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審判番号(事件番号) データベース 権利
平成25行ケ10135 判例 商標

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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y25
管理番号 1283216 
審判番号 取消2012-300276 
総通号数 170 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2014-02-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2012-04-05 
確定日 2013-12-06 
事件の表示 上記当事者間の登録第4969598号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4969598号商標(以下「本件商標」という。)は,「BLUSH」の文字を標準文字で表してなり,平成17年9月22日に登録出願され,第25類「ランジェリー,パンツ,スリップ,キャミソール,ボディスーツ,バスローブ,ブラジャー,水泳着,スウェットスーツ,ジョギングスーツ,婦人用下着,自転車競技用ズボン,ズボン下,シャツ,レギンス,ショートティシャツ,その他のティシャツ,ナイトガウン,寝巻き類」を指定商品として平成18年7月14日に設定登録されたものである。
本件取消の請求の登録は,平成24年4月20日である。

第2 請求人の主張
請求人は,商標法第50条第1項の規定により,本件商標の指定商品中,第25類「ランジェリー,パンツ,スリップ,キャミソール,ボディスーツ,バスローブ,ブラジャー,水泳着,スウェットスーツ,ジョギングスーツ,婦人用下着,ズボン下,シャツ,レギンス,ショートティシャツ,その他のティシャツ,ナイトガウン,寝巻き類」については,その登録を取り消す,審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を請求書,弁駁書及び口頭審理陳述要領書において要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は,その指定商品中,「ランジェリー,パンツ,スリップ,キャミソール,ボディスーツ,バスローブ,ブラジャー,水泳着,スウェットスーツ,ジョギングスーツ,婦人用下着,ズボン下,シャツ,レギンス,ショートティシャツ,その他のティシャツ,ナイトガウン,寝巻き類」について,継続して3年以上日本国内において使用した事実が存しないから,商標法第50条1項の規定に基づき,上記商品についての登録を取り消すべきものである。
2 答弁に対する弁駁
被請求人が提出した乙第1号証ないし乙第7号証の2によっては,本件商標が,被請求人あるいはその使用権者によって,わが国において審判請求の予告登録日前3年以内の期間に使用されていた事実が立証されない。よって,被請求人による答弁の理由は成り立たない。
(1)乙第1号証及び乙第2号証について
被請求人は,答弁書において,指定商品「ランジェリー」等に係る納品書への使用商標の使用は,商品に関する取引書類に標章を付して頒布する行為(法第2条第3項第8号)に該当すると主張し,その証拠として乙第1号証を提出し,また,乙第1号証として提出した書類の発行主体であるブラッシュ ランジェリー インコーポレーテッド(以下「ブラッシュランジェリー社」という。)は,被請求人のグループ企業であり,被請求人のライセンスのもと登録商標「BLUSH」を使用しているとして,乙第2号証を提出している。
ア 商標使用者に関する主張について
乙第2号証は,ブラッシュランジェリー社が運営するウェブサイトの写しであって,この右下部に「Legal Notice」として「BLUSH is a registered trademark of Blush Fashion Group Inc. used under licenses by Blush Lingerie Inc.」なる記載が確認できる。
しかしながら,この「registered trademark」が,わが国における本件商標であるかが不明であるうえ,ブラッシュランジェリー社が被請求人のグループ企業であることが立証されていない。また,仮にグループ企業であったとしても,これをもって使用許諾を受けていることにはならない。ゆえに,被請求人がブラッシュランジェリー社に対して,本件取消審判請求の予告登録前3年以内に同人が使用許諾権者として日本国内で本件商標を使用できる使用許諾を与えたのであれば,その事実を示す証拠となる使用許諾契約書の写しを提出されたい。
イ 使用商標,使用にかかる商品,使用時期,使用場所に関する主張について
被請求人は,乙第1号証として提出された各納品書の左上に配された黒い四角形の中に白抜きで2段書きに記された欧文字「blush」及び「lingerie」(以下「使用商標1」という。)が,本件商標と社会通念上同一の商標であるとし,商品「ブラジャー」等に係る納品書へ使用商標1を記すことは,商品に関する取引書類に標章を付して頒布する行為(法第2条第3項第8号)に該当すると主張する。
まず,本件商標と使用商標1は,社会通念上同一の商標には該当しない。
商標法第50条で規定するところの社会通念上同一の商標とは,書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標,平仮名・片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生じる商標,外観において同視される図形からなる商標等のほか,その他の社会通念上同一と捉えられる商標,例えば,商標の要部でない附記的な部分を多少変更して用いるとか,横書きの文字部分を縦書きにして用いる場合など,同一と認められる範囲にある商標と解される。
しかしながら,本件商標が欧文字「BLUSH」を標準文字で表した構成からなるのに対し,使用商標1は,黒い四角形の中に白抜きで欧文字「blush/lingerie」が一体のものとして表された図案化された商標である。さらに,使用商標1の欧文字部分「blush lingerie」は,被請求人が本件商標の使用権者と主張するブラッシュランジェリー社の略称として捉えられるものであるから,これに接する取引者及び需要者は,使用商標1をその書類の発行者を表示したものと認識し,一体不可分の商標と捉えることが自然といえる。ゆえに,その構成中の「blush」の文字部分のみを独立した商標として認識するということはできない。
以上のとおりであるから,使用商標1は,一体不可分として捉えられるべきものであり,そうとすれば,本件商標とは,外観・観念・称呼のいずれも異なる別異の商標であるから,法第50条で規定する社会通念上同一の商標には該当しない。
