』の『エンタープライズ\Enterprise』の項参照)として解釈されるものというのが相当である。そして、インターネット情報によると、指定商品に係る業界において、企業向けの商品、例えば『企業向け検索システム』に『Enterprise Search』の表示、『企業向けクラウドサービス』に『Enterprise Cloud』の表示、シリーズ商品の企業向けのものに『Babylon Enterprise』や『McAfee VirusScan Enterprise』、『Windows 8 Enterprise』の表示が用いられているなど、『Enterprise』の文字が、企業向けのものであることを表示するものとして使用されている実情が認められる。よって、本願商標を、指定商品中、たとえば『情報システムや通信ネットワークの構築に用いる電気通信機械器具、電子計算機、電子計算機用プログラム、その他の電子応用機械器具及びその部品』に使用するときは、単に、その商品が、企業向けの情報システムや通信ネットワークの構築のためのものであることを表示したものと理解されるに止まり、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標といわざるを得ない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当し、企業向け以外の情報システムや通信ネットワーク構築のための商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
本願商標は、「ENTERPRISE」の欧文字を標準文字で表してなるところ、該文字は、前記2で示すとおり、「企業。会社。」などの意味を有する平易な英語であり、また、通信ネットワーク用語事典(改訂第5版)には、「(enterprise)大企業が全社的に構築するような、大規模な情報システム、あるいはネットワークなどを指す際に用いる言葉。」との記載がある。
そして、本願の指定商品を取り扱う業界においては、「ENTERPRISE」の文字が、企業向けの商品であることを表示するものとして使用されている実情が認められることは、原審において述べているとおりであり、さらに、以下の情報からみても、これを肯定できるものである。

(1)新聞記事情報及びインターネット情報
ア 1997年11月11日付け「日刊工業新聞」(10頁)に、「アップルコンピュータ、DB有効活用の企業向けソフトを発売」の見出しの下、「アップルコンピュータは十日、企業向けにアプリケーション開発用ソフト『オープンステップ・エンタープライズ』並びにダイナミックウェブ構築ツール『ウェブオブジェクツ』の新バージョンを発売すると発表した。」との記載がある。
イ 1998年8月27日付け「日刊工業新聞」(9頁)に、「日本アイ・ビー・エム、Java統合開発環境ソフトを出荷」の見出しの下、「日本アイ・ビー・エムは二十六日、Java統合開発環境ソフト『ビジュアルエイジ・フォー・Java2・0』の出荷を発表した。プロフェッショナル版(一万五千円)を九月三十日、エンタープライズ版(四十二万二千九百円)を十一月二十日から出荷する。旧バージョンに比べ、JDK(Java開発キット)1・1・6に対応させることで、企業向けソフト開発に容易に対応できるようになった。」との記載がある。
ウ 2000年9月27日付け「読売新聞」(東京夕刊 2頁)に、「企業向け戦略ソフト『エンタープライズ2000』 米マイクロソフトが発表」の見出しの下、「パソコンソフト最大手の米マイクロソフトは二十六日、企業向け基幹コンピューター用ソフト群『エンタープライズ2000』を発表した。マイクロソフトは、『ウィンドウズ』に代表される個人向けパソコン基本ソフト(OS)で圧倒的なシェアを誇っている。しかし、その一方で、企業分野の強化が課題になっており、企業向けソフトをテコ入れし、個人向けパソコンソフト依存からの脱却を目指している。」との記載がある。
エ 2006年1月13日付け「日刊工業新聞」(8頁)に、「ウェブルート、スパイウエアを完全除去する企業向けソフト発売」の見出しの下、「ウェブルート・ソフトウエアは、スパイウエア(情報収集プログラム)対策ソフト『スパイスウィーパー』のエンタープライズ(企業・官公庁)版を4月をめどに日本市場に投入する。」との記載がある。
オ 2006年9月26日付け「日刊工業新聞」(12頁)に、「企業向けシステムに挑む/アドビのパートナー戦略(上)開発業者を代理店に」の見出しの下、「06年1月、新生アドビシステムズ日本法人の社長に就いたギャレット・イルグ氏。社長就任以前は、オープン系システムの要であるアプリケーションサーバソフトの有力メーカー、米BEAシステムズの日本法人社長としてらつ腕を振るった。米国の大学を卒業後しばらくは三菱電機に勤務しており、企業向けソフトウエアのビジネスと日本市場をともに熟知している。・・・イルグ社長はパートナー制度の目的についてこう話す。新プログラムを開始して以降、すでに全国で約200社がパートナーとして加わった。『エンタープライズ(企業向けシステム)のアドビ』の印象づけは好調に滑り出した。」との記載がある。
カ Security Insightのホームページにおいて、2013年6月26日付けの「[海外短信]Puppet Labs、企業向けITシステム自動化ソフト「Puppet Enterprise 3.0」の見出しの下、「Puppet Labsは6月25日(現地時間)、企業向けに提供しているITシステム自動化ソフトの新版「Puppet Enterprise 3.0」をリリースした(https://securityinsight.jp/news/13-inbrief/413-20130626puppet)。
キ Cyber Wave Japan Co.,Ltd.株式会社サイバーウェイブジャパンのホームページにおいて、Mail Platformとして「EnterpriseMail/エンタープライズメール」のタイトルの下、「企業向けSaaS型メールサービスであるEnterpriseMailは、大規模で高負荷な環境でも安定した稼働が可能なメール機能を有したクラウド(SaaS)型メールサーバシステムであり、製造業や流通業界をはじめ、ISP/XSPなどサービスプロバイダまで幅広い業種で導入されています。」との記載がある(http://msaas.cwj.jp/lineup/enterprisemail/)。
ク DAIKINのホームページにおいて、「米国リモートデスクトップアプリ大手Splashtop社とダイキン工業法人向けリモートデスクトップアプリ『Splashtop Enterprise』の販売代理店契約を締結」の見出しの下、「ダイキン工業株式会社と、リモートデスクトップソフトウェア大手Splashtop社(本社:米カリフォルニア)は、世界1,400万人以上にダウンロードされているリモートデスクトップアプリの法人向けソリューション『Splashtop Enterprise』の販売代理店契約を締結しました。ダイキン工業は、本日より販売を開始します。」との記載がある(http://www.comtec.daikin.co.jp/IM/img/Splashtop_press-release.pdf#search=%27%E4%BC%81%E6%A5%AD%E5%90%91%E3%81%91++%EF%BC%A5%EF%BC%AE%EF%BC%B4%EF%BC%A5%EF%BC%B2%EF%BC%B0%EF%BC%B2%EF%BC%A9%EF%BC%B3%EF%BC%A5%27)。

