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審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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不服201220726 | 審決 | 商標 |
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審決分類 |
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W29 |
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管理番号 | 1282324 |
審判番号 | 不服2012-21212 |
総通号数 | 169 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2014-01-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2012-10-26 |
確定日 | 2013-11-11 |
事件の表示 | 商願2012-1735拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は,成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は,別掲1のとおりの構成からなり,第29類「地鶏の鶏肉,地鶏の鶏肉製品」を指定商品として,平成24年1月13日に登録出願されたものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定において,「本願商標は,『房總地鶏』の文字を書してなるところ,『房総(總)』の文字は,『安房(あわ)・上総(かずさ)・下総(しもうさ)の総称。』の意味を有するものであり,指定商品との関係においては,全体として『房総(安房・上総・下総)の地で飼育,管理された地鶏を使用した地鶏の鶏肉・地鶏の肉製品』であることを認識させるにとどまるものであるから,これをその指定商品中,前記商品に使用するときは,単に商品の品質,産地を表示するにすぎないものと認める。したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当し,前記商品以外の商品に使用するときは,商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので,同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。 3 当審における証拠調べ通知 当審において,本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて,職権による証拠調べをした結果,その指定商品について,「房総地鶏」又は「房総地どり」の文字が,商品の品質を表すものして使用されている別掲2のとおりの事実を発見したので,商標法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき,請求人に対し,平成25年6月20日付けで証拠調べ通知書を送付した。 4 請求人は,前記第3の証拠調べ通知に対し,何ら意見を述べていない。 5 当審の判断 本願商標は,別掲のとおり,「房総地鶏(「総」及び「鶏」の文字は,旧字体である。以下同じ。)」の文字を書してなるところ,「房総」の文字部分は,「安房・上総・下総の総称」の意味を,「地鶏」の文字部分は,「その土地の産の鳥。古くから各地で飼われている鶏の在来種。」の意味を有することから,その構成文字全体からは,「房総(安房・上総・下総)地域産の鳥」程の意味合いを容易に認識させるものである。 そして,前記3の証拠調べ通知における新聞情報及びインターネット情報によれば,「房総地鶏」の文字は,「千葉県養鶏試験場が1987年,食用鶏のプリマスロック種やレッドラインロード種とシャモ系とを掛け合わせて生み出した本県の固有品種」を表すものであって,「千葉県のオリジナル地鶏」であること,また,「肉質は柔らかく,旨み成分であるイノシン酸を多く含んだおいしい鶏肉」等の事実を認めることができる。 そうとすれば,「房総地鶏」の文字からなる本願商標を,その指定商品について使用したときは,これに接する取引者,需要者に,「房総地鶏の鶏肉,房総地鶏を使用した鶏肉製品」であることを理解,認識させるにすぎず,本願商標は,その商品の品質,原材料を表示する標章のみからなるものと認められる。 したがって,本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとして,本願を拒絶した原査定は,妥当であって,取り消すことができない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲1 <本願商標> 別掲2 <証拠調べ通知> 1 新聞情報 (1)「旭の産直館で『房総地鶏』売り出し 身締まり,濃厚うま味 本県固有品種=千葉」の見出しのもと,「旭市琴田の同市農産物直売館『アグリポケットパーク』で,一般にはなかなか買うことの難しい『房総地鶏』の販売が始まった。販売するのは,市内の農事組合法人『旭愛農生産組合』(大松秀雄組合長)。県内産地鶏の普及を図る県からの打診で,2002年から飼育に取り組み始め,現在は『県内のほぼすべてに近い』(同組合)2万5000羽を飼育する。房総地鶏は,県養鶏試験場が1987年,食用鶏のプリマスロック種やレッドラインロード種とシャモ系とを掛け合わせて生み出した本県の固有品種。