なお,一般に請求書や納品書等の取引書類の余白に,その発行者である法人の商号を印字することが少なからず行われている実情することを鑑みれば,乙第1号証における使用商標1の使用態様は,単にその書類の発行者を表示したに過ぎないといえ,出所表示の標識として使用されているものではない。よって,仮に本件商標と使用商標1が社会通念上同一の商標であったとしても,乙第1号証によっては,本件商標の使用事実が証明されたことにはならない。
また,乙第1号証のDESCRIPTION欄に記載された「PUSH-UP BRA ORCHID/CARAMEL」,「BIKINI ORCHID/CARAMEL」といった商品が,本件商標の指定商品の一部である「ランジェリー」に属するものであることは推認できるものの,これらの商品に商標「BLUSH」あるいはこれと社会通念上同一の商標が付されているかは不明である。すなわち,乙第1号証は,ブラッシュランジェリー社が,日本に所在する「OTTO JAPAN INC.」等の法人に対して,DESCRIPTION欄に記載されたランジェリー類の商品を出荷,即ち,輸出したであろうことを推認させるものであるが,これによって,本件商標の使用事実が証明されたことにはならない。
加えて,乙第1号証は,本件商標若しくはこれと社会通念上同一の商標が,日本において使用されていたことを立証する証拠ではない。
前述したとおり,乙第1号証は,ブラッシュランジェリー社が,日本に所在する「OTTO JAPAN INC.」等の法人に対して,DESCRIPTION欄に記載されたランジェリー類の商品を輸出したことを推認させるに止まるものであって,被請求人が本件商標をランジェリー等の商品について,日本国内において現実に使用したことを示す取引書類ではない。
なお,乙第1号証として提出された書類のうち,7枚目から17枚目は,米国に所在するTOYOSHIMA&CO INCなる法人に対するものであり,わが国における使用を立証するものではない。
上述のとおりであるから,被請求人が提出した乙第1号証及び乙第2号証は,本件商標のわが国における使用事実を明らかにしたとはいえないものである。
(2)乙第3号証の1及び乙第3号証の2について
乙第3号証の1は,本件商標を小文字にした「blush」(以下「使用商標2」という。)の吊下げタグ及びラベルの状態を示した書類であり,乙第3号証の2は,使用商標2のタグ及びラベルが付された下着等が多数吊り下がっている室内を撮影した写真であることが確認できるものである。
まず,使用商標2が,本件商標と社会通念上同一の商標である点は認める。
しかしながら,乙第3号証の2は,何処かの室内で撮影された写真であることが確認できるものの,写真に写された下着等が実際に取引に供されていたかを判別することは出来ない。また,仮に,乙第3号証の2が,被請求人の主張するとおり店舗内で実際に販売されているところを撮影した写真であったとしても,この写真からは,店舗が日本国内に所在するかを判別することは出来ない。
また,乙第3号証の1は,被請求人によれば,使用商標2の吊下げタグ及びラベルを示す証拠とのことであるが,吊下げタグ裏面に記載された価格表示が$(ドル)であること及びその他の情報が全て英語で表記されていることを鑑みれば,これらのタグが付された商品がわが国において譲渡等がされた商品でないことは容易に想像できる。
さらに,これら写真の撮影時が不明であり,本件取消審判の予告登録日前3年以内に撮影したものか不明である。
ゆえに,乙第3号証の1及び2として提出された証拠は,本件商標のわが国における使用事実を示す証拠としての適格性を欠くものである。
(3)乙第4号証の1及び第4号証の2について
乙第4号証の1のブラッシュランジェリー社が運営するウェブサイトは,その掲載言語が英語表示であって,さらに,ここに掲載された情報も,連絡先として挙げられているのがカナダ,アメリカ,ドイツのオフィスのみであり,日本の連絡先が記載されておらず(甲3),採寸ガイドにおいて,わが国において一般的に用いられていないインチ法が主に用いられる(甲4)など,その体裁からして日本国内で開設しているとはいえず,わが国の需要者に向けてされているものとは認められないものである。
また,被請求人は,オンラインショップ(乙4の2)を通じて日本から被請求人の商品が購入できる旨を主張しているが,証拠資料からは,「SHIPS TO:INTERNATIONALLY」,すなわち,国際的に発送されうることが確認できるのみである。また,発送先の選択肢の一つとして日本が含まれるとしても,これをもってこのウェブサイトがわが国の需要者に向けたものだとはいえない。ゆえに,乙第4号証の1及び2は,本件商標がわが国において使用された事実を示す証拠とはならない。
また,これらウェブサイトを通じての販売が本件取消審判の予告登録日前3年以内にされたかも不明である。
なお,仮に,被請求人が販売店とする日本の店舗において,本件商標あるいはこれと社会通念上同一の商標が付された本件商標の指定商品が取り扱われていることをもって,わが国における本件商標の使用と主張するのであれば,当該店舗において,審判請求の登録前3年以内における使用を示す事実及び当該取扱店舗と被請求人との間において使用許諾契約等があった事実を示す証拠を提出されたい。
(4)乙第5号証について
乙第5号証は,米国ニューヨークにおいて「BLUSH」店舗が出展された際の開店キャンペーンの写真であるが,これは,本件商標がわが国において使用された事実を示す証拠とはならず,また,2012年3月の時点において,被請求人らがわが国において本件商標の使用をしていたことを伺わせる資料ともならない。
(5)乙第6号証について
乙第6号証は,本件商標が付された商品の各種雑誌における掲載事例であるが,これらの雑誌はいずれも海外で発行されたものであって,本件商標がわが国において使用された事実を示す証拠とはならないものである。また,被請求人が主張するような審判請求登録日前3年以内において,被請求人らによって本件商標の使用がされていたことを客観的に示す証拠ともならない。
(6)乙第7号証の1及び乙第7号証の2について
乙第7号証の1は,2012年秋冬カタログであり,乙第7号証の2は,商品情報が英語で細かく記載されたスタイルブックであるが,使用商標2が本件商標と社会通念上同一であるとしても,乙第7号証の1は,わが国において頒布されたものであるかが不明であるうえ,カタログの最終頁に記載された連絡先住所がカナダとなっていることからも,わが国の需要者を対象としたカタログということはできない。
乙第7号証の2についても,わが国において頒布されたものであるかが不明であるうえ,ここに記載された商品情報は,全て英語で記載されており,乙第7号証の1と同様に,連絡先住所はカナダになっている。さらに,このスタイルブックの最終頁には,「SIZE GUIDE」なる項目があるが,ここに記載されたサイズは,わが国において一般的には用いられていないインチ法によって主に記されていることから鑑みても,乙第7号証の2がわが国の需要者を対象としたスタイルブックということはできない。