そうとすれば、本願商標をその指定商品中、「電気通信機械器具、電子計算機、電子計算機用プログラム、その他の電子応用機械器具及びその部品」等に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、その商品が、単に、企業向けの情報システムや企業向けの通信ネットワークを構築するための商品であると理解するにとどまり、取引者、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標と認められるものである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当し、上記意味合いに照応するシステムや通信ネットワーク構築のための商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。
なお、請求人は、「企業向けという意味合いを表す言葉としては、『BUSINESS』、『CORPORATE』及び『PROFESSIONAL』といった語も使用されているから、『ENTERPRISE』から直ちに『企業向け』であることを示すものとして理解されるものではない。」旨述べ、また、特許庁における過去の登録例を挙げ、本願商標も登録されるべきである旨主張する。
確かに、請求人が提出した証拠においても、法人向けの商品として「BUSINESS」などの語が使用されていることが伺える。
しかしながら、「ENTERPRISE」の語は、上記したとおり、本願の指定商品の業界において、企業向けの商品を表す語として普通に使用されている実情があるから、たとえ「BUSINESS」などの語が企業向けの商品として使用されているとしても、上記判断に何ら左右されることはない。
また、請求人が挙げた登録例は、本願商標とは、その指定商品において相違するものであって、事案を異にするものであるから、本願商標についてした上記認定、判断を覆すことはできない。
以上のとおり、請求人の主張は、いずれも採用することができない。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第6号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2013-09-17 
結審通知日 2013-09-20 
審決日 2013-10-24 
出願番号 商願2012-3232(T2012-3232) 
審決分類 T 1 8・ 16- Z (W09)
T 1 8・ 272- Z (W09)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 松浦 裕紀子 
特許庁審判長 関根 文昭
特許庁審判官 手塚 義明
原田 信彦
商標の称呼 エンタープライズ 
代理人 横山 淳一 

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