遺伝子組み換えを一切行わないトウモロコシや国産魚粉,米ぬかなど独自の配合飼料を与えられ,自由に動き回れる鶏舎でストレスなく育てられるため,身が締まり,イノシン酸を含んだ肉はうま味が濃いという。」の記載がある(2005.5.8 読売新聞 東京朝刊)。 (2)「千葉県育成の『房総地鶏』の価格や生産体制を検討」の見出しのもと,「千葉県育成の『房総地鶏』を飼育する旭愛農生産組合(旭市と周辺の農家で構成)は三日,千葉市で『房総地鶏に関わる検討会議』を開いた。生産者,県,JA全農ちば,生協などの担当者が出席。検討会では十二月の需要に向けた出荷対策を探った。販路拡大に向け価格の設定方法や,生産体制の整備,ブランドのPRについて意見交換した。『房総地鶏』は一九八七年に同県が育成。一時期飼育数が激減したことから,非遺伝子組み換え飼料の使用や抗生物質を飼料に添加しないなど,安全性を前面に出した取り組みで復活を目指している。」の記載がある(2001.9.4 日本農業新聞)。 (3)「より安心な『房総地鶏』へ 千葉県が安全性重視した飼育法に」の見出しのもと,「千葉県は,県育成のブランド鶏『房総地鶏』を,安全性を重視した飼育法に切り替え始めた。・・・『房総地鶏』は県が一九八七年に育成し,九八年に改良種を作出した。九〇年に七戸が約二万羽飼育していたが,バブル経済崩壊後,飼育数は激減。そのため,安全性を前面に打ち出して復活を目指した。すでに千羽は引き合いがある。」の記載がある(2001.5.18 日本農業新聞)。 (4)「【イブニングマガジン】グリル満天星 編集後記」の見出しのもと, 「アローカナの取材で千葉県各地を回ったときに,千葉市農政センターにも足を延ばしました。こちらでは,在来種を交配した『房総地鶏』の新品種配布を昨年度から実施しています。」の記載がある(1998.04.21 産経新聞 東京夕刊)。 (5)「梨園に房総地鶏を,放し飼い,除草とたい肥に,JA八千代市管内」の見出しのもと,「【千葉・八千代】JA八千代市管内の米本(よなもと)地区で梨栽培に取り組む土屋百兄(ももえ)さん(四三)は梨園に房総地鶏を放っている。・・・ 房総地鶏は千葉県が採卵鶏とシャモの交配で作出した特産肉用鶏で低脂肪,高アミノ酸が特徴とされている。」の記載がある(1995.8.3 日本農業新聞)。 2 インターネット情報 (1)「Wikipedia」の「地鶏」のウェブページによれば,「地鶏(じどり)とは,日本農林規格(JAS) に記載されている,在来種由来の血液百分率が50%以上の国産銘柄鶏の総称。」との記載があり,また,「地鶏の種類」の項目には,「房総地どり(千葉県)」の記載がある。 (http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%B0%E9%B6%8F) (2)「株式会社フィールド・コーポレーション」の「房総地どり/有機・無農薬野菜のフィールド・コープwith旭愛農」のウェブページによれば,「房総地どりとは?」の項目において,「房総地どりストーリー」に「昭和62年に,千葉県養鶏試験場がレッドラインロードと軍鶏(しゃも)系の交雑で房総地どりを開発しました。その生産と販売を推進しましたが,肉質が硬い事,価格が高い事などから上手くいかず,改善が必要になりました。かっては2万羽の飼育実績がありましたが,現状は10戸の農家が200羽程度研究用に飼育(地鶏卵の販売と廃鶏の加工品販売)をしています。 県は地鶏の研究(品種再開発)を進め,新たな生産農家の発掘と銘柄化推進事業化を図るための努カを継続しました。」との記載があり,また,「房総地どりの特徴」には,「両親の良いところを受け継いで,肉質は柔らかく,旨み成分であるイノシン酸を多く含んだおいしい鶏肉です。また肉繊維内の脂肪含有率も低いのも特徴です。一方,ブロイラーと比べると体が小ぶりであることも特徴です。」の記載がある。 (http://field-corp.jugem.jp/?eid=2) (3)「楽天市場」の「株式会社サンライズファーム」のウェブページにおいて,「房総地鶏☆とは? 日本で一番美味しい地鶏を育てよう♪」,「房総地鶏は,千葉県養鶏試験場(現畜産総合研究センター)が開発した千葉県のオリジナル地鶏です。品種は,横斑プリマスロック♂とレッドラインロード♀の交配種です。横斑プリマスロック♂は,明治時代に導入されたもので,種として定着している在来種として認定されています。品種改良の素鶏として使われています。肉質のやわらかさが特徴です。レッドラインロード♀は全国で唯一,千葉県が保有している種鶏です。房総地鶏のゆえんです。強健で,気も強いが人なつっこく,千葉の風土にあった鶏です。両親の良いところを受け継いで,肉質は柔らかく,旨み成分である,イノシン酸を多く含んだ美味しい鶏肉です。また肉繊維内の脂肪含有率も低いのも特徴です。一方,ブロイラーと比べると体が小ぶりであることも特徴です。房総地鶏は,房総東端にある梅宮農場の梅宮 文三さんが生産をされております。青々とした樹木が生い茂る,自然環境の中で,房総地鶏はゆったりと飼育されております。」の記載がある。 (http://www.rakuten.co.jp/sunrisefarm/435741/540475/) |
審理終結日 | 2013-09-19 |
結審通知日 | 2013-09-20 |
審決日 | 2013-10-01 |
出願番号 | 商願2012-1735(T2012-1735) |
審決分類 |
T
1
8・
13-
Z
(W29)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 保坂 金彦 |
特許庁審判長 |
井出 英一郎 |
特許庁審判官 |
谷村 浩幸 田中 亨子 |
商標の称呼 | ボーソージドリ、ボーソードリ、ボーソーニワトリ |
代理人 | 富樫 竜一 |