3 口頭審理陳述要領書
(1)乙第8号証及び乙第9号証について
被請求人によれば,乙第8号証は,2009年12月30日付けのケベック インコーポレーテッドからブラッシュランジェリー社ヘの商標使用許諾契約書であり,乙第9号証は,2010年5月11日付けのケベック インコーポレーテッドからブラッシュ ファッション グループ インコーポレーテッドヘと名称変更されたことを示す会社登記修正証明書とのことである。
しかしながら,被請求人が述べるとおり,契約締結日とされる2009年12月30日時点においては,本件商標の商標権者はブラッシュランジェリー社であり,ケベック インコーポレーテッドは,その時点において当該商標権を有していなかった。
このような状況下において,2009年12月30日時点,我が国で本件商標について何ら権利を有しないケベック インコーポレーテッドが,本件商標について使用許諾契約をなしえないことは明らかである。すなわち,無権原者ケベック インコーポレーテッドによるブラッシュランジェリー社ヘの使用許諾は無効である。その後,ケベック インコーポレーテッドがブラッシュ ファッション インコーポレーテッドヘと名称変更をし,本件商標権がブラッシュランジェリー社からブラッシュ ファッション インコーポレーテッドヘ(旧名称ケベック インコーポレーテッド)と移転されたとしても,被請求人が主張するように,これにより事後的にブラッシュランジェリー社に対して使用許諾契約が締結されたということにはなり得ない。
ゆえに,乙第8号証及び乙第9号証によっては,2010年11月10日から2012年4月18日の期間において,ブラッシュランジェリー社に対して本件商標の使用許諾契約が締結されていた事実は証明されるものではない。
(2)乙第10号証及び乙第11号証について
乙第10号証は,カタログ通信販売を業とするオットージャパン株式会社が発行したと主張する2009年春夏号の通販カタログの写しとのことである。
まず,本件商標の使用の要証期間は,2009年4月18日から2012年4月18日であるが,乙第10号証として提出されたカタログの有効期限は,2009年4月20日となっている。
通常,通販カタログは,有効期限渡過後に商品の注文が行われないように,有効期限より相当期間前に次のシーズン用のカタログに差し替えられることが一般的であるから,乙第10号証として提出された通販カタログが,有効最終期限のわずか2日前である2009年4月18日から4月20日までの2日間,市場において頒布されていたとは到底考えられない。そして,当該カタログが頒布されたことを示すような証拠方法の提出はなかった。
また,要証期間の前に頒布されたカタログをもって,上記期間内に,本件商標と同一もしくは社会通念上同一の商標が付されたランジェリー等の商品を購入することが可能であったとしても,当該期間内における販売実績が立証されていない以上,本件商標の使用は立証されない。
さらに,乙第10号証として提出されたカタログの頁には,本件商標及びこれと社会通念上同一と判断される使用商標2が,商品「ランジェリー」等の写真とともに表示されているものの,そもそも当該頁が,被請求人が主張するとおりオットージャパン株式会社が発行したと主張する2009年春夏号の通販カタログのものであるかは不明である。
請求人は,上述の理由により,乙第10号証によっては要証期間における本件商標の使用は立証されないと考えるが,そもそも乙第10号証の証拠能力の有無について疑義があるため,乙第10号証として提出されたカタログ冊子とともに,当該カタログが頒布された事実を示す証拠の提出を求める。
乙第11号証は,カタログ通信販売を業とするオットージャパン株式会社が発行したと主張する2009年秋冬号の通販カタログ(テストカタログ)とのことである。なぜ被請求人が,実際に市場に頒布された2009年秋冬号の通販カタログではなくテストカタログを証拠として提出したかは不明だが,いずれにしろ,テストカタログは,一般に需要者の目に触れることはない内部資料にすぎず,これにより本件商標が使用されていた事実が立証されるものではない。
(3)乙第12号証について
乙第12号証は,カナダ日本通運株式会社による出荷書類の写しとのことである。また,被請求人は,乙第12号証の出荷書類の写しと乙第1号証の1枚目から3枚目の納品書が対応している旨を述べるが,これによっては,カナダ所在の企業であるブラッシュランジェリー社が,日本国内に所在する企業に対して商品「LADIES GARMENTS」を輸出した事実が推認しうるのみであり,この出荷書類に記載された商品に本件商標が付されていたかは不明である。
なお,被請求人は,乙第12号証の出荷書類の写しと対応すると述べる乙第1号証の納品書第174565号の「DIVISION(部門)」欄に「BLUSH」との印字があることから,出荷書類に記載された商品「LADIES GARMENTS」が本件商標が付された商品であったと推認される旨を述べるが,「DIVISION」は,文字どおり販売部門(部署)を示すにすぎず,これによって,被請求人が主張するように,商品「LADIES GARMENTS」等が,本件商標が付された商品であったと推認されるものではない。
また,乙第1号証として提出された納品書の写しには,「DIVISION(部門)」欄に「BLUSH」との印字があり,納品書の左上端部分に黒い四角形の中に白抜きで2段書きに記された欧文字「blush/lingerie」及びblush/lingerie Inc.が表示されており,乙第12号証として提出された出荷書類の写しの「SHIPPER’S NAME AND ADDRESS」欄には「BLUSH LINGERIE INC.」が表示されているものの,これらはいずれも出所表示の標識として機能するものではない。
したがって,上記の証拠方法によって本件商標が使用されていたとはいえない。なお,黒い四角形の中に白抜きで2段書きに記された欧文字「blush/lingerie」の使用商標1が本件商標と社会通念上同一の商標に該当しないことは,弁駁書において述べたとおりである。
さらに,被請求人は,乙第3号証の3枚目及び5枚目の写真において,本件商標に係る商品に「blush」が印字されたタグが縫い付けられていることから,オットージャパン株式会社による同商品の日本への輸入は,商標権者による「商品に標章を付したものを輸入する行為である」とみることが出来る旨を述べているが,請求人において比較検証を行ったところ,乙第3号証の3枚目及び5枚目の写真に示される商品と,乙第10号証及び乙第11号証として提出されたオットージャパン株式会社が発行したとするカタログ及びテストカタログに表示される商品とは一致しないものであり,被請求人が提出した証拠方法によっては,オットージャパン株式会社がブラッシュランジェリー社から輸入した「LADIES GARMENTS」に,本件商標が付されていたかは不明である。
ゆえに,乙第12号証からは,カナダ所在の企業であるブラッシュランジェリー社が日本国内に所在する企業に対して商品「LADIES GARMENTS」を輸出したことが推認されるのみであり,これにより本件商標が使用されていた事実が立証されるものではない。
4 結論
以上のとおりであるから,被請求人が提出した証拠のみによっては本件商標が審判請求の予告登録日前3年以内の期間に使用されていた事実は立証されず,被請求人による答弁の理由は成り立たない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由を答弁書,口頭審理陳述書及び上申書において要旨以下のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第15号証(枝番を含む。)を提出した。
1 答弁の理由
(1)使用証拠の提出について
被請求人は,本件商標を指定商品「ランジェリー」等に現に使用していることを主張する。使用の証拠として,納品書写しなど下記の資料を提出する。
ア 納品書(Invoice)
本件審判の予告登録日である平成24年4月18日以前に発行された納品書19枚を提出する(乙1)。
(ア)商標使用者
本納品書の発行者はブラッシュランジェリー社である。同社は被請求人のグループ企業であり,本件商標に係る通常使用権者である。
被請求人は,同社の属する企業グループの知的財産権(商標を含む)に関する業務を行っており,ブラッシュランジェリー社は,ランジェリー類等の商品の製造販売業務を担っている。両社の関係については,ブラッシュランジェリー社が運営するウェブサイト上に「Legal Notice(法律上の表示)」として,「『BLUSH』は,ブラッシュ ファッション グループ インコーポレーテッドの登録商標であり,同社ライセンスの下でブラッシュランジェリー社が使用している」旨が表示されている(乙2)。
(イ)使用商標1について
各納品書の左上に,黒色の長方形を背景として白抜きで,商標「blush」が記されている。商標「blush」の下に「lingerie」と記されているが,これは商品「ランジェリー」の英語表記であるため,使用商品との関係で識別力を有しない。また,商標「blush」は本件商標と異なり小文字で構成されているが,ローマ字の大文字と小文字の相互間の使用であり「書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標」にあたる。よって,使用商標1は,本件商標と社会通念上同一の商標である。
(ウ)使用に係る商品
各納品書に係る商品,つまり本件商標が使用された商品は,納品書の「DESCRIPTION(品目)」欄に示されたとおりである。つまり,ブラジャー,Tバック(女性用パンツ),ビキニ型下着(ブラジャーとパンツのセット),シュミーズ,ヒップスター(股上の浅い女性用パンツ),コルセット,テディ(キャミソールとパンツが一体となった装飾的な女性用ランジェリーの一種)などの婦人用下着である。
(エ)使用時期
各納品書の右上に発行年月日が「月/日/年」の形式で記載されている。最も古いものが2009年5月19日付けのもの,最も新しいものが2012年4月5日付けのものである。いずれも本件審判の請求登録日(平成24年4月18日)以前のものであり,本件商標が継続的に使用されてきたことを示すものである。
(オ)使用場所
各納品書の右上に名宛人とその住所に関する記載がある。例えば,2009年9月10日付け発行の納品書は,丸紅ファッションリンク株式会社(東京都渋谷区に所在)宛てに出されたものであることが明確に示されている。納品書は,いずれも日本国内に所在する者に対して発行されたものであり,被請求人に係るブラジャー等の商品が日本の需要者向けに販売されたことを示すものである。
イ 小括
指定商品「ランジェリー」等に係る納品書への上記使用商標1の使用は,商品に関する取引書類に標章を付して頒布する行為(商標法第2条第3項8号)に該当する。
よって,提出に係る納品書は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において通常使用権利者によりその請求に係る指定商品について本件商標の使用をしていることを証明するものである。
(2)吊下げ用タグとラベルに関する写真
本件商標の指定商品への使用状態を示す写真を提出する。
吊下げ用タグの表面には本件商標の構成文字をすべて小文字にした使用商標2が記され,裏面にはサイズ・価格等の情報が記されている(乙3の1)。また,商品に直接縫い付けられるラベルには,使用商標2が表示されている(乙3の2)。
乙第3号証の2の各写真は,店舗で実際に販売されているブラジャー等の商品に使用商標2が使用されていることを示している。吊下げ用タグは各商品にプラスチック製の糸で付けられ,ラベルは各商品の所定の位置に縫い付けられている。
ここで,使用商標2は,前記(1)(イ)のものと同様,本件商標と社会通念上同一の商標であり,当該標章を指定商品「ブラジャー」等へ付し,また付したものを譲渡等する行為は,商標法に規定する登録商標の使用に当たる(商標法第2条第3項1号及び2号)。
(3)ウェブサイト打ち出し
登録商標「BLUSH」のウェブサイト(http://www.blushlingerie.com/#/en/home/)での使用を示すための打ち出しを提出する(乙4の1)。
通常使用権者ブラッシュランジェリー社の運営によるウェブサイトでは,会社の紹介や取扱い店舗紹介等の各頁において左上に使用商標2が表されている。この使用商標2もまた,本件商標と社会通念上同一の商標である。
特に日本の需要者との関係では,取扱い店舗紹介の頁において,日本での被請求人商品の販売店(マリアネリ日本橋高島屋店:東京都中央区・日本橋高島屋3階,ヌイ・エ・ジュール池袋店:東京都豊島区・エソラ池袋1階)(乙4の2)の情報が示されており,また,オンラインショップ紹介の頁において,日本を含む各国の需要者への販売を目的としたオンラインショップの情報が示されている。これら各ショップを通して日本から被請求人に係る商品を購入することが可能である。
上記の行為は,被請求人に係る「ランジェリー」等の商品に関する広告を内容とする情報に使用商標2を付して電磁的方法により提供する行為であり,登録商標の指定商品への使用(商標法第2条第3項8号)に該当する。
(4)新店舗開店キャンペーンでのディスプレイの写真
米国ニューヨークのブルーミングデールズ・ソーホー店(ニューヨーク州ニューヨーク,ブロードウェイ504番地所在の高級百貨店)に「BLUSH」店舗を出店したことを祝い,2012年3月30日に被請求人が開店キャンペーンを行った際の写真を提出する(乙5)。
該キャンペーンで司会を務めた米国の有名スタイリストであるカーソン・クレスリー(Carson Kreslley)氏の背後に,舞台の背景として使用商標2と商標「blooomingda1e’s」が並んでプリントされたパネルが置かれている。
この使用商標2のパネルヘの使用は,場所が日本であったならば,指定商品に関する広告に登録商標を付して展示する行為に当たり,登録商標の使用(商標法第2条第3項8号)に該当したものと考える。少なくとも,2012年3月の時点において被請求人が本件商標の使用をしていたことを伺わせる資料である。
(5)雑誌の写し
被請求人の本件商標に係る商品は,各種雑誌において紹介されているため,その写しを提出する(乙6)。
例えば,雑誌「COSMOPOLITAN」2010年12月号では「BLUSH」商品であるキャミソール及びパンツ,同2011年5月号では「BLUSH」商品であるパンツ,雑誌「ELLE」2010年7月号では「BLUSH」商品であるブラジャー,雑誌「InStyle」2011年9月号では「BLUSH」商品であるブラジャー,ヒップスター,ボディスーツが紹介されている。いずれの記事においても,被請求人のランジェリー商品の写真と共に本件商標又は使用商標2が示されている。
これらは,2010年12月などの「審判の登録日前3年以内」の時点において,被請求人等により登録商標の使用がされていたことを客観的に示す証拠となるものである。
(6)カタログ
被請求人による2012年秋冬カタログ2部を提出する(乙7の1及び2)。
乙第7号証の1は,被請求人によるランジェリー商品の新作カタログであり,同2は,商品情報が細かく盛り込まれたスタイルブックである。いずれも表紙に使用商標2が記され,登録商標の使用(商標法第2条第3項8号)である。
(7)まとめ
被請求人は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,被請求人(商標権者)及びその通常使用権者が,本件審判請求に係る指定商品中「ランジェリー,パンツ,キャミソール,ボディースーツ,ブラジャー,婦人用下着」等について本件商標の使用をしていることを主張する。この使用は,納品書及びその他の使用証拠(乙1ないし乙7)を総合的に勘案することにより容易に証明される。
2 口頭審理陳述要領書
(1)商標権者について
甲第2号証(本商標権に係る商標原簿写し)に示されたとおり,本商標権については2度の特定承継による移転がなされている。各商標権者とその本商標権所有期間は,以下のとおりである。
ア 平成18(2006)年7月14日?平成19(2007)年1月31日
商標権者:3092-7271 ケベック インコーポレーテッド
イ 平成19(2007)年2月1日?平成22(2010)年11月9日
商標権者:ブラッシュランジェリー社
ウ 平成22(2010)年11月10日?現在
商標権者:ブラッシュ ファッション グループ インコーポレーテッド
上記より,要証期間の平成21(2009)年4月18日から平成24(2012)年4月18日のうち,平成21(2009)年4月18日から平成22(2010)年11月9日の期間においては,本商標権がブラッシュランジェリー社の所有であることから,同期間の同社による本件商標の使用は,商標権者による登録商標の使用に当たる。
そのため,例えば,乙第1号証のうち,1枚目ないし6枚目の納品書(Invoice)(納品書第174565,175356,175540,177604号)は,商標権者ブラッシュランジェリー社により,本件商標と社会通念上同一の商標が付されたものといえる。
(2)通常使用権について
本件商標権に係る通常使用権を証明する書類として,商標使用許諾契約書と会社登記修正証明書の写しを提出する(乙8及び乙9)。
商標使用許諾契約書と会社登記修正証明書により,平成22(2010)年11月10日より平成24(2012)年4月18日の間,商標権者ブラッシュ ファッション グループ インコーポレーテッドよりブラッシュランジェリー社に対して本件商標の使用許諾がなされていた事実が証明されるものである。
商標使用許諾契約は,9213-2695 ケベック インコーポレーテッドとブラッシュランジェリー社の間で結ばれたものである。契約書には,9213-2695 ケベック インコーポレーテッドがブラッシュランジェリー社に対し,リスト「A」に記載の商標について使用を許諾するとの旨が明記されている。リスト「A」には,本件商標が含まれている(表の上から6行目)。
本契約は,平成21(2009)年12月30日に発効しており,平成26(2014)年12月29日に終了することとされている。なお,ここで,本契約発効日の平成21(2009)年12月30日時点においては,本件商標の商標権者がブラッシュランジェリー社であったため,本契約はその時点では実質的な効力を有しなかったといえる。しかし,本件商標がブラッシュ ファッション グループインコーポレーテッドに移転した平成22(2010)年11月10日以降,本契約はブラッシュランジェリー社に対する通常使用権許諾の根拠として重要になるものである。
一方,会社登記修正証明書は,カナダ国ケベック州によって発行されたものであり,9213-2695 ケベック インコーポレーテッドが2010年5月11日付でブラッシュ ファッション グループ インコーポレーテッドに名称変更されたことを明示している。これにより,9213-2695 ケベック インコーポレーテッドとブラッシュ ファッション グループ インコーポレーテッドが同一の法人であることが証明される。
上記のとおり,商標使用許諾契約書と会社登記修正証明書により,平成22(2010)年11月10日から平成24(2012)年4月18日の期間において,商標権者ブラッシュ ファッション グループ インコーポレーテッド(旧名称 9213-2695 ケベック インコーポレーテッド)がブラッシュランジェリー社に本件商標の使用を許諾していたことが証明される。
(3)本件商標の使用について
追加の証拠として,通販カタログ「Otto WOMAN」と出荷書類の写しを提出する。
これらの証拠により,日本国内において本件商標が商標権者によって指定商品「ランジェリー」等について使用されていたことが示される。
ア 通販カタログ「Otto WOMAN」写し
カタログ通信販売を業とするオットージャパン株式会社(東京都世田谷区若林1-18-10)発行による通販カタログ「Otto WOMAN」の2009年春夏号及び2009年秋冬号(テストカタログ)の写しを提出する(乙10及び乙11)。
2009年春夏号の154頁および155頁には,本件商標及び使用商標2が,ビスチェ,ブラジャー,ショーツ等の「ランジェリー」「婦人用下着」の写真や商品情報と共に記載されている。この態様より,本件商標及び使用商標2が商品「ランジェリー」等との関連で使用されていることが見て取れる。また,「Aフリルビスチェ<ブラッシュ>」のように,各商品の紹介にもそれぞれ「ブラッシュ」の文字が併記されているため,当該商品が本件商標に係る商品であることが分かる。
カタログの奥付部分(審決注:口頭審理期日において,被請求人は,乙10と乙11の4葉目を差し替えた。)には,商品の注文先の情報が記載されており,このカタログが実際の販売を前提としたものであることが明らかである。さらに,オットージャパン株式会社が日本所在の企業であり,カタログが日本語で書かれていることより,当然に日本の需要者を対象にしたカタログ頒布と通信販売が行われているものと認識できる。
また,2009年秋冬号の216頁及び217頁にも同様に,本件商標及び使用商標2が商品「ランジェリー」等の写真や商品情報と共に記載されている。同カタログは最終版ではないが,表紙左下の記載より,掲載内容がその後大きく変わることはなかったものと推測される。
本カタログ中に記された使用商標2は,本件商標の欧文字を大文字から小文字に変更したものであるから,本件商標とは社会通念上同一の商標であると考える。また,2009年春夏号のカタログの有効期限(需要者が商品を注文できる期限)は平成21(2009)年4月20日であるから,要証期間中に頒布されたものといえる。2009年秋冬号の有効期限は,平成21(2009)年8月15日である。
したがって,本カタログにおける本件商標及び使用商標2の記載は,商品に関する取引書類に登録商標を付して頒布した(商標法第2条第3項第8号)行為となり,登録商標の指定商品への使用にあたる。
なお,本カタログはオットージャパン株式会社により発行されたものであるところ,掲載された本件商標に係る「ランジェリー」等の商品は,商標権者(当時)ブラッシュランジェリー社より譲渡された商品であるので,オットージャパン株式会社による商標の使用は,商標権者の意思に従った使用であり,商標権者による使用行為であると解されるものである。
イ 出荷書類写し
カナダ日本通運株式会社(Nippon Express Canada,Ltd.)の出荷書類の写しを提出する(乙12)。
本出荷書類は,乙第1号証の1枚目から3枚目の納品書(納品書第174565号,平成21(2009)年5月19日付)に対応している。同納品書は,ブラッシュランジェリー社とオットージャパン株式会社の取引内容を明示したものである。
本出荷書類中,項目5「出荷情報」の欄と項目6の「品目番号」の欄に納品書番号(INV.No.)174565が印字されている。また,項目6の右端にある「商品の種類と重量」の欄に「婦人用衣料品(Ladies Garments)」とあり,同商品が平成21(2009)年5月22日にカナダ国モントリオール空港より成田空港に向けて発送されたことが示されている(項目4最上段の「出発空港」欄,三段目の「目的地」欄および「初回フライト日」欄,項目7の右下「運送業者署名」欄の日付)。項目1および2より,荷送人が商標権者(当時)ブラッシュランジェリー社,荷受人がオットージャパン株式会社であることが分かる。
したがって,本出荷書類と乙第1号証の納品書第174565号より,オットージャパン株式会社が商標権者ブラッシュランジェリー社より購入したブラジャー,ヒップスター(股上の浅い女性用パンツ),ビキニ型下着(ブラジャーとパンツのセット)などの商品「ランジェリー」「婦人用下着」を輸入したことが推認できるものと考える。なお,この際購入された商品は,乙第1号証の納品書第174565号の「DIVISION(部門)」欄に「BLUSH」との印字があることからも,確かに本件商標に係る商品であったと推認できる。
これより,オットージャパン株式会社による本件商標に係る商品が掲載された通販カタログの頒布が,同商品の在庫を前提とし,現に日本国内で販売することを目的として行われていたといえる。本出荷書類によると,モントリオール空港出発が平成21(2009)年5月22日であり,オットージャパン株式会社が商品を受領したのはその数日後と考えられる。そのため具体的には,2009年春夏号カタログを見た需要者からの注文に応じるための輸入か,又は2009年秋冬号カタログによる注文に備えての輸入であったとも考えられる。
また,乙第3号証の3枚目及び5枚目の写真に示されているように,本件商標に係る商品に使用商標2が印字されたタグが縫い付けられていることを考えると,当該商標に手が加えられていない限り,オットージャパン株式会社による同商品の日本への輸入は,商標権者による「商品に標章を付したものを輸入する」行為であると見ることができ,商標法第2条第3項第2号の「使用」に該当するものである(平成14(行ケ)第346号)。
(4)その他
弁駁書によると,乙第1号証の各納品書の左上に配された使用商標1について,本件商標とは社会通念上同一の商標ではないとの主張がされている。しかしながら,答弁書でも記したとおり,「lingerie」の文字は,商品「ランジェリー」を表す普通名称であり,また,黒色の長方形の背景部分は簡単かつありふれた図形といえ,装飾的に付加されたものであるため,これらの文字と図形は,本件商標の識別性に影響を与えないものである。したがって,使用商標1は「blush」部分が自他商品識別標識として機能する部分といえるため,使用商標1は,本件商標と社会通念上同一の商標である。
3 上申書
(1)カタログの印刷部数と頒布の事実を証する書面
乙第10号証と乙第11号証のカタログの印刷部数と頒布の事実について,カタログの配布部数を明記したオットージャパン株式会社の担当者によるメールの写しを提出する(乙13)。
オットージャパン株式会社によると,乙第10号証のカタログの配布部数は77万5249部(発刊日:平成21(2009)年1月19日)であり,乙第11号証のテストカタログの配布部数は4万8000部である。
(2)カタログに掲載された商品が販売された事実を証する書面
乙第10号証と乙11号証のカタログに掲載された商品が販売された事実について,オットージャパン株式会社より提供された販売実績の資料を担当者によるメールの写しと共に提出する。また,販売実績の資料の日本語訳(商品名を追加している)も併せて提出する(乙14)。
オットージャパン株式会社提供の販売実績の資料は,商品ごとの販売数量と純販売額のリストである。これより,乙第10号証と乙第11号証のカタログに掲載された商品が現に販売されたことが証明される。
(3)乙第1号証のオットージャパン株式会社宛て納品書で特定される商品が乙第11号証のカタログに掲載されて販売された事実
乙第1号証のオットージャパン株式会社宛ての納品書(納品書番号174565)の一枚目に,納品された品目(「DESCRIPTION」欄)として「ヒップスター」との記載があり,「STYLE」欄には「SKU 4801451」と記されている。
この「SKU 4801451」中の数字「4801451」は,乙11号証に示された「Rフリルショーツ」の商品番号「514801451」の「4801451」と共通しており,同じ商品を示す。なお,用語「ヒップスター」は,下着の場合には股上の浅いパンツを表し,「ショーツ」と同義であり,乙第14号証に示されているとおり,「Rフリルショーツ」は乙11号証のカタログを通じて2点販売されている。
同様に,二枚目に示された「プッシュアップブラ」(4800791),「ビキニ」(4800871),「ヒップスター」(4800121),「ストラップレスコルセット」(4800041)等についても同様に乙第11号証と照らし合わせると,それぞれ「Jエンブロイダリーブラ」,「Kエンブロイダリーショーツ」,「Dプリントショーツ」,「Cプリントビスチェ」と番号が符合する。これらの商品も,乙第14号証に示されているとおり,販売された事実が認められる。
(4)梱包明細書
乙第1号証のオットージャパン株式会社宛て納品書に付随する資料として,ブラッシュランジェリー社よりオットージャパン株式会社宛てに商品を発送した際の梱包明細書の写しを提出する(乙15)。
乙第15号証に「P0092-688-0001」と記載されているが,これは「purchase order number」(注文書番号)を示す。該番号は,乙第1号証の上部中央に記載された「customer p.o.」(顧客注文番号)の番号と一致するので,乙第15号証が乙第1号証のオットージャパン株式会社宛て納品書と関連が理解できる。
乙第15号証中,例えば,一頁目の内箱番号(INNER CARTON#)22番から30番に梱包された商品について,ブラッシュランジェリー社番号0205300,オットージャパン株式会社番号4794021,商品「プランジブラ」と記され,右側の欄を確認すると,合計75点が送られている。この商品は,乙第1号証の納品書の三枚目(三品目目)に示された「プランジブラ 75点」(SKU 4794021)に対応する。
また,同様に,二頁目の内箱番号52番から54番に梱包された商品「ストラップレスコルセット」(ブラッシュランジェリー社番号0205641,オットージャパン株式会社番号4800041,合計30点)も,乙第1号証の納品書の二枚目(四品目目)に示された「ストラップレスコルセット30点」に対応する。
そして,「プランジブラ」と「ストラップレスコルセット」は,それぞれ乙第11号証の「Aローズモチーフブラ」,「Cプリントビスチェ」に対応する。乙第14号証によれば,乙第11号証のカタログを通じて前者が7点,後者は1点が販売されている。
4 まとめ
被請求人は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,被請求人(商標権者)及びその通常使用権者が,本件審判の請求に係る指定商品中「ランジェリー,パンツ,キャミソール,ボディースーツ,ブラジャー,婦人用下着」等について本件商標の使用をしている。
よって,本件審判請求は,成り立たない。

第4 当審の判断
1 被請求人の提出に係る証拠について
被請求人の提出に係る証拠によれば,ブラッシュランジェリー社とオットージャパン株式会社との間の取引について,以下の事実を認めることができる。
(1)乙第1号証の1葉目ないし3葉目は,「blush lingerie inc.」(921-333 Chabane W.Montreal,Qc.H2N 2E7)が発行する「FACTURE-INVOICE」(写し)であり,その左肩には,横長の黒塗り長方形内に白抜きで「blush」の欧文字が表示されており,その下には,小さく白抜きで「lingerie」の欧文字が表示されている(使用商標1)。
そして,当該納品書は,その日付及び積み出しの日を「2009.5.19」とし,「INVOICE OR CREDIT NO.」を「174565」とし,請求書及び商品の送付先を「OTTO JAPAN INC.」(1-8-10 WAKABAYASHI STEGAYA-KU,MIKAMI BUILDING TOKYO JAPAN)とするものであり,「CUSTOMER.P.O」の欄には「092-688-0001」及び「ORDER NO.」の欄には「133586-1」と記載されている。
また,当該納品書の1葉目の項目「STYLE」の欄には「SKU4801451」の記載があり,項目「DESCRIPTION」の欄には「HIPSTER MELON/APRICOT」の記載,そして,項目「QUANTITY」の欄には「30」との記載がある。
さらに,当該納品書の2葉目の項目「STYLE」の欄には「SKU4800871」の記載があり,項目「DESCRIPTION」の欄には「BIKINI ORCHID/CARAMEL」の記載,そして,項目「QUANTITY」の欄には「30」との記載がある。
加えて,当該納品書の3葉目の項目「STYLE」の欄には「SKU4794101」の記載があり,項目「DESCRIPTION」の欄には「HIPSTER WHISPER」の記載,そして,項目「QUANTITY」欄には「30」との記載がある。
(2)乙第12号証は,カナダ日本通運株式会社(Nippon Express Canada,Ltd.)の出荷書類「AIR WAYBILL」(写し)であるところ,当該出荷書類の記載によれば,カナダ国モントリオール在のブラッシュランジェリー社から日本の法人であるオットージャパン株式会社あてに「INV.NO.174565」で特定される商品「LADIES GARMENTS」(婦人用衣服)が,2009年5月22日に,モントリオール空港から成田空港に向けて発送されたことが推認される。
そして,この「INV,NO.174565」は,乙第1号証の「INVOICE OR CREDIT NO.174565」と数字部分を同じくすることから,当該「LADIES GARMENTS」は,乙第1号証の「174565」の納品書に係る商品であることが推認される。
(3)乙第15号証は,ブラッシュランジェリー社からオットージャパン株式会社に送付された商品発送の際の梱包明細書「PACKING LIST」であるところ,当該梱包明細書には,「PO 092-688-0001」との記載があり,該番号は,乙第1号証の「CUSTOMER.P.O」の番号と符合することから,乙第1号証で納品された商品の内訳を証するものと認められる。
そして,当該梱包明細書の項目「INNER CARTON」の欄の「76」ないし「78」の項目「OTTO ART.NO」の欄には「4801451」の記載,項目「DESCRIPTION」の欄には「HIPSTER」の記載があり,これらの「TOTAL」の合計は「30」である。
これは,上記乙第1号証の1葉目の記載「4801451」,「HIPSTER」及び「30」と符合するものである。
同じく,項目「INNER CARTON」の欄の「46」ないし「48」の項目「OTTO ART.NO」の欄には「4800871」の記載,項目「DESCRIPTION」の欄には「BIKINI」の記載があり,これらの「TOTAL」の合計は「30」である。
これは,上記乙第1号証の2葉目の記載「4800871」,「BIKINI」及び「30」と符合するものである。
同じく,項目「INNER CARTON」の欄の「31」ないし「33」の項目「OTTO ART.NO」の欄には「4794101」の記載,項目「DESCRIPTION」の欄には「HIPSTER」の記載があり,これらの「TOTAL」の合計は「30」である。
これは,上記乙第1号証の3葉目の記載「4794101」,「HIPSTER」及び「30」と符合するものである。
(4)乙第11号証は,オットージャパン株式会社の通販カタログ「Otto WOMEN Preview of Fall Style オットーウィメン 2009年秋冬号」のテストカタログ(一部,写し)であり,その216頁の左上には,使用商標2が大きく表示されており,その下には小さく「blushlingerie.com」の欧文字と,その右には「カナダのモントリオールを拠点とし,専門店を中心に展開している(blush)」の記載があり,例えば,「Bローズモチーフショーツ(ブラッシュ)」には,商品番号「51 4794101」の記載とともに商品の写真が掲載されている。
そして,217頁の,例えば,「Rフリルショーツ(ブラッシュ)」には,商品番号「51 4801451」,並びに「Kエンブロイダリーショーツ(ブラッシュ)」には商品番号「51 4800871」の記載があり,それぞれ商品の写真が掲載され,右下には,「ご注文は」として電話番号が記載されている。
また,4葉目には「オットージャパン株式会社 東京都世田谷区若林1-18-10」,「ご注文センター」及び217頁と同じ電話番号が記載されており,「カタログ有効期限」には「2009年4月20日」と記載されている。
(5)乙第13号証によれば,乙第11号証の通販カタログは,48,000部配布されたものである。
(6)乙第14号証は,オットージャパン株式会社の販売実績の資料であるところ,その4葉目の「<2009年秋冬号テストカタログ(乙11号証)>」によれば,例えば,項目「商品番号」の欄には「51 4801451(Rフリルショーツ)」の記載,項目「販売数量」の欄には「2」の記載があり,また,項目「商品番号」の欄には「51 4800871(Kエンブロイダリーショーツ)」の記載,項目「販売数量」の欄には「2」の記載があり,さらに,商品番号「51 4794101(Bローズモチーフショーツ)」の販売数量には「4」との記載がある。
商品番号「4801451」,「4800871」及び「4794101」で特定される商品は,乙第1号証のブラッシュランジェリー社からオットージャパン株式会社あての納品書及び乙第15号証の梱包明細書に記載された番号と符合するものである。
2 前記1によれば,以下のとおり判断できる。
(1)カナダ国モントリオール在のブラッシュランジェリー社は,2009年5月19日付けで,日本の法人であるオットージャパン株式会社から注文があった,婦人用下着の一種である「HIPSTER(股上の浅い女性用パンツ)」,「BIKINI(ブラジャーとパンツのセット)」等の商品について,「NO.174565」で特定される納品書(乙1)を発行したものであり,該納品書の左肩には,使用商標1が表されている。
そして,下段に小さく表された「lingerie」の欧文字は,「婦人用下着類」を表す普通名称を英語表記したものであり,かかる文字部分を捨象し,上段の「blush」の欧文字を要部抽出したとしても本件商標の識別力に影響を及ばさないものであるから,使用商標1は,本件商標と社会通念上同一の商標といえるものである。
また,ブラッシュランジェリー社は,本件商標の商標登録原簿の記載によれば,納品書の日付及び積み出しの日である2009年(平成21年)5月19日時点の商標権者と認められる。
さらに,上記納品書に記載の商品「HIPSTER(股上の浅い女性用パンツ)」「BIKINI(ブラジャーとパンツのセット)」等は,婦人用下着であり,該商品は,取消請求に係る指定商品に含まれるものである。
(2)オットージャパン株式会社は,カナダのモントリオールを拠点として展開する「blush」の商品「婦人用下着」について,使用商標2を表示して自社の通販カタログ(乙11)に掲載し,ユーザーのニーズや嗜好を推し量るため,少なくともカタログ有効期限である2009年4月20日以前にこれを配布したものであり,該カタログに掲載され商品「婦人用下着」は,ブラッシュランジェリー社が2009年5月22日にカナダからオットージャパン株式会社あてに発送し,オットージャパン株式会社がこれを輸入し,その後,該カタログを通じて販売したものと推認することができるものである。
そして,使用商標2は,本件商標と社会通念上同一のものと認められる。
また,これらの行為はすべて,要証期間に行われたものと認められるものである。
3 なお,請求人は,被請求人が提出した平成25年4月17日付けの上申書に対し,意見を提出していない。
4 まとめ
前記1及び2のとおり,被請求人は,本件商標の商標権者であったブラッシュランジェリー社が,商品「婦人用下着」に関する納品書に本件商標と社会通念上同一と認められる使用商標1を表示して使用し,本件審判の請求の登録前3年以内である2009年(平成21年)5月22日に,該商品を取引先のオットージャパン株式会社あてに発送したものであり,オットージャパン株式会社が,これを日本国内に輸入し,使用商標2を表示した通販カタログを通じて販売した事実を認定できるから,上記オットージャパン株式会社の輸入行為をもって,商標法50条に規定する商標権者による本件商標の「使用」があったことを証明したものと認められる。
5 むすび
以上のとおり,被請求人は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,商標権者が本件請求に係る指定商品に含まれる「婦人用下着」について,本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したと認めることができる。
したがって,本件商標は,商標法50条の規定により,取り消すことができない。
よって,結論のとおり審決する。
審理終結日 2013-06-13 
結審通知日 2013-06-17 
審決日 2013-07-31 
出願番号 商願2005-88894(T2005-88894) 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (Y25)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小川 きみえ 
特許庁審判長 関根 文昭
特許庁審判官 田中 亨子
池田 佐代子
登録日 2006-07-14 
登録番号 商標登録第4969598号(T4969598) 
商標の称呼 ブラッシュ 
代理人 志賀 正武 
代理人 田島 壽 
代理人 渡邊 隆 
代理人 田中 彰彦 
復代理人 小暮 理恵子 
代理人 青木 篤